コメディ・ライト小説(新)

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とんかつで乾杯 (のんびり短編集)
日時: 2018/01/14 18:59
名前: 麗楓

麗楓 (のんたん) の、のんびりと気ままに書く短編集です。
どうぞ、ゆっくりご覧下さい。
ここで書いている小説は、全て「小説家になろう」でも投稿しています。

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Re: とんかつで乾杯 (超短編小説集) ( No.6 )
日時: 2017/11/28 18:35
名前: 麗楓


>>てるてる522 ◆9dE6w2yW3o様


お久しぶりです。コメントありがとうございます!

小説家になろうは、つい最近やっと短編を書き始めてコメントを貰った感じですね。
感想来た瞬間わーーーってなりました。
語彙力が低下してます笑

やっぱりカキコはのんびり楽しく書けるので、カキコのほうが好きですね。
小説家になろうの作品は基本カキコでも更新しているので、よかったら見てほしいです。

・表裏一体(複雑ファジー)
・君とかくれんぼ。(複雑ファジー)
↑かくれんぼの方は、まだほとんど更新してない。

この二つですかね。よかったら見てみてください。
てるてるさんも新連載を始めたようなので、お邪魔させていただきますね。

コメントありがとうございました!

Re: とんかつで乾杯 (のんびり短編集) ( No.8 )
日時: 2018/02/21 21:49
名前: 麗楓(のんたん)


やっとテスト終了して喜んでいる麗楓です。
パイン飴美味い......。
今回もかなり長くなっております。こんな感じのが好みの方は長々と読んでみて下さい。


愛って重いでしょ?


 「出て行け」


 彼の口から出た第一声はこれだった。
 「......どうして?」
 私の言葉など聞き入れようともせず、彼は封筒を私に投げ捨てた。
 「出て行け、二度と来るな」
 震える声が耳に伝わる。そう言われると、私はこうするしかない。
 「......短い間、お世話になりました」
 床に落ちた厚みのある封筒を静かに拾い上げて、足掻くようにドアを閉めた。勿論のことだが、彼は後ろから追いかけてくることはなかった。
 中身は札束。しばらく過ごすのに困らない金額だった。キーンと体に染み渡る寒さ。コート一枚だけ羽織った私の心は途方に暮れていた。


 「ついに追い出されちゃった?」
 「最悪でしょう? せっかく居場所を見つけたと思ったのに」
 「大体、俺と関係持っちゃうのも駄目でしょ。それがバレたんじゃないの~?」
 「や~だぁ」
 甘えた猫のような声で鳴くと、綺麗に整えられたシワ一つないシーツにダイブする。彼も私に続いて隣に寝転がった。体は白い海に溺れていく。彼は私に顔を近づけてきた。そっと目を伏せたが、私の肩を一回り大きな手で強く突き放す。

 「やめだ、やっぱりお前つまんねぇわ」

 そう言って彼は私のバッグを差し出した。
 「帰れ」
 何で、と思わず聞き返して我に帰った。このやりとり、ついさっきも起こったような気がする。怯える私の肩を彼は宥めるように、"終わり"を私に悟らせるように優しく叩いた。
 「お前となんて遊びに決まってるだろ? お前みたいな真っ黒な女に誰が惚れると思う?」
 嘲笑う彼の顔を見つめることが出来なかった。黙って下を向いて、寒さ、そして恐怖に震える体を、じっと腕で抑えるだけだ。


 ついに行く宛の無い私は24時間営業のファミレスに籠ることにした。今日貰った金額で約一週間は過ごせるだろう。じっと身を縮めてコーヒーを一口すすった時である。
 「すみません。相席良いですか?」
 「どうぞ......」
 少しだけ顔を上げると、眼鏡をかけて知性的な、優しさ溢れる男性がハンバーグセットを持って立っていた。
 「実は席が満杯で......ありがとうございます」
 満面の笑みでお礼を言う彼に、私は思わず聞いてしまった。
 「......ハンバーグ、好きなの?」
 「食べますか?」
 「いや、いい」
 なんて馴れ馴れしいのだろう。初対面である女性に「食べますか?」なんて言うのも珍しい。"金を渡した彼"とも"私を振った彼"とも、また違う。
 「新種......」


