ダーク・ファンタジー小説

時の旅人
日時: 2018/07/26 16:46
名前: N

 こんにちは!Nです。初めて小説を書きます。温かく見守ってください!

(・・・ここ、どこ?あたしは・・・何を・・・)

 プロローグ

 今は昔かそれとも未来か。時の秩序を守るため、時の神により選ばれた子供達がいた。そして、またここに1人・・・

 (聞いてくれ、どうして俺達がタイムキーパー、つまり時の秩序を守るために選ばれた人間になったかというとな。あ、まだ自己紹介してなかったな。俺は裕太。俺達の中じゃリーダーみたいなもん。そう、みんなから頼られる立派なリーダーさ!舞は産まれた時からの幼なじみ。こいつは気ぃ強くてなぁ。でもいい奴だぜ。そして、もう2人の幼なじみ、レックスとフミヒト。こいつらは産まれた時が違う。でも同い年だ。どういう事かというと俺達はまず生きている時代が違う。あの2人は俺達よりずっと未来の人間だ。なぜ生きる時代の異なる俺達が幼なじみかというと、レックスの両親は考古学者である時タイムマシンを発明した。ずっと先の話だ。そのタイムマシンで俺達の時代にやって来たレックスとレックスの両親。そして、たまたまついてきたレックスの幼なじみフミヒトは俺達と出会った。今、俺達は10才だから、確か5年前の話だ。フミヒトは10才とは思えないほどの天才。親がかなり有名な医者らしくて、人一倍医学の知識がある。確か7才で医師免許を取った。しかも、医学だけではなく、科学知識もすげぇある。医者であり科学者なんだよ、あいつは。親は仕事であちこち飛び回っているらしいから、あいつは今1人で親が使っていた研究所で研究の日々・・・らしい。よーし!俺達の紹介は終わり・・・)
「まてまてまて。」
レックスは裕太に口をはさむとため息をついた。
「どんだけ長々と自己紹介してんだ。あと、お前だけ盛りすぎだ。何がみんなから頼られる立派なリーダーだ。どこが当てはまっている。バカで能天気のおちゃらけ人間だろ。」
「何だと―!お前こそ勝手に人の考えていること読みやがって!」
「コラー!あんた達早々にケンカしてんじゃないわよ!」
舞が大声で叫んでもさして効果はない。
「あんた達――!」

 「ゴメンね、みんな。」
ケンカに入らず1人空気になっていたフミヒトは、はぁとため息をつくとにっこり、いや、ひきつった笑顔で話しはじめた。
「あの3人はお取り込み中なので、なぜ僕らがタイムキーパーになったのかは僕が説明するね。ええと、昔、時の神様っていう、まぁ名前の通り神様がね、時の秩序が狂わないように時の力をつかさどる秘宝を作り上げた。時の石、僕らはタイムストーンって呼んでいるんだけど・・・」
すると、フミヒトはまたため息をついた。
「愚かな人間の争いが多発。お陰様でタイムストーンはバラバラになった。いろんな時代にね。すると時の秩序は面白いくらい簡単に狂った。困った神様はタイムマシンで時空間を行き来できる僕らをタイムキーパーに仕立て上げ、タイムストーン探しを命じた。という訳なんだよ。・・・」
はぁとまたため息。
「・・・ったくいつまでケンカしてるんだ・・・」
フミヒトの後ろでケンカは現在進行形で続いていた。
「お前がグダグダ言っているから主人公も登場できてないんだぞ!」
「はぁ!話が進まないのはお前のせいだろーが!」
「いい加減にしなさいよ!私だっていつまでも女の子1人は嫌なんだからね!」
ワイワイガヤガヤ。
「・・・メタ発言は止めてくれよ・・・はぁもういいや、と言うことで次回から、時の旅人、略してトキタビ始まります!お楽しみに!」

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Re: 時の旅人 ( No.5 )
日時: 2018/07/27 20:58
名前: N

第5話 蛇の冷徹

 なつみの背中の火傷の跡が発覚してから時しばらく。次の時代に着き、5人はその地に降り立つ。重い空気を吹っ切るように裕太は伸びをした。
 「なつみ、何か感じる?」
「えっ?」
フミヒトの問いにえっと言ったのはなつみだけではなかった。
「いや、なんでもない。」
(・・・さすがに急すぎたか・・・)

 その後、5人は情報収集の末、ある洞窟にたどり着いた。集落の外れにある不気味な洞窟だった。集落の人間の話では、なんでも妖怪が住んでいると言う。5人は潔く、でもどこか躊躇しながら入っていった。

