コメディ・ライト小説(新)

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妖怪が集まる宿
日時: 2019/04/15 20:09
名前: 来海九重

この世とあの世の境目で妖怪たちが集まる場所そこを妖界と呼ぶことにする。
そこにやってきた少女、竹取 いさみは妖怪の宿屋【天津屋】で働くことになった。

1、2日目【天狗の客と紅緒の叱り】>>01-03
3日目【土蜘蛛、蓮】>>04

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Re: 妖怪が集まる宿 ( No.1 )
日時: 2019/04/15 15:58
名前: 来海九重

祖父母が死んだこの日、彼女は高校を卒業した。卒業式を終えた翌日が
今日だ。それから一人で生活することになる。一人で古い神社へ足を運ぶ。
???「竹取勇雄と竹取稔の娘は君かい?」
赤い杯を持った男が声を掛けた。ここには人が来ることは無いはずだ。
???「俺は紅緒という。君は?」
勇「竹取勇です。ここにはよく来るんですか?」
紅緒「昔に一回だけ勇雄と一緒に…勇雄は元気か」
勇は首を横に振る。
勇「今日、死んじゃいました。おばあちゃんと一緒に」
そういうと紅緒は少し悲しげな顔を浮かべる。
紅緒「そうかい…寂しくなるねぇ…話は変わるんだがお前さん、こっちに来て
人手を貸してくれないかい?妖怪が住む場所で良い働き場所があるんだ」
紅緒は杯に酒を注ぎ飲んだ。上に向けた顔が下がる。二本の角が生えていた。
勇「鬼…本物!?」
紅緒「そう俺は鬼、ようこそ妖が住まう場所あの世とこの世の狭間にある
妖界へ…!」
紅緒に手を引かれる。その力は凄まじい。気が付いた時には砂利の上に
倒れていた。顔を上げると神社ではなく建物の前に立っていた。木造の
大きな建物、看板には大きく天津屋と書かれている。戸が開き紅緒とは違う
男が出てきた。黒い和服に黒髪、紅緒と同じように角がある。
???「お前か竹取の名を持っている人間は」
勇「はい竹取勇ですが…貴方も鬼なんですね」
???「えにしだ、これからお前にはここで働いてもらう。これは
決定事項、覆すことは出来ない。着いて来い」
縁の後に勇は続き中に入る。広々とした宿屋だ。そこに数人が両側に
並んでいる。真ん中を通り勇に近寄って来た紅緒。彼は縁に話しかけた。
紅緒「ちゃんと自己紹介はしたらしいな。それと勇、訂正することが一つ
俺と縁はただの鬼じゃねえんだ」
勇「と、いいますと?」
紅緒「鬼神といってもあんまり驚かないよな!まぁ頑張りな」
勇「は、はい!」
紅緒「縁は思ってるか知らねえが俺はお前が一番良い従業員になると
思ってるんだぜ。俺たちとお前とじゃあ色々違う、寿命も力も…だからこそ
俺たちには出来ねえことも出来ちまうんだろうな」
そう言って紅緒は踵を返し奥に進んでいく。近くから「紅緒様がそこまで
言うだなんて」という声が聞こえてきた。
縁「烈、勇を案内しろ。他は仕事に入れ」
烈と呼ばれた男は真っ白な九本の尾があるのですぐに九尾だと分かった。

Re: 妖怪が集まる宿 ( No.2 )
日時: 2019/04/15 16:40
名前: 来海九重

他の妖怪たちは少し勇を嫌っているようだが烈は彼女に優しく接した。
勇「烈さんは九尾なんですか?」
烈「うん。化けるのは得意でね…ホントに似ているね勇雄と稔に」
勇「そうでしょうか?似てるのは天パだけですけどね」
竹取家は全員癖毛、天パだ。それを聞いて烈は苦笑する。
勇「皆、私を嫌ってるみたいだけど…ここにいていいんですかね」
烈「人間に酷いことをされた妖怪もいるからね。でも君の味方をしている
妖怪も少ないけどいるよ。僕も紅緒様もね。それに紅緒様に逆らえる妖怪は
この宿には一人もいない」
勇「そうなんですか」
何やら騒がしい音がする。その音に気付き烈と勇は音がする方へ急ぐ。
角を曲がると奥から達磨が飛んできた。その達磨を烈は尾で止め、ゆっくり
床に置く。誰かが物を投げているようだ。怒鳴り声も聞こえる。
烈「かすか、何が起きてる!」
猫又の少女、幽曰く料理が口に合わず作り直せと天狗たちが怒ったという。
幽「な、大旦那様に若女将たちまで!」
幽は床に膝をつき頭を下げる。若女将の雪女、雪は勇を睨む。
雪「大旦那様に頭も下げないなんて無礼な人間ね。礼儀も知らないのね」
縁「だから紅緒様には困るんだ。こんな人間など…」
その言葉は勇の胸を貫く。その心に傷を負わされた彼女は耐えきれない。
まだ幼い彼女に耐えきれることではない。用意された天津屋の離れの小屋。
こんな人間?確かに力も生きた時間も向こうのほうが上かも知れないが
それだけだ。威圧的な態度を取っている店主がいる店など今まで見たことが
ない。小屋の前で一人の男が倒れている。大きな黒い羽、山伏のような恰好。
天狗だ。彼を部屋の中に運んだ。彼はすぐ目を覚ます。
???「…ここは」
勇「大丈夫ですか?ここは私が住んでいる場所です」
彼に水を渡した。彼は水を飲み干し大きく息を吐いた。大天狗、かおる
彼女に感謝した。
薫「感謝するぞ竹取勇。再び竹取という名を聞けるとは思っていなかった」
勇「あの皆、祖父母のことを知ってるんですか?」
薫「あぁ。妖怪を恐れない奴らだったからなぁ…助けられたこともあったさ。
今みたいにな。お前…無理をしているな?」
薫は勇を指差す。朱色の瞳は光を放っている。
薫「顔を見れば分かるさ気持ちは…」

