コメディ・ライト小説(新)

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花と太陽  遂に完結!!長らくお世話になりました。
日時: 2020/03/06 16:20
名前: 雪林檎 ◆iPZ3/IklKM
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12710

はじめまして、雪林檎ゆきりんごです!!
クイック、ありがとうございます。
初めて書くものです、よろしくお願いいたしますっ!!

ちょっと重いですが感動??青春ラブです。

他にも書いていますので未熟・駄作ではありますが読んで頂けると嬉しい限りでーす↓(≧▽≦)

『君を想い出すときには――。』

『君はかわいい女の子。』


※注意
一つ 雪林檎はバカで阿保です。

二つ 国語が得意なくせに文才0なので貴方様が理解できる場面が少ないです。

三つ 温かく見守っていただけると嬉しいです。

四つ 1週間に1度は更新できるように頑張ります。

五つ 荒らし、悪コメはごめんです。荒らし、悪コメする人は Go home!!


≪Prologue≫
 ―何のために強くなりたいの?
もう戸惑って、流されないため?
ううん、それもあるけど―
 
君に好きって伝えるため

Character >>1
Episode1 >>2
Episode2 >>3
Episode3 >>4
Episode4 >>5
Episode5 >>6
Episode6 >>7
Episode7 >>8
Episode8 >>9
Episode9 >>10
Episode10 >>11
Episode11 >>12
Episode12 >>13
Episode13 >>14
Episode14 >>15
Episode15 >>16

《作者、お知らせ。》 >>17

Episode16 >>18
Episode17 >>19 ←本編完結!!!


《 Epilogue 》

1、それぞれの道 >>20

2、HAPPYWEDDING >>21

乙女な苺と優しい桜 ~苺香と桜太編~

strawberryflower1、【苺の可愛い君。】>>22
strawberryflower2、【運命&好きって言わせる宣言。】>>23
strawberryflower3、【隣の部屋、愛の告白。】>>24
strawberryflower4、【イメチェン&大学デビュー。】>>25
strawberryflower5、【これからの私達、驚き。】>>26

≪作者、まだまだこれから。≫>>27

貴方に微笑む、運命の貴方に――――美麗編

ヤマザクラ、1【再会。】≫>>28

ヤマザクラ、2【予感。】≫>>29

ヤマザクラ、3【複雑な家の事情。】≫>>30

ヤマザクラ4、【大切な誕生会。】≫>>31

ヤマザクラ5、【家族という名の嘘。】≫>>33

ヤマザクラ6、【告白。】≫>>34

ヤマザクラ7、【会いたくて。】≫>>35

ヤマザクラ9、【願い事。】≫>>36

ヤマザクラ10、【おかえり。】≫>>37


○ これまでの花と太陽 ○

≪Episode1~本編完結までのあらすじ≫ 詳しいことは各お話を読んでください。

 高校一年生の高嶺 千雪は高嶺の花と崇められているハイスペック女子。そんな美少女だが幼い頃から一人で苦しんでいた。
そんな時、助けてくれたのは人気者の綾瀬 泰陽を始めとする個性豊かな男女だった。クラスの人たちとも打ち解け始めていつの間にか、友達になっていた。
 ある日、泰陽に恋していると自覚した千雪は気持ちを伝えることが出来ないでいた。
文化祭を機に心に思っていたことが泰陽に間違って「好きです。」と伝えてしまい、二人はギクシャクしてしまっていた。
泰陽とギクシャクしている時、藍に頬にキスをされ混乱……。
それでも、泰陽に対する気持ちは変わらなくて泰陽への想いを募らせていく千雪。
そんな中、泰陽から告白の返事をしたいと電話がかかってきて、不安がある反面希望が見えてきたように思える千雪はウキウキ気分に……。
ウキウキの気持ちを恐怖心に変えたのは突然、帰ってきた母だった。
千雪は恐怖心にのみこめられてしまい、学校を休むことに。皆が心配してくれているおかげで勇気が出て向き合うことを決心した千雪。
なのに―――――自分が怖く感じてもう、誰とも会えなくなってしまった千雪だが泰陽の言葉のおかげで勇気を出して母ともう一度向き合うことを決心した千雪。
母にはっきり伝えると母は千雪の事を平手打ちに!?そんな緊迫の時に兄、父が登場。
海外に行っていた離婚した父の登場に母は動揺し会いたかった気持ちと本当は新しい父親なんていない事を告げ、涙を流しながら謝り続け、互いの事を認め合い仲直りに成功っ!
二人は再婚を決め、家族全員で暮らすことになった、長らく続いていた孤独から解放された千雪は勇気を出すという事を心に決めるのです。
藍の事を気にしていた千雪ですが、藍は千雪の一途な気持ちに、「頑張れ」と背中を押してくれるのです。
千雪は泰陽に気持ちを伝えようと告白します。
すると、泰陽の答えは初めて会ったあの時からずっと好きです。と2人は付き合うことになりましたっ!!
幸せになった2人ですが、まだ紡がれていた他の人たちの恋物語が―――っ!?


