ダーク・ファンタジー小説

嫌いだ【作者より】
日時: 2019/03/14 22:11
名前: riyal

嫌いな人。
恨んでる人。
許せない人。

じゃあ。

殺っちゃえばいいんじゃない?

『あたし、君みたいな奴って』

冷たく嗤ってさ。

『嫌いだ』
***
はい。riyalです。
スレを立てるのは初めてです…!
なので初心者を見る目で見てくださると嬉しいです←

それでは。

目次 >>2
歳を食った作者より >>104

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Re: 嫌いだ【Remake】 ( No.100 )
日時: 2016/04/11 22:09
名前: riyal

第49話 当たり前だよ

『ん、何?サン』
「なに、じゃないよ。住むってどういうこと?家?」
『どういうことも何も、こういうことだよ』
「いやそうじゃなくて...何で?」
『だってサン、ひとりでしょ?』
「今までだってそうだったけど」
『そう、だから一緒に住む!』
「.........」

意味わからない...。
更にルキちゃんに詰め寄り、問う。

「何でそうなったの?これまでそんなこと言わなかったのに」
『ファルル?だっけ、その子がいたから大丈夫かなって思ったんだけど、そいつがあーなっちゃったからね』

あーなっちゃった、と言って向こうを見やるルキちゃん。勿論視線の先には肉片が転がっていた。

「それで...住むって...」
『だから、ハルレがね?特技使って家買ってきてくれるっていうから、じゃあ合わせてサンも一緒に住んじゃえばいいじゃん!っていうこと』
「...ハルレさんは?」
『え?勿論いるけど』
「やだ」

弟を捨てたんだ。
あの人は、ボクを捨てたんだから。
一緒にいられるわけ、ないじゃないか。

たとえボクが願ったとしても、受け容れてくれるわけがない。

『何で?いいじゃん、サンは一緒に住みたくないの?』
「住みたくない」

だから、例えば嘘をついても。

『んー、それが何で?』
「当たり前だよ」

心を騙しても。

『それは、ハルレがサンよりあたしを取ったから?』
「...そう、だよ」

傷を抉られても。

拒否される前に拒否しなければ、また傷ついてしまう。
大きな傷がつく前に、小さな傷をつけて、傷が大きくつかないようにしないといけない。

「だからルキちゃん。...その、一緒に住むって話、無かったことにして。ボク、...ハルレさんと、会いたくないし」

そう言って、背を向けて歩き出す。
なんとなく、顔を見られたくなかった。
顔を見せて、話すことができなかった。

一緒にいなくていいよ、姉ちゃんはもう消えたんだよ―――

『嘘』

かつてなく暗い、なのにすごく柔らかいトーンの声と共に、がしっと手首をつかまれ引き戻される。

『泣いてるよ』

「―――っ」

言われて確認してみれば、頬を伝う温かい水。
それが目から零れ落ちるものだと気づいたら、顔を手で覆わずにはいられなかった。

『ねえ、サン。...ハルレはさ、サンを捨てたのかな』
「...当たり前だよ」
『ハルレは、サンのこと、嫌いなのかな』
「当たり前だよ」
『ハルレは、弟より、お金を取ったのかな』
「当たり前だよっ!!」

『サンは、ハルレのこと、嫌いなのかな』
「...あたり...まえ、だ...よ...っ」

涙でぐしゃぐしゃになっていく視界の中で、ルキちゃんの言葉を反芻する。...ボクは、ハルレさんのこと...。

「...あ...ルキちゃん」

Re: 嫌いだ【100レス突破感謝です!】 ( No.101 )
日時: 2016/04/12 21:36
名前: riyal

第50話 未熟な先生は手探りで

『なに?』
「えっと...ボク、は...」
『うん』

サンが、話そうとしてる。
あたしに、話そうとしてる。

何を話そうとしてるかはわからない。
何で話そうとしてるかもわからない。
何で、サンがこんなに、顔を涙でぐしゃぐしゃにしながら、あたしに何かを話そうとしてくれてるのか、わからない。

けど...、

「ハルレさんは、嫌い」
『そうなの?』

サンが嘘を言ってるか、本当のことを言ってるかはわかって。

「でも、姉ちゃんは...好き」
『.........そっか』

だから今、サンが言ったことが、さっきとは違って本当のことだっていうのは、わかって。

...けど、

「だから、今は...無理」
『何で?』

サンが言ったことの違いは、なんだかやっぱりわからなくて。
ハルレとサンのお姉ちゃんは同じじゃないの?

