コメディ・ライト小説(新)

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ドールメイカー
日時: 2018/01/12 21:03
名前: 三等星

争いが絶えない世界の最果てで、『彼ら』は楽しく毎日を送っていた。

『彼』は悲しみを紛らわす為人形を造った『人形師ドールメイカー』で。
『彼女』は意志を持ち明るく振る舞う『機械人形ハートドール』で。

『彼』は愛する人の為に偽りの自分を演じる『執事』で。
『彼女』はいつでも前を向いて進む『お嬢様』で。

いつだって『彼ら』の間に笑顔が途絶える事は無かった。
困難も、運命も、何もかも乗り越えて、そして『彼ら』は再び笑う。
廃れた世界を、少しでも楽しく生きていく為に。

これは、ドールメイカーの少年が望んだ醜くも美しい物語。



†◆


初めまして、三等星です。
まだまだ未熟な所満載ですが、自分なりに頑張って行くのでよろしくです!

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ドールメイカー ( No.1 )
日時: 2018/01/13 01:41
名前: 三等星

†◆プロローグ


「おはよう、こんな所にいたんだね」
「おはようございます、フヨウ。ここからの景色はとても素晴らしい眺めなのですよ」

中心で染まった紫は、広がるにつれてその色を褪せさせていった。
ハートの形とも捉えられる葉は、茶色の大地を覗かせる事なく緑いっぱいに広がっている。
巨大な城の後方に広がる花畑に、彼女は立っていた。

咲き誇っている花の様に紫に染まった髪は、芸術作品の様に見事なグラデーションを再現していた。と言うのも、長く伸びた髪の一本一本が頭皮から離れるにつれ白へと変色しているのだ。
美を感じさせる髪から覗かせる瞳は、硝子そのものの輝きを見せている。
太陽の光を一切浴びずにこれまでを生きてきたかの様に、肌は白い。身に付けている黒色のワンピースが造り物の様な白さを更に強調している。

紫の髪、透明な瞳、純白の肌。
世界中を隈なく探せば、同じ様な特徴の外見をした少女は見つかるだろう。
だが、花畑の中一人佇む彼女からは、この世に一人しかいない様な特別感が感じられる。
言葉では表現出来ない、伝わるばかりの妙な違和感。それも当然だ。

『人』では無い生物に、『人』は敏感だ。
言葉に出来ずとも、伝わってしまう。

機械人形ハートドール』である少女スミレは、自らの生みの親であるフヨウを目にした途端笑顔を浮かべた。

「この花、私の髪の色によく似ているんです。何だか、親近感を感じるんですよ」
「この花は、君の『オリジナル』が好きだったんだ。だから君の髪を、この花の色に似せたんだ」
「そうだったのですか。それで納得が行きました。私はこの花を好きな理由を語る事が出来ません。理由が分からないからです。何故か、心が覚えているんです。心の片隅で、私では無い誰かが主張するのです」

胸の辺りを両手でギュッと抑え、スミレは不安そうにフヨウをジッと見つめた。
焦げ茶色の髪は中途半端に伸びていて、手が施されていない事がよく分かる。
服装もやや粗末だ。長時間洗ってないであろう黄ばんだ白色のシャツに、穴だらけの鼠色のズボン。腰のサイズに全く会っていない所がより雑さを際立たせている。
目の下は黒く淀んで、肌も荒れている。とても見た目からは好青年という印象は感じられない。

だが、ただ雑な人間では無いという事もずっと見ていれば分かる。
彼の発する言葉、彼の一挙一動全てから、言い表せない優しさが伝わる。
自然と心が穏やかになる、そんな雰囲気を持ち合わせている男、それがフヨウだ。

「大丈夫だ。君にはいつも無理をさせているね、たまには君の好きな食べ物を食べようか」
「本当ですか?それでは、珍魚アナゴスタンの生刺しを食べたいです」

穏やかな雰囲気で包まれていた花畑に、冷たい空気が一瞬にして押し寄せた。
アナゴスタン。それは、汚い川に生息する六本足の生えた魚の様な爬虫類だ。
汚れの象徴として隠語で使われているその言葉がスミレの口から出た事に、フヨウはショックを隠しきれなかった。
大凡予想は出来るが、念の為フヨウは汚物アナゴスタンを覚えた経緯を確かめた。

