コメディ・ライト小説(新)

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片恋.・。*平行線の恋模様*。・.
日時: 2019/03/02 01:28
名前: Aika
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12215

.・。*Prologue*。・.




――恋をすると、 毎日がドキドキして
ワクワクして…キラキラした楽しい気持ちでいっぱいだと思ってた。



でも。



あたしの、人生初めての恋は。
そんな綺麗なものじゃなくて―――。





切なくて、 苦しくて、 もどかしくて―――。






どうして、 君を好きになってしまったんだろうって何回も後悔した。
いっそ、 嫌いになりたい。
そう感じたことだって、何万回もあったと思う。



だけど。




そのたびに。




君の笑った顔が頭をよぎって。






好きって想いが溢れて止まらなくなる。








誰か、 教えてください。







―――好きって…どうしたら、やめられるの――?







―片恋.・。*平行線の恋模様*。・.―

更新start!
→*H30.3.29.Thursday*

.・。*お客様*。・.

❀てるてる522様
❀蜜柑わたあめ様
❀みかんさいだーくろーばー様


<<目次>>

登場人物紹介>>1

*1章*報われない片想い*

第1話>>2第2話>>5第3話>>6第4話>>11
第5話>>12第6話>>13第7話>>14第8話>>15
第9話>>16第10話>>17第11話>>18

*2章*叶いもしない恋模様*

第12話>>19第13話>>20第14話>>21






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Re: 片恋.・。*平行線の恋模様*。・. ( No.17 )
日時: 2018/10/13 15:13
名前: Aika

Episode10:それぞれの。






雨の音が鳴り響くなか―――。

あたしを抱き締める手は
とても温かくて…。



「―――せん、 ぱい?」



問いかけると。
不意に先輩はハッとして。
勢いよくあたしを離して距離をとる。



そして、 赤い顔で



「―――俺…何して…」



口に手を当てながら慌てた様子でそう呟いていた。
あたしは、 何も言わずただ先輩の顔を見つめていると。


「ごめん!」



大きな声でそう言い、 先輩は走り去っていく。
あたしは、先輩が置き去りにしていった傘を拾い…その場から歩きだす。

―――まだ、 鼓動はドキドキと小さく高鳴っていた。



なんで?





抱き締めたんだろう、 先輩は―――。





「―――わけ、分かんない」





雨の音だけがその場に静かに鳴り響いていた―――。




■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □



翌日。
先輩に傘を返そうと思い、朝一番で先輩の教室に行くと。


「あー、皆瀬?今日は風邪で休みだってよ」


クラスメイトの人にそう言われた。
風邪で休み、か。


「分かりました」


それだけ言って先輩のクラスから出ていくと。

「あれ?…柚月?なんでここにいるの?」

偶然に、達也と鉢合わせをしてしまった。

「実は昨日、皆瀬先輩に傘を借りて返そうと思ったんだけど…いないみたいで」
「あー…アイツ、風邪って言ってたっけ」
「うん。だから、今日の帰り…先輩の家まで返しにいこっかな」

