コメディ・ライト小説(新)

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クリスマス作戦
日時: 2016/12/26 00:59
名前: サンジェルマン

はじめまして、「サンジェルマン」です。
こちら初投稿になります。
「サンジェルマン」は、近世ヨーロッパの謎の御仁「サンジェルマン伯爵」からとってます。今でもパリにはサンジェルマン大通りってありますよね。(これは伯爵とはなんの関係もない、サン=ジェルマン=デ=プレ修道院からとったらしいのですが)

今回は大阪をメインに書いてますけど、別に大阪に住んでるってわけじゃないです。何度か訪れたことがあるだけの、大阪が好きな県民です。

12月25日になにやってんだと書いてて思いましたが、気がつけば26日になってたのでセーフです。

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Re: クリスマス作戦 ( No.1 )
日時: 2016/12/26 01:05
名前: サンジェルマン

きらびやかな電飾が施されたクリスマスツリーを一瞥して私は嘆息した。

12月24日の午後9時30分。戎橋えびすばしには色々な人が歩いていた。
いつもなら飲んだくれのオヤジや、オラオラ系の若者、アジア系の観光客で溢れかえっているこの通りも、今日だけは華やかな雰囲気を醸し出している。
飲んだくれのオヤジもオラオラ系の若者も外国人観光客もどこに行ったのか、グリコの看板の眼前じゃ幸せそーなカップルが闊歩かっぽしていて、なんだか別の街に来てしまったのかと錯覚に陥りそうだ。

「はあ」

溜息しかでてこない。こちとら花の女子高生。だけど家族ナシ彼氏ナシ友だちナシのクリぼっちまっしぐらなのである。
別に家族がいないとかじゃなくて単に親は親で出かけて、妹もいつの間にかできた彼氏と遊びに行っているだけ。
友だちだって彼氏と遊びに行ったりバイトだったりで予定が合わなかっただけだ。

ちなみに私はその後者にあたる。
戎橋えびすばしから心斎橋しんさいばし商店街を抜けて、長堀ながほり通りに出てしばらく歩いたところにある牛丼屋で働いている。
クリスマスに誰が来るんだよって思うけど、なんだかんだで見た感じ独身の若手サラリーマンや、くたびれたオジサンがひっきりなしにやってきたりする。

「あれ、電話?」

そんなこんなでバイトが終わり、歩いて駅まで戻る途中、スマートフォンに電源をつけるとLINE電話がかかっていることに気が付いた。
相手は同じクラスの男子だった。名前は確か……えっと……なんだっけな。正直あんまり目立たない感じの人だったんで名前が思い出せない。
そんな彼がなんで電話をかけてきてるんだろうか?

「……」

ふとショーウィンドウに写った自分の顔は、眉をひそめて随分訝しげな面持ちだった。
イタズラかなにかかな?もしそうなら腹が立つことこの上ないなのだけど……。
プロフィールページの下にある通話ボタンを押すか押すまいか、十秒ほど悩んでから、かけることを決心した。

独特の着信音が数秒ほど流れて、プツッと音が切れた。

Re: クリスマス作戦 ( No.2 )
日時: 2016/12/26 01:06
名前: サンジェルマン

「あーもしもし? 電話くれた?」

『………』

「あのー」

『………』

「おーい」

『………』

イタズラか。
私はイラッときて、電話を切ろうと耳からスマートフォンを外した途端、電話の向こうから聞き慣れた男の声が聞こえきた。
同じクラスの『目立つ』グループにある男子の大和田章大(おおわだしょうだい)の声だ。
なんでそんな大和田章大おおわだしょうだいとこの目立たない彼が一緒にいるかは知らないが、良い予感はしない。

『おーいユーちゃん! バイトお疲れさまー!』

「……イマイチ状況つかめないんやけど」

『いやさークラスの男子だけでクリスマス会やってんねんけど』

男子だけで……。なんて悲しいヤツらだ。
人のことは言えないケド。

「あーそう」

『んでさー、罰ゲームでさあ。好きな人に電話かけよ―ってことになってさあ』

「はあ」

『マサちゃんが負けたからさ……。まあそういうコト』

「悪趣味すぎ」

『罰ゲームやしぃ』

私は溜息を吐いた。
そういえばマサちゃん……広田正之ひろたまさゆき。そんな名前だったなあ。
えーっと……そのマサちゃんが私の事が好きってこと? どーせ大和田の悪ふざけかなんかだろう。アイツは私をからかうことは好きみたいだし。

Re: クリスマス作戦 ( No.3 )
日時: 2016/12/26 01:07
名前: サンジェルマン

「はあ。広田くんに変わって?」

『はいはーい』

「……あーなんかごめん」

『……別に大丈夫ですよ』

「大和田なんかウザかったらしばいていいねんで」

『ふふっ、そうですね』

「じゃあ私もーすぐ電車乗るし切るよー」

そう言うと電話の向こうの声が一層大きくなった。
ただ雑音混じりで何を言っているのかはわからない。
私がスマートフォンを耳から離そうとすると、広田くんは小さい声で「あの……」と言ったので、私は「ん?」と返答した。

『明日……予定空いてますか?』

「明日?」

『……うん。も、もしよかったら映画でも、見ませんか?』

「……」

さっきからうるさかったのはこれか。おおかた、誘えと強要されていたのだろう。
ハッキリ言って男子のこういうノリは嫌いだ。とくにこの大和田という男は私の嫌いな「うるさい」「ウザい」「調子乗り」の三拍子全てをコンプリートしているのだから、もうどうしようもない。
しかしなんて返答したらいいのだろうか。無下に断るのはなんだかなあ、って感じだし……。
私がしばらく返答を躊躇とまどっていると、広田くんは小声で「す、すみません」と笑っていったので、私は、

「なんの映画?」

『え?』

「いいよ。明日でしょ? バイトないし。あーでもアニメ映画とかキツいかも。それ以外なら、アクションでも恋愛系でも」

『……え?』

しばらくの間があった。そして、電話の向こうはどよめき始め、いつの間にか電話の相手が広田くんから大和田へと変わった。
大和田はこころなしか震えた声で、

『オマエマジで言うてん?』

「別にええかなあって」

『あ、あはは……。あ、そう』

「うん」

『マサちゃんに変わるわ……』


なんでこいつショック受けてんの?
まあ私が断って、その後で広田くんをおちょくったりするつもりだったんだろうが、そういう意味では鼻を明かせて小気味が良い。

「広田くん、じゃあまた明日。見る映画とか時間とか、LINEで送ってね」

『う、うん』

私は電話を切って、一息ついた。
……なんだかノリで返答してしまったけど、そういえば男子と映画を二人で見るなんて初めてな気が……。
しかもクリスマス……。結構簡単に返答しちゃったけど、ほとんど喋ったことない人と映画行くってよくよく考えたらまずいよね。
私は悩みながら歩いていたからなのか、いつのまにか改札口を通り過ぎていることに気がついた。
すう、と深呼吸してから、きびすを返して改札口へと向かうのだった。


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