≪strawberryflower1~本編完結までのあらすじ≫ 詳しいことは各お話を読んでください。

 奏 桜太と太田 苺香は卒業式の日、二人きりになります。苺香の言葉により桜太は心にあった気持ちを伝え、悪戯をしているような気分で自分はずっと前から苺香ちゃんの事が好きだと言います。
苺香は固まってしまいますが、これからの二人の大学生活はどうなるのでしょうか??
 春休みを迎え桜太は姪っ子 木春ちゃんの幼稚園へ迎えに行きます。苺香と会えたらなぁと思っていたらまさかの苺香と遭遇!!
驚くものの千雪や美麗が機転を利かせ二人きりに、そこで二人で話していく中また告白!!
好きって言わせる宣言をするも桜太は後悔……。
なんと!上京した二人の住む部屋はお隣で、、困惑する苺香。
その理由も聞くも渋々―――……そのことに関して桜太は悩んで“嫌ですか?”と聞くも反対だと、言い苺香は思い切って告白。
二人は付き合いますが、ひょんな事ですれ違いがあり距離を取るという別れるという選択に―……。
幸せに、、、過ごしていたはずが。


≪ヤマザクラ、1~4までのあらすじ≫ 詳しいことは各お話を読んでください。

 桜庭 美麗は、大学2年生になりました。ふと、隣に座っていた男が使っていた電子辞書を見ていると、男に声をかけられました。
その男は、一色グループの御曹司だったのです。皮肉屋でクールぶっている男に美麗は劣等感を抱きます。
ある日―――合コンに参加するという話が、美麗は乗り気ではなかったのですが無理矢理、参加させられてしまったのです。美麗はいろいろな男の人に話しかけられましたが乗り気ではかったので退屈でした。そんなときに気持ちが悪い人に絡まれてしまいます。
助けを求めようとしても口が開きません。そんな美麗を助けてくれたのは―――……後輩の笠寺 藍でした。
 藍は、美麗に付き合おうと言いますがただの冗談だと思い相手にしませんでした。しかし、そう解っているはずなのに胸がどきどきします。この感情は―――……?
藍と全はまさかの実の兄弟だった。蘭という二人の姉がやってきて一色家の事情を話します。そのことに対し、藍は焦りを感じます。
ある日、藍と美麗は喧嘩をしてしまいます。その事を謝りに行ったら、全と藍が口論している所
、目撃します。口論の元は、誕生会の事でした。
全の誕生会、藍は行きたくないと拒むが無理やり説得。
行くことになった二人だったが、何故が高級車が迎えに来たり、ドレスを着たり何かがおかしいと、
不安になる美麗。
訊いてみましたが頬膨らませている藍―――……一色家の誕生会はどういうものなのでしょう?
言い合いをし喧嘩別れしてしまった美麗と藍。
謝ろうと心に決める美麗ですが、藍は音信不通になってしまいます。
心配になり、聞き込みをしますが誰も居場所を知る人はいません。いなくなってしまった原因は私だと毒づいてしまいます。そんな美麗を見て、藍の実の兄、全はまさかの言葉を…………!!!
美麗は大学を卒業し、全と同じ病院に就職が決定しました。
そんな美麗は笠寺家が管理している神社へお願い事をしに―――。
医師になる美麗は病気の人を助けられますようにと願い、立ち去ろうとしましたがやっぱり、藍の事を願ってしまいます。
そんな自分に呆れて笑っていたその時―――……笑いを含んだ声がどこからか聞こえてきました。
その声の主に美麗は……!!


※本編が完結しましたが、まだまだ書きたいことが山々なのでこれからもよろしくお願いします。


【新しいキャラクターも続々登場中!!】



恋愛状況としては、


 泰陽❤千雪  泰陽と千雪は両思いだという事を気付き、恋人に!!

