コメディ・ライト小説(新)

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透明な愛を吐く【短編集】
日時: 2019/03/16 19:19
名前: あんず ◆zaJDvpDzf6
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2a/index.cgi?mode=view&no=4705

 この透明な指先で、君への透明な愛を綴ろう


***

こんにちは、またははじめまして。
あんずと申します。

明るい話から暗い話まで、何でもありの短編集です。続きやおちはあったりなかったりします。
更新速度は遅めですが、楽しんで頂ければ幸いです。

*お客様*

 *Garnet 様
 *一青色 様
 *いろはうた 様

2016年4月9日 執筆開始


*目次(予定含)*

▼透明な愛を吐く >>008

▼青い記憶に別れを >>004

▼君の消えた世界で >> ???

▼悪役と手のひら >>006

▼春を待つ、 >>007

▼降りそそぐ、さようなら >>009

▼向日葵の揺れる >>012

▼水飴空 >>015

▼星の底 >>016

▼憧憬 >>017

▼COMMUOVERE >>019

▼HIRAETH(未完) >>020

***

*その他*
現在、ダークファンタジー板にて「シオンの彼方」を執筆中。

『白銀の小鳥』のリメイクを始めました。
リメイク終わり次第旧コメライ板の『白銀の小鳥』は削除する予定です。

▼2017.11 旧コメライ板よりスレッドを移動しました。

▼2018.3.18 #1推敲版を再投稿しました。

▼2018.3.28 #3を一時削除中にしました。

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Re: 透明な愛を吐く【短編集】 ( No.11 )
日時: 2018/05/23 00:30
名前: あんず


 > 一青色さん
 
 こんにちは。
 
 綺麗、と言っていただけてとても嬉しいです。読後に爽やかかどうか? を割と気にしているので、そう言っていただけると励みになります。
 私はどうしても暗い話を書いてしまいがちなので、せめて終わりだけでも気分良く読める作品に、と…!それもまだまだ難しいですが。いつかは普通に明るいお話も書いてみたいです……。
 
 悪役と手のひら、は色々な人に気に入っていただけたようで嬉しいです! 私も共犯者という立場を書いたのは初めてです。でも書いていて楽しかった作品でした。
 傍から見たらわからない、彼女たちにしか分からない。そんな"縁"があるのだと思います。絆と言うと少し和やかで良い言葉すぎる気がして。あるいは愛のような、ぐちゃりとした重いものかも。罪を背負うのは、もしかしたら本人たちはあまり気にしていないないのかもしれません。どこまでも行こう、二人で、そんな気持ちだけで彼女たちは旅をするのかもしれないなと思います。ここからの未来の想像は、もちろん人それぞれですが。
 
 青い記憶に別れを、は珍しくハッピーな話のつもりでした。今読むと微妙ですが、きっと彼女の成長と恋という点では幸せな話なのかなと。
 
 たくさんの嬉しい言葉、本当にありがとうございます。ひたすらに嬉しいです。頑張ります。
 一青色さんの小説も楽しみにしています。
 
 コメントありがとうございました!

Re: 透明な愛を吐く【短編集】 ( No.12 )
日時: 2018/05/23 00:33
名前: あんず

#7 『向日葵の揺れる』
 
 
 透明に生きたいのだ。清らかなままに息をして、何も知らずに瞼を閉じて、そうして涙を流したい。考えるのは空のことだけでいい。宇宙を透かす柔らかな青色を、体いっぱいに詰め込んで息を止める。
 
 きっと感情もいらないだろう。僕に色をつけてしまう何もかもを捨てて、透き通っていたいのだ。だから愛もいらない。愛こそ、いらない。情欲に塗れていなくても、純粋に誰かを思うだけでも。僕の胸は触れられない青色で埋め尽くしておこう。
 
──空は宇宙を映すから、あれは透明なんだ。
 
 擦り切れた記憶に相槌を打つ。僕を満たす幸せな色は空の色、だからそれも透明なのだ。僕は溶けてしまう。何も知らないで涙を流して、いつしか僕は空になりたいのだ。そこに星はいらない。まっさらな空。ただ、美しいクリスタルのようなそれに。
 