 そう、新種である。昆虫が大好きな少年達は新種を見つけたら興奮するだろう。今まさに心臓がバクバクと音を鳴らしている。胸の高鳴りはどんどん大きくなっていき、ついに店のBGMを越える程大きく鳴っていき、口元が緩んでいくのが分かる。
 この男、釣れるかも。

 「......ねぇ、家に連れてってよ」

 彼はむせたのか、咳をしている。私のコップを差し出すと、彼はイッキ飲みをして気がつく。あっ、と呟いた時にはもう遅い。私と間接キスをしているのだ。

 「今日彼氏に家追い出されちゃったの。ねぇ一日でいいから、泊まらせてくれない?」

 上目使い、そして少しコートの間から見える谷間を全面的に押し出す。彼は茹でダコのように顔を真っ赤にして目をそらす。効果があったようだ。心がにやっと笑った。彼はしどろもどろの言い訳を始める。
 「布団無いので......」
 「二人で一緒に寝ればいい」
 「朝ごはん......作れないし......」
 「裸エプロンで起こしてあげるよ?」
 もう理由が無くなったのか、彼は口をパクパクさせて黙った。私が巧みに言葉を使って攻めていくと彼はついに頷いた。
 「ひ......とばん、一晩だけですよ?」
 「ありがとう!」

           ******

 甘いカクテルを少し飲ませただけで、彼女は深い闇に落ちていった。すぅすぅと寝息を立てているのが分かる。

 あー、面白かった。特に今日の彼女は最高だった。

 出て行け、と言われた時の唖然とした顔、つまらない、と言われた時の驚愕した顔。そして散々振られたにも関わらず、無闇に男に声をかけて釣ろうとする彼女のどす黒い顔。その顔がとても美しく輝いていた。
 まさか同一とも知らずに、よくもまぁ俺に声をかけたものだ。雰囲気を変えた声色、粉で覆われた顔立ち、本体を隠すための服装、全て作り物だということに彼女は気が付いていないだろう。

 それほど俺は彼女のことを愛している。それと同時に彼女を失いたくない、奪われたくない。願望が愛と共に増していくばかりだ。
 彼女は落としやすそうな男を選ぶ。そんな人間を演じることが出来れば、彼女を手に入れることなど容易い。
 告白させて付き合って振って、また告白させて付き合って振って......。無限にループしていくのだ。そうして彼女は俺無しでは生きていけない人生となるのだ。
 「これから先ずーっと一緒、でしょ?」
 彼女への鎖は一層強く縛られるのだった。

Re: とんかつで乾杯 (のんびり短編集) ( No.9 )
日時: 2018/04/09 21:11
名前: 麗楓(のんたん)


お久しぶりです。短編久しぶりに書いた!
とりあえず、春休みが明けたのに課題が終わっていない事実。
目を背けたいですね~笑
そして今まで重苦しい小説ばかり書いていたのに、急にラブコメに走る......笑
久しぶりのラブコメをどうぞ。



なので私は彼を殺します。




 彼氏が浮気をしている現場を目撃してしまいました。
 なので私は彼を殺します。

 「ちょっ、待てよ何だよコレ?」

 まだ状況を把握しきれていない彼の両手両足はガムテープでグルグルに巻き付けてあるので、暴れてガタンゴトンと電車のように左右に揺れている。
 本当は口にもガムテを付けたかったのですが。

 「何って貴方を殺害する準備に決まってるでしょう?」

 「へっ......殺......はぁ!!?」

 「何か問題でも?」

 「何でそんなすっとんきょうな顔で言うんだよ!?」

 私、そんな間抜けな顔で発言していたかしら?
 ここは密室で鏡が無いので、自分が彼の目にどう写っているのか、よく分からないんです。
 ただ彼の瞳を覗き込むと、いつもの私が居ただけ。そして彼の手足が拘束されているだけ。体の自由が効かないだけで、いつも通りではありませんか。