何気なくあたしがそう言うと。
不意に達也の顔が曇った。

「―――え?輝の家まで行くのか?」
「うん。ないと困るだろうし。お見舞いも兼ねていこっかなって」

言い終わる前に達也があたしの手から傘をとり。
ぶっきらぼうな感じで言う。

「―――俺が行くよ」
「え?でも―――」
「プリントとか届けるついでもあるし。俺が行く」

あまりの達也の強い口調にあたしは、何も言えなくなってしまい。

「―――わかった、 よろしくね。達也」
「おー。てか、そろそろホームルーム始まるから戻れ戻れ」
「そだね。じゃね!」

お互いに手を振り、別れる。







「―――はー。…何をムキになってるんだ、俺は」




達也が廊下でそう呟いた声は
あたしの耳には届いてなんかなかった―――。




Re: 片恋.・。*平行線の恋模様*。・. ( No.18 )
日時: 2019/02/04 02:26
名前: Aika

Episode11:思い出すのは、あの日の面影。





*.・輝 side・.*




「ゲホッ…ゴホッ…」


39度という高熱を久しぶりに出してしまい、学校は欠席。
絶対に昨日…雨にふられたせいだな。

しかも…。

熱があったとはいえ…



なんで、 俺はあのとき…アイツを抱き締めてしまったのだろうか―――。



「クソッ…アイツといると…調子が狂う…」



ボソッとそう言って目を閉じたとき。
部屋にチャイムが響き渡って。
慌てて起きてドアを開けると。



「よっ!風邪、大丈夫かー?」



見知った親友の顔があった。
一瞬…アイツが来たのかと思った俺はバカなのかもしれない。



熱で…ほんと、どうかしてるみてぇだ。




「あのさ…柚月から傘、預かったんだけどここに置いておいていいか?」


瞬間。
少しだけイラついた。

アイツ…達也に頼むぐらい、俺に会いたくねぇのかよ。
なんか、むかつく。

「―――おいー?なに、ムスッとしてんの?」
「別に。いいよ、そこに置いとけ」
「なんだよー、人がせっかく持ってきてあげたのに冷たい反応だなー。もしかして、俺じゃなくて柚月に持ってきてほしかった、とか?」


意味ありげにそう言う達也に少しだけ反応してしまう。
目線を向けると、 真顔の達也がいて。
真剣な顔で口を開いた。



「―――輝、さ。 柚月のこと、好き?」








思考が止まった―――。






俺が…アイツを?

そんなことがあるわけない―――――。




だって、 俺は―――――。







「――――それとも、 まだ…去年のこと引きずって」
「やめろっ!!!」



達也の言葉を打ち消すように俺は部屋中に響き渡る声でそう言っていた――――。




思い出したくもない…忘れたくても忘れられない、
俺の…苦い過去――――。




「ごめん。無神経すぎたな。今の質問は忘れて。ただ―――」
「―――ただ?」



一呼吸置いて…達也は鋭い視線で告げる。




「柚月をもし…お前が好きだと言ったときは…いくらお前でも渡さない」




そう言いはなって。達也は今日、欠席した分のプリントを俺に手渡して家から出ていった。



ひとり、取り残された部屋で俺は乾いた声で呟く。




「アホか…あんな、達也しか見てねぇような女…興味ねぇっつーの」



そうだ…俺が好きなのは――――。





『―――輝っ!』




思い出すのは…俺の名前を呼ぶ真夏の日差しに照らされて
風に揺れる綺麗な黒髪の女の子の姿―――。




「――――未練がましいな…。 星羅―――」








忘れたと思っていたのに。






俺は今でも…君の面影を探している―――。









Re: 片恋.・。*平行線の恋模様*。・. ( No.19 )
日時: 2019/02/08 02:22
名前: Aika

Episode12:恋を忘れるには―――。




「あ…先輩」
「あ?…あー、 なんだお前か」

朝の登校中。
バッタリと、大きいマスクをした皆瀬先輩と鉢合わせてしまった。

先輩の顔を見た瞬間。
こないだの…雨の日の出来事がわたしの頭の中にフラッシュバックする―――。

バカみたい。
なんで、あたしがこんな奴に振り回されなきゃいけないんだろ―――。

心の中にそんな黒い感情があったからか、苛立ちながら言葉を返す。

「お前かって…朝から失礼ですねっ!風邪はもう大丈夫なんですか?」
「あー…まぁな。まだちょっと咳が出るぐらいだ」
「そう、ですか。それでっ、あのっ…」

あたしは…あの日…雨の日になぜ先輩があんな行動を取ったのか…何故か気になっていて―――。

聞こうとしたけど、 上手く口が動かなくって。


「な…なんでもないです」
「あっそ、 なら行くわ」


先輩はさして、気にした様子もなくスタスタとあたしから去っていく。

―――なんで…先輩はあんなにも普通にいられるの?
まさか、覚えてない…とか?