 「なつみちゃん?大丈夫?」
洞窟の奥に進んでいくおり、舞はなつみが妙に震えていることに気がついた。確かに、そこまで奥まで入ってはいないのに、少し暗かった。
「大丈夫。ちょっと寒気がするだけ。」
フミヒトは、そんななつみから目を離さない。
「おい、フミヒト。どうした、そんな怖い顔でなつみを見て。」
「いや、なんでも。」
「危ないっ!」
いきなりなつみは声を上げると、フミヒトにぶつかった。その瞬間、フミヒトがいた場所に上から大きな岩が落ちてきた。一歩遅かったら、フミヒトは岩の下敷きになっていただろう。
「何?なんなの?」
舞が声を震わせる。地面が揺れている。岩が落ちてきたのとほぼ同時に。岩や石がばらばらと今にも崩れそうだ。
と、その瞬間、いきなり目の前から光りが消えた。崩れた岩が入ってきた出入口をふさいでしまったのだ。
みんな、悲鳴をあげたり、動揺を隠せなかった。なつみとフミヒトを除いては。
「み、みんな!落ち着いて!」
その時、洞窟の壁にぼっ、ぼっと青白い火の玉が奥からついていった。その瞬間、5人はこの洞窟がなんと言われていたか思い出した。
“妖怪が住む洞窟”

 「・・・まったく・・・私の住みかに入り込むとは、愚かな人間どもだ。」
奥から、コツコツと青白い妖怪が現れる。姿形は人間に近い。顔もある手足もある体もある。だが、ただならぬオーラをまとっていた。
「あのー、すみませーん。ここにタイムストーンっていう宝玉があるかもってことで来たんですけどぉ、あったら譲って貰えませんかぁ?」
裕太はできるだけの笑顔で妖怪に言った。妖怪は、フンと鼻を鳴らす。
「・・・あぁ、あれか。あれは私のものではない。・・・ただ、私は人間は嫌いだ。愚かな人間の言うことなど聞く耳を持たぬ。」
妖怪はトンと地を蹴るとふわりと浮き上がった。手を5人の方に向ける。
「消えろ、人間ども。」
妖怪をとてつもないオーラが渦巻く。そして妖怪の首辺りから青白い2本の生き物のような影ができた。まるで、生きているような。
「へ、蛇?」
妖怪は5人に手を振りかざすとバヂッと稲妻が音と光と共に起こった。
「死ねっ!」
「離れて!逃げて!」
なつみは声を上げた。その時、なつみの気が波のようにぐわんぐわんと響く。4人となつみは気がつかない。
(・・・この娘、なんだ。普通の人間ではないな。普通はあんな気は使えん。)
それからだった。妖怪がなつみをあからさまに狙い始めたのは。
(あたし、狙われている。)
(なつみが狙われている。)
「逃げて!はやく!」
また、なつみが声を上げた時、妖怪がまとっている蛇のような影が、なつみに襲いかかった。なつみは、常人とは思えない身体能力で、スレスレで避けた。影のようだったが、避けた時に冷たい風を頬で感じた。
「フン、すばしっこい。だが、甘い。」
妖怪の蛇の影を避けたなつみは後ろからの攻撃に気づかず、不意討ちを食らった。強い力に吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。ボロっと頭から崩れ、口から血を流す。4人がなつみに駆け寄る前に妖怪がなつみの首元を掴みゆっくりと持ち上げた。
「・・・もう終わりか、人間。」
「やめろー!」
4人が妖怪を倒すべく、なつみを奪還すべく襲いかかった。が、妖怪が軽く手を払うだけて、簡単に吹き飛ばされてしまった。
「・・・フン。」
妖怪はなつみをドサッと離し、落とす。慌ててフミヒトがなつみを抱き抱え、揺する。
「いいだろう。その、宝玉とやらをやる。いきなりこの洞窟に現れて、正直邪魔だったのだ。」
えっ?ともはや意識のないなつみ以外全員目を丸くした。
「しかし、1つ条件がある。その娘をここに置いていけ。」
「なん・・・だと。」
「必要なのだろう、その宝玉とやら。娘の1人なんて安いものではないか。」
「いやよ!なつみちゃんを置いていくなんて、絶対できない。」
「いいよ。」
「!」
なつみが目を覚ました。なつみはぼろぼろの体で言う。
「いいよ、みんな。それでみんなの使命が全うできるなら安いものじゃない?」
なつみはにっこり笑った。
「決まりだな。さっさと宝玉を持ってここから立ち去れ。・・・なにも、私はこの娘を殺すつもりもなければ、いつかはお前達の元に返すつもりだ。・・・もっとも、この娘の根気次第だがな。」
「なつみ、本当にいいのかい?」
フミヒトは小さな声で言う。なつみはうなずいた。
「わかった。僕らはタイムストーンを頂戴して早々に立ち去ることにしよう。」
フミヒトはスッと冷静に言う。
「ただ、彼女の手当てをさせてくれ。その間にタイムストーンを取りにいってもらうから。」
「フミヒト!」
「頼む。」
「フミヒト・・・」

 3人は洞窟の奥へタイムストーンを探しに行き、フミヒトはかばんから救急セットを取り出すと、手早く手当てをした。
タイムストーンも見つかり、なつみの手当ても終わる。妖怪は入り口をふさいでいた岩を吹き飛ばすと、なつみの首根っこを掴んだ。3人は何か言いたそうだったが、フミヒトは、刺激しない方がいいと言い、早々に引き上げさせた。

番外編に続く!


