ダーク・ファンタジー小説

シリアス・ダーク・ライト
日時: 2018/12/04 18:42
名前: M

田淵優。それが俺の名前だ。タブチマサル。人はどう思っているかは分からないが、俺自身は、極めて残念で、酷い名前だと思っている。田淵という名字も、何か妙に言葉に言い表せない嫌気がしていた。名字だけが嫌ならばまだ大丈夫だと思うが、問題は、下の名前、マサルだ。もしも、田淵優と書いてタブチユウ、という名前ならば、少しだけさわやかな印象になり、俺もそれならば自分の名前が嫌になることは絶対なかっただろう。だが、ユウではなくマサルなのだ。俺は、日々名前を書く機会に遭遇した時に、心の底から嫌悪感を心に抱くのであった。
しかし、名前が嫌、というだけの悩みであり、それは他人からすればどうでもいい話だ。俺も人の名前など別に気にしないし、そんな暇さえないと思う。だからこそ、俺は前向きになり、そんな小さい悩みなど吹き飛ばして別のことに思いをはせればいい、とは考えるがやはり、そうもいかなかった。
今も、丁度名前を書き終えたばかりの紙と向かい合い、書かれている問題を順番に解いていた。現代文の期末テストだ。この50分間がとてつもなく長く感じる。一段落着くと、窓の外に目をやったりするが、教壇にいる教師に怪しい動きと思われたくもないので、視線をすぐに逸らす。

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Re: シリアス・ダーク・ライト ( No.1 )
日時: 2018/12/04 18:55
名前: M

現代文のテストが終わりを告げると、教室中に椅子を引く音、シャーペンを筆箱に戻す音などが重なり合った。そのさなかに、スピーカーから流れる鐘の音も混ざる。一番後ろの席の人がテスト用紙を回収し、教師に渡す行為をしばらく見た後、教師が教室を出ていくと同時に、ポケットからスマホを取り出し、数分夢中になった。
先程の現代文のテストが4時間目だったので、すぐに昼食かと思った。だが、テスト期間中であるため、昼休みはなく、もう下校だったことに気づいた。スマホをポケットにしまうと、立ち上がり、帰り支度をした。再び腰を下ろすと、ホームルームが始まるのを気長に待った。
下校時、剣道部の連中と一緒にいるのが日常茶飯事だったが、テストの時は大体一人で帰っていた。剣道部の人数も少ないし、同じクラスに剣道部は俺だけなど、一緒になれる機会はどうしても低かった。既に学校を出た俺は、学校近くにある交差点で、いつものように信号が青になるのを待った。
田淵優、17歳、テスト2日目が終わり、あとは明日の最後のテストを乗り切るだけだ・・・。そしてまた部活の日々が始まる。そんなまるでドラマの主人公のナレーションのような声なき声を自ら作り上げ、頭の中で鳴らした。平穏な日々。両手をズボンのポケットに入れ、信号が青になるのを待つこの状況も、あと1年以上はある。

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