あの日から熱があったみたいだし。
その可能性はなきにしもあらず、だけど。
あたしだけが…覚えてるってなんかずるい。

モヤモヤとした感情を胸に抱えながらあたしは、学校までの道を歩いた。



□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □


*輝 side*


「はー…俺、 普通…だったよな?」

下駄箱に着くなり、誰に言うでもなくそう言葉を漏らす。

「なんの話よ?」
「うっわ!!って…なんだ、夏希かよ」
「なんだって…ひどいなー、人が心配してたって言うのに。LINEしても全然返してくんないしさー」
「そーれは…悪かったよ」

クラスメイトでもあり、部活仲間でもある夏希にそう憎まれ口を叩かれる。
まったく…今日は朝からいろんな奴に皮肉なことを言われるなー。

「てかさー、輝って最近…同じパートの1年の女子と仲良くない?」

脈絡もなく、突然夏希からそんなことを言われた。
同じパートの1年って…

「おい…それ、上田のことか?」
「雨の日」

そのワードにギクリとする。
まさか、こいつ―――。

「―――――あの子のこと、抱き締めてたでしょ?」
「みて、たのか?」
「まぁねー、で?」

除き混むように見つめる夏希の瞳は冷たかった。
それから、問いかける。

「――――上田さんのこと、好きな―――」
「――――好きじゃねーよ」

聞かれる前に被せるように答えた。

それを聞いた夏希は嬉しそうな表情を見せる―――。

「そうだよねー、 好きなわけないよねー。だって」

それから、夏希はそっと耳元に口を近づけて言葉を紡ぐ。




「――――輝が好きなのは… 星羅ちゃんだもんねー」




そうだ。
俺が好きなのは… 今も昔も
ただひとり。




「輝の筋金の一途っぷりは、そう簡単には揺れないもんね。 けど、待ってて」
「?」





「絶対に…輝を振り向かせるのは、 わたしだから」
「夏希―――」
「星羅ちゃんなんて、すぐに忘れさせてあげる」


夏希の真っ直ぐな瞳が、俺だけを見つめる。

ため息をついて、俺はその言葉になにも答えず教室へと向かう。
背中からひどいーと言う夏希の声がこだました。
俺だって…星羅のことを早く忘れたい。
けど、そんな簡単なことじゃねーんだよ。


星羅以上に好きになれる人なんかいないんだよ。





恋の忘れ方があるなら、 誰か教えて欲しい―――。





そんなことを、このときの俺は感じていたんだ。






Re: 片恋.・。*平行線の恋模様*。・. ( No.20 )
日時: 2019/03/02 00:40
名前: Aika

Episode13:揺れる心。








『―――輝っ! 大好きだよ』



今でも時々、夢に見る。
長い髪をなびかせながら、優しげな瞳で俺を見つめて――――。
満開の桜のような、 まぶしい笑顔で俺の名を呼ぶ君の姿を――――。


目の前から、 君がいなくなったことなんて
自覚しているはずなのに――――。
前に進まなきゃいけない。
そう頭では分かっているはずなのに――――。


俺の時間は… 君がいなくなった1年前から
止まったまま――――。




■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■



.・。*柚月side*。・.



気がつけば、 中間試験前となり
部活動はお休みの期間に入った。
しばらく、皆瀬先輩の姿を見なくて済む…。

そう思うとなんだか、ほっとした。

結局…あの雨の日から部活の中でもまともに話すことができなくて、お互いによそよそしい感じになっている。
というか、あたしが一方的に避けている。

だって…

誰だって、 あんな風に抱き締められたら意識するはずだ。

それがたとえ、 好きじゃない相手だとしても。

「はぁー…」

自然と大きな溜め息が出た。
あの日から…あたしは、変だ。

前まで…あれほど、 達也が好きって思っていたのに。
今では、 達也のことよりも





皆瀬先輩を気にしている自分がどこかにいる。







朝の登校中。
移動教室の時。
お弁当の時間、購買に行った時。
帰り道――――。




最近になって、 探しているのは――――。








アイツの面影だ―――――。







もしかして…あたし、 皆瀬先輩のこと――――。






「なっ…ないない!」






思い当たった考えに、 自問自答する。
違う、 こんなのは恋じゃない。
ただ、抱き締められた理由が分からなくてモヤモヤして、アイツのことばかり考えているだけだ―――。



