コメディ・ライト小説(新)

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片恋.・。*平行線の恋模様*。・.
日時: 2019/02/19 02:48
名前: Aika
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12215

.・。*Prologue*。・.




――恋をすると、 毎日がドキドキして
ワクワクして…キラキラした楽しい気持ちでいっぱいだと思ってた。



でも。



あたしの、人生初めての恋は。
そんな綺麗なものじゃなくて―――。





切なくて、 苦しくて、 もどかしくて―――。






どうして、 君を好きになってしまったんだろうって何回も後悔した。
いっそ、 嫌いになりたい。
そう感じたことだって、何万回もあったと思う。



だけど。




そのたびに。




君の笑った顔が頭をよぎって。






好きって想いが溢れて止まらなくなる。








誰か、 教えてください。







―――好きって…どうしたら、やめられるの――?







―片恋.・。*平行線の恋模様*。・.―

更新start!
→*H30.3.29.Thursday*

.・。*お客様*。・.

❀てるてる522様
❀蜜柑わたあめ様
❀みかんさいだーくろーばー様


<<目次>>

登場人物紹介>>1

*1章*報われない片想い*

第1話>>2第2話>>5第3話>>6第4話>>11
第5話>>12第6話>>13第7話>>14第8話>>15
第9話>>16第10話>>17第11話>>18

*2章*叶いもしない恋模様*

第12話>>19第13話>>20







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Re: 片恋.・。*平行線の恋模様*。・. ( No.16 )
日時: 2018/09/01 20:56
名前: Aika

Episode9:雨のなかで―――。






授業も上の空で気づけば放課後―――。


『皆瀬先輩と達也先輩…どっちが好きなの?』


芽生のさっきの言葉が頭から離れなくて…
ずっと、 反芻している。


―――変わらない。



今だって、 あの頃と変わらない気持ちがたしかにあたしのなかにある。


達也が…大好き―――。


そう思っているはず、 なのに。



「なんで…こんなに、もやもやしてんだろ」




やめやめ!
もう、あれこれ考えるのは止めよ。

あたしは、心のなかで首を横にふりながら難しく考えないようにした。
今日は、珍しく午後練が休みの日だしとっとと帰ろ。

そう思い、 下駄箱に行った矢先…。




「嘘だろ…」



外は、 いつの間にか大雨が降っていて、傘なしでは帰るのが難しい状態―――。



「最悪…」



こういうときに限って、 傘持ってきてないんだよな―――。
もういいや。走って帰ろ。


そう思い、 足を踏み出したとき。




「―――おい」




後ろから差し出された傘に…ビックリして。
振り返ると。



そこには。





「―――風邪、 ひくぞ」





見知った…同じ部活で同じパートの先輩の顔。
いちばん顔を見たくなかった先輩の顔にガッカリして。
あたしは、いつもみたく憎まれ口をたたいてしまう。





「―――なんで、 アンタなのよ」
「は?」






中学生の頃に、 傘を差し出してくれたのは―――。




達也だったのに。





期待していた人物じゃないからか、いつもよりもイライラしながら、あたしは皆瀬先輩に向かって言う。





「―――いい。濡れて帰るから」
「はぁ!?こんな雨で、馬鹿言うな」



断るけど。なおも、引き下がらない先輩。
放っておいてほしいのに。
なんで、 そっとしておいてくれないの?


