ダーク・ファンタジー小説

自由を求めて
日時: 2019/10/11 11:45
名前: サクマ

エピソード

とある小さな村で育った俺は成長期に差し掛かった頃、些細なことで親と喧嘩をして家を出て隣町で寝泊まりをした。
親が自分のことを探し回って来てくれるのではないかと思い込んでいた。

朝になっても両親が来る気配はなくて、それどころか町では別の話題でザワザワとしていた。

嫌な予感がして、走って村へ帰った。

村はひと地域丸々炎の波に飲み込まれていた。高い山に囲まれた小さな村に消防は時間がかかる上に、深夜に煙が上がっていたのを隣町の住人が見たと言っていた。
膝から崩れ落ちた俺は悲鳴も聞こえてこない村を、消えることを知らない赤やオレンジを見続けることしか出来なかった。

ようやく到着した消防が水をかけたが半日かかった村には黒い木々や塊しか残らなかった。俺の家があった場所は黒い木々が覆い被さっているだけだった。

泣き疲れた目からは何も出てこない。

それから俺は親戚の家に引き取られた。

ーーーー
※ファンタジー要素あります。

エピソード
第一話「交渉」
>>1,>>2,>>3
第二話「雪山の少女」
>>4,>>5,>>6,>>7
第三話「ミカエル」
>>8,>>9,>>10,>>11
第四話「彼らは生きてる」
>>12,>>13
第五話「ハジマリ」
>>14,>>15,>>16,>>17,>>18,>>19,>>20
第六話「彼らの特質とミカエルの記憶」
>>21,>>22,>>23,>>24,>>25
第七話「埋められた戦士」
>>26,>>27,>>28


Page:1 2 3 4 5 6



Re: 自由を求めて ( No.26 )
日時: 2019/10/04 18:23
名前: サクマ


やはりバケモノと呼ばれていても睡眠は必要なのだろうと思い、地層を背中に預けさせ、ミカエルが起きるまで隣で俺も休むことにした。

瞼を下ろすとドクドクと心臓の脈打つ音が聞こえる。
生暖かい風と波の音が心地よいはずなのに、背中の地層側から聞こえる心臓の音は何か迫ってくるような恐怖を感じた。

ドックン・・・ドックン・・・

脈打つ音は変わらないのに、何故か怖い。

ーーーー・・・
静かで冷たく暗い何かの中に入れられている。俺はまだ目をつぶったままなのか目を開けているのかも分からない暗闇の中に居る。何故かなんて考える間もなく遠くで男性の高笑いのようなのが聞こえた。

ぼんやりする頭で聞き耳を立ててみると勝ち誇った声の主は誰かを連れているような内容を口走る。

あんまり聞こえないのに高笑いした男に酷く怒りを感じる。今すぐにでも男を殴りかかりたい気持ちでいっぱいなのに体が動かない。他に抗議の声を上げる声まで聞こえたがそれもすぐに静まる。誰かがそれを鎮めるように説得しているんだろうか、それがショックだった。

高笑いしていた男は誰かを賞賛する。俺の心には憎しみの文字が強く現れた。

ーーーー・・・
「っま…くま…サクマ!」
「…ハッ!はあ…はあ…ミカエル…?」
「大丈夫?…魘されてたみたいだけど…」
「あ、うん…大丈夫。ありがとう」

誰かに呼ばれたと思った時に体を揺さぶられる感覚が伝わり、頭が大きく揺れた衝撃に目が覚めた。
目の前にはミカエルがいて、波の音も聞こえる。場所なんて変わっていないのに汗をびっしょりかいていた。ミカエルが魘されてたというのだから、俺は夢を見ていたんだろう。

リアルな夢だったはずなのに、どんなものだったか思い出そうとすると目を覚ましてしまった後では段々と薄くなってくる。
ただ感じたのは恐怖と憎悪の感情だった。

ミカエルに変な心配させないためにも俺は平気なフリをして黒い箱についてミカエルと相談することにした。

「それより、この黒い箱…なんだと思う?宝箱だと思うんだけど、ミカエルはどう思う?」

Re: 自由を求めて ( No.27 )
日時: 2019/10/08 19:20
名前: サクマ


「うーん…何処かで見た気がする、んだけど…」

額を伝う汗を腕で拭って払うと、手に顎を乗せて渋い顔をするミカエルに徐々に気持ちが落ち着いてくる。
悪い夢にザワザワする胸を撫でながら、あとでミカエルにはちゃんと睡眠をとるように言うことにして、黒い箱は取り出して見ないか提案する。

「長さとか分かんないし、一旦引き出してみるってのは…どうかな?」
「ああ、いいかもね」
「でも、上の地層が崩れてこないかな?それが心配で…」
「……それなら、少し離れてて。水圧で削ってみる」

黒い箱を出すためには、崩れてきそうな地層が邪魔をしていると説明すると少し間を開けたミカエルはその場から離れるように俺に言った。

無茶だけはするなと伝えて数メートル離れて見守る。

ミカエルは腕をまっすぐ地層に向けて伸ばして、掌を黒い箱と地層との溝に当てる。

ドゴォンッーーー・・・ガラガラ、コロッ

触れた溝の部分から突然の爆発に慌てて顔を抑えるように腕を前にやって目をつぶった。
石垣の崩れる音が鳴り止む頃に、そっと目を開けて見ると伸ばしていた手を下ろしたミカエルは黒い箱を静かに見つめているだけだ。

俺は砂のホコリに咳払いして曇る視界に細かい砂をかき分けるようにしてミカエルに近づく。

「ミカエルーっ!ゴホッゴホッ、なんだよこれ、もう少し弱めに出来なかったのかよ…?」
「悪いね、久々に勢いのあるもの使ったから加減できなかったよ」

水圧で溝の砂を吹き飛ばすつもりだったみたいだが、黒い箱を囲っている砂を範囲広めに水圧をかけたみたいで、周りの地層は崩れてボロボロと下に落ち、黒い箱は傷一つない新品状態のようにして目の前に現れた。

計り知れないミカエルのチカラの強さに恐怖の感情を隠すように文句を垂れると、ミカエルはクスッと俺を小馬鹿にしたように笑った。

Re: 自由を求めて ( No.28 )
日時: 2019/10/10 15:24
名前: サクマ


そんなにチカラを使って、傷口が開くんじゃないか心配になる。チカラを使い過ぎると若返ると言っていたから確認してみると見た目は先ほどと変わった点が見えなかったから、怪我の様子だけ聞く。

「傷口は塞がったのか?そんなにチカラ使ってると…」
「まだ完全に治ったとは言えないけど、