ダーク・ファンタジー小説

ショタくんの反撃!【完結】
日時: 2019/01/05 23:01
名前: 立花 ◆FaxflHSkao




 可愛くて、可愛すぎて、あの頃天使だったショタくんは、
 成長した姿で言うのです。「もう、俺は子供じゃない!」と。










「 お客様 」


 すーぱーうるとらすぺしゃるさんくす!!!!!!!!!!!!!!(意味不明)
 コメントありがとうございます。励みになります。
 読んでくださる皆様もありがとうございます。もしよろしければ、もう暫くお付き合いくださいませ。

■電波 様
□小夜 鳴子 様






藍色の宝石 【中編集】/5作品目

(1作品目)優しい蝉が死んだ夏 >>003
(2作品目) 深青ちゃんは憂鬱だ。 >>029

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16



恋のつまった砂糖菓子 ( No.57 )
日時: 2018/07/26 14:54
名前: 立花 ◆FaxflHSkao




 それはとっても甘くて、ときどき吐いてしまいそうなくらい。

 それはとっても苦くて、ときどき泣いてしまいそうなくらい。



 「 恋のつまった砂糖菓子 」


 1 好きって言ってもいいですか
 2 落ちた氷はまだ溶けない
 

1 ( No.58 )
日時: 2018/04/12 21:10
名前: 立花 ◆FaxflHSkao

 放課後の校舎の響く楽器の音。オレンジ色の夕日が窓から差し込み、光で金色の楽器がキラキラと輝いて見える。リードをマウスピースにつけて、ゆっくり息を流し込む。テナーサックスは優しい音を響かせた。


 「どしたの、窓ばっか見て」
 「ふぇ、ああ、いやなんでもない」
 「何でもなくはないでしょう。どうせ綾瀬のこと見てたんでしょ」 
 「ち、ちがう、ちがうもん!」

 アルトサックスの手入れ中の友達がにやにやしながら声をかけてきた。私はどぎまぎしながら、楽譜に目を落として誤魔化す。見てない、見てない。わたしは綾瀬君のことなんか見てない。心に何度も言い聞かせ、ごほんとわざとらしい咳ばらいを一つして、また楽器を吹き始める。

 「あんた好きすぎでしょ。もう告白すればぁ? どうせ両想いだって。あいつと仲いいの楓ぐらいだし」
 「で、でもぉ」

 自然と楽器を離し、私は大きなため息をついてしまう。恋になると奥手だよね、楓って。友達は呆れたように頭の後ろをかいてまた楽器を吹き始めた。苦手だと言ってた連符がすらすらと吹けるようになっているのに気づいて、ああ負けたくないと思った。

 私には好きな人がいる。同じクラスの男の子でサッカー部に所属している、名前は綾瀬純平くん。明るくて爽やかで、誰にだって分け隔てなく優しい彼に惹かれているのはきっと私だけではなく、彼がほかのクラスの女の子から告白されているのだって知っているし、だからこそ自分が付き合えるなんてどうしても思えなかった。
 話すようになったきっかけは、クラス委員。吹奏楽部で部長を務める私に委員長を任せようというのは、クラス全員の総意らしく、断りたくても断れなかった。ただ副委員長である綾瀬くんがいろいろサポートしてくれて、今までみたいに「いやだな」と思うことは少なくなった。

 「あんた、頑張りすぎだろ。ちょっとは人に頼ればいいのに」


 重たい資料運びを何も言わず代わってくれた綾瀬くんがすたすたと歩いていくのに私は何も言えず立ち尽くしてしまったことがある。うまく言えないけれど、今までこんなことは一回もなかったから。楓は何でも一人でできるでしょって、勝手に決められてそれが当然になってたから。綾瀬くんの何気ない優しさにうっかりときめいてしまったのだ。


 好きと気づいた時にはもう遅かった。彼の顔を見るたびに顔が火照ってうまく話せない。心臓がバクバク音を立てて呼吸がくるしくなる。でも、彼を見つめずにはいられない。
 放課後、校舎の中から彼の姿を探してしまうのが癖になってしまった。ああ、好きだよ。大好きだよ。いつか言葉にできたらいいのに。
 教本の中に入っているラブソングを吹きながら、私は今日も彼のことを只管に想う。どうにもならないこの感情をいつか伝えられたらいいな、そんな幸せなことを考える。夕日は落ちて、きっと私は何も知らないまま君を想い続けるのだろう。