「あれは、姉ちゃんじゃない。あれは、ハルレさん、だから」
『...ハルレは、サンのお姉ちゃんでしょ?』
「うん」

...やっぱり、わかんない。
わかんないよ。

けど。

「アレは、姉ちゃんじゃない。ハルレさん。怪盗になった、ハルレさん」

サンが、そんな苦しそうな顔をしてるときには助けてあげるのが、あたしの『恩返し』だっていうのは、知ってるから。

『...そう、なのかな』
「そうだよ」
『ハルレは、ハルレだよ』
「っ...そんなの、わかってるけどっ」
『だから、ハルレは、やっぱりサンの、お姉ちゃんなんだよ』

「っ...」

だから、サンが、少しでも苦しくないようにしなきゃ。
あたしに何か話してすっきりするなら、それでいい。
けど、話してることの中に何か引っ掛かることがあれば、それを取ってあげないと。
さながら、棘を引き抜くようにすっきりと。
さながら、冷えた手を温めるように優しく。

『ねえ、サン』
「...何?」
『サンは、どうしたいの?』
「.........」

サンを邪魔するものは、すべて取り払ってあげないと。
それが何であっても、例えば、人であっても。

サンが本当に出した答えに、あたしは何も言わない。

「ボク、は」
『うん』
「姉ちゃんと、一緒に...いたい」
『うんっ』

...サンが何を思ってその答えにたどり着いたかはわからなくても。
サンがその答えにたどり着くのが正解だっていうのは、わかる。

だから。
正解を出したら、マルをあげないとね?

『よしサン、まずはハルレと話をつけに行くよぉー!』
「...うんっ」

さながら、赤ペンで大きなマルをつけるように―――その答えを認めて、肯定するために、行動しないとね。

Re: 嫌いだ【第50話到達感謝です!】 ( No.102 )
日時: 2016/04/29 19:33
名前: riyal

第51話 断固拒否

「説明してください」

目の前にいるのは、少年。
紛うかたなき、私の弟である。

「何で...何でこの子がここにいるんですか」

なんとなく名前を呼びたくなくて、この子なんて言ってしまった。違和感がすごい。
それはともかく、と、ルキちゃんに目を向ける。が。

『何でって、一緒に住むからだよー』
「何でそうなったかを聞いてるんですよ!」

ルキちゃんは『何を当然のことを』とでも言わんばかりの顔で答えてきた。そんなに間の抜けた顔で言われると、私が何か間違ってることを言っているのかと錯覚するけど、その後ろにいるウキさんの呆れた顔を見て、やはり私は間違っていないと思いなおす。

「そもそも、ウキさんは、アキ?さんと住むって言ってました」
『あ、亜樹には断られたからさ。だから代わりにサン誘った』
「...嘘言いますね。最初からそのアキさんに断られる前提で、流れで、その子を誘ってきたんでしょう」
『まさかぁー、そんな頭いいことできないって』

よく言うわ...と言いかけて飲み込む。
ルキちゃんの頭の良さはよく知っている。その狡猾さも、大事な問題を軽々しく扱うその神経も、知っている。

『ていうかハルレ、その子なんて呼び方せずに、ちゃんとサンって呼んであげてよ』

ビクッ。
これまでずっとおとなしくしてきた少年の肩が跳ねた。

『ねえ?サン』
「.........」

例の如く、少年は何もしゃべらない。
仕方がない、だってそういう病気かなにかなのだ。弟だと知る前から、ルキちゃんにそれは聞かされている。もっとも、私の知る弟はちゃんと喋っていたから、何かがあったとしか思えないのだけど。