その事にたいして余計、苛立ちを感じながら。
意地になって、強い口調で言い返す。




「いいからっ!もう、 放っておいて―――」
「無理」



言葉を遮られた。



続けて、 口にした言葉は。




信じられないひとこと。





「―――なんでかわかんねーけど…お前のことは放っておけない」




真剣な瞳で、 まっすぐにあたしのことを見る君にあたしは、なにも言い返せなくて。


イライラしていたのも忘れて呆けてしまい

言葉を失う―――。




「―――だから…黙って傘に入れよ」




いつもの先輩は…顔を見れば憎まれ口ばっかり言うくせに。
今日は、なぜだかいつもよりも優しくて。



調子が狂う―――。



結局、 先輩の気迫に負けてしまい。
一緒に帰ることになってしまった。





お互いに会話なんかなくて。
雨音だけが鳴り響いていて―――。



達也と帰ったあの雨の日が脳裏にフラッシュバックしてくる―――。


なにか、 会話しなきゃいけない。
そう思うのに。



何を話したらいいのか、 わからなくて。



さっきから、そんな悪循環が頭の中で起きている。



そんなとき。

曇天の薄暗い雲が
鋭く光ったと思ったら。



―――ゴロゴロッ…。




勢いよく雷の音が聞こえて―――。




「ギャッ…」



ビックリして、 思わず先輩の腕を掴んでしまった。


それから、ハッとして我にかえって。



「す…すみません!すぐにはなれま―――」


怒られると思って…とっさに離れようとするけど。
その手を先輩はなぜだか離してくれなくて―――。



「あの…せんぱ―――」


言いかけたとき。


―――ドサッ…。



スクールバックと傘が勢いよく落ちて。




気づいたら。




――――あたしは、 先輩の腕の中に閉じ込められている形になっていた―――。







Re: 片恋.・。*平行線の恋模様*。・. ( No.17 )
日時: 2018/10/13 15:13
名前: Aika

Episode10:それぞれの。






雨の音が鳴り響くなか―――。

あたしを抱き締める手は
とても温かくて…。



「―――せん、 ぱい?」



問いかけると。
不意に先輩はハッとして。
勢いよくあたしを離して距離をとる。



そして、 赤い顔で



「―――俺…何して…」



口に手を当てながら慌てた様子でそう呟いていた。
あたしは、 何も言わずただ先輩の顔を見つめていると。


「ごめん!」



大きな声でそう言い、 先輩は走り去っていく。
あたしは、先輩が置き去りにしていった傘を拾い…その場から歩きだす。

―――まだ、 鼓動はドキドキと小さく高鳴っていた。



なんで?





抱き締めたんだろう、 先輩は―――。





「―――わけ、分かんない」





雨の音だけがその場に静かに鳴り響いていた―――。




■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □



翌日。
先輩に傘を返そうと思い、朝一番で先輩の教室に行くと。


「あー、皆瀬?今日は風邪で休みだってよ」


クラスメイトの人にそう言われた。
風邪で休み、か。


「分かりました」


それだけ言って先輩のクラスから出ていくと。

「あれ?…柚月?なんでここにいるの?」

偶然に、達也と鉢合わせをしてしまった。

「実は昨日、皆瀬先輩に傘を借りて返そうと思ったんだけど…いないみたいで」
「あー…アイツ、風邪って言ってたっけ」
「うん。だから、今日の帰り…先輩の家まで返しにいこっかな」