 *
 
 目を閉じる。例えば、遠い日の窓辺を想像する。たっぷりとした日の光と、眩しいほどの向日葵に憧れた日のこと。息を吸う。記憶の中の、むわりとした張り付く暑さが僕を包んでいく。何遍も何遍も繰り返した、僕の想像の中に浮かぶ夏空。
 
 太陽の下、青白く透き通るような君の肌が、柔らかく照らされている。普段来ているものと同じ色なのに、まっさらなワンピースはふわふわとして綺麗だ。少し大きすぎる麦わら帽子が、君を優しく守っている。揺れる帽子が形作る、足元の大きくまあるい影。覚束ない足取りで、それでもこれ以上ないくらいに楽しそうな君が歩いてゆく。
 
 
 たった一度だけ見た光景だ。もう二度と目にしないだろう夏の日。今でも思い出す、一回きりの蝉の声。君もそう思うだろう。僕らはまるで、蝉のようだね。
 
 *
 
 透明に生きよう。
 
 あの日の君と同じ色の入院着を握りしめる。ひらひらも、ふわふわも、まるでないこの服を、僕は愛おしく思う。白こそ、僕らの夏の色だ。あの日の麦わら帽子の影と、鬱陶しい湿った風に揺らされた透明な白。
 
 感情は、いらないだろう。僕に色を付けてしまう。白でいよう。透明な、あの日の白色のままで。
 
──君も、私も、透明だ。宇宙の一つだ。夏の日の、哀れな蝉だ。
 
 遠い記憶へ頷いておく。微かな吐息。目まぐるしい色彩の洪水。透き通った窓の向こうに、きっと今年も向日葵が見えるだろう。そこには多分、あの日のようで少し違う、湿った夏の風が泳いでいるのだ。
 
 ああでも。今の僕に、こんなにも美しく力強い夏は、
 
 
「……眩しすぎるね」
 
 
 透明な僕は、ほら、溶けてしまいそう。
 

Re: 透明な愛を吐く【短編集】 ( No.13 )
日時: 2018/05/28 20:50
名前: いろはうた

あんずちゃんお久しぶりです!!
ずっとずっと遊びに来たかったあんずちゃんの物語に
来ることがようやくできたよ……
感無量だわ……( ;∀;)
長いこと遊びに来られなくてごめんね……


読んでみて、ガラス細工のように美しい世界観に魅了されました……
こ、これはすごすぎる……
ぜひ短編集を出すべきだよこれは!!

個人的には、透明な愛を吐く、が一番好きです。
あの透明感、切ない独特の空気感、たまらんです。
出版してください(真顔)

ダークファンタジー?の方にも書いているのかな?
また覗いてみるね!!


これからどんどん暑くなると思うけど体に気を付けて
更新頑張ってね!!

Re: 透明な愛を吐く【短編集】 ( No.14 )
日時: 2018/06/23 14:42
名前: あんず


 > いろはちゃん
 
 いろはちゃんお久しぶり! こちらこそ、返信がとても遅くなってしまい申し訳ないです。ごめんね…!

 ガラス細工みたいって言ってもらえてとっても嬉しい。私は色々と使うモチーフが固定化してしまってて良くないと思っているけど、それでもガラスみたいな作品を目指してるから良かったです。
 透明な愛を吐く、は一度書き直したものだけど、私もこっちのほうが気に入ってます。でもちょっとくどかったかな? と思う…。空気感を一貫させるのが大変だったから気付いてもらえて感無量です!ありがとう。
 
 更新頑張ります。いろはちゃんも体調にはお気をつけて!
 
 コメントありがとう!

Re: 透明な愛を吐く【短編集】 ( No.15 )
日時: 2018/07/31 22:47
名前: あんず

#8 『水飴空』
 
 
 雨上がりの空をのぞき込んだ。地面に溜まった青。水たまりに映る空は鏡のように私を写していた。見飽きた顔がこちらを見つめ返している。お気に入りの長靴の底を見せ合うように、彼女と足を重ねていく。水面の私を踏まないように、鏡合わせに歩けるように、顔は真っ直ぐ前を向く。真っ青。夏だ。夏の色と、滝のような雨の名残が、今この空間を日常から切り離している。歩く先に少しずつ波紋を描きながら水を踏む、踏む。雲の眩しい鮮やかな空を進んでいる。上も下も空。私が踏みしめる、曖昧に硬いコンクリート。

