コメディ・ライト小説(新)

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ロード オブ シャングリラ
日時: 2016/07/13 12:14
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI

 


 「御下がり下さい、殿下!」


 低くおどろおどろしくも勇ましい声と共に俺の前には黄金の甲冑に身を包んだスケルトンナイトが現れて敵の勇者の攻撃を盾でブロックした。


 「殿下には指一本とて触れさせん!!」


 スケルトンナイトは盾で勇者の剣を打ち払い、すかさずロングソードで斬りかかる。


 「くっ!!」

 
 攻撃をいなされた勇者が紙一重でスケルトンナイトの斬撃を後方に飛び退くことによって躱す。 

 だが剣圧だけでも多少なりともダメージをその身に与えたようだ。


 「くそ! ここまで来てまだこんな強力な配下の魔物がいるなんて・・・魔王はもう目の前だっていうのに・・・!!」

 

 悔しそうに言う勇者。

 その身はすでに痛々しく傷つき、ここまで来るのに満身創痍なのは明らかだった。

 
 「ふっ、勇者よ。その疲れ切った身体では四天王最強の戦士ゴールデンスケルトンナイトの相手は辛いか? その者を下さねば我を倒せんぞ? はっはっはっ・・・!」

 
 嘲笑う蒼黒の外套と鎧を纏う偉丈夫の男、魔王は無数の人間の髑髏で形成された悪趣味な玉座に肩肘を付き、さも面白そうに観戦を決め込む。


 まだ少年ともいうべき年齢の人間の勇者が最後の四天王である黄金の骸骨戦士と死闘を繰り広げるのを眺めている。




 ――――ヘッドマウスディスプレイの画面から。













 本編

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Re: ロード オブ シャングリラ ( No.7 )
日時: 2016/07/10 00:59
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI









 ロード・オブ・シャングリラの世界情勢









 『フェイルラント』
  
 四つの大陸からなる世界。遥か神話の時代、一つの大陸だったが神々と異界の邪神との戦い『神魔戦役』により四つに分断された。分かれた大陸それぞれに神が守護と祝福を与えたという。大陸の名前が神の名はそのためである。











 『神聖大陸アルミナス』
 
 多くの人間が信仰する女神アルミナスが守護するという大陸。王国、帝国、神教国など様々な国家が存在、対立し争いが絶えない。











 『竜王大陸グラヴァード』
 
 獣人、竜人、亜人達が多種多様に暮らす大陸。神竜グラヴァードの加護により自然の恵みに溢れている。










 『幻精大陸ユファーティル』

 精霊、妖精、小人族ドワーフ長人族エルフなど眼に見えぬ者達や魔術に長けた者達が集う不可思議な大陸。精霊神ユファーティルが見守るとされている。











 『業魔大陸デストピア』

 死の楽園、魔の揺りかごなど異名が多々ある謎の大陸。訪れた者の多くが消息を絶っていることから尋常ではない何かが有るという事だけは確かである。守護する神はデストピア。歴史上もっとも謎が多い神。異界の邪神の一柱ではないかという説もある。








Re: ロード オブ シャングリラ ( No.8 )
日時: 2016/07/10 09:03
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI