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Re: 花と太陽 ( No.34 )
日時: 2020/03/06 16:21
名前: 雪林檎 ◆iPZ3/IklKM
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

ヤマザクラ6、【告白。】

明日、笠寺に会ったら謝ろう。
私は、スマホを握りしめてそう、決めた。
謝って、普通に話そう。
大丈夫。笠寺はきっと、いつもみたいに、「気にしていませんよ。」って、笑ってくれる。

そう自分に言い聞かせたけれど。
私は知っていた。
「普通」は、容易く壊れてしまう事を。

次の日から―――笠寺は、大学に来なくなった。

***

「ごめん、桜庭さん。やっぱ藍から、何の連絡もないんだよね。」
二階に上がる階段の途中に座り、蘭さんはドーナツを口に入れながら蘭さんは困ったように眉を寄せた。
「………そうですか。」
私は俯く。
「最初の日に、一度だけ電話がかかってきて、しばらく家を空ける、って言ったきり、何度電話しても出ないんだ。」
どこかで元気ではいると思うんだけどね、と、蘭さんは笑う。
「もし藍から電話があったら、桜庭さんとこにも連絡するように言うからね。」
「―――……よろしくお願いします。」
そう言って頭を下げて、私はその場を立ち去った。
階段を下りて、大学を出る。
良く晴れて、白い雲がほわッと浮かんでいた。
笠寺の行方は知らないかと、一色君にも聞いてみたが、やはり心当たりはないという。父親がカンカンで、一色君はそれをなだめるのが大変らしい。
やっぱり、きっと、原因は私なんだろう。
だって、あの時、笠寺は見たことのない顔をしていた。
解らない。どうして自分があんなことを言ってしまったのか。
でも――――謝ることも出来ないだ、なんて酷いよ。

***

それからも、毎日、私は一年の教室を覗きに行った。
けれど、一番後ろの窓側の席は、いつも空っぽだった。
図書館の日の当たる席にも。
よく一緒に食べに行ったカフェの席にも、神社の前にも。
笠寺の姿は見つからなかった。

***

「藍に捨てられた奴、見っけ。」
バス停のベンチで、パンをかじっていた私は、そう声を掛けられて顔を上げた。
一色君がニヤッと笑って立っていた。彼も大きなバッグを背負って、片手に缶コーヒーを持っていた。
「久しぶり。」
そう言われ、
「久しぶり……二週間ぶりね。」
そう微笑んで見せると、缶コーヒーを渡してくる。
ありがとう、と言うと彼は、隣に腰を下ろした。
「藍と何があった?パーティの時は、仲良く手つないで逃げて行ったのに、藍が音信不通とかあの後大変だったんだけどさ。」
「…………。」
缶コーヒーのブルタブを開けて怒ったように言う。
「いきなり―――……あんなパーティ見せられてびっくりしたの、笠寺まで世界が違うって思って。でも。」
解らない、と私は顔を覆った。
「自分の気持ちが…………笠寺にあんなことを。」
本当に何言ったんだよ、と彼は苦笑する。
「―――……何が解らないのか聞いてあげてもいいけど。」
肩すくめながら言う。
「ありがと。」
それから、私は素直に頭を下げた。
「まあ、平たく言うと…………私と笠寺は同じ穴の狢だとどこかで思っていたところに、そうでもなかったから逆ギレしてしまったわけなんだけでも。」
「ん、よく解らないがひでーな。」
「うん。自分でもそう思って深く反省してる。」
笠寺に私の気持ちは解らないよ、と、あの時、私は笠寺に言った。
そして、『じゃあ、先輩に俺の気持ちは解るんですかっ?!』と返された。
そう言われてはじめてわかる、その言葉の不毛さ、
解ってほしいから、そういう努力をすべきだったのに。
「私は、自分の苛立ちを笠寺にぶつけてしまったの。私は―――……。」
仕事で忙しい父と母に、自分は愛されているのか、と聞くのが怖かった。
だから、黙って勉強をして自分の容姿にこだわってた。
そうすれば、父も母も私を褒めて可愛いって言ってくれるって信じていた。
でもそれは、ある意味逃げだった。
やればやるだけ結果が出る勉強と可愛いの言葉に執着することで、自分の本当の気持ちから目を背けていた。
寂しいと言ってもよかった。遊びたいって言っても良かった。
母に、父に、訴えても良かった。
「私は自分の気持ちを誰かに伝えようとしたことがない。だから、どうすればいいかも解らない。」
あの時も、もっとちゃんと、笠寺の言葉を聞けば良かった。
笠寺の顔を見れば良かった―――……。
「…………。」
一色君は、しばらくの間、何かを迷うように私を見つめていたが、やがて口を開いた。
「……あのさ、きっとあんたは俺とのほうが合ってるよ。」
「?」
私が意味が解らずに戸惑っていると、一色君は、急に居住まいを正した。