 

Re: 時の旅人 ( No.6 )
日時: 2018/08/13 09:01
名前: N

番外編 少女剣妖術修行記録〜蛇の敵編〜

 4人が立ち去った後、なつみは妖怪と洞窟に取り残された。なつみは妖怪に従う覚悟をした。その時、妖怪は棒切れをなつみの頭にコンと軽く投げた。
「私は、蛇の化身オロチ。この剣をお前にやる。木刀だが、私の作ったものだ、絶対に折れない。これからお前に剣妖術を叩き込む。異論は認めない。」
「へ?剣、妖、術?」
オロチは腕を組むと、涼しい顔で言う。
「私には、敵がいる。ずっといがみ合ってきたが厄介なヤツだ。ただ、私は門下を持たない。他人は嫌いだからだ。・・・そこにいいのが来た。お前、普通の人間ではないな。無意識かもしれんが、普通の人間があのような気など使えん。しかも・・・」
オロチはなつみの額辺りに指先を添えると、力を込めた。なつみの体の血が一瞬逆流したかと思うほど熱くなる。
「・・・強い妖気。お前には素質がある。」
「妖気?」
「妖怪の気だ。妖怪が持つ力のことは妖力、妖怪の術を妖術という。それをお前に叩き込む。逃げだしてみろ、」
オロチは鋭い目でなつみを睨み付けた。
「お前の仲間がどうなるかな。」
なつみはごくりと唾を飲んだ。仲間を人質に取られたようなものだったからだ。
「・・・私のことは、師匠とでも呼ぶといい。勘違いするな、お前は私の捨て駒だ・・・」

 それから、なつみはオロチにまずは剣術を叩き込まれた。剣の持ち方構え方、振り方さばき方。どちらかというと実践型だが、美しい剣使いだ。ほとんど休憩も貰えず、人間の体には負担が大きいはずだが、なつみはみるみると剣の腕を上げた。
 オロチは今度は妖術を教え込んでみた。妖術など普通人間には無理だ。だが、なつみは簡単に弱いながらも覚えた。
「いいか、剣術も妖術も美しく魅せろ。美しさには強さが自然についてくる。」
何日も何日も何日も。なつみは剣を振り続け妖術の練習を重ねた。

 「火炎の術!」
なつみの手の上で火の玉が灯る。なつみは火の玉をオロチに向け投げ飛ばす。火の玉はオロチの目の前で弾けた。と、同時になつみはオロチの懐目掛けて目にも止まらぬ速さで飛び込んだ。オロチは目の先で剣を合わせてなつみの剣とぶつける。カチンと甲高い音が洞窟内に響く。
「流水の術。」
なつみは一歩地面を蹴って飛び上がった。そして、水流を体にまとい、オロチ目掛けて飛ばした。なつみは炎妖術と水妖術が得意だ。
「甘いぞ!秘技、雷術。」
オロチは手を振りかざすと、雷がなつみの出した流水に流れ、なつみを打った。なつみはオロチの雷に打たれそのまま地面に落ちた。
「全く。私に水属性の術は早いと言っただろう。」
オロチは腕を組むとため息をついた。オロチの得意妖術は雷だ。
「だが、腕を上げたな。」
「なぁに、お師匠様が強くしたんじゃないの。」
なつみは荒い息でにたっと笑いながら言った。ゆっくり立ち上がると、ふらっと足をふらつかせながら剣を構えた。何せ先ほど雷に打たれたから・・・しかしなつみは強く言う。
「もう1本!」
オロチは鼻で軽く笑うと、剣を構えた。
「どこからでも来い。」
なつみは地面を蹴るとオロチ目掛けて前に跳んだ。洞窟内になつみとオロチの剣の音が響く・・・

