コメディ・ライト小説(新)

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青になった世界で。
日時: 2018/05/10 16:40
名前: 一青色

がたごとと揺れる電車。
そこに誰かのイヤホンか、ヘッドホンから漏れる軽快な音楽。衣擦れの音。ボソボソと喋る誰かの声。
携帯の着信音。
それらを耳に流して、私は目を閉じる。
特別な朝なんかなくて、ただ、淡々と過ぎていく時間がなんだかもったいないような、腹立たしいようなそんな色のない日々をただ繰り返す。思春期は難しい。
生きる理由って何だろう。
私はゆっくりと閉じていた目を開けて、窓からどんよりとした曇り空を見る。
「(雨、降りそう...)」
傘持ってきてないのに、なんて思いながら。
いつもと何も変わらない、そんな今日がくると疑いもせずにその時の私は思っていて、そんな私は運命なんてもちろん信じてなくて。

ーそれが変わるまで、あと30分。

(7時32分朝、電車。)



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Re: 青になった世界で。 ( No.14 )
日時: 2018/05/17 16:26
名前: 一青色

5話**慈雨に濡れる
美術部に大きな衝撃を与えた柚子原の話があってからもう1週間が経つ。私はいまだ仮入部のまま。
「はい、ではピッチャー梶、第一球大きく振りかぶってー...」
投げたーー...と部活中に実況をするのは教師としてあるまじき人物、坂井先生だ。
そして華奢な体で梶くんが床の角に転がっていた雑巾を投げた。当たりたくないな、と窓側に避難すれば。
「すみれ、あれ、教師してていいの?」
あれ、と指差す先にいるのは坂井先生。
生徒にここまで言われる教師ってどうなんだろう。
「あはは...」
何で教師になれたんだろうかと純粋に疑問だ。
やっぱり頭がいいから?何て考えて。

Re: 青になった世界で。 ( No.15 )
日時: 2018/05/17 22:59
名前: あんず

 こんにちは、あんずと申します。
 
 久々にカキコを覗いてみたら、タイトルに目が止まりました。このタイトル。青と世界という言葉の組み合わせって素敵ですね。
 
 冒頭の電車内の音と雰囲気の描写、それから目を閉じる、という行動。ここの一連の流れがとても好きです。こぼれ落ちるヘッドフォンの音だとか、ざわめきだとか、そういうものと対照した目を閉じる動きが、ありふれた一場面という感じがしてとても綺麗だと思いました。

 私は絵には詳しくないのですが、美術部という響きっていいですよね。彼らの活動内容も、絵を描くって素敵だなと。
 
 花井さんの独白が好きです。花井さんの感性ということは一青色さんの感性、ということになるでしょうか。本当に、青だとか鬱屈とした気持ちだとか、そういう絡め方が個人的にとっても好きです。
 出てきた絵の題、『花を持つ少女』は花井さんの絵なのでしょうか。色々と想像を巡らせています。一青色さんの文章、すっきりしていて、ああきれいだな、と何度も思います。
 
 続きも楽しみにしています。無理せず執筆なさってください、応援しております。

Re: 青になった世界で。 ( No.16 )
日時: 2018/05/18 00:03
名前: 一青色

to.あんずさん
感想ありがとうございます。
本当にすごく嬉しいです。すみれの独白を好きだと言ってくれたこと、本当に本当に嬉しいです。
すみれにはモデルがいます。見た目は全然違いますが、その子の繊細さ、脆さなどを書いていたので、あんずさんが好きだと言ってくれた感性というのはそのモデルの子のことになります。文章に起こす上で、何度もどう書けば良いのか悩んだのであんずさんにそう言ってもらえて、その子の感性そのまま綺麗に書けたということなのかなと安心しました。
『花を持つ少女』はすみれの描いた絵です。物語のヒントにいつかなるはずなので頭の隅に置いといてくれると嬉しいです。

何日か前に「透明な愛を吐く」を読みました。題名覚えてないのですが、女性が恋人を殺してしまい、修学旅行で行った京都へ友人と逃げるお話が好きです。感想、詳しくはあんずさんのスレッドの方で書かせてもらいますね。綺麗なお話を書くといえば
あんずさんの方だと思います。
私はあんずさんの書くお話が好きです。
どこまでも透明で、本当に大好きです。
最後に。
長くなるとは思いますが、すみれたちの物語に最後まで付き合ってもらえたら嬉しいです。読んでくれてありがとうございます。長々とすみません。