 「大体、何で殺されなきゃならないんだよ!」

 「この期に及んで、すっとぼけるなんて」

 「すっとぼけてねぇよ!」

 「この写真を見ても私に口答えするつもり?」

 すっと彼の目の前に現れたスマホの画面には、彼と他の女性が一緒に歩いている画像を突きつけた。

 「あー......これ友達だよ。誕プレ買うのに付き合わされてただけで」

 「じゃあこれは?」

 横に画像をスライドすると、彼と女性が抱き合っている画像が表示される。さすがにこの画像は効いたのか、彼の顔がサーっと青ざめていく。この表情を見ていると、思わずプッと吹き出してしまった。
 さて、彼はどう言い逃れをするのでしょう?

 「いや......これはー......その」

 「さっきと同じ服着てるから、同じ女性だよね~?」

 「......はい......」

 「へぇ~凄いベタベタくっついてるよねぇ~?」

 「えっとぉー......」

 「じゃあ殺しまーす」

 「ちょっタンマァァァー!!!」

 シャキーンと効果音がつきそうな、鋭い刃を彼に向ける。先程研いだばかりの包丁は、ほんの少し触れるだけで切れる。つまり、何が言いたいか分かるだろう。

 「研いだばっかりだから痛くないですよ?」

 「そういう問題じゃねぇ......」

 「さーんにー」

 「もう浮気しません女と話しません合コンとか誘われても行かないしチョコとか貰っても拒否するからぁ!!!」

 彼と刃との距離、わずか1㎝。
 まあ、それだけ聞けたら十分ですよね。

 「2度目は許さないからね?」

 「す、すみませんでした......」

 背後に回り込み、彼の大きな手を見つめる。ふふふ~♪と鼻唄を歌いながら、耳元でそっと呟いた。

 「浮気も認めたし、他の女の子と話をしているのも聞けたし、合コンに行ってるのも分かったし、本命チョコも沢山貰ってるんだねぇ~」

 ニッコリ彼の前で微笑むと、彼の顔は更に血の気が引いていく。きっと私には内緒で、何か色々な事情があるようだ。
 しまったバレた、と顔に思いっきり書いているではありませんか。

 「はい殺しまーす」

 「話を聞いてぇぇぇ!!!」

 彼の手足のガムテープが取れるまで、あと何時間かかるでしょうか?

 

Re: とんかつで乾杯 (のんびり短編集) ( No.10 )
日時: 2018/04/15 11:00
名前: 麗楓(のんたん)


急に思い付いたので、書いてみました。
もしかしたら今後連載するかも!?
(多分ないだろうけど)
話がよく分からない展開になってるのは、今後連載しようか迷っているからです。



生き急ぐ彼と死に急ぐ彼女。


 立ち入り禁止の張り紙が目に映った。ドアノブに手を伸ばし大きく捻る。カチャン、と簡単に開いた。
 誰がドアを開けたのだろう。まぁこの際どうでも良い。屋上に入ることが出来れば私の勝ち。何故なら私は、


 今から飛び降りるから。


 こっそり職員室から鍵を盗みだそうとしたのだが、目を離した隙に鍵が消えていたのだ。一体誰が持ち出したのか。
 一歩一歩、柵へ近づく。ここからジャンプしたら、もう二度と地面を歩くことは出来ないだろう。「今私は生きている」と感じるように、この瞬間を噛み締めながら、コツコツと靴を擦らして大きく音を鳴らした。
 回りの水溜まりにはゆっくり動く雲が鮮明に映っている。昨日大雨が降ったからか。水溜まりは水色に染まった。