 何日たっただろう。なつみは剣妖術の基礎はマスターした。普通人間では、いや、一流の妖怪でもこんなに早く覚えるなどできない。そんなある日の夜。なつみはある物音で目を覚ました。
(お師匠様?どうしたんだろう?)
オロチが洞窟から出ていく。なつみは何か、変な気を感じた。嫌な予感を・・・オロチに気付かれないように静かに、こっそりついていった。洞窟の入り口の影に身を潜めたなつみは息を殺して師匠オロチを見た。オロチは、ピタリと歩くのを止めると、呟くように、だが強く言った。
「いるのだろう。キュウビ。」
(キュウビ?)
その瞬間、オロチの前に赤い炎が渦巻いた。そして、美しい顔立ちをした、9本の尾を持った、2本立ちの狐が立っていた。
「久しいなオロチよ。」
キュウビと呼ばれた狐の妖怪はもったいぶるように言ったが、オロチは強く、キュウビを睨み付け言った。
「何の用だ。」
「いいや、妖怪でさえ1匹も寄せ付けない一匹狼のお前が人間の弟子をとったと聞いてな。その人間の面を拝みに来ただけさ。」
オロチはくっと歯をきしませると強く言う。
「お前に我が弟子を会わせるつもりはない。帰れ。」
「力ずくでも、拝んでやるさ。」
「たぁー!」
いてもたってもいられなくなったなつみはキュウビ目掛けて飛び掛かった。剣をキュウビの喉元に立てようとしたが、キュウビの鋭い爪に弾かれた。宙に弾かれたなつみは、くるりと回って地面にずーと音を立てながら着地した。
「・・・あんたがお師匠様の敵・・・だな。」
「馬鹿野郎、何故出てきた!」
オロチにきつく言われたが、なつみは息を静めると剣を構えて目を見開いて飛び掛かった。
「馬鹿、よせ!お前には早い。引け、洞窟に戻れ!」
「あたしはお師匠様の捨て駒なんでしょう?それなら、私のために死ねとでも言いなさいよ。」
なつみは手に炎を灯すと
「弾け!火花の術!」
火花を弾けさせ、キュウビに突っ込んでいった。
「全く。オロチ、お前人間を普通ここまで強くするか?」
キュウビは、ふっと笑うと唱えた。
「火鎖。」
キュウビが手から出した炎を鎖のように連なり、2本の鎖のようになってなつみに襲いかかった。なつみは鎖を避けるが熱気を肌で感じでいた。
「待て!」
オロチが力を込めたが、キュウビに結界を張られ冷たく言われた。
「お前は手を出すな。」
鎖を避けていたなつみだったが、鎖の1本がなつみの足に巻き付いた。身が裂けるような熱さにたじろいたなつみにもう1本の鎖が今度は体に巻き付く。
「人間のくせに、ここまでやるとは誉めてやる。だが、ここまでみたいだな。」
ギシギシ。火鎖がなつみに少しずつきつく締め付けてゆく。オロチはなつみを助けたかったが何せ結界を張られているため近づけない。
(あ、熱い・・・く、ぐるじい。もう、ダメ、かな・・・)
なつみも、諦めかけた、その時。なつみの体がビカッと光った。鎖を伝ってなつみの大きな気がキュウビに流れ込む。キュウビは慌てて、鎖を消す。
(今だ!)
このすきをついてオロチはキュウビの結界を壊す。なつみを抱き抱えると、キュウビを睨み付けた。
「・・・わかったわかった、今日のところは引いてやる。・・・しかし、その娘、面白い。気に入った。お前の弟子ってこともしゃくだ。」
そして、鋭い爪をオロチに向け吐き捨て消えてった。
「いつか、奪ってやるよ。」

Re: 時の旅人 ( No.7 )
日時: 2018/08/13 09:20
名前: N

番外編 少女剣妖術修行記録〜さすらいの剣士編〜

 (キュウビのヤツめ、奪ってやるだと。させるか、そんなこと!・・・しかし、あの娘、素質があるだけでは片付けてはいけないな・・・)
あの事件以降オロチの稽古はいっそう厳しくなった。ある日、オロチはなつみに言った。
「お前は十分強くなった。妖術は自分で磨け、剣術は、いろいろな道場をさすらってみろ。」
オロチはなつみの剣に手を置き、腰元に持っていって力を込めた。すると、剣は腰元にピッタリくっついてこぶし二つ分位に縮んだ。自分の胸元ほどはあったのに。
「子供が木刀ぶら下げていたら不信がられるだろう。それに、いろいろと面倒なことにもなりかねない。腰元から離せば元の大きさに戻る。」
そして、なつみを側に呼び寄せるけと、紐を1本取りだしなつみの真っ直ぐで長い髪を高く、ひとつにくくりあげた。そして、手作り笠をなつみに被せる。
「道場となるとおなごは相手にされない場合が多い。それで行け。十分男に見える。」

 オロチに送り出され、なつみは歩き、歩き、歩きいろいろな道場をまわった。どこでも、女と気付かれない。なつみは複雑な気持ちだった。どこの道場を訪ねても、なつみは強かった。そして、ある田舎村の道場を訪ねた・・・