「俺と付き合わねぇか、桜庭サン。」


「…………ぇ?」
理解するのにしばらくかかった。
付き合う?付き合うって??
「―――……貴方、いつから私の事をそんな目で。」
「人を変質者みたいに言うなッ!!」
一色君は顔をしかめた。そして、いつものように皮肉めいた笑みを浮かべた。
「今はどうってことなくても、これからあんたに好きになってもらう自信はある。」
「…………何の冗談を。」
「少なくとも、俺なら、あんたに無駄な不安も迷いも与えないね。」
一色君はにやりと笑うと立ち上がり、手を振って歩きだす。
「いいか、桜庭サン。人の気持ちは簡単に変わるんだよ。」
「…………。」
何と言っていいか解らず、私は立ち尽くした。

Re: 花と太陽 ( No.35 )
日時: 2020/03/06 16:23
名前: 雪林檎 ◆iPZ3/IklKM
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

ヤマザクラ7、【会いたくて。】

何の答えも出ないまま、時は容赦なく流れ、季節は淡々とめぐる。
笠寺のいない日常が、静かに積み重なっていく。

夏休みには、みんなで遊んだ。かき氷も、スイカわりもした。
ハロウィンも盛り上がった。
クリスマス会もした。
バレンタインにはみんなでチョコレートを交換した。
皆が私の誕生日を祝ってくれた。

千雪と苺香と、泰陽君に奏君と千雪のお兄さんと。
一色君と、上杉、佐藤、春田の三人組に雛絵、翔平君。
いつものカフェには、いつもの仲間たちが居た。
ただ、いないのは笠寺だけだった。



私は、大学の歩道橋を通る度に、笠寺の事を思い出す。
街の雑踏の中に。図書館の片隅に。神社の階段。
いつもいつも、笠寺の姿を捜してしまう。

やがて私は大学を卒業する年になり、千雪たちは大学三年生になった。
それでも、笠寺は帰ってこなかった。


ヤマザクラ8、【好き。】

家路に桜が舞い散る度に、笠寺の姿が、鮮明に蘇って来る。
久しぶりに会った笠寺の姿。手を引いてくれた姿。
失恋した私を受け止めてくれた高校生だった君。
付き合おう、好きだ、って言ってくれた表情。
何もかも思い出す。
「…………ッ!」
黒いスーツを着た私は道にしゃがみ込む。
うぅ、と、私は呻いた。
笠寺が居なくなってから、初めて、私は泣いた。
ぽたぽたと涙をこぼし、しゃくりあげながら、覆っていた顔を上げる。
会いたい。
笠寺とただ会って話したい。
私の頬を、後から後から涙が伝っていた。

****

再び泣き止んで、ようやく家に一歩一歩踏み出してドアを開けようとすると、そこには意外な人が待っていた。
「よう。卒業おめでと。」
一色君である。
「…………あり、、がと。」
私は、まだ顔に涙の跡が残っていないか、目の周りは赤く腫れていないか気にしながら、そっと彼の前に立った。
一色君はまだ、黒いスーツのままだった。
――――卒業式が終わって、すぐ来てくれたのかな。
「今日はわざわざ来てくれたの、卒業式でお互い、バタバタしてたはずなんだけど。」
お互い、第一志望だった同じ大学病院に勤めることが出来る事になったので申請や車の免許習得などなど大変だった。
「…………わざわざ来てやったのはあんたが、返事を引き延ばしているからだろ。」
一色君は顔をしかめながら言った。
「返事…返事、って。」
そうだった。私はやっと思い出す。
笠寺がいなくなってすぐ――――……付き合ってくれ、と言われた。
「本気だったんだ?あれから何も言ってこなかったから、冗談だったのかと思ってた。」
そういうと、はぁ……と溜め息を吐き呆れた顔で笑う。
「そんな事だろうと思ってた。」
一色君はうんざりしたように顔を覆った。
「最初は、藍が好きな女なんだって思って、ただの好奇心というか…………からかってみようかと。でもだんだんあんたの………くそ、めんどくせぇな!!」
めんどうくさそうに舌打ちし、それから、私を真っ直ぐに見つめた。