 「......やっぱり飛び降りるんだ?」


 後ろから聞こえた問いかけは、どこか優しい声だった。振り向くと、自販機で売っているミルクココアを飲みながら微笑みかける男性。どこかで見たことある気がする。

 「ね、小鳥遊たかなしさん?」

 「思い出した。同じクラスの満月みつきくん。私を止めに来たの?」

 「面白そうだなって」

 「今から人が死ぬのに面白いの?」

 「いや、飛び降りるのが面白そうでしょ?」

 目を細めながら微笑む彼の名前は満月みつきあおい
 私、小鳥遊たかなしりつは男子の中でも満月葵だけは苦手だった。
 元々人と話すことは苦手だが、満月葵だけは異例だ。頭の中で何を考えているのか、よく分からない。茶色の前髪に隠れる瞳がやけに怖かった。

 「ここから飛び降りたら自分がどうなるのか知りたくない?」

 ......こいつ何言ってんだ?
 私はずっと前から死ぬと計画を立てて、絶好のチャンスだと準備をした。
 そして今に至る。私が真剣に立てた計画を、「面白そうだから」と言い張る能天気な奴に計画を邪魔されたくないのだが。

 「貴方が死のうがどうでも良いけど、計画だけは無駄にしたくないの」

 「へぇ、わざわざ計画まで......丹念だなぁ」

 「細かい所まで頑張ったの。だから消えて」

 「いつから計画していたの?」

 「......おおよそ2ヶ月前からかしら」

 「ふーん......2ヶ月も無駄にしたんだ」

 「無駄にした?」

 満月葵を私は「苦手」と言ったが実際「嫌い」かもしれない。一つ一つの言葉の塊にズン、と重みがある。心の奥底に、いつまでも残るのだ。
 今だってそう。2ヶ月も前から死ぬことを計画して、バカみたいだと心の中で笑っているのだろう。人をバカにするような言葉使いが私は大嫌いだ。死ぬことは......死ぬことは、


 お前が話しているほど気楽なものではない。


 「いい加減にしてくれる? 死ぬことの何が悪いの?」

 今も愛想笑いしながら彼と喋っているのが不思議で仕方ない。こんな奴無視して早く飛び降りれば良かった。思わず自分に呆れてしまう。

 「あ、別にバカにしてるわけじゃないよ?」

 「だったら......だったら何なの?」

 「いや、可哀想だなって」

 「同情なんて必要ない!!!」




 「2ヶ月も、死ぬための計画立てて楽しかったの?」



 熱で火照った私の体は、急に冷めた。次に何か言われた時は大声を出して、こいつを威嚇して怯んだ隙に飛び降りようと考えていた瞬間。
 スッと頭が真っ白になった。考えていた物事がサラサラと風に吹かれて飛んでいったのだ。「え」と思わず声が出た。
 彼の表情かおは、同情でも哀れんだ顔でもない。
 不思議そうに、疑問文を私に突きつけただけだ。
 「無駄にした」とはその事だったのか。

 「た......のしかったかって、え......」

 思うように次の言葉が出てこない。両手が小刻みに震えている。悟られないように力強く握りしめた。そうしてツーっと変な汗がおでこから流れる。そのままポタッと床に落ちた。

 「......楽しいわけ......」

 チャイムが町の隅々まで大きく響き渡る。昼休みの終わりを告げる予鈴だった。私は開きかけた口を閉じる。喉から出そうだった言葉をきゅっと飲み込んだ。

 「よく分からないけど、授業サボって虹でも見ていれば?」

 「......虹? 虹なんて何処に......」

 「ん、太陽の隣に出てるじゃん」

 「......え?」

 「それじゃ、またね!」

 バタバタと慌ただしく階段をかけ降りて彼は去った。ちゃんと私に手を降るのも忘れずに、笑顔で帰っていった。
 彼が居なくなった後、私はもう一度空を見渡した。太陽の光が直接目に入らないように、手で遮りながら探した。

 「......やっぱり無いじゃん」

 虹など何処にも無かった。



 これが私と満月葵の出会い。

Re: とんかつで乾杯 (のんびり短編集) ( No.11 )
日時: 2018/08/16 15:19
名前: 麗楓@tgnrdzkam


4月15日の小説を見た私......。
いや、私こんな小説書いてたんだ......(汗)
記憶力の弱さが滲み出ますね。
小説家になろうで投稿してないから、すっかり記憶から消去されてました笑

