コメディ・ライト小説(新)

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君は今、幸せですか。
日時: 2018/12/25 21:23
名前: いろは






君は今、幸せですか————?




☆彡

初めまして、いろはと申します。

初投稿です。更新が遅れることもあると思いますが、温かく見守ってくださるとうれしいです。
感想、アドバイスなど、大歓迎です!

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Re: 君は今、幸せですか。 ( No.25 )
日時: 2019/04/04 02:00
名前: いろは

☆千尋side

重い瞼を開けると、そこには変わらない金の塔最上階の姿があった。
「今の……夢?」
横を見ると、夏帆が倒れている。やはりさっきまでのことは夢ではなかったみたい。
「夏帆、夏帆!」
揺り起こし、あたりを見回した。
白猫がいない。あの猫、何だったんだろう……。
ドアがどんどんどん、と乱暴に叩かれ、カイトが顔を出す。
「大丈夫ですか、お二方!? お亡くなりになど…なっていらっしゃいませんよね?! 今の光……何か知っていることなど?!」
随分慌てているみたい。
「大丈夫です、死んでなんかいないですよ。今の光は、白猫のせいだと思います。」
冷静に答えると、カイトはふうっ、とため息をついた。
「誘拐などされていないかと……、かなり焦りました。」
くすりと笑ってしまう。
カイトが真剣なまなざしでこちらを見つめた。
「どうやらこの城内には僕とお二人しかいないようです。」
え?!
「今の光で、三人以外消えてしまったようなんです。……で、白猫とは何ですか!?」
カイトにさっきまでのことを説明する。
彼は興味深そうに息をついた。
「それはそれは……。実は僕の部屋に謎の小さな鍵が落ちていたんです。」
カイトが銀色の鍵を差し出した。
「もしかしたら、その本の鍵穴に入るかもしれません。」
私はドキドキしながらそれを本の鍵穴に差し込む。
カチャリ、と音がして、本が開く。
無数の文字が目に飛び込んできた。
「な、何この文字……」
見たことも無い文字。記号の羅列のようなそれは、見ているだけで吐き気がしてくる。
「この文字はこの次元で使われているルディア文字と呼ばれるものです。少し難しいかもしれませんが、すぐ覚えられますよ。」
やっぱり文字も違うんだ。
「えーっとなになに? この本を読んでいるということは、私の使いの白猫が鍵を届けたということだろうか。私は――――」
カイトが読み上げる、次の言葉に耳を傾けた。
「悪魔だ。」

Re: 君は今、幸せですか。 ( No.26 )
日時: 2019/04/04 21:38
名前: いろは

☆夏帆side

悪魔……?
その言葉に恐怖を覚える。
「なんで…悪魔なんかが?」
鈴の音がしたような気がして顔をあげたらそこに居た白猫。
カイトが読み上げている文章によればそれは悪魔の使いらしい。
カイトが青ざめながらも続ける。
「君たちには城ごと空間を転移してもらった。この場所はルディアとは異空間に存在する。」
わたしは慌てて窓に駆け寄る。
「ほんとだ……」
外には何もない荒野が広がっている。
さっきまでの近未来的な建物たちからは一転——、 本当に何もない。
立っているのは木ばかりだ。

Re: 君は今、幸せですか。 ( No.27 )
日時: 2019/04/06 17:43
名前: いろは

☆夏帆side

カイトがそこで息をつき、本を閉じた。
「ええーっ、何でですか?!」
千尋がいぶかしげに眉をひそめる。
「ここから移動します。」
は?
「この世界から出なくては。いずれ悪魔のところへ向かおうと思っていたのですが……」
思ってたんかい!
「このままだとお二方の人生が…終わってしまうと思うので。」
つまり、死ぬってことだよね?
「ですから、家宝を使います。」
カイトが取り出したのは謎の青く光る球体。
「これを使えば異世界までも移動できるんです。…お二人の居た、世界まで移動することはできませんが。」
家宝なんか使っちゃっていいのかな。
そんなことを考えているうちに、本の表紙に文字が浮かび上がる。カイトがその文字をまた読み上げた。
「残念だったなカイト王。この場所からルディアに移動はできないのだよ。」
カイトはふっ、と笑った。
「そんなことは知っている。だから…!」
光る球体を操作し、カイトが手招きする。
「こっちへ!」
わたしたちがカイトの近くへ駆け寄った瞬間——青い光が私たちを包み込む。
「ルディアに帰れないのなら、違う世界へ行ってしまえばいい!」
ええええっ?!
そう思う間もなく、わたしたちの意識はだんだんと途切れていった……