Re: 青になった世界で。 ( No.17 )
日時: 2018/05/18 17:49
名前: 一青色

また視線を柚子原に戻す。
何か話すでもなくただ横に柚子原がいて。私の日常は少し変わった。
最近知ったのだけど、この学校の美術部といえば部活に入りたくない人が適当に時間を潰すためのものなのだとか。坂井先生は考えて誘ってくれたのかな、と少しの罪悪感。素っ気なく、話も聞かず避けていた私の周りの疎さは改善しなくては……。
柚子原を見るクラスの皆は仲良くしたいと近寄るのだけど、(主に女子が。)肝心の柚子原にその気がない。だから同じ部活というだけで妬みを買ってしまうのが辛い。
でも思っていたより放課後のこの時間は居心地が良い。
「すみれ、ちゃん」
ちょっといいかな、と控えめなお誘いに私は目を向ける。
「夏目さん?」
夏目雫、美術部で唯一美術部員らしい活動をしている彼女は。
胸にクロッキー帳を抱え、遠慮がちに話し始めた。
「あのね、私、ずっとー…」
何か告白されるのだろうか。真剣な、でも少し恥ずかしそうなその表情は可愛い。
「危なっ!」
何を言われるのかと少しドキドキしていると柚子原の声が頭より少し上の方で聞こえた。直後、柔軟剤の甘い香りが鼻腔をくすぐる。何があったのか理解するよりも、誰かが状況説明してくれるのが我が美術部だ。
「おいおいおいー!かっこいいことしてんな。ナイスキャッチ、ユズ」
恐る恐る顔を上げれば思ったより近くにある柚子原の顔。そして顔の横に握られた雑巾。
「わりー!花井、大丈夫か?」
さほど悪いと思ってなさそうな梶君の謝罪は耳を通り抜けていく。つまりは。
飛んできた雑巾を、柚子原が取って、庇ってくれた。
「……ありがとう」
距離のあまりの近さに少しぎこちないお礼。それに柚子原は気を悪くすることもなく「ん」と短く返し、離れる。
一瞬の出来事。多分2、3分すればもう忘れるような、日常に溢れた特になんでもない出来事。なのにそれが、日常として溶けて消えない。
男子に免疫がないというのが理由だろうけど。それはすごく恥ずかしくて、なんだか居たたまれなくて、そっと、柚子原から距離をとり、部室の外へ。
「ふぅ……」
一息ついて落ち着こう、と行く場所も決めないまま校舎の中を歩く。
と。
「待って、すみれちゃん」
後ろからパタパタと駆けてくる足音。リノリウムの床にそれが響く。
夏目さんは声が少し高い。それがまた足音と一緒に響いて、なんと形容したらいいのかわからない不思議な感覚だ。

Re: 青になった世界で。 ( No.18 )
日時: 2018/05/18 15:09
名前: 一青色

何か部活っぽい、とかこんなことで感じるのは何か変な気がするけど。
「あ、ごめんね。そうだ、食堂の方で話そうか」
話しかけられていたのを思いっきり忘れていて、せめて静かな所で話そうと提案した。
「うん!」
今度はどこか覚悟を決めたような勇ましい表情。それでも夏目さんは普段おっとりとしているからか、可愛らしさが消えない。

食堂は放課後は誰もおらず、話をするのにぴったりだ。
「私ね、ずっと、すみれちゃんに憧れてたんだ。いつも姿勢が綺麗で、ただ景色を見ているだけなのにすみれちゃんのその様子は何か別世界っていうか…。それでね、あの、私、前からすみれちゃんのこと知ってて、すみれちゃんの絵、いっぱい書いたんだ」気持ち悪いよね、と俯く夏目さんはだんだんと覇気がなくなって、空気に溶けてしまいそうだ。
「気持ち悪くなんてないよ」
見せてくれる?と胸に抱えられたクロッキー帳に触れると、はにかみながら、あまり上手じゃないんだけど、とクロッキー帳を開いてくれた。


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