「……どこでそんな料理を覚えたのかな?僕はそんなゲテモノを作った記憶は無いんだが」
「クロユリが川で獲って作ってくれたのです。意外と美味しかったんですよ?」

汚物アナゴスタンの知識をスミレに植え付けた元凶である男を頭の中で思い浮かべ、一発殴りをいれた。
あとで現実でも殴っておこう。そう確信したフヨウだった。

「あのバカ執事……人の女を珍趣味に引き摺り込もうとしてるな……。いいかい、もうクロの言う事は聞いてはダメだ」
「絶対ですか?」
「絶対だ。あと、二度とアナゴなんちゃらなどと言ってはいけないよ」
「アナゴなんちゃらでは無いです。アナゴスタ……」
「あーダメダメ!ほら、早く城へ戻って朝食を食べよう!君の食べたい物はそこで聞くとするよ!」

何故自分が注意を受けているのか理解できず混乱しているスミレの小さい右手を、フヨウが無理やり引っ張りその小さい体を立ち上がらせた。
男の中では長身であるフヨウとかなりの身長差がある為、スミレは目を合わせる為上を見上げた。

二人の間を、生暖かい風が通り過ぎた。
花は揺れ、目には見えない小さな小さな生命の種を飛ばした。

爽やかな甘みを感じさせる、気分を落ち着かせる匂いが漂った。
改めてお互い向き合い、暫くの間見つめ合った。
人形師ドールメイカー』と『機械人形ハートドール』。
親と子。そうとも代言できる関係の二人の間には、家族とも友達とも違う空気が誕生していた。

埋まらない溝、一方的な感情。
お互いに気付いていながら、本当はどちらも気付いていない。
知っているフリをして、知らないフリをする。関係を保つ為、それだけの理由で。

『彼』は失った最愛の女性を自ら造り出した人形に重ねる。
その愛が本物か、自分自身でも理解出来ていないまま、目の前の『彼女』を愛し続ける。

『彼女』は人ではないことを自覚しながらも人を演じ続ける。
それで今の楽しい時間が続くのだとしたら、目の前の『彼』が喜ぶのなら本望だと言い聞かせる。

歪な愛が産み出した異質な二人は、決してその異質さを表に出さず、笑顔を見せ合った。

「ふふ、じゃあ行きましょう。私はもうお腹がペコペコなんです」
「奇遇だね、僕ももう空腹の限界なんだ。今日はこの辺りに生息している鳥の卵を使った卵料理だよ」
「それは楽しみです!いつもありがとうございます、フヨウ」
「君が喜ぶならそれだけで良いんだよ」

愛した女性ヒトとは違うと分かっていながらも。

自分の名前を呼んでくれない理由を分かっていながらも。

二人は今日も笑い合う。
それがドールメイカーのフヨウが選んだ、物語なのだから。



†◆ドールメイカー 開幕

ドールメイカー ( No.2 )
日時: 2018/01/14 01:06
名前: 三等星

†◆第一章 『ドールアンドメイカー』

形無き愛は、等しく形を変化させる。
持つ者持たざる者により姿を一にも十にも、聖にも悪にも変貌させる。
愛とは即ち──呪いなのである。


†◆


作者です。いきなりの登場ですいません。
第一章では、主に主人公格であるフヨウとスミレの物語を描こうと思っています。
作品紹介やプロローグではあまり伝わらなかったと思いますが、この作品は戦闘描写を含みます。欠如している語彙力を努力で何とか埋めてみせるので、不恰好な文章になると思いますがご理解の程よろしくお願いします。
ちなみに上にあるポエムみたいな何かは、よく分からない何かです。作品に絡むかどうかも分かりません。じゃあ何で書いたんだよ!?とか言われそうですが、一応愛がテーマの今作なので愛を題材とした何かを綴ってみました。大いに無視してもらっても構いません。
何の前触れもなく突然湧いて出てきて色々語ってなんかすいませんでした。それでは第一章の方をよろしくお願いします。