そうだ、 その通りだよ。




だいたい、 皆瀬先輩とあたしは相性最悪だし絶対に好きになるわけない。



自分にそう言い聞かせて、あたしは教科書を鞄に詰めて帰り支度をした。
スクールバッグをのぞいて、あたしはふと一冊の本が目に入った。
それは、この間図書室で借りた本だった。
返却期限は今日の日付になっている。

「やっばー!返してこなきゃ」

その場でそう言い、あたしは足早に図書室へと駆け足で向かった。



***********************************


図書室へ足を踏み入れると、試験前だからかいつもよりも多くの生徒が利用している。
勉強している生徒もちらほら見える。

カウンターへ本を返却したあと、あたしは
せっかく図書室に来たし試験前だから勉強していこうと思い、空いている席に腰かけた。

すると。


「―――あれ? 上田じゃん」



聞きなれた声の方向に視線を向けると。
声の主を見た瞬間、自分でも顔がひきつるのが分かった。
いま、 一番顔を合わせたくない人がそこにいた。

「みな、せ先輩………」
「何あからさまに嫌な顔してんだよ。地味に傷つくんだけど」
「す、すいません」

そんなに顔に出てたのか、あたし。

「上田も勉強かー?」
「まー、 そんなとこです」

数学の問題集を解きながら、あたしは適当に先輩の言葉に返事をした。
早く何処かに行ってほしい。
そんな希望を心の中で祈るが、その祈りは届かず
先輩は空いていた隣の席に腰かけた。

なんで、隣に座ってるのこの人。

「数学やってんのかー」
「まぁ…………」

あれ?ここって、どうやって解くんだっけ?
やば……分かんない。

シャーペンが止まっていると。

急に先輩が口を開いた。


「――――正弦定理じゃなくて余弦定理」


「えっ―――?」


そう言いながら、先輩は解説をしながら
丁寧にノートに書き込んで教えてくれた。


「―――先輩って……勉強できるんですね」
「馬鹿にしてんのか、お前。こう見えても俺は学年3位だぞ」
「嘘ー!!!」

今日一番の驚きかもしれない。

「驚きすぎだろ……ったく、失礼な奴」
「じゃあ、ここはここはー!?」
「あー、これか。これはな―――」

先輩に勉強を教えてもらいながら、
あたしはふと気づく。



―――あれ?
なんだ、 あたし……普通に先輩と話せてるじゃん。
横目で先輩を見ると。

この間のことなんか、まるで気にしていないかのようにあたしと接してくれている感じだ。

先輩のなかでは、 やっぱりあれは……深い意味なんかなかったのかな。
そう思ったとき。
あたしは、何故だか分からないけど胸の奥がもやっとした気がした。
どうして、自分がこんな気持ちになるのか……このときは深く考えなかった―――。