Re: 君は今、幸せですか。 ( No.28 )
日時: 2019/04/06 18:14
名前: いろは

☆千尋side

重い瞼を開けると、景色はまたもや一変、こんどは暗い洞窟のような場所にやってきていた。
「起きたかね。」
耳元で老人の声がして、慌てて飛び起きる。
わたしたちは——カイトの家宝の放つ光に包み込まれたんだっけ…?
目の前を見るとそこには杖をつき、ボロボロの貧相な服をまとった、おじいさんが立っていた。頭は禿げかけ、服は鼠色。貧乏人代表みたいな男の人。
「わしの名はノルベルトじゃ。これでも賢者なんじゃよ。」
わたしの心が見透かされたみたい。
…って賢者?!
「あ、起きましたね!」
カイトの声がして、わたしの後ろにあったドアが開け放たれた。
「ノルベルトさんは僕の魔法の師匠です。この人、こう見えて物凄い力の持ち主なんですよ。」
本当にそう見えない。
「あれ、夏帆は?」
「夏帆さんは千尋さんの隣で熟睡中ですよ~」
横を見てほっとする。
姉として、絶対に守らなくてはいけない。
「ノルベルトさんはルディアとは別の世界に住んでいるんです。だから、ルディアには移動できないならここならどうかな、と思って。試してみました。」
……失敗したらどうするつもりだったんだろう。
目の前にきのこスープらしき物が置かれ、スプーンも差し出された。
「ありがとうございます。」
見た目はまずそうだけれど、案外美味しい。
「ノルベルトさん。」
「ん?」
わたしは疑問に思っていたことを尋ねた。
「謎の白猫を見たら連れていかれた世界って何だったんでしょう。」
「…それはじゃなー」
咳き込みそうな素振りを見せながらノルベルトさんはつぶやく。
「悪魔が作った空想世界、だと思った方が良い。」
「空想世界。」
「そうじゃ。悪魔が君たちを殺すための場所、と言ったほうが分かりやすいかな。」
わたしは震えおののきながらも尋ねる。
「あの、悪魔はなぜわたしたちを殺そうとするんですか? 悪魔は神と争っているんですよね。神の娘は人質、じゃないんですか?」
「神の娘は神と一味違うんじゃよ。」
一味違う?
「神は悪魔と空の遥かかなたで戦ってるんじゃが。」
そうなんだ。
「なぜ戦ってるかわかるか?」
「さあ。」
「じゃあ、最初から説明しよう。神はある日、この世界を救うための計画を立てた。欲にまみれた人間たちを救うためにな。神が言う世界とは人間なのじゃ。」
てことは…
「そう、世界救出計画、とは、もともと神が考えたものじゃったんだ。それを悪魔が邪魔しようとしてくるよな。それで、戦いが始まった。」
ノルベルトさんは考え深げにふう、とため息をつく。
「戦いをしていると、神はこの計画を進めることができなくなる。そして、その計画を全て書き記した物というのが——」
ノルベルトさんが一冊の樹齢100年ぐらいの木の切り株ぐらいの厚さの本を取り出した。
「”スタルゼスの書〟じゃ。」

Re: 君は今、幸せですか。 ( No.29 )
日時: 2019/04/10 16:53
名前: いろは

☆千尋side

スタルゼスの書……
「その書の最初に記されていたこと、それは”私の娘に従い、この作戦を遂行せよ〟つまり、君たちはこの作戦のリーダー的な人なんじゃ。」
「で、何で殺すんですか?」
夏帆がきょとんとした表情でノルベルトさんを見つめた。
「リーダーを殺せば、この作戦は成功しないじゃろ?」
「なんで成功しないんですか?」
「神の娘しか、作戦を知らないからじゃ。」
は?
「この書にはさっき言った一文しか書かれていない。”私の娘に従い、この作戦を遂行せよ〟しか。」
はあ? その分厚さで?
「そうじゃよ。」
ノルベルトさんはスタルゼスの書をめくって見せてくれた。
確かに、一文以外は全て白紙。
「全ての計画を書き記してあるんじゃないんですか!」
「さ、さあ……そんなこと言ったかな~?」
あきらかに焦っている。
ノルベルトさんは慌てたように言った。
「……とにかく! 君たちに従え、と書いてあるんじゃ。はい、この書は二人に渡しておく。」
分厚い書を受け取った。見た目に反して意外と軽い。
「おそらく、いつか、神からの伝言的なものを思い出すじゃろ。」
胡散臭い。
わたしたちは顔を見合わせてから、じとーっとした視線で、ノルベルトさんを舐めまわす。
「ま、まあ、ここからだったら家宝使えばルディアに帰れるはずじゃから、早く帰れ。」
私たちはぎろり、とノルベルトさんを睨みつけた。
「まあまあ。さ、師匠の言う通り、帰りましょ。これ以上ここにいても、なんの意味もありませんからね。」
カイトに止められ、私たちはまたもやカイトの傍へ駆け寄った。
カイトが青い光を放つ家宝を取り出す。
「ルディアへ!」
その言葉と同時に私たちの意識は、またもや途絶えた。


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