 木刀がぶつかり合う音と響く道場。道場の前に立った少年は扉を叩き、手合わせを頼み込んだ。道場主は快く手合わせを付け入れてくれた。
 相手は少年よりも少しばかり大きな男。その少年は笠を取ろうとしなかった。それを見て、道場内の一番小さな坊やは、少年が笠を取らないのが気に入らないのかぶすっと試合を見ていた。少年は自分に飛び掛かって来た男のがら空きの腹の木刀で突くと男はごろんと床に転がった。少年は自分が勝ったことを確認すると、剣を収め、手と膝を着き、頭を下げた。
「お手合わせ、ありがとうございました。」
「待て待て待てーぃ。」
すると、わりとがっちりした男が名乗りを上げた。
「お前、小さいのに強いな!どうた、俺とも手合わせしないか。」
「若先生・・・」
道場主の息子か。少年はまた頭を下げて言う。
「よろしくお願いいたします。」
 「双方構え。・・・始め!」
道場主の掛け声で試合は始まった。少年は相手の動きをじっと観察すると、タンと床を蹴り、正面から飛び掛かった。若先生は、少年の剣を顔のすぐ上で受け止める。そこは体格差がある。宙浮いていた少年はそのまま吹き飛ばされた。くるりと回転し着地した少年は、力では勝てないと悟り、小回りに動き出した。そうして、長い間、剣の打ち合いを重ねる。双方疲れが出てきた。少年は高く飛び上がると、サッと体を屈めて若先生の腹を狙った。若先生は飛び上がった少年の足元を狙った。双方同時に剣が入り、若先生はドムとしりもちと着き、少年は後ろに吹き飛ばされ、着地したが、片膝を着いた。
「双方、止め!・・・引き分けだな。」
道場主の掛け声。2人は礼をし、少年はまた、手と膝を着いた。
「お手合わせ、ありがとうございました。気迫に溢れた剣に未熟ながら感服いたしました。・・・それでは、失礼いたします。」
少年は出ていこうとすると、少年のことを不満そうに見ていた坊やが噛みついてきた。
「お前、顔も見せずに失礼だぞ!剣士なら剣士らしく堂々と面を出し上がれ!」
坊やは少年によじ登るようにつかまり、笠を払った。
「あ、ちょっと・・・」
はらり。笠が払い退けられる。と一緒に髪をくくっていた紐まで払われてしまった。笠の下には・・・そこには少年の顔ではなく、少女の顔があった。

 「ごめんなさい。」
なつみは、道場主に手をついて思いっきり頭を下げ、謝る。
「あたしは、見ての通り女です。剣術修行のため、色々な道場をさすらっていたのですが、女の身ゆえ、相手にされないだろうと師匠が・・・」
なつみは再度頭を下げた。道場の男達は驚きを隠せない。
「あ、頭を上げなさい。君はおなごとは言えないほど強かった。」
道場主は手をヒラヒラさせた。
「しかし、皆さま方を騙していたことには変わりはありません。バレてしまったからには・・・」
“いや、誰も気づかなかったのかよ”
そんな空気が漂ったのになつみは気づかなかった。
 日が傾き、空が赤く染まり始めている。その時、なつみはいきなり剣に手を持っていって片膝を立て外を睨み付けた。全員、なつみのいきなりの行動に驚く。なつみはハッとして手を着いた。
「ごめんなさい、そろそろ、失礼させていただきます。」
「もう暗くなってきた。今日は泊まるところは決まっているのかい?」
「はい、野宿です。ここ数日は。」
「なら、今日はここに泊まっていきなさい。おなごをここまで強くするお師匠さんの話も聞きたい。」

 男達は次々家に帰っていき、道場内には、道場主と若先生となつみの笠を払った坊やが残った。まだなつみのことを良く思ってない様子だ。
「こら、蒼。そんな顔するのではない。・・・すまんな、この坊は親がいなくて。住み込み弟子なんだが、少し暗いところがあってな。」
 なつみは夕飯をご馳走になり師匠のこと、今までまわっていた道場のこといろいろ話した。その間も坊やはぶすっとなつみを見ていた。そして、夜。なつみはむくっと起き上がると、皆を起こさないようにそろりそろり外に出た。