何気なくあたしがそう言うと。
不意に達也の顔が曇った。

「―――え?輝の家まで行くのか?」
「うん。ないと困るだろうし。お見舞いも兼ねていこっかなって」

言い終わる前に達也があたしの手から傘をとり。
ぶっきらぼうな感じで言う。

「―――俺が行くよ」
「え?でも―――」
「プリントとか届けるついでもあるし。俺が行く」

あまりの達也の強い口調にあたしは、何も言えなくなってしまい。

「―――わかった、 よろしくね。達也」
「おー。てか、そろそろホームルーム始まるから戻れ戻れ」
「そだね。じゃね!」

お互いに手を振り、別れる。







「―――はー。…何をムキになってるんだ、俺は」




達也が廊下でそう呟いた声は
あたしの耳には届いてなんかなかった―――。




Re: 片恋.・。*平行線の恋模様*。・. ( No.18 )
日時: 2019/02/04 02:26
名前: Aika

Episode11:思い出すのは、あの日の面影。





*.・輝 side・.*




「ゲホッ…ゴホッ…」


39度という高熱を久しぶりに出してしまい、学校は欠席。
絶対に昨日…雨にふられたせいだな。

しかも…。

熱があったとはいえ…



なんで、 俺はあのとき…アイツを抱き締めてしまったのだろうか―――。



「クソッ…アイツといると…調子が狂う…」



ボソッとそう言って目を閉じたとき。
部屋にチャイムが響き渡って。
慌てて起きてドアを開けると。



「よっ!風邪、大丈夫かー?」



見知った親友の顔があった。
一瞬…アイツが来たのかと思った俺はバカなのかもしれない。



熱で…ほんと、どうかしてるみてぇだ。




「あのさ…柚月から傘、預かったんだけどここに置いておいていいか?」


瞬間。
少しだけイラついた。

アイツ…達也に頼むぐらい、俺に会いたくねぇのかよ。
なんか、むかつく。

「―――おいー?なに、ムスッとしてんの?」
「別に。いいよ、そこに置いとけ」
「なんだよー、人がせっかく持ってきてあげたのに冷たい反応だなー。もしかして、俺じゃなくて柚月に持ってきてほしかった、とか?」


意味ありげにそう言う達也に少しだけ反応してしまう。
目線を向けると、 真顔の達也がいて。
真剣な顔で口を開いた。



「―――輝、さ。 柚月のこと、好き?」








思考が止まった―――。






俺が…アイツを?

そんなことがあるわけない―――――。




だって、 俺は―――――。







「――――それとも、 まだ…去年のこと引きずって」
「やめろっ!!!」



達也の言葉を打ち消すように俺は部屋中に響き渡る声でそう言っていた――――。




思い出したくもない…忘れたくても忘れられない、
俺の…苦い過去――――。




「ごめん。無神経すぎたな。今の質問は忘れて。ただ―――」
「―――ただ?」



一呼吸置いて…達也は鋭い視線で告げる。




「柚月をもし…お前が好きだと言ったときは…いくらお前でも渡さない」




そう言いはなって。達也は今日、欠席した分のプリントを俺に手渡して家から出ていった。



ひとり、取り残された部屋で俺は乾いた声で呟く。




「アホか…あんな、達也しか見てねぇような女…興味ねぇっつーの」



そうだ…俺が好きなのは――――。





『―――輝っ!』




思い出すのは…俺の名前を呼ぶ真夏の日差しに照らされて
風に揺れる綺麗な黒髪の女の子の姿―――。




「――――未練がましいな…。 星羅―――」








忘れたと思っていたのに。






俺は今でも…君の面影を探している―――。









Re: 片恋.・。*平行線の恋模様*。・. ( No.19 )
日時: 2019/02/08 02:22
名前: Aika

Episode12:恋を忘れるには―――。




「あ…先輩」
「あ?…あー、 なんだお前か」

朝の登校中。
バッタリと、大きいマスクをした皆瀬先輩と鉢合わせてしまった。

先輩の顔を見た瞬間。
こないだの…雨の日の出来事がわたしの頭の中にフラッシュバックする―――。

バカみたい。
なんで、あたしがこんな奴に振り回されなきゃいけないんだろ―――。

心の中にそんな黒い感情があったからか、苛立ちながら言葉を返す。

「お前かって…朝から失礼ですねっ!風邪はもう大丈夫なんですか?」
「あー…まぁな。まだちょっと咳が出るぐらいだ」
「そう、ですか。それでっ、あのっ…」

あたしは…あの日…雨の日になぜ先輩があんな行動を取ったのか…何故か気になっていて―――。

聞こうとしたけど、 上手く口が動かなくって。


「な…なんでもないです」
「あっそ、 なら行くわ」


先輩はさして、気にした様子もなくスタスタとあたしから去っていく。

―――なんで…先輩はあんなにも普通にいられるの?
まさか、覚えてない…とか?

