コメディ・ライト小説(新)

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生駒家の猫
日時: 2017/03/30 23:17
名前: うきむ

今日もまた、ひとつ…
なにかが終わり、なにかが始まっている。
ぐるぐる廻るこの世界に終わりはあるのか?
時の中でゆられるままの運命に終わりはあるのか?
この目で、確かめてみたい。
この耳で、聴いてみたい。
この手で、新しく創りたい。
そんな想いは、自分を形成し力になってゆく。
なんて意味のわからない事をぼんやり考えていても仕方がない…
どうやら、仕事の時間みたいだ。
こうして「ボク」は平常どおり、
堕ちていくのだった…。



バラバラと鈍い音が、頭上と足元で響いている。
重いカバンと気だるさを引っ提げて歩く帰り道は、いつもより憂鬱ながらも新鮮なものだった。
部活動にも入らず進路も決まらず成績も上がらず、「らず」に追われ生きる一秒一秒を放り投げるがごとく宙ぶらりんになっている自分は、高校一年生という貴重な青春を浪費していた。
「あ〜…なんか面白くねえな」
こんな時は友達の家に寄って、古いビデオゲームで一日中遊びたい…とは言ってもそんな友達は四年前みんなバラバラになった。自分は中学を受験するために引越しをしたのだ。両親の都合で移動せざるを得なかったので、小学校時代の思い出は全て其処に置いてきたつもりだが、いつも一人になると無意識に思い出してしまう。必死になって「離れたくない」と訴えたのに届かずじまいだった、すっからかんな記憶は頭にしっかりとこびりついていた。
「面白いこと、起こらないかな…なんて、願ってもそうなる訳ないな」

「ふーん、面白いこと、ね〜…」
_______願った、自分がバカだった。





立ち止まろうとする足を、無心になって動かす。
寄り道していやし食いでもできれば毎日は退屈ではないが通学路に商店街は入っていないので、空腹や眠気と戦いながら下校するのが自分のステータスだった。
プラス、土砂降り。気分は最底辺の状態で、泥水の中を漂うような心地の悪さだ。家路を急ぎたいし、近道して帰ろう…と思い、古い建物の隙間に身を滑り込ませる。
この路地裏はかなり歩き慣れていて、高校に入った直後から近道としてマークしていた場所だった。まぁここを通る機会はあまりないし、ヤンキーでもたむろしていたら怖いので普段は避けるのだが。
…ふと足元を見ると、薄汚れたダンボール箱が一つ転がっていた。
幸い雨にはあまり濡れていないし、丁寧にタオルまで敷き詰めてある。
そして切っても切り離せない……
……ひどく弱った小さな猫が1匹、中でうずくまっていた。

考える前に体が動いていた。
猫は今にも息絶えそうで、小さな目をかたく瞑っている。
「おい、大丈夫か?!こんなところで死ぬんじゃない!」
俺は姿を確認するやいなや、すぐさまダンボール箱を拾い上げ…
気づけば全速力で走り出していた。
人の目なんて気にせずに。正直このときはすごい形相だったろう。
そして…ふと我に帰ったのは、ここまで来る際に身体がびしょびしょになって、「傘をなくした」と気づくころだった。

たまたま今日は金曜日だったし、制服は頑張ればなんとかなるだろう。
しかし一番なんとかならないのは…
「あああああ!!!ひ、拾ってしまった……!!!!!」
耳元でミィミィとか弱い声で、それは鳴く。
「……拾ってしまったぁああ!!!!!ぬわーーー!!」
俺は何が起きたか、自分がやったことなのに理解出来ずに、ただただ一人で阿鼻叫喚した。
とにかく急いで猫を温いお湯で洗い、ダッシュで買ってきたミルクを飲ませ、ひとまずダンボール箱の中に居させることにした。
ふう。
意外となんとかなったな。
よし。これでよし。
……いや、なんとかなってない!!
猫を拾う。それは自分の人生の中でとても重要で深刻で刺激的で、そう…
簡単な問題ではないんだ。
これから共に暮らし、共に過ごし、共に生きていく。
家族に加えるのだ。
相手はこちらからの意思疎通ができない以上、拾った者自身が「その命を受け持つ」こと。それは、自分がこれから、その命を守ることでもある。
俺なんかがこんな…
こんな小さくて弱っちい生き物を、
こんな俺が守れるのか?
一緒に暮らすことに、問題は山積みだろうな。
ダンボール箱を自分の部屋まで運び、俺は床に突っ伏した。
あぁ…なんてことしてしまったんだろう…
……純粋に、死にたい。
そう思った矢先、俺はいつの間にか
疲れて眠りこけていた。