 (なんだ、アイツ。こんな夜遅くに。)
なつみが外に出たのに気がついた坊やはこっそりなつみの後を追う。なつみはある所でピタリと止まると声を出した
「いるんでしょう、キュウビ。」
すると、なつみの前をぐるりと狐火が巻き上がり、キュウビが現れた。
(な、なんだアレ!)
「なんの用で?」
「野暮なことを聞きなさんな。奪いに来たのさ、お前を!」
なつみは、ばっと剣を取り構える。
「・・・こちらも調べさせてもらった。何故人間が、あの蛇の弟子になることを受け入れたのか。」
キュウビは、にたっと笑うと力を込めた。ぶぁっと妖気が広がる。なつみの目はぎっと鋭くなる。
「・・・それが、お前の弱点だと言うことを!」
キュウビは手を振り上げると、キュウビから半透明の帯のようなものがキュウビを囲う。その帯はキュウビの手の動きで操られている。帯をヒュルリと飛ばす。その向きはなつみの方向ではなかった。
「な!」
帯は、陰で見ていた坊やを締め上げると、ゆっくり、キュウビの側に持っていった。キュウビは坊やに爪を立てる。
「お前が弱いもの。そうだろ。」
「ひ、卑怯だぞ!」
「卑怯なものか。人質。お前の弱点だ。」
くっとなつみはうなり声を漏らす。それをキュウビは嘲笑うように言った。
「お前が今その場に剣を捨て、手を上げ膝を着いて大人しくなるのなら、この坊主は離してやってもよい。」
坊やは目を見開いた。恐怖と一緒に人質にされていることが悔しかった。なつみは迷わず剣を地面に置くと、膝を着き手を上げた。キュウビは高笑いすると、帯でなつみを縛って坊やを解放した。なつみは帯で身動きが取れない。坊やはなつみの置いた剣を握ると、キュウビ向かって突っ込んでいった。
「俺だって剣士のはしくれだ!人質にされて、その上交換条件にされるなんて腹が立つ。だから・・・その女を離せぇー!」
しかし、キュウビはフンと鼻を鳴らすと坊やは後ろに吹き飛ばされた。
「止めなさい、坊や。見てわかるでしょ、コイツは妖怪。人間がかなう相手じゃあないの。捕まる前にはやく逃げなさい。」
「人間がかなう相手じゃあない、ねぇ。お前はどうなんだ?それは、もはや、自分は人間ではないと言っているのか?」
キュウビは、帯を操り自分の顔の側までなつみの顔を寄せるとなつみの顎をくっと上げた。
「抵抗しないのか?剣はなくとも、妖術があるだろう。つまらんぞ。」
すると、キュウビは帯をさらにきつく締め上げた。なつみは、苦し気なうなり声を上げたが、精一杯声を漏らさぬように踏ん張っていた。
「そうだなぁ。“蛇の弟子など止めて、あなたの子分になりますキュウビ様”とでも言えば解いてやってもよいぞ。」
キュウビはさらにきつく帯を締め上げる。
「屈するものか。」
「いつまで持つかな。」
「・・・なんだよ、お前。よくわかんねぇけど、抵抗出来るなら抵抗しろよ。」
坊やは肩を震わす。なつみにはそれが、怒っているのか、悔しいのか、情けないのか分からなかった。ただ、今言えるのは・・・
「抵抗、出来ないんだよ・・・あたしの力の源はお師匠様からもらった剣。それがなければあたしは、ただの人間に等しい。」
坊やは愕然とし、キュウビは高笑いする。そして、ますますなつみをきつく締め上げる。
(俺の、俺の安全の為に、あいつは、抵抗するすべを捨てた。俺の、俺のせいで。)
「ぐわっ!」
帯で締め上げられ、なつみはうなり声を通り越してぐもった悲鳴を上げる。そんななつみの口からは血が垂れていた。
(俺のせいで!)
坊やはなつみの剣を握り締めると、声を張り上げた。
「手を伸ばせぇぇぇぇ!」
そして、坊やは剣をなつみ目掛けて投げた。

 ひゅん。剣がなつみに向かって飛ぶ。なつみは、右手を斜め上に真っ直ぐ上げると、剣はなつみの元に戻りたがるかの如く収まった。
「あはは、声が聞こえる。真っ白で、ドス黒い、あたしの・・・剣の声。」
なつみの体が力と共に光る。なつみは剣を振り下ろし、帯を破った。
「っふふふ、聞こえちゃった、あたしの剣。戦いを欲している。あたしの欲、満たしてくれる?」
なつみは剣を振る。速い。速かった。キュウビは妖術や爪で応戦するが、なつみの様子にたじたじだった。なつみは狂っている。
「ははっ、くっ、あはははは!」
しかし、坊やの目には、その様子が、キュウビとは違って見えた。
(強い、それに・・・綺麗だ・・・)
狂っているなつみだが、オロチの修行の形はしっかり出ていた。美しさには強さがついてくる。ついに、キュウビは舌を鳴らすと炎と共に消えた。
 「はは、もう終わり?つまんない。」
なつみは剣を握りしめる。
「もっと、もっと!」
坊やの目にもそろそろなつみのことがあぶなく見えてきた。
「ねぇ坊や。あたしと一手・・・」
「馬鹿野郎。」
今にも坊やに襲いかかりそうななつみの頭を、どこからともなく現れたオロチが肘で突き、なつみは、げふっと声を上げるとその場に倒れた。
「・・・ったく、力を抑えられなくなり、暴走したな。未熟者め・・・ん?」
オロチは驚いた目でこちらを見る少年がいるのに気がつくと、はぁとため息をついた。
「人間に頭を下げるのはしゃくだが、私の弟子が驚かせてしまったようだな。謝ろう。」
「ん、んぁ、た。あたた。」
なつみは目を覚まし、オロチに打たれた所をさする。
「馬鹿野郎、なに力を暴走させている。気をしっかり持て。お前は強いということを自覚しろ。」
「・・・そんな言葉、お師匠様の口から聞いたことないんだけと・・・」
ゴツン。オロチはなつみは頭を拳で殴った。
「痛ぁ・・・そうだ。坊や、大丈夫だった?怪我してない?」
「俺だって剣士のはしくれだぞ!なめてんじゃねぇぞ、女!」
「そっか。ごめんね。」
なつみはふふと笑うと、崩れ落ちるように横たわった。口から血が垂れる。
「あたし、疲れちゃったな。情けない。」
なつみはそのまま気を失った。オロチはため息をつく。そして、坊やに言った。
「悪いが、一晩、面倒を見てくれないか?今日は人として眠らせてやりたい。あと、コイツが起きたら伝言を頼む。“帰ってこい、先に戻っている”と。頼めるか?」
坊やは無言でうなずいた。