 LOSの世界はかつての神々の戦いで四分割された大陸。

 それぞれの大陸に四柱の神が守護をして、様々な種族が存在している。

 しかし脅かすものが現れた。

 魔物だ。

 魔物は場所も気候も選ばず唐突に現れる。

 これらを討伐するのが冒険者(プレイヤー)であり、魔物を倒すことにより経験値と素材を入手できるのだ。

 討伐は強制ではないのでしなくてもいい。

 戦闘だけがキャラを成長させる訳ではい。

 LOSはレベルがないので様々な事柄、経験が成長に繋がるのだ。

 成長の仕方は多種多様で、上がることもあれば下がることもあり一長一短な仕様になっている。

 極端な話、歩くだけでステータスが上がる、僅かだが。

 その分頑張れば結果が自ずとついてくる。

 極めれば無双も出来るが相当の時間と労力が必要だ。

 それとこのゲームには本来ストーリーやイベントは用意されておらず、プレイヤー同士が作ったり、企業とのコラボで行われてきた。


 「・・・現に我に起きている事態が何らかの強制的なイベントなら、すぐにでも解決するのだが・・・」

 ラグナは空間にメニュー画面を呼び出そうとするがまったく現れない。

 それはログアウトの項目もGMや運営にも連絡が取れないことを意味する。

 チャットやメールも出来ないのでフレンドとも連絡がつかない。


 「勇者のプレイヤーと戦ったあの時起きた異変、あれがどうにも怪しいな。LOSをプレイしていて今まであのような事は起こらなかった」


 それとどうしても気になる事が。

 
 「・・・現実世界での我の肉体はどうなったのか・・・」


 そう、これはあくまでも仮想世界のゲームでしかない。

 現実からログインしている本体の自分は今もベッドでバーチャルコンソールマシンの機器を装着して寝ているはずだ。

 確か一人暮らしだったので他人に連絡手段は無い。

 マシンには何らかの身体異常があれば緊急のSOSがゲーム会社に連絡される機能が存在する。


 「もしもSOS機能が働かなければ・・・くっ! ・・・また痛みが・・・!」


 どうにも現実世界の自身の事が曖昧になってしまう。

 
 「何とかしてLOSからログアウトせねばリアルの肉体が衰弱して死んでしまう・・・」


 そのためには。



 「このLOSの世界で現実世界に戻る手段を探さねばならぬな」


 

 
 

Re: ロード オブ シャングリラ ( No.9 )
日時: 2016/07/10 19:17
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI

 






 森を歩き少し開けた場所に出たラグナ。

 
 「・・・さっぱり道がわからん。街道にでも出れば人里の村や町があると思うのだが・・・そもそもここがどこの大陸かも分らん」

 
 周りを見れば鬱蒼と茂る森か切り立った岩場ぐらいしかない。


 「・・・こんな時に転移魔法が使えていれば・・・」


 ラグナが独り言ちる。

 実は早々に転移魔法を試したのだが、どういうわけか発動しなかったのだ。

 自分のホームグラウンドである城や訪れたことのある町や場所などイメージしたのだが一向に使えなかった。

 せめて上空から見渡し一望出来れば、ここが何処か判別しようがあるのだが。


 「ん? 上空?」

 
 何気に快晴の空を見上げるラグナ。

 正午ぐらいなのか太陽は真上にある。


 「そういえば我には飛行魔法があったはずだ」


 飛行魔法はその名の通り空を飛ぶ魔法である。

 初期のLOSの仕様では実際に自由に飛んだり出来たのだが、平衡感覚の麻痺、飛行酔いなどが続出したためあまり使用されなかった。

 それにわざわざ飛ばなくても移動手段は『転移』や飛行系の乗り物や翼のある騎獣があったので微妙な魔法になってしまった。

 翼がある種族には普通に飛翔スキルあるので飛ぶことに慣れれば結構使える。


 「我の種族『竜人』は翼が無い故に人に近い種族だからな。『竜化』すれば話は別だが・・・魔法で飛ぶか」


 ラグナの種族『竜人』は人間の形態をした竜の亜種であり、様々な特効をもつレア種族である。

 ちなみにLOSでは竜は基本的に一部を除き魔物扱いであり、狩りの対象である。

 竜人は神竜の力を受け継いだ古代種とも他族と交わって誕生した変異種とも言われている。

 
 「・・・ランダムで引き当てたレア種族に当時は狂喜乱舞したような記憶が薄っすらあるな」


 少し苦笑するとラグナは意識を集める。

 攻撃魔法を放った時もそうだが、メニュー画面が使えない今は意識さえすればあらゆる自身の能力が自在に行使出来る確信があった。


 「飛遊(フライト)・・・!」


 短い詠唱の後に自身を包む空間が変化したのを感じた。


 「・・・風魔法かと思っていたが、どうやら重力魔法に近い分類か?」


 意識すれば、ふわりと地表から足が離れた。


 そのまま少しずつ身体を浮かし感覚を確かめると蒼黒のマントをはためかせ、上空に飛び立った。








 

Re: ロード オブ シャングリラ ( No.10 )
日時: 2016/07/11 21:31
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI



 そこは見渡す限り延々と連なる広大なる緑森の海原。

 そして遥かなる遠方には雲をも突き抜け天に至る余りにも巨大な大木が垣間見えた。


 「・・・LOSの世界『フェイルラント』はこれほどまでに荘厳さに満ちていたのか。改めて見るとクオリティが半端ないぞ」


 立ち並ぶ木々を越え空中で浮遊するラグナ。

 仮想空間とはいえ、その出来栄えの現実にも引けをとらない光景に胸を打つ物がある。

 初めてLOSにログインした時の感動が無意識に呼び覚まされる。

 もうずっと、とても昔に過ぎ去った思い出のように霞がっていたがあの時の喜びは忘れようがない。


 「・・・このどうにも曖昧な我の記憶もLOSの不具合と関連があるのだろうか」


 魚の小骨が引っかかた、とでも言うべきか何とも言えない違和感にもどかしさに顔をしかめるラグナ。

 しかし今は現状を打破しLOSからログアウトするのが先決と気持ちを切り替えた。


 「雄大な森林と彼方にそびえる巨樹からすると、ここは間違いなく『幻精大陸ユファ―ティル』であろうな」


 幻精大陸ユファ―ティル。

 広大な森と自然に囲まれた魔力に富んだ地。

 精霊や妖精という種族が存在し、ドワーフやエルフなどの種族が暮らす幻想的な大陸だ。

 そしてこの大陸を治めるのが太古の精霊神ユファ―ティルである。

 かの『神魔戦役』で邪神と対峙した神の一柱でもある。

 少女のような愛らしい容貌で自然の恵みと祝福をもたらす無邪気で大らかな神、というのがLOSの設定である。

 実際に会えることはないのだが、彼女のもたらす祝福はゲーム内でも色々と実装されている。

 精霊神のような神は他にも存在し、この幻精大陸のように守護をし、プレイヤー達に様々な恩恵を与えている。

 
 「ともすればこの森には妖精やエルフが何処ぞにいるか。その者達の集落があればプレイヤーもおるかもしれん。彼らに会えれば何がしかの情報が得られるやも」

 
 ログインしているプレイヤーがいれば現在リアルで何が起きているのか解るだろう。

 もしかしたら自分と同じようにログアウト不可に陥っている者もいるかもしれない。

 そう思いラグナは飛行魔法の速度を上げ、森の上空を飛ぶ。

 暫く飛んでいると複数の生物の濃厚な血の匂いを敏感に感じ取った。

 
 「む? この気配は・・・」


 それとは別に高い魔力値の反応を幾つも捉えた。


 「何者か戦闘をしているようだな。 ・・・行ってみるか」


 ラグナは気配がする方角へと向きを変え高速で飛んだ。
 



Re: ロード オブ シャングリラ ( No.11 )
日時: 2016/07/13 12:18
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI








 

 空気を引き裂き、甲高い風切り音が鳴る。

 数本の矢が豚の顔をした巨躯の魔物に突き刺さり濁った悲鳴を上げさせた。

 耳障りな雄叫びを上げ、射られた矢から汚い汁を撒き散らしながら、丸太のような腕に無骨な棍棒を振り上げて、弓を射った者に襲い掛かる。

 
 「・・・猛き風よ、鋭刃となり己の敵を穿て! 風裂破刃(ウィンド・スラスト)!!」


 巨体を揺らし迫る怪物に慌てることなく、その者は長い金の髪を払い、魔法を唱える。

 瞬間、一陣の強い風が吹き、今にも眼前で棍棒を打ち下ろそうとする異形の体を駆け抜けた。



 豚の魔物、オークは微動だにせずにいると左右に体が切り離され緑色の血液を噴き出しながら地に伏した。

 よく見れば辺りには、矢が刺さり分断され、死屍累々としたオークの屍が転がっている。


 「・・・ふう。少し様子を窺いに来ただけで、オークの群れと遭遇するなんて、ツイてないわ・・・でもどうして、こんなにも急に大量に現れたのかしら・・・?」


 腰まであるブロンドが森の木漏れ日でキラキラと輝く。

 普通の人間には在り得ない長い耳が覗く。

 長人族、エルフの女性は周りに転がるオークの死体から発する酷い汚臭に美しく整った、人形のような顔を歪めた。

 
 「とにかく、一度村に帰って長に報告しなければ――――」


 さっさと踵を返そうとした時、長い耳がピクリと反応する。

 切れ長の碧の瞳が森の一点に視線を集中させる。

 
 「・・・しまった。どうやら血を流しすぎたみたいね」


 エルフの女は再び綺麗な顔を顰めて、己が持つ弓に矢を番える。



 鋭い殺気が森の奥から放たれる。

 低くガラガラとした唸り声が、ズシ、ズシと足踏む音が聞こえる。

 それは徐々にこちらに近づいてきている。



 「・・・今日は、本当にツイてないわ」


 エルフの女が舌打ちをした。






 巨大な獅子の魔物がのそり、と姿を現した。

 
 

 

 

 
 
 


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