「ふふふ…望んだのはそっちの方だし、ボクからのプレゼントは丁重に受け取ってほしいよネ」

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Re: 生駒家の猫 ( No.1 )
日時: 2017/04/25 20:31
名前: うきむ

久しぶりにテスト

Re: 生駒家の猫 ( No.2 )
日時: 2017/04/25 21:16
名前: うきむ

第2話



射し込む光。

暖かいままの布団の中で、俺は体を丸めていた。

肺がまっさらになるような澄んだ空気に、瞼を擦りながらむくりと起き上がる。

「ふあぁ、ぁ…俺は、なにを…」

………目が覚めた。







「あああああーーーーーーーーーっっっ!!!あいつが居ない!!!!!」
ダンボール箱に目をやった。何も入っていない。
部屋の扉は閉まったままだったので、あいつはまだここから出ていないはず…
俺は布団を蹴飛ばし、自分の部屋じゅうくまなく探し回った。
猫がいない。拾ったはずの猫がいない。
まだ弱っているはずの、猫がいないんだ。
「くそ……っどこに隠れてんだ…?出てこいよ…」
ふと机の上を見ると、俺はあることに気づいた。
ラックに入れてあったノート類が全て引っぱり出され、そのうちの一冊が大きく開かれたまま転がっている。そこには、幼児が書いたような乱雑な字で、文字が刻まれていた。

「 そ と 」

「外…? もしかして、あの窓から出たのか?」
にしても、昨日は雨だったので窓はきっちり閉めてあったし、あの仔猫の手では鍵なんて開けられないだろう。しかも、飛び降りた所で部屋は2階にあるので、着地でもしようものならさぞ大変な事になるに違いない。

「窓が…………開いたまま????」
窓は開いていた。そしてさっきのメッセージ。
「まさか、だよな」
何かを察し、窓から外を覗きこむと………………














裸…?…の少女が、窓からちょうど真下の中庭に倒れ伏していた。
まるで魔法少女アニメのような、現実離れした躑躅色の髪。
中性的な体つき。そして何より……

頭には耳。腰からは尻尾。手脚は猫そのままに、ふかふかとした毛に肉球がにぎられていた……



頭が真っ白になる。
彼女は誰なんだ…?
「って、かなりヤバい事になってんじゃねーか?!?!」
迷わず全力疾走。勢い余って階段から転げ落ちたが止まらず、玄関を蹴破り中庭へ向かった。


謎の少女は、無茶をした某男よろしく地面に叩きつけられたような姿勢で気を失っている。奇跡的にケガは無いようなので、すぐに抱えて室内に連れあがった。
「とりあえず、意識を戻さないとな…」
とは言っても、正しい蘇生の方法が分からないんだけどな。
「まあ、やってみるか」
少々古くさいし原始的な方法だが、
コップに冷たい水を貯め、顔にかけてみることにした。
「よし……」
ばしゃっ! と白い肌を水滴が跳ね回ると、謎の少女は大きく眉をひそめた。
そして一瞬、顔をしかめ……

「やあ!」

バッ!!っと機敏な動きで体を起こし、ぐりんとした丸い目をこちらに向けた。

「うわっ!!」
「うわっ!!じゃねぇ!このバカ!!扱いが悪すぎニャ!!」
は??
なんだこいつは。
なんだ、こいつは………???????
「お前、私のことは誰だか分かってんのかニャ?」
「そんなこと言ったって…俺が知るはずないだろ。初対面だというのにデリカシーは無いのか?…………お前は、誰だ。」
軽い苛立ちと恐怖を覚えながら、その顔を見つめる。
「あのニャ、お前がなにを考えてるのか知らんが……」
「な、何だよ、?」

「まぁとりあえず、ただいニャー!!」

……は?

「だから、帰れたって言ってるだろ?!ほら!ここが私の家ニャんだろ?!な?絶対そうだってアイツ言ってたもん!なぁなぁ、お前って近くで見るとこんな顔してたんだな!!この姿で見る異性というのは案外悪くもな______

ばしゃっ!!!!

「ふぐゃぁああーー!!な!!!なにするニャ!!」
俺はコップに残った水をその顔面めがけてかけると、頬をペチペチと叩いてもう1度問いただす。

「お前は!!!誰だ!!!俺とはどんな関係でどんな接触をしどんな形でここに現れたんだ?…ハッキリ、教えてくれ。でないと通報しますからね」

わけのわからない少女は不機嫌そうに瞼をくっと下げ、その口をゆっくりと開いた。


「………………猫だよ。」


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