「好きだ。」

私は目を見張った。
カッッと、頭に、顔に血が上る。
「わ、私の、どこが??!」
「この期に及んで面接かよッ!!」
一色君は怒ったように言ったが、溜め息を吐いてゆっくりと口を開いた。
「…………素直なとこ。意地っ張りで気が強くて、バカ正直なとこ。俺と違って、思った事は、はっきり口にしたり、いつでも積極的で前を向いて一生懸命に考えて投げ出さないところだよ。」
はあ、と、また溜め息を吐いて、目を逸らす。
私は、改めてそんな彼を見た。
笠寺と似て色素の薄いサラサラの髪。
切れ長の目、ちょっと意地悪そうな口元。
皮肉屋で、クールぶっているけれど、方向音痴。
世界的な大財閥一色グループ&大学病院の跡取り息子、御曹司。でも意外と努力家で優しくて弟思いで。
出会った時の事が蘇ってきた。
電子辞書をあげると言って額の高さまで上げた幼稚園児みたいな意地悪。
合コンで私が行くならと言った自分勝手さ。
それでも、知らないまま笠寺と一色家と関わる機会をつくった性格の持ち主。
どれも思い返せばクスリ、と笑ってしまうような出来事だった。
心の中で笑いながら、一色君に対する感情のタンスをさがしてみた。
そこには――――……。

「………私、いつも一色君に助けられていたと思う。」

私は、ゆっくりと、顔を上げ彼の顔を見ながら言った。
「貴方といると、穏やかでいつもの自分で居られる。それがとても心地が良かった。」
授業でいつも机を並べて勉強した。
参考書を貸し借りしたり、面接の練習をしたり。
「それに引きかえて、笠寺といると………心底疲れる。怒ったり、驚いたり、泣いたり、笑ったり、予想を超えることばかりで。」
私は自然に表情が緩んでいた。
笠寺を思い出すと心が温かくなる。
「でも。」
一色君の息を呑む音が聞こえる。

「でも、楽しい。」

私はキッパリと言った。
「今でも、いつも、藍の事考えるだけで楽しい。自分にこんな面があったのか、とか感情があるんだ、とかって……!」
ニコニコ穏やかに笑う笠寺。無口になって怒って、急に謝ってきて、動揺した顔になって。
「一色君は前に言った。人の気持ちは簡単に変わるって。そうなのかもしれない、でもいいの。楽しいから、笠寺といると心が温かくなるから。」
だから、と私は続けて言った。
「ごめんなさい。―――……一色君とは付き合えない。」
一色君はまた溜め息を吐いた。
そして、いきなり、私の事を強引に抱き寄せた。
「ちょ、ちょっと!!今の話聞いてた?!」
慌てる私を強く抱きしめながら耳元で囁く。
「そういうところが好きなんだよなぁ…………。」
涙声の彼に私は目を丸くする。

「――――後悔すんなよ。」

そう言うと、パッと私を離し、ニッと笑う。
さっきの涙声の彼とは想像がつかない、いつもの一色君だった。ちょっと意地悪で自信家の。
「俺ほどの男はお前の目の前にもう、一生現れねぇぞ。」
私はその言葉に、思わず笑ってしまった。
一色君はキザったらしく、くるり、と背を向けてスタスタ歩み去っていった。
真っ直ぐ前を向いて。

Re: 花と太陽 ( No.36 )
日時: 2020/03/06 16:23
名前: 雪林檎 ◆iPZ3/IklKM
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

ヤマザクラ9、【願い事。】

 パン、パン!!
静かな神社の前に手を鳴らす音が響く。
“一人でも多くの命が助けられますように。”
そう美麗は願い、立ち去ろうとしたその瞬間、思い出したかのように手を合わす。
“笠寺ともう一回、会えますように!”
こんな願いことしたことない美麗はフッと恥ずかしそうに笑って言う。
「まあ、こんな願い事。叶うはずないよね…………。」
下心丸見えだし、と心の中で思い、長い階段を降りようとする。
スーツを着込んだ美麗は社に向かって一礼する。
すると、どこからか、少し笑いを含んだ声がかかった。
「――――何を願ったんですか?」
「!」
聞き覚えのある声に、美麗は息を呑んだ。
前を振り向くと、誰かが美麗に向けて穏やかに微笑んでいた。
ワイシャツとカーデガンを羽織った、青年。
「久しぶり、桜庭先ー生。」
美麗は目を見開く。
頬には涙が伝っていた――――……。

Re: 花と太陽 ( No.37 )
日時: 2020/03/06 16:24
名前: 雪林檎 ◆iPZ3/IklKM
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