********************************




気がつくと、辺りは真っ暗になっていて。
図書室にいる人もあたしと先輩だけになっていた。

「―――やっばー、 そろそろ帰らないと」
「あー、そうだな。じゃあ、帰るか」

当たり前のように一緒に帰ろうとする先輩にあたしは思わず聞き返してしまった。

「えっ……一緒に帰るんですか?」
「当たり前だろ。夜遅くに女の子1人で歩かせるかよ」


何気ない一言に、ちょっとだけドキッとした。
普段は……女の子扱いなんかしてないくせに。

天然でそういうことを言うのは……ずるい。

あたしは、熱くなっている顔をなるべく先輩に見られないように隠しながら先輩のとなりを歩いた。



お願いだから、 もう
あたしの心をかき乱さないでほしい。



お願いだから―――。



「―――上田? どーしたんだよ、さっきから黙って」
「なんでもないですっ」
「何キレてんの?」
「キレてないですよーだ」





達也でいっぱいだった、あたしの心を
揺らさないで欲しい――――。



そんな心の声は…… 貴方の元には届くはずもなかった――――。




Re: 片恋.・。*平行線の恋模様*。・. ( No.21 )
日時: 2019/03/02 01:35
名前: Aika

Episode14:夜風吹くなかで。






薄暗い夜道を、 皆瀬先輩と二人で歩く―――。
一緒に帰るのは…あの雨の日以来で緊張してしまう―――。

隣で歩いている先輩を横目で見る。

普段と変わらない…いつも通りの横顔だ―――。
やっぱり、 この間のことなんか先輩にとってはなんてことないんだな―――。

ぼんやりと、 そう考えていると。


「なんか、 今日はやけにおとなしいな…お前」


不意に先輩が口を開いて、 あたしの顔を除きこみながらそう言ってきた。

あたしは、とっさに否定する。


「そっ…そんなことないですよ、 いつも通りです」
「そーかー?…なーんか、最近避けられてる気もするし、俺なんかした?」

なんで、 こういう時だけ鋭いんだこの人は!

心のなかでツッコミを入れてから、あたしは先輩の言葉に返す。

「気のせいじゃないですか?あたしは、普段と同じように先輩と接しているつもりです」
「まー…上田がそう言うならいいんだけど」

先輩は自分の頬を掻きながら、ボソッとそう言った。
その仕草が少しだけ可愛く思えて。
あたしは、クスッと笑ってしまった。

「あー!何笑ってんだよ、お前」
「いや、 先輩にも可愛い一面があるんだなーと思いまして」
「なんだそれ!意味わかんねー」

可愛いと言われたのが照れ臭かったのか
先輩の横顔はほんのりと赤く染まっていた。

隣にいて話をすればするほど。

先輩の新しい一面を見つける。
そして、その一面を見つけるたびに。
ドキっとしてしまう自分がいる―――。

そんな想いとは裏腹に。
これは恋じゃない。
そう言い聞かせる自分がいる―――。



そんな風に悶々としているときだった。



「―――あれ?…柚月と、 輝?」



見知った声の方向へと顔を向けると。
そこには、 達也がいた。

皆瀬先輩も、達也の方に顔を向けていて手を振りながら話しかけていた。

「おー!達也じゃん。何?塾?」
「まぁな、これから行くところ」

それから達也はあたしと皆瀬先輩を交互に見てから口を開いた。

「輝が女子と一緒に帰るってめずらしーな」

意味ありげに、そう言う達也に
皆瀬先輩は笑いながら返す。

「たまたま、図書室で会って成り行きで一緒に帰ってるだけだよ」
「ふーん…成り行き、ね。そっか、俺はてっきり―――」

それから、一呼吸置いたあとに。
達也は続きの言葉を紡いだ。

「―――――もう、 星羅のことは忘れて柚月に乗り換えたのかと」
「―――――そんなわけないだろ」

力強く、 達也の声をかき消すような皆瀬先輩の鋭い声が響いた。

いまの…星羅さんって、 誰―――?

横にいる先輩に目をやると。
いままでに見たことがない、 怖い表情になっていた。
しばらくの沈黙のあと。
達也が再び口を開く。

「まっ…そーだよな。お前にとって星羅は特別、だもんな」
「…………………」
「じゃ、 柚月のこと…しっかり送り届けろよー」

そう言い捨てて、 達也は去っていってしまった。

それから、 先輩は呆然とその場に立ち尽くしていた。
星羅さんって人が出てきたとき。
先輩の表情がまるで、人が変わったみたいな顔になってた。

「あ…あの、先輩―――」
「あー…わりぃ、ボーッとしてた。じゃあ、行くか」
「―――はい」

ほんとは、 星羅さんについて聞きたかった。
だけど。
あんな、先輩の顔をみたら聞くなんてとてもじゃないけどできない。


―――星羅さんって…一体…?


あたしのなかで、 そんな疑問を残して。
その日は先輩と別れた―――。





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