 「ほんとうに一晩泊めていただいて、ありがとうございました。」
なつみはぺこりと頭を下げる。すると、坊やがなつみに言った。
「お前、強いんだよな。・・・もし、もしだぞ。俺がもっと大きくなって、もっと強くなって、また出会えたら、手合わせ、してくれるか?」
なつみは坊やと目線を合わせると、ニッコリと笑った。
「類は友を呼ぶと言うなら、きっと、剣は剣士を呼ぶさ。また、どこかで会いましょう。その時は、あたしからも、一手お願いできるかしら?」
「ああ!」
なつみがどんどん小さくなってゆく。師匠の元に帰るのだ。
「蒼、何かあったか?」
「あの女の剣に惚れた。・・・名前くらい聞きゃあよかった。」


オマケ オロチ師匠の剣術修行メニュー

その1 基礎練  素振りが主、1日中剣を振らされることも。なつみは異様に型を覚えるのが早かった。ずっと剣を振ってい
るが、手足が太くならない。異様なほどに。

その2 組み手  初めの内は目隠しをさせられて組み手をした。オロチの体に数個違う音の鈴を付けて音を頼りに剣を振っていたが、慣れてきたら鈴なしで気や気配を頼りに組み手をした。しばらくして、目隠しなしで組み手をする。なつみは身軽ゆえにすばやい動きが得意だ。

Re: 時の旅人 ( No.8 )
日時: 2018/08/14 20:54
名前: N

第6話 超人なつみpart2

 「何で、何でなつみを置いてきぼりにしたんだ!」
タイムワールド号の中。裕太はフミヒトの胸ぐらを掴んだ。すぐにレックスと舞に引き離されたが、しばらくフミヒトを睨み付けていた。
「すまん。」
フミヒトはうつむきながら冷静に言う。
「何でもよかったんだ、何でも。何でもいい、彼女に何らかの刺激を与えたかったんだ。彼女の記憶が戻るきっかけになればと思って。」
その言葉にみんなうつむいた。そして、タイムワールド号は次の時代に着いた。

 「おい、何でこんなことになった?」
4人は装備をした男達に囲まれて槍先を向けられていた。時はさかのぼって数分前。次の時代に降り立った4人は、どうやらここは戦中だったらしく、戦士である男達に間者、つまりスパイに勘違いされたのだ。4人の目の先で槍先がキラリと光る。
「これって、絶体絶命の大ピンチ?」
その時、たんと地を蹴る音が聞こえたと思うと、上から1人の少女がひらり。
「なつみ・・・!?」
「お久しぶりです、みんな。」

 「なつみ、どうして・・・」
裕太の問いかけに気を向けず、なつみは男達に向けてにやりと笑う。しかし、その目は鋭かった。
「この人達は関係ない。引いてくれる?」
男達は一斉に槍をなつみに向ける。なつみはため息をついた。しかし、どこか嬉しそうにもみえた。
「やりあうならどうぞ、どこからでもかかってきなさい。」
なつみは剣を構える。1人の男がなつみに槍を振るう。
「なつみちゃん!」
舞が悲鳴をあげ、目をつむったが、目を開いたその時にはなつみの姿はなかった。なつみはたんと地を蹴り、男の槍に着地したのだ。なつみはコツコツと槍の上を歩く。そして、無言でスッと男の顔の近くでしゃがんだ。そして、不敵な絵顔。男は青ざめて槍を振るう。なつみはくるりとまわって、地に着地した。
「これが戦人だなんて、笑わせやがる。」
また、男達は槍を構える。なつみも剣を構える。その瞬間、男達は全員地に転がっていた。
「甘いんだよ。」

 「お、おい、なつみ・・・!?」
「・・・あ、みんな、大丈夫だった?」
軽く4人の存在を忘れていたなつみは、さっきとは別人のように思えた。なつみは剣を収めると、改めて満面の笑みで言う。
「ホント、お久しぶりです、みんな!」
「久しぶり?」
フミヒトは首をかしげる。
「お久しぶりって、あれから1日くらいしかたってないんだけとけど・・・」
「へ!?」
今度はなつみが首をかしげる。
「あたしは、一月くらいぶりなんだけど。」
「てか、お前何してたんだ。あと、どうやってこの時代に来れたんだ。」
裕太がぶっきらぼうに言う。
「あたし?あたしずっと、お師匠様の元で剣妖術の修行をしてたの。」
「お師匠様?修行?」
「お師匠様って誰?」
レックスと舞が聞き返す。
「ほら、洞窟にいた妖怪。あたしはずっと、あの妖怪に剣妖術を叩き込まれたの。オロチっていう蛇の化身なんだって。」
すると、なつみは胸元をゴソゴソといじると首飾りを出した。青白く輝く宝石。しかし、少し暗く曇っているようだ。
「あたしがこの時代に来れた理由はこれ。時廻りの涙っていうんだけど、あたしの力がこの宝石に伝われば、時廻り、みんなの言うタイムトラベルができるんだ。だから、これを使うと、けっこう疲れる。」
なつみは笑いながら言ったが、4人共放心状態だった。
「でも、あたし、強くなったから。・・・考えたんだけどさ、あたし、みんなの用心棒をしようって思うんだ。」
「用心棒!?」
いきなりの展開に4人は困った顔をした。
「強くなったんだからさ、生かしたいんだ。みんなのため、自分のため。」