 並行世界みたいだねえ。もごもごと呟きながら目を閉じる。道はまっすぐ。何度も通った驚きのない場所だ。少しくらい見えなくても大丈夫だろう。ね、わたし。足底を合わせた向こう側に問いかける。そうだね、と声が返る。そうだよ。私達にとって通い慣れた暑い暑い舗装道路だ。ゆっくり行こう。踏みしめながら、車には気を付けて。そっちは晴れてるかい。いや、そっちも雨上がりかな。だから私も、わたしも、鏡合わせに歩けるんだ。買ったばかりの長靴の底で踏みしめる。向こう側の空。
 
 例えば、それはパラレルワールド。例えばそれは、もう一人の私。違うわたしが息をして、別の雨に打たれて、おんなじ水たまりを覗き込む。そんな妄想、かもしれない。誰かに話しても笑われるだろうな。それもいいな。変な子だと思いながら、皆も少しだけ雨上がりを気にするかもしれない。鏡の向こう、きっと私を思い出して。それでも水に映ったあなたのことは、私とわたしの秘密のまま。ね、次の夏、皆はそのことを忘れているんだ。
 
 そっちは暑いかい。こっちは驚くほど暑いよ。まだ七月も終わってない。蝉も鳴くのをやめてしまう。蚊も飛ぶ羽を休めてしまう。今度の夏は、ひどく音がしない。熱と、光と、体から抜けていく水分だけが夏の証だ。蝉が鳴いたってうるさいだけだし、蚊が飛んだって煩わしい。それなのに消えると何故だか寂しい。そう、思っているくらいが丁度いいのかもしれない。恋しく思ったまま夏が過ぎていく。また一年が終わってく。私もぼんやり、暑さを滲ませている。
 
 雨は急に降った。湿度ばかりが高かった梅雨の代わりのように、バケツをひっくり返したように降り注いだ。花火大会も無くなった。今年一番のはずだった浴衣は、少し切なく部屋の隅に蹲っている。ごめんね、着てあげられなくて。神様も疲れてしまったかな。それでも見捨てないでほしいのだけれど。暑すぎる夏は、鳴かない蝉は、花火の上がらない夏は、夏では無いみたいだ。もう少し、過ごしにくくてもいいかな。蝉の声に耳を塞いで、蚊取り線香に火をつけながら、花火を見よう。ね、それも素敵でしょう。足先に声を落とす。
 
 そうだね、声が鳴る。そうだよ。息を吸う。
 
 水たまりが途切れる。目を開く。振り返ったそこに、まだ向こう側は映っている。地面に落とし込んだ様な空の色。お気に入りの長靴。少しだけ揺れる私の歩いたあとに、小さな波紋が見える。それじゃあばいばい。また。雨が降ったら出会おうね。次は、もっと夏らしい夏に文句を言おう。蚊取り線香を焚いても蚊に刺されただとか。蝉の声はうるさいだとか。花火と浴衣の帯の色だとか。そんな妄想、想像、現実、どれでもいい。だからきみに、話に来よう。楽しいことがあった次の日に雨が降るといい。ね、そうでしょわたし。
 
 いつのまにか虹が出ている。歩いてきた道の奥、最初の水たまりはすでに乾き始めている。ラムネでも買って帰ろうかな。暑すぎる夏の、せめてもの思い出づくりだ。瓶のやつがいい。少し吹きこぼしながら開けて、ビー玉越しに夏を見よう。ね、なんだか風流でしょう。 
 そうだよと呟きながら、長靴の水を高く高く弾いた。暑い。まだ、きっとこのまま、夏だ。終わりは遠い。だから憂鬱なのに胸が高鳴る。雨が降ればわたしに会える。鏡越しよりそれは素敵だ、多分。そうだといい。
 
 風鈴が、鳴る。麦茶を入れたグラスのような音。風が出てきたらしい。こればかりは夏らしいなと、暑すぎる太陽に思わず笑いかけた。
 

✽✽✽


猛暑に魘されて書きました。暑いと蝉も蚊も活動量が低下するそうです。


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