あの日から熱があったみたいだし。
その可能性はなきにしもあらず、だけど。
あたしだけが…覚えてるってなんかずるい。

モヤモヤとした感情を胸に抱えながらあたしは、学校までの道を歩いた。



□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □


*輝 side*


「はー…俺、 普通…だったよな?」

下駄箱に着くなり、誰に言うでもなくそう言葉を漏らす。

「なんの話よ?」
「うっわ!!って…なんだ、夏希かよ」
「なんだって…ひどいなー、人が心配してたって言うのに。LINEしても全然返してくんないしさー」
「そーれは…悪かったよ」

クラスメイトでもあり、部活仲間でもある夏希にそう憎まれ口を叩かれる。
まったく…今日は朝からいろんな奴に皮肉なことを言われるなー。

「てかさー、輝って最近…同じパートの1年の女子と仲良くない?」

脈絡もなく、突然夏希からそんなことを言われた。
同じパートの1年って…

「おい…それ、上田のことか?」
「雨の日」

そのワードにギクリとする。
まさか、こいつ―――。

「―――――あの子のこと、抱き締めてたでしょ?」
「みて、たのか?」
「まぁねー、で?」

除き混むように見つめる夏希の瞳は冷たかった。
それから、問いかける。

「――――上田さんのこと、好きな―――」
「――――好きじゃねーよ」

聞かれる前に被せるように答えた。

それを聞いた夏希は嬉しそうな表情を見せる―――。

「そうだよねー、 好きなわけないよねー。だって」

それから、夏希はそっと耳元に口を近づけて言葉を紡ぐ。




「――――輝が好きなのは… 星羅ちゃんだもんねー」




そうだ。
俺が好きなのは… 今も昔も
ただひとり。




「輝の筋金の一途っぷりは、そう簡単には揺れないもんね。 けど、待ってて」
「?」





「絶対に…輝を振り向かせるのは、 わたしだから」
「夏希―――」
「星羅ちゃんなんて、すぐに忘れさせてあげる」


夏希の真っ直ぐな瞳が、俺だけを見つめる。

ため息をついて、俺はその言葉になにも答えず教室へと向かう。
背中からひどいーと言う夏希の声がこだました。
俺だって…星羅のことを早く忘れたい。
けど、そんな簡単なことじゃねーんだよ。


星羅以上に好きになれる人なんかいないんだよ。





恋の忘れ方があるなら、 誰か教えて欲しい―――。





そんなことを、このときの俺は感じていたんだ。






Re: 片恋.・。*平行線の恋模様*。・. ( No.20 )
日時: 2019/02/19 02:47
名前: Aika

Episode13:揺れる心。








『―――輝っ! 大好きだよ』



今でも時々、夢に見る。
長い髪をなびかせながら、優しげな瞳で俺を見つめて――――。
満開の桜のような、 まぶしい笑顔で俺の名を呼ぶ君の姿を――――。


目の前から、 君がいなくなったことなんて
自覚しているはずなのに――――。
前に進まなきゃいけない。
そう頭では分かっているはずなのに――――。


俺の時間は… 君がいなくなった1年前から
止まったまま――――。




■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■



.・。*柚月side*。・.



気がつけば、 中間試験前となり
部活動はお休みの期間に入った。
しばらく、皆瀬先輩の姿を見なくて済む…。

そう思うとなんだか、ほっとした。

結局…あの雨の日から部活の中でもまともに話すことができなくて、お互いによそよそしい感じになっている。
というか、あたしが一方的に避けている。

だって…

誰だって、 あんな風に抱き締められたら意識するはずだ。

それがたとえ、 好きじゃない相手だとしても。

「はぁー…」

自然と大きな溜め息が出た。
あの日から…あたしは、変だ。

前まで…あれほど、 達也が好きって思っていたのに。
今では、 達也のことよりも





皆瀬先輩を気にしている自分がどこかにいる。







朝の登校中。
移動教室の時。
お弁当の時間、購買に行った時。
帰り道――――。




最近になって、 探しているのは――――。








アイツの面影だ―――――。







もしかして…あたし、 皆瀬先輩のこと――――。






「なっ…ないない!」






思い当たった考えに、 自問自答する。
違う、 こんなのは恋じゃない。
ただ、抱き締められた理由が分からなくてモヤモヤして、アイツのことばかり考えているだけだ―――。