ヤマザクラ10、【おかえり。】

「久しぶり、桜庭先ー生。」
それは――――笠寺だった。

****

私は、肩から下げていたバッグを置いて、ゆっくりと彼の前に歩いた。。
何と言っていいか解らなくなっていた。
「これ、先輩に。」
笠寺は手に持っていたビニール袋を私に手渡す。
その袋の中には、クロワッサンとコーヒーが入っていた。
「何…………これ。相変わらず、唐突で突拍子もない。」
私は、奮える声を抑える。
「こんな風に突然帰ってこられても…………嬉しすぎて、反応に困るんだけど。」
笠寺はフッと微笑んで私の手を掴んで握る。
以前よりなんだか、手が大きくなってゴツゴツしていた。
「どこに、行ってたのよ…?」
そう訊ねてみると笠寺は溜め息を吐く。
「俺を遠ざけて…………あの時、どこか遠くに行きたくなってフラフラ歩いていたら、雨宮さんが。」
「――――雨宮さん?」
「パーティから帰るところで。俺を見つけて、車で近寄ってきて……。」
思い出した。あのパーティの時、笠寺に声をかけてきた研究者みたいな人。
「行くところがないなら一緒に来ないか、って気が付いたら車に乗ってて。もう、どうでもいいやって。」
そしてそのまま、アラバマに、と、笠寺は言った。
「アラバマ…………ってアメリカの?」
「そうです――――メキシコ湾で雨宮さんの研究を手伝っていて毎日魚採ったり、くじらやシャチの写真撮ったり………海、嫌いなんで最悪でした。」
笠寺のゲッソリした顔を見て私は噴き出しそうになった。
「そのうち、何もかも、どうでもよくなって…………帰らなくてもって。でも海で働いているうちに俺に雨宮さんは海の研究をしていたら君の体が壊れてしまうだとか急に言ってきて…………。」
「?」
「桜の研究をしなさいって言ってきて桜を見たんです。」
「???」
「その結果、桜の原種は緑色だったらしくて葉っぱが花に変化した…………違う、ヤマザクラを見て思いだしたんです。先輩の事。」
お互いを思い出した理由が同じ桜絡みだったことに驚いて言おうとするが、言葉にならなかった。
笠寺と私の表情は緩んで、緊張していた心は温かくなっていた。
「あの時、先輩が俺に言ってくれたこと、思い出して―――。」
「私が、言ったこと………?」
「『その人の気持ちを解らないで逃げるなんて!』って。」
笠寺は、クシャっと眩しく笑った。
「それから、考えた。全が俺の事を今まで家出した時からも大切に想ってくれてたんだって帰ってきたとき、全は泣いて……。」

「良かった、無事で良かった、って言ってくれたんだ。だから、気付かせてくれてありがとう。」

笠寺は涙を浮かべながらじっと私を見つめた。
「先輩と出会って、俺という人間を見つめることが出来て逃げていた気持ちにも真っ直ぐになれた。」
「…………ッ。」
私は、口に手を添えた。
「やっぱり、先輩に会いたい、と思った。先輩以外はいらない、って。だから、帰ってきた。」
私の目から、涙が溢れ出した。
「わ、私も――――色んなものに、一生懸命に手を伸ばしてきた……でも。」
でも、もう何もいらない、と私は呟いた。
笠寺は立ち上がり、両手を広げる。
「ただいま、先輩!!会いたかった!!!!」
私も、真っ直ぐにその胸に飛び込んでいく。
「おかえり、笠寺ッ!!」

「……敬語抜きで美麗って呼んでよ、どうせなんだから。」
「じゃあ俺の事も、藍って呼んでくだ……くれよ。」

二人は桜の道を手を強く握りしめて歩いていく。

そうして。
ずっと空っぽだった、満たされないかった二人の胸はようやく、愛する気持ちによって満たされたのだった。
  
                                              fin      



Re: 花と太陽 ( No.41 )
日時: 2020/02/28 16:14
名前: 雪林檎 ◆iPZ3/IklKM
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

作者 雑談

いや~美麗編、遂に完結!!
全がイケメンでしたね……。((ノェ`*)っ))タシタシ

推し君ですよ。


『花と太陽。』はこれにて終了となりますが誰が貴方様の推しですか?
地獄のような生活からの幸せな恋愛……などなど。
どの恋が一番お気に入りですか?
私は、やっぱり、美麗さんの恋ですかね。


さて、それでは、また貴方様に別の小説で会えますように。


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