Re: ドールメイカー ( No.3 )
日時: 2018/01/14 22:01
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o
参照: http://From iPad@

めちゃくちゃカッコいい……!!*. ゚(*´ω`*)゚ .*

ドールメイカーという題名に惹かれ、閲覧したらすごく題名だけじゃなくて内容そのものにも惹き込まれてしまいまして……←
最初の文章だけで、もう「これ絶対すごい作品だ((確信」ってなって、本当にそうなりました!⸜( ᐛ )⸝

個人的にはスミレちゃんが、とても好きです(*´`*)
口調とかすごく機械人形ハートドールっぽいなぁ、と感じました。
台詞とかでキャラクターの雰囲気を作り出せるのは本当に作者さんの文才だと思います٩( ᐛ )و

ルビの使い方も効果的ですね( *˙0˙*)
「私は読み方複雑かなー?」と思ったものにだけルビを使ってて、フリガナ以外で使用することはほとんどないのですが「こういう使い方もあるのか!」と感動しました。

私にはないものを持っていらっしゃるので、羨ましいです( *´꒳`*)
1つくらい欲しい(((


素敵な作品ありがとうございました!
また来ますᐠ( ᐛ )ᐟ

byてるてる522

コメ返しを! ( No.4 )
日時: 2018/01/15 00:42
名前: 三等星

†◆てるてる522さんへのコメント返し!

まさか『コメント返し』などと言う神聖なる単語を書き込む事になろうとは私三等星、全く思っておりませんでした!てるてる522さん、本当にありがとうございます!

カッコイイだなんてそんな……(照)。いやー、まあでもプロローグだけで全部使い切った感ありますよ(白目)。多分今後は低クオリティ増し増しでお送りすることに……あーダメダメ!ネガティブ思考は全部排除してポジティブに!これからもクオリティを保って、欲を言えば更なる高みを目指して頑張って行きます!

この作品の題名や、スミレの口調には本当困らされました。題名に至ってはカッコいい名前を考えまくったのですが、最終的にもう人形師ドールメイカーで良いや!と開き直りました(笑)。スミレの喋り方は、もうひたすら試行錯誤しました。ようやく辿り着いた結果がプロローグです。多分今後更新が遅くなる事があったらスミレが戦犯です。意思を持った人形って扱い難しいんだy(検閲)

ルピは完全にカッコつけですね←
こんな作品ダメダメクオリティを読んで下さった神様てるてるさん最大級ビッグサイズ感謝ありがとうございましたぁを!
使い過ぎるとこうなりますね、うん。ルピはほどほどにします(笑)

僕がもってるものは色んな方から盗んだものですよ、言わばパク……オマージュです。
てるてる522さんこそ、僕では表現できない様な世界観を創り出す事の出来る素晴らしい方です!小説も毎日読まさせてもらってます←

初めてのコメントについつい盛り上がってしまい大容量のコメント返しとなってしまいました。僕の喜びが皆様にも伝われば……。

スミレの口調を気に入ってくれたてるてる522さんに最大限の感謝を込めて、最後はスミレに締めてもらいます。本当にありがとうございました!

「え、コメントが来たのですか!?それはとても嬉しい事です!えっと……てるてる……522さん……。フヨウ、合ってますよね?てるてる522さん、ありがとうございました!」

ドールメイカー ( No.5 )
日時: 2018/01/16 01:28
名前: 三等星

†◆


大樹が生い茂る森は、今日も鳥が美しく鳴いていた。
どこまでも続くかと思われる程広大な森だが、ひたすら歩いて行けば一つの城に辿り着く。
家が何個も重なっているかの様に複雑な見た目をしているその巨大な建造物からは、苔や蔦が生えている事も相まってか古びた印象を与え付けられる。
人が住んでいるとはとても思えないその城のとある一室で、人間達による食事が行われていた。