 「 小波楓 “ 好きって言ってもいいですか ” 」

2 ( No.59 )
日時: 2018/04/12 22:42
名前: 立花 ◆FaxflHSkao

 「君はまだ恋を知らないのね」とあの人は笑って俺の頭を撫でた。真っ黒なランドセルを背負った俺は、セーラー服のこの人が泣いてるのをただ見ていた。

 「くん、――綾瀬くん」

 ぼおっとしていたのか上から降ってきた声に気づいた瞬間、俺の体はぶるっと震え、まるでよく夢で見る降下の感覚に陥った。俺の顔を心配そうにのぞき込む委員長は、大丈夫と声をかけて不安そうにこちらをじいっと見つめていた。


 「あ、んん。ごめん、ちょっと寝てた」
 「そっか。本当に具合悪くなったら保健室行ったほうがいいよ。最近、綾瀬くん調子悪そうだし、心配」
 「そう? おれはだいじょうぶだよ。ほら、見ての通りめちゃくちゃ元気」

 数学の宿題であるノートの提出を促しに来た委員長にノートを渡し、ジュースを買いに教室を出た。自動販売機の前までに来て、何を飲もうか考えつつ、財布から小銭を取り出す。ふいに目に入ったレモンティが、なぜか好きなわけではなかったのに唐突に飲みたくなった。あの人が良く飲んでいたレモンティ。

 「俺、飲めないのに」

 レモンティを初めて飲んだのは、小学五年生の夏。あの人がおいしいよ、と言って飲みかけのペットボトルを俺に渡してきたのがきっかけだった。間接キスだとおもったけれど、何の意識もしてない彼女に俺は何か言うこともできず、黙ってレモンティを飲んだ。甘ったるい、まるで彼女のようだった。

 ***

 「おっかえりぃ、純平っ」

 玄関を開けると、ばっちりお洒落をした彼女が、にこやかな笑顔で出迎えてきた。彼女――沙織さんは俺を見るなり、可愛いワンピースを自慢するようにくるりと一回転してスカートを翻して見せた。

 「なに、兄貴とどっかでかけるの?」
 「そう、珍しく帰ってくるから一緒にご飯食べに行くことになったの」
 「ふうん。兄貴、いつまでこっちにいんの?」
 「明後日かなぁ。あ、もしかして純平も一緒にご飯行きたかったぁ? ごめんごめん、明日一緒に行こうねぇ」
 「いや、いいよ。俺、寝るから」

 沙織さんの嬉しそうな表情を見たくなくて、俺はすぐに階段を上って部屋に閉じこもった。幸せそうな顔が俺にとっては喜べなくて、自分がとても小さな人間だと思い知らされて嫌だった。
 ああ、ちっちぇえ。器が小さすぎるだろう、俺。小学生の時に恋に落ちた。恋をしていた沙織さんはとても綺麗で、儚くて、俺がどうにか笑顔にしてあげたかった。彼女が好きだったレモンティをカバンから取り出して、また少し口に含んでみる。でも、やっぱり甘すぎて口に合わなかった。
 洗面台の前に立ってペットボトルをさかさまにする。どぶどぶと流れ落ちていく液体に勿体なさは感じなかった。彼女への好きがこんな感じで消えて行ってくれたらいいのに。ただ純粋にそう思った。
 俺の消えない恋心は、彼女が結婚してからも続いている。もう俺のものにはならないのに。ずっと兄貴を好きでい続ける彼女はとても美しく、それでこそ沙織さんだと思うのに。それでも好きだ。好きなのだ。醜い俺は、まだ彼女に恋し続けている。かなわない恋なのに。

 「小波みたいに、俺も勇気出せたらな、」

 委員長の告白に、イエスと答えられなかったのは、きっと自分が彼女に見合わない存在だと思ったからだ。まだ恋を引きずっている俺なんかは、きっと彼女を幸せにできない。
 ベッドに転がって布団をかぶった。きっと台所に行けば沙織さんが作った夜ご飯が用意されているのだろう。食べたくない、と思った。だから、ゆっくり目をつむって、ゆっくり沙織さんへの恋を忘れていこう、と思った。
 


 「 綾瀬純平 “ 落ちた氷はまだ溶けない ” 」

Re: 恋のつまった砂糖菓子 ( No.60 )
日時: 2018/07/26 15:31
名前: 立花 ◆FaxflHSkao


 しばらく浮上しなくてすみません。遅くなりましたが、再開いたします。七〜八月は「ショタくんの反撃!」です。割とコメディチックなお話になると思います。よろしくお願いします。