「認めません。だってそんなの、非効率的でしょう」
『何が?』
「その子、ちゃんと自分で生活していたんでしょう?だったら別に金銭的な問題は無いわけですし、私たちが関わらなくてもいいでしょう。余計な誰かがいたら生活費もかさみますし」

余計な、というのを無意識に強調してしまった。これくらい言わないと説得はできない。

そもそもルキちゃん、わかっているのだろうか?
私たちが関われば、少なからずこの少年を傷つけることを―――それは殺し屋や盗み屋をやっている上では仕方のないことだと。

なのに、この少女は―――

Re: 嫌いだ【第50話到達感謝です!】 ( No.103 )
日時: 2016/05/23 16:46
名前: riyal

第52話 何が言いたいんだ

『生活費なんてどうにでもなるでしょー、ハルレの腕はかなりのものだって知ってるよ。それに、自力で生活するためのお金だってさ、それが今まであったなら、こっちに越してからも使えるでしょ?』

紛うことなき正論であった。
ルキちゃんは冷徹にもそう告げていた。
ハルレが苦虫を噛み潰したような顔で聞いていた。

なんか他人事みたいな風に見てしまうのは、なんとなく自分が蚊帳の外な気がするからだろうか?
それすらも、なんだかふわふわして落ち着かない思考に消える。
そんなもやもやした感覚は、ルキちゃんの一言で掻き消された。

『ねー、そう思うよね?ウキ』
「...」

はぁ、とひとつため息をつき、改めてルキちゃんを見た。
子どものような顔でこっちを見てくる、濁りきった瞳。
...仕方ないか。

「まあ...ウチの希望を言うなら、そりゃあ一緒に住んだ方がいいだろうけど。その方がサンも安全だろうし、サンに何かあっても後悔しないだろうしさ。ウチから言えることはそんなもんだよ、最後何を決めるかはハルレが勝手にするべきだ」

思ったより長々と喋ってしまった。
こうしてルキちゃんに加担したのは、ウチがルキちゃんの考え方のほうに共感したからだし、それが正しいとは限らない。だからって何が正しいとかウチにはわからない。
そして、行き過ぎた言論は正論であっても暴論で、ただの押し付けと化す。

つまり、

『なんかウキらしい意見だよね?だってさー、ハルレ、だからほら住もうよ一緒に!』

ウチの言葉で勢いづいたルキちゃんが、

「.........」

今にも泣きそうなハルレに気づいていないことが、

「.........」

同じく泣きそうなサンにも気づかずに暴走していることが、

『ね?ウキもそう思うでしょ!』
「―――」

―――暴論なのだと―――

ひとりでルキちゃんがにこにこしているのを見て、本当にこの姉は...と呆れた。
誰が爆発するかわからない。勿論ウチだって爆発するか知れない。

だから、安全牌と言ってはなんだけど...

「それはまたの機会に話すとして。今日はもう帰ったら?サン...いや、もう遅いから泊まってくか。じゃあ先に風呂入って、疲れてるだろ」

こんな風にフォローに回ってる自分に吐き気がした。

Re: 嫌いだ【再会】 ( No.104 )
日時: 2019/03/14 22:07
名前: riyal

いやー……久しぶりに読み返しにきました、歳食ったriyalです。
さすがにまだ私も幼かったので、表現や文章が拙いですね。ちょっと恥ずかしい。でもこの話は大好きなので、こうして読み返しにきてしまいました。52話は素直に好きです。自分で書いておきながら。

ところでriyal、まだ物書きをやっています。この頃よりは、少しは上手くなれたかなと思っています。
私はまた、別のどこかでこれを作り直し、完結まで持っていこうと思っています。まだ出せてないオリキャラを提供してくださった親御さんには申し訳ありませんが、おそらく、もう出ないかと。もはやその親御さんがこのサイトを見ているかもわかりませんが、一応伝えておきます。
どこかで、『嫌いだ』という題名を見かけたら、ああ、アレだとでも思って、ちらりと読んでくだされば幸いです。
このスレッドを使うことはおそらくないでしょう。ないでしょうが、読み返すために残しておきます。
では、この話を読んでくださっていた方が、また私を見つけてくれることを願って。

riyal

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