木製の机の上に置かれた料理を口に運びながら、城の主人であるフヨウは向かい合わせに座っている黒髪の男に話しかけた。

「そういえばクロ、最近悪い事をした自覚は無いかな?」

フォークで乱暴に食事をしているフヨウとは違い、ナイフを丁寧に扱い優雅に食事をしていた男、クロユリはその手を止めた。
整えられた黒の髪から覗かせている銀色の瞳は、まるで宝石の様に美しい輝きを放っている。
小柄な顔立ちにツリ目という事もあって、クールで近寄りがたい雰囲気を持ち合わせていた。黒スーツを身に纏っている為、尚更だ。

そんな風貌からは想像もつかない程、心が落ち着く様な優しい声でクロは答えた。

「さて、何の事でございましょうか?その様な記憶は一切ございませんが」

何故その様な事を尋ねるのか、と言いたげな顔だった。
キョトンとしている顔ですらとても爽やかで、魅入ってしまう程のものだった。が、今のフヨウにとってその顔は苛立ち以外の何の感情も湧き立たせないのだ。
先程より少しだけ威圧感を増した声で、フヨウは再び問いかけた。

「それでは質問を変えるとしよう。最近僕の愛する大切な女性にアナゴスタンなどという汚物を教え込んだのはどこの誰か知っているかな?」

今度は心当たりがあったのか、クロユリはハッと顔を上げた。
それと同時に、何やら不快に思った節があったのか、顔をしかめめながら自らの名を上げた。

「それは私ですね。しかし聞き捨てなりません。どうやらフヨウ様はアナゴスタンを汚物だと思い込んでいらっしゃるそうですが」

二人を挟む空気の温度が急激に下がった。
食事をしていた手は止まり、それぞれが思い思いに自らの思想を語り始めた。

「泥川に住んでいる四本足の醜い爬虫類など、汚物以外の言葉で表現が出来ようものか!」
「貴方がアナゴスタンの何を知っているというのです!確かに姿形は醜くても、味は素晴らしいのです!一度食べてみてはいかがでしょうか?語るならそれからです!」
「食べる価値も語る価値もアナゴスタンなどには存在しない!良いかなクロ。僕が腹を立てているのは、純粋無垢であるスミレに変な知識を植え付けた事なんだよ!」
「アナゴスタンの味を知らず何が純粋無垢でしょうか、馬鹿馬鹿しい。良いですかフヨウ様。アナゴスタンを知らずして純粋など名乗れはしません!」
「君のおかしな理論にスミレを巻き込まないでほしいな!君のそのネジが三十個ほど外れた奇想天外理論は君の中だけで留めておく事だ!」
「貴方のその幼子の様な知らず嫌いこそ何とかした方が良いと私は思いますがね!」

息継ぎ一つすら許さぬ口喧嘩は、最早一つ次元を軽く凌駕していた。
肺が危険を訴えたのか、ようやく呼吸を行った二人をずっと眺めていた人物が同じ場に一人いた。
何食わぬ顔で黙々と食事を進ませていた、スミレだ。

久しぶりに静けさを取り戻した食事の場に、透明なスミレの声が響いた。

「二人共、早く食べないとせっかくのご飯が冷めてしまうのですよ。喧嘩はこれでおしまい、さあ仲良く食べましょう!」

大好物である卵料理を口に含んでいるにも関わらず、その声はハッキリと聞き取る事が出来た。
スミレの発言によって冷静になった二人は、いつのまにか熱中して立っていた為椅子に座り直した。

お互いに顔を見合わせて、少しだけ笑みを浮かべた。

「スミレ様の言う通りです。それじゃあ、食事の再開と致しましょうか」
「そうするとしよう。全く、今後はあまりスミレに変な事を吹き込まない様に気を付けるとしてくれ」
「考えておきますよ。あ、コレ美味しいですね」

こうして、森の中にひっそりと、しかし堂々とそびえ立つ城の中では、今日も明るい朝の始まりを迎えている。
家族同士にも、友達同士にも見える彼ら。
実際には、もっともっと強い絆で結ばれている彼ら。




そんな彼らの日々は、今日を境に変化を遂げる事となる。


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