久しぶりの短編どうぞ。
ファジーの方と同じ短編小説です。






 「成人式で、着て行くんです」
 70%オフのシールが張られた浴衣を、一層強く握りしめた女性は、どこか焦りを感じているようだった。
 今は9月中旬、花火大会や地元のお祭りは既に終わっている。本来この店で売り残った浴衣は、来年のお祭り用を見越して売っているのだが。
 「……成人式に着て行くと答えた人は初めてです」
 私がそう答えると、彼女は「ですよね……」と苦笑していた。
 彼女は一番派手に見える、紺を基調とした白いユリが描かれた浴衣と、赤いコサージュ、そして黒の下駄をレジに置いた。


 ―――振袖に比べたら、浴衣なんて霞んでしまうのに。


 私が高校を卒業して働き始めて、成人式の為に振袖を見に行った時のこと。
 華やかで可憐な振袖に私は、夜空に花火が打ち上げられる時の息をのむような美しさに衝撃を受けた。

 ―――花弁を何枚も重ねたかのように美しい。

 その振袖とこの浴衣を比べてしまうと、生地はペナペナで安っぽいし、目を奪われるようなキラキラとした装飾は無い。彼女はお金がないのだろうか、それとも予約を忘れたのだろうか。
 問いかける勇気もなく、私はそっとお釣りを渡した。



 2ヶ月後のこと。母が倒れたと聞いて、慌てて病院に駆けつけた日だった。
 空も地面も、赤くなった手にかかる息も、全てが白かった。そんな白さも忘れてしまうぐらい、電話に出た母の声は明るかった。
 『過労だったみたい~。母さん少し働きすぎだって、お医者様に言われちゃった』
 「どれだけ車走らせたと思ってんの! 滑って対向車に当たりそうになるし……。病院着いちゃったから、とりあえず向かう」
 病院に入り携帯の設定を済ませてエレベーターを待っていると、後ろから小さく「あ……」と呟く声が聞こえた。
 振り返るとそこには。

 ―――あ……。

 綺麗なユリが目に映える浴衣、ポニーテールを彩る真紅の薔薇のようなコサージュ。季節に似合わない服装は病院内で浮いている。成人式に着て行くと答えた女性だった。
 目には真珠のように光る滴を溜めて、寒さに震える体を押さえて一礼した。
 「すみません……成人式に着て行くなんて嘘……」
 「え、あ……いえいえ! 嘘なんて誰でもつきますし……」
 フォローにならなかっただろうか。彼女の瞳から切り離された滴は、小さな結晶のように頬へと流れる。ギョっと驚いてハンカチを渡すと、彼女はまた苦笑した。少しだけ触れた手がヒンヤリ冷たい。
 「母さんに振袖姿を見せたかったんですけど……意識が朦朧としているから、これを振袖だって嘘ついてもバレないんじゃないかって……」
 「え……」
 彼女は震える声でこう言った。


 「母さん、あと3日もしないで死ぬと思います」


 ―――あどけない少女のようだ。

 二十歳を過ぎた私と、二十歳にまだ届かない彼女。
 二十歳に届かない彼女は、こんなにも私の目に幼く映る。
 だけど、だけど―――。

 「大丈夫ですよ」
 優しく、穏やかな口調で語りかける。
 「ちゃんと振袖に見えます」
 幼い表情とは裏腹に、派手で麗しい浴衣は少し背伸びしたコーデに見えた。
 「綺麗ですよ」
 とても振袖には見えない、大人びた服装。横顔も涙の筋が残る少女。
 でも、私は。
 「……ありがとうございます」
 淡く微笑んだ彼女は先にエレベーターへ乗って消えてしまった。

 でも、私は。

 でも、私は、


 ―――でも、私は、


 ―――こう嘘をつくしかなかった。


 そう自分でも思う。


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