 「えーと、みんなの調べでは、ここら辺に祠があって、そこにタイムストーンがあるかもしれないってことだよね。オーケーわかった。・・・大丈夫、あたしがみんなを守るよ!」
なつみは満面の笑みで言う。裕太とレックスは呆然としていた。しかし、舞は、
(なつみちゃん、なんか明るくなった。)
ふっと笑みを浮かべる。しかしフミヒトは、軽く頭を押さえていた。
(嫌な予感しかしない・・・刺激を与えたかったって思ったけど、まさかこんなに強く変わってしまうとは。彼女の行動、性格。・・・そうならないように、しっかり彼女についてないとなぁ。)
「で、どこに祠はあるの?」
なつみは元気に言った。しかし・・・
「・・・」
「・・・へ?」
なつみは察した。
「わからない・・・の?」
「・・・うん。」
「・・・そっか。オーケー、わかった。なんとなくだけど、やってみよっか。」
「何を?」
なつみは目をつむると、くっと力を込める。意識を集中させて、手を打ち合わせる。なつみからぐわんと力の波が広がってゆく。なつみは静かに息をはいた。
「わかった。」
「何が?」
「タイムストーンがある方向。たぶん、あっち。」
「・・・へ?」
「あたしさ、お師匠様の元で剣妖術修行したって言ったでしょ。剣術と妖術の修行で、気を感じるのがわりとうまくなったんだ。」
「あのさ、さっきから気になってたんだけど、妖術ってなんだよ?」
「妖怪の術だよ。こんな感じ。」
なつみは手に炎をぼうと灯す。4人は息を飲んだ。
「妖術は、炎、水、雷、風、氷の5種類あって、一応全部できるけどあたしは炎と水属性の術が得意。」
「・・・はぁ?」

 「・・・ねぇ、なつみちゃん。ホントにここなの?」
舞は苦笑いしながら言う。ここでないことを願っているような感じだ。
「うん、ここから強い気を感じる。」
5人の前に立ちはだかるのは、大きな火山。火山の麓に洞窟のようにポッカリと穴が空いてある。洞窟みたいだ。中に入ってみたが、暗くない。しかも、暑い、熱い。何せ火山の中の洞窟だから。
「なつみ、ちょっと待て。暑い。俺これ以上の熱気耐えられない。」
裕太が言う。みんなうなずく。
「え、そんな暑い?」
「暑いよ。熱中症になるレベル越えているよ。」
フミヒトがまっとうな意見を言う。なつみはほんの少し黙ると、にっこりと言う。
「じゃ、みんなは外で待ってて。」
なつみはどんどん奥に行ってしまった。暑さに耐えきれなくなった4人は洞窟の外に出た。

 時しばらく、なつみが戻ってきた。顔が赤く火照っている。
「あったよー!赤いタイムストーン、レッドタイムストーン!」
なつみは、布に包んだタイムストーンを裕太に渡した。エヘヘと笑うと言う。
「あんなに豪語してたのに、やっぱ暑かったわ。あたしもまだまだみたいね。」
その時、フミヒトがなつみの後ろからがしっと肩を掴む。その目は鋭かった。
「足、ふらついているじゃないか。完全な熱中症だよ。全く、頭ボーッとして痛いだろう。」
フミヒトはなつみがしゃべっている時、ほんの一瞬顔をしかめたのを見逃さなかった。
「支えてあげるから、無理したらダメだからな。・・・早く帰ろう。」
「・・・あ、あぁ。」


Re: 時の旅人 ( No.9 )
日時: 2018/08/15 09:22
名前: N

第7話 姫の祈りと剣士の叫び

 フミヒトはタイムワールド号に戻ると、なつみを研究室兼医務室に強制連行した。無理やりベッドに寝かせる。
「裕太、レックス、少し彼女の様子を見ていてほしい。舞、一緒に来てくれ。」
「わかった。」
なつみはベッドの上で息を荒げる。さっきまで我慢していたのだろう。みんなに心配かけないように。最も、医者であるフミヒトには気づかれてしまったが。
「ホントは辛かったんだな。」
レックスは少し悲しそうな目で言う。裕太も少し悲しそうな目をすると、それでも少し笑みを浮かべた。
「でも、あんなに震えていたなつみがこんなにも強くなって戻ってきた。」
「うん。」
その時、フミヒトと舞が戻ってきた。舞の手にはコップが1つ。
「フミヒト君に教えてもらったんだ。フミヒト君、料理とかダメだから。」
フミヒトはポリポリと頭をかく。
「簡易的な水分補給水だよ。やっぱね、薬品の調合とかはできるんだけど、食品にしたとたんにね、色々おかしくなっちゃうんだよ。」
舞が水分補給水をなつみに飲ませると、なつみの呼吸は整いはじめ、こくんと眠りについてしまった。そんなに長い時間寝てはいなかったが、次目が覚めた時、なつみはすっかり元気になっていた。

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