コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

音色に君をのせて
日時: 2017/02/22 19:59
名前: Ria

眠れ眠れ


緑の息吹たちよ 健やかに


小さき華


芽生え 風になびく 僕の唄









初めてその歌声を聞いたのは、裏庭で。

声が高く、伸びのある綺麗な透明感のある声。

でも、どこか声に儚さを感じる。

触ったらすぐに消えてしまいそう―。

私はその歌声を、目を閉じて聞いていた。






――――――――――






初めまして、Ria(リア)と言うものです(^ ^)
更新は不安定です。
少なくとも1週間に1度の更新を目指して頑張りますが、更新できない時もあると思います(・_・、)
その時は気長に待っていただけると嬉しいです。
コメントも大歓迎です。
よろしくお願いします。


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Re: 音色に君をのせて ( No.63 )
日時: 2016/11/24 22:09
名前: Ria

私は学校が終わるとすぐに病院へ向かった。

大輝と乃亜も来てくれることになった。

「…いない」

いつもの場所に、姿はなかった。

―場所すらなかった。

「…どういうこと?」

乃亜が思わず呟く。

机の上にも、ベッド上にも、何も無いのだ。

「そちらの方でしたら…」

偶然通りかかった人が場所を教えてくれた。

隔離部屋。

―病状が悪化したから。

頭によぎるのはそれだけだった。





その場所に、鈴音はいた。

いつもに増して白い顔で、今にも溶けてしまいそうで…。

「お前、大丈夫なのかよ」

「平気平気」

声に力はなく、少し痩せた気がする。

「輸血で、人が多い所だと感染症の疑いがあるからって移動になったんだ」

私は、気がついたら泣いていた。

―死んじゃう。

そんな物騒な言葉が頭を過ぎったから。

乃亜と大輝は席を外してくれた。

「この前はごめんね」

「…こっちこそ…。それで…歌詞の続きが知りたくて」

「…ちょうど書き終わった所だよ」

ちょうど…?

「もう、長くないかもしれないから…」

嫌な予感だけは、昔から当たる。

私はベッドに仰向けになっている鈴音の頬に触れた。

「…冷た…」

鈴音の手が私に重なる。

冷たい。

「…暖かいや…」

鈴音はとても気持ちよさそうに見えた。

私は、涙でいっぱいになって、何も言えなくて。

しばらくの間、泣いていた。

私の手にも、暖かい鈴音の涙が伝った。

Re: 音色に君をのせて ( No.64 )
日時: 2016/11/26 00:04
名前: Ria

眠れ 眠れ

緑の息吹たちよ 健やかに

小さき花 芽生え

風に なびく 僕の唄



何も無い毎日

退屈だと思っていました

外の緑はみんな自由で

誰にも縛られず 生きている


そんなことに気を惹かれ

俺は旅に出てみました

感じる 風の鼓動

聞こえる 俺の心の鼓動



眠れ 眠れ

緑の息吹たちよ 健やかに

響き合う この鼓動

貴方達に 届いていますか



あの小さな命は

どこから飛んで来たんだろう

僕は自由を奪われて

小さな鎖に 縛られました


見つけたものは綺麗で

ひとつひとつに手を伸ばした

感じない その暖かさ

聞こえない 僕の心の暖かさ



眠る 眠る

自然好きな少年は 深く

彩られる 床が

僕に現実を 突きつけた




もう終わりなのかな

大好きな 風に流される旅

もう 触れられないのかな

大好きな 自然の命



眠れ 眠れ

緑の息吹たちも 僕も

自然は 命をつなぐ

僕は 何も 残せない







「…これが、僕の物語の結末だよ」

この歌詞が、鈴音の物語。

私は泣き止んだばかりの顔をまた濡らした。

「身体の回復が…弱くなってるんだ」

「……」

涙を拭う手を、振り払うことができない。

悲しくて、悲しくて仕方ない。

「勝手に…終わら…ない…でよ…」

まだ、私は約束守れてないの。

演奏が完成していなかったの。

「ピアノが完成するまで…待ってよ…」

「…もぅ、いいよ…」

…なんで?

やめてよ…。

そんな簡単に、諦めないでよ…。

「…本当は…もっと美鈴と…一緒に居たかったのに…」

私は鈴音の全部を抱きしめた。

「私は…ずっと鈴音の傍にいたいの」






「鈴音がいいの」





だから―



まだ失わないで。



旅はまだ、これからでしょ?

Re: 音色に君をのせて ( No.65 )
日時: 2016/11/26 13:06
名前: 立山桜  

何て言ったらいいか分かんないけどすごいね…。なんかもう感情がでてる。更新頑張れ!