そうだ、 その通りだよ。




だいたい、 皆瀬先輩とあたしは相性最悪だし絶対に好きになるわけない。



自分にそう言い聞かせて、あたしは教科書を鞄に詰めて帰り支度をした。
スクールバッグをのぞいて、あたしはふと一冊の本が目に入った。
それは、この間図書室で借りた本だった。
返却期限は今日の日付になっている。

「やっばー!返してこなきゃ」

その場でそう言い、あたしは足早に図書室へと駆け足で向かった。



***********************************


図書室へ足を踏み入れると、試験前だからかいつもよりも多くの生徒が利用している。
勉強している生徒もちらほら見える。

カウンターへ本を返却したあと、あたしは
せっかく図書室に来たし試験前だから勉強していこうと思い、空いている席に腰かけた。

すると。


「―――あれ? 上田じゃん」



聞きなれた声の方向に視線を向けると。
声の主を見た瞬間、自分でも顔がひきつるのが分かった。
いま、 一番顔を合わせたくない人がそこにいた。

「みな、せ先輩………」
「何あからさまに嫌な顔してんだよ。地味に傷つくんだけど」
「す、すいません」

そんなに顔に出てたのか、あたし。

「上田も勉強かー?」
「まー、 そんなとこです」

数学の問題集を解きながら、あたしは適当に先輩の言葉に返事をした。
早く何処かに行ってほしい。
そんな希望を心の中で祈るが、その祈りは届かず
先輩は空いていた隣の席に腰かけた。

なんで、隣に座ってるのこの人。

「数学やってんのかー」
「まぁ…………」

あれ?ここって、どうやって解くんだっけ?
やば……分かんない。

シャーペンが止まっていると。

急に先輩が口を開いた。


「――――正弦定理じゃなくて余弦定理」


「えっ―――?」


そう言いながら、先輩は解説をしながら
丁寧にノートに書き込んで教えてくれた。


「―――先輩って……勉強できるんですね」
「馬鹿にしてんのか、お前。こう見えても俺は学年3位だぞ」
「嘘ー!!!」

今日一番の驚きかもしれない。

「驚きすぎだろ……ったく、失礼な奴」
「じゃあ、ここはここはー!?」
「あー、これか。これはな―――」

先輩に勉強を教えてもらいながら、
あたしはふと気づく。



―――あれ?
なんだ、 あたし……普通に先輩と話せてるじゃん。
横目で先輩を見ると。

この間のことなんか、まるで気にしていないかのようにあたしと接してくれている感じだ。

先輩のなかでは、 やっぱりあれは……深い意味なんかなかったのかな。
そう思ったとき。
あたしは、何故だか分からないけど胸の奥がもやっとした気がした。
どうして、自分がこんな気持ちになるのか……このときは深く考えなかった―――。





********************************




気がつくと、辺りは真っ暗になっていて。
図書室にいる人もあたしと先輩だけになっていた。

「―――やっばー、 そろそろ帰らないと」
「あー、そうだな。じゃあ、帰るか」

当たり前のように一緒に帰ろうとする先輩にあたしは思わず聞き返してしまった。

「えっ……一緒に帰るんですか?」
「当たり前だろ。夜遅くに女の子1人で歩かせるかよ」


何気ない一言に、ちょっとだけドキッとした。
普段は……女の子扱いなんかしてないくせに。

天然でそういうことを言うのは……ずるい。

あたしは、熱くなっている顔をなるべく先輩に見られないように隠しながら先輩のとなりを歩いた。



お願いだから、 もう
あたしの心をかき乱さないでほしい。



お願いだから―――。



「―――上田? どーしたんだよ、さっきから黙って」
「なんでもないっ」
「何キレてんの?」
「キレてないー」





達也でいっぱいだった、あたしの心を
揺らさないで欲しい――――。



そんな心の声は…… 貴方の元には届くはずもなかった――――。





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