Re: 妖怪が集まる宿 ( No.3 )
日時: 2019/04/15 17:11
名前: 来海九重

勇は起こったことを話した。
薫「…そうか随分と忌み嫌われているようだな。まぁ安心しろよ天狗の長である
大天狗を助けた人間、良い話になりそうだ…この布団、わざわざ俺のために
敷いてくれたんだろう?礼儀がなっているじゃないか。その雪女の目は
節穴のようだな」
薫は笑った。勇も微笑む。翌日の朝、烈が駆け足でやってきた。彼に
連れられ宿に足を運ぶ。全員が待っていたように両側に並んでいる。奥では
天狗たちが横に並んでいた。彼らが両側に寄る。奥から姿を現したのは薫だ。
薫「昨日は世話になったな。酔いが酷くて誤って船から落ちちまってさぁ
そこをお前が助けてくれたんだよ…で、その礼」
薫は自らの翼から羽根を一つ彼女に渡した。
薫「団扇も渡してもいいんだがな…まぁそれで勘弁してくれよ」
周りがざわついている。綺麗な黒い羽根を優しく勇は持つ。
紅緒「大天狗の翼は他の天狗よりも大きい。その翼から抜けた羽根を
彼自ら渡された者は彼に気に入られたということさ」
紅緒は酒を飲みながら階段を降りゆっくり勇に歩み寄る。
紅緒「見てたぜぇ俺は…怒った天狗たちの元に駆け付けた時からな。確かに
大旦那である縁が来たのに頭を下げねえのは無礼、そうなんだろ?雪」
雪「はい仰る通りです。ここで一番力を持つのは大旦那ですから」
紅緒は目を細める。雪がぶるっと体を震わせる。
紅緒「従業員全員に言わせてもらう。悪いな薫、少し待っててくれ」
薫は黙って頷いた。笑顔が消え真顔になる。
紅緒「彼女はここに来た新米従業員だ。彼女が来た以上、お前らがやるべき
ことは一つ彼女をサポートすることだ。雪、縁、お前らはここの大旦那と
若女将、俺が抜擢したんだ。人間が嫌いだということは分かるがお前らは
一部の人間しか知らないんだよ。勇、こいつらのことも分かってやってくれ」
勇「はい大丈夫です!」
勇は返した。
紅緒「さぁお前ら、天狗様たちのお帰りだ」
天狗たちが次々と飛び去る。
薫「本当に世話になったな。また来るよ」

Re: 妖怪が集まる宿 ( No.4 )
日時: 2019/04/15 20:08
名前: 来海九重

若女将で雪女の雪、猫又の幽、九尾の烈、大旦那で鬼神の縁、同じく鬼神の
紅緒、そして常連客の大天狗の薫、そして新米従業員の人間の勇。薫以外は
全員天津屋で働いている。だが六人以外にも働いている人物はいる。
紅緒「よぉ見に来たぜ勇」
勇「紅緒さん!こんにちは」
紅緒「いやぁ時間が出来ちまってねぇ…雪に幽に烈、そして縁それ以外にも
紹介したい奴はいるからさ来な」
紅緒は勇の腕を掴んだ。紅緒は歩きながら大きな葉っぱを渡した。
紅緒「ついさっき大天狗の薫が来てね、それを勇に渡してくれって
頼まれたんだ。それは天狗の宝、大事にしておきな。あ、オイ」
のっぺらぼうの三人の女が振り向いた。
のっぺらぼう「まぁ紅緒様」
紅緒「悪いねぇ仕事を邪魔して」
のっぺらぼう「紅緒様に声を掛けられたら返すのは当然です」
紅緒「蓮は何処にいる」
のっぺらぼう「一階の受付でございます」
紅緒は彼女たちに感謝して勇を連れて階段を降りる。受付のカウンターでは
赤紫の長い髪を結んだ青年がいる。彼が蓮。
蓮「お前か竹取勇雄の孫ってのは…」
紅緒「あぁコイツは孫の勇だ。勇、コイツは土蜘蛛の蓮だ」
蓮は勇を睨む。
蓮「胸糞悪ィな…あんな奴の孫なんてイライラする」
蓮が片手を勇に向ける。瞬間何かが飛んできた。勇は目を伏せる。だが勇を
抱え紅緒は片手を何重にも巻かれる。土蜘蛛の糸。
蓮「丁度いいぜ、腕試しにはな!」
紅緒「俺にとっては準備運動にもならないがな」
紅緒は勇を放しもう片方の手で糸を掴み引きちぎった。
紅緒「勇だったら引きちぎれなかったがお前が俺を捕らえるなんて百年
早いぞ蓮!…あ、言い忘れてた。勇お前、縁の許嫁ってことになってるから」
勇「え…えぇ!?」
初耳だ。いつの間にそんな話が出ていたんだろうか…。夜になり勇は
紅緒に料理をふるまう。といっても簡単な物だが…。酒を飲みながら勇の
作った料理を食べる。
紅緒「美味いなぁ…宿屋の料理も悪くはねえがお前さんのは格別だねぇ」
勇「そう言ってもらえると嬉しいです。といってもまだまだですけど」
紅緒「これだけの腕があれば充分だろうよ。満腹になったことだし今日は
これでお暇する」
紅緒は席を立ち家を出ていった。


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