Re: 音色に君をのせて ( No.66 )
日時: 2016/11/27 23:55
名前: Ria

立花 桜さん


だんだん話が重くなってきて私も悲しい気分です(
コメントありがとうございます。

Re: 音色に君をのせて ( No.67 )
日時: 2016/11/28 00:07
名前: Ria

私は音を作ることをやめなかった。

毎日、学校が閉まるまで必死に音を探した。

家でもピアノはやめない。

「いい曲ね」

「…ありがとう」

「でも、何故かしら…。悲しいわね」

「…うん」

大丈夫。

私の音は間違っていない。

歌詞に合わせた、悲しい音。




「えっ…文化祭でですか?」

「あぁ。頼んだよ」

文化祭が近づいてきたある日。

私はステージで発表する機会を得た。

「…はい」

私も、変わらなくちゃ。

本当は、鈴音の歌声も聞かせたかったけれど。

「(鈴音…)」

学校に来れるような体じゃないのを、一番知っている。

それでも、あの歌声の伴奏がしたい。

そうしたら

音色に君をのせて

どこまでも飛んでいける気がするのに。

Re: 音色に君をのせて ( No.68 )
日時: 2016/12/06 20:47
名前: Ria

文化祭まで残り3日。

やっとの思いでこの曲を完成させることが出来た。

何回も迷走した。

それでも、何とか終わらせることが出来た。

「(鈴音に…聞かせたいなぁ…)」

でもそれは不可能で。

「美鈴。今日鈴音の所行くけど…」

「いいよ。2人で行ってきて」

「そっか…。ピアノ頑張ってね!」

「ありがとう」

最近、大輝と乃亜は付き合い始めた。

周りも、私もやっとか、って感じだけれど。

2人を邪魔したくないのもある。

それ以前に…見たくなかったのだ。

苦しんでいる姿を。

この曲が完成するまで、鈴音は時間をかけていた。

それほど想いが詰まった曲。

彼の歌声が、後押ししてくれる。

僕のことはいいから

そう言っている気がするのだ。

「(文化祭…撮っててもらおう…)」

そうしたら、鈴音だって見れるから。

Re: 音色に君をのせて ( No.69 )
日時: 2017/01/03 10:08
名前: Ria

文化祭前日。

だんだん満足できるような演奏が出来てきた。

それでも、まだ満たされないのは…。

「(鈴音がいないから…)」

分かってる。

今も鈴音は戦っているんだ。

気を改めて私は教室に入った。

今日は朝から文化祭の活動。

今日も、がんばろう。

そう自分に言い聞かせて。

「美鈴いる!?」

聞き覚えのある声に、反応する。

―乃亜。

「どうしたの?」

「それが…」

乃亜は今にも泣きそうな顔をしている。

その後ろには大輝もいた。

「鈴音には…言わないでって言われたけど…!」

その一言は、きっとクラスに聞こえていたと思う。

あぁ、どうして神様はいつも意地悪するんだろう。




「明日、病院移動することになったって…!」

Re: 音色に君をのせて ( No.70 )
日時: 2017/02/05 09:25
名前: Ria

「そっか…」

知らないままが良かった。

そんなこと今知ったら…

明日、どんな顔をしてればいいの?

「…大丈夫だよ」

こうして、偽りの笑顔を見せ続ける?

「美鈴…」

ねぇ、鈴音。

今…。

物凄く…。

「会いたいよ…」

溢れる涙は堪えることが出来なかった。

学校なのに、クラスなのに。

今までどんな事があっても、我慢してきたのに。

「文化祭でピアノ、やるんだよね?」

「…ん」

「よし!んじゃあ行ってくるわ!」

「あっ俺も行く!」

「…やめて!」

クラスの男子がとる行動なんて、分かっていた。

でもそれは、同時に鈴音に負担がかかるのだ。

「私は大丈夫だから」

これ以上、心配をかけたくないから。

「明日…頑張ろう」

クラスでまともに会話できたの、今日が初めて―。

なんてことが今更頭に浮かんだ。

Re: 音色に君をのせて ( No.71 )
日時: 2017/02/16 16:35
名前: Ria

大好きな、ピアノ。

こんな弾き方しちゃダメなのは、私が一番分かってるのに。

どうしても気持ちが出てしまうのだ。

「(やば…泣きそう…)」

鍵盤が滲む。

―ダメ、今は本番なのに。

胸元には小型のマイクが付けられている。

けれど私はあえて何も話さなかった。

拍手を貰っては、次の曲を。

そうして、この曲まで辿り着いてしまった。

「じ、実はですねー…」

私が止まったのを察し、アナウンスがフォローしようとした。

「(そんなの…いらないってば!!)」

私は遮るように手を走らせた。

「らんぼー…」

ピアノにおっ掛かる影が見える。

それは…私の…

「なんでっ…!」

大好きな鈴音だった。

少し痩せて、元気もないような気がする。

それでも、私に演奏を続けるように促す。

「(あぁ…心地よい…)」

変わってない。

私の大好きな歌声。

大好きな…後ろ姿。

鈴音は、文化祭に来てくれた。

Re: 音色に君をのせて ( No.72 )
日時: 2017/02/20 09:56
名前: Ria

ずっと、この時間が続けばいいのに。

鈴音の物語の歌。

終わってしまう。

「(終わらないで―)」

死なないよ、鈴音は…!

鈴音の歌声が終わり、私のピアノ伴奏だけが静かに響いた。

―終わらせない…!



私が居るよ そばに居るよ

この音が 消えぬ限り

音と唄のハーモニー

大好きな君へ イノチノ唄…



一音ずつのピアノの音に合わせて、呟くように私は歌っていた。

私は思うように歌えないけれど、あなたは持っているの。

その綺麗な歌声を…もっと、聴かせて。

少しの間を開けて、観客から盛大な拍手が送られた。

横目で見ると、感動して泣いている人も見えた。

「(―終わっちゃった…)」

溢れる涙を拭こうとする手を、強く握られた。

「俺は、元気になって…戻ってくるよ」

そして私の頬が…唇を優しく触れた。

「うんっ…!うんっ……!」

私も、信じなきゃ。





そして鈴音は学校から、病院から姿を消した。

最先端の治療を受けて、また、帰ってくるために。

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