 恋のつまった砂糖菓子はちゃんと終わらせることができませんでしたが、この二話で一旦閉めさせていただきます。片思いはしんどいよね!!!最高!!!って思ってた高校生の頃に書いた作品です。残りのお話はプロットがどこかに消えました。見つかったらまた書くかもです。読んでくださった皆様ありがとうございました。

ショタくんの反撃!「その1」 ( No.61 )
日時: 2018/08/16 23:59
名前: 立花 ◆FaxflHSkao

 近所に住んでいた六つ下の男の子。名前は嵯峨翔太くん。わたしに物凄く懐いてくれていて、いつもお姉ちゃんおねえちゃんって私の後ろに引っ付いてきた。可愛い。とってもとっても可愛い。つい心の中で「ショタくん」なんて呼んでいて、ひたすらに可愛いと拝み奉っていた彼は、それから十年後、私のもとに再び現れて言うのです。





 ガキ扱いするのは、やめろよ。





+++



「どうして、どうしてなの、あんなに可愛かったショタくんはどこに行ったの??? うええええええんっかむばあああああっく、ショタくううううううんっ」
「うるせえ、黙れ」

 私の頭をばしっと叩いた二十歳の青年には、もうあの頃の可愛い可愛いショタくんの面影は全くない。あんなに天使だったショタくんはもう存在しないと思うと、悲しくて悲しくて今日も九時間睡眠できる気がしない。

「ああああああああ、私の可愛いショタくんがああああああ」
「だからうるせえって、ってか俺はショタじゃねえ、翔太だ!」
「っていうか、もうおうち帰りなよ、私の部屋狭いんだから、大きいショタくんがいるともっと狭くなる」

 ショタくんがうちに転がり込んできたのが先週の水曜日。ちょうど一週間前だ。俺のこと覚えてる、って大雨のその日、傘もささずに土砂降りの中びしょびしょになって私の部屋の前でそう聞いた彼があのショタくんだと気づける人間はきっといない。
 ていうか、どうやってこの場所を知ったのか疑問はたくさんあったけど、とりあえずお風呂に入れて着替えを渡してその日彼は私の部屋のソファで眠った。
 
「本当にあのショタくん、なの?」
「どっからどう見ても、そうだろ。あほかよ、お姉ちゃん」
「…………」
「なに、イケメンになっててびっくりした? 惚れたなら別に泊めてくれたお礼でごにょごにょ」
「なんで、なんで」
「…………?」

 思い出す、あの可愛かったショタくんを。ランドセルを背負って笑顔で「お姉ちゃん、今日はね、みーくんとね、鬼ごっこやったの!」ってそんな可愛い報告をしてきてくれたあのショタくんが



「あああああああああショタくんはこんなんじゃないもんっ!!!」
「は? てかショタくんってなんだよ、俺は翔太だし」
「なにこれ、どう見てもただの男じゃん。十年経ってもショタくんはあのままショタくんのままであることを願ってたのに」

 私がショタくんの顔をつかんで凝視すると、見る見るうちにショタくんの顔は真っ赤になっていく。
 そんなことなんかまったく気にせずに私は大号泣。でも仕方ない、あんなに可愛かったショタくんは、もう、もういないんだ。


「ほら、お姉ちゃん。俺、カッコよくなっただろ、俺はもう子供じゃない!」
「いやああああああああああ、無理無理。可愛くないショタくんはショタくんじゃないもんっ」



 「あああ、うるせえな。もう、わかれよ」


 私が現実逃避しようとしているのをいとも簡単に彼は止める。私の手をつかんで自分のもとに引っ張って私を優しく抱きしめたショタくんは、大人の体で、大人の声で、そっと私に囁く。
 

 「お姉ちゃんのことが好きなんだ。だからさ、このまま泊めてくれるよね」

 あの頃の可愛いショタくんなら絶対「イエスッマイロード」って言っておねだり何でも聞いてただろうけど、今は違う。全然違う。無理だ。私は三次元の人間は死ぬほどダメなんだ。
 可愛くおねだりしてきても見た目は成人男子。無理、死ぬ。吐く。


「いや、出て行ってください」
「はあ、なんでだよ、泊めてくれてもいいじゃん。ほら、何でもするから」
「じゃあ昔の可愛いショタくんに戻ってよおおおおおおおお」



 これは昔最高に好きだった可愛い天使、ショタくんとの再会の物語(死亡フラグ)

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


E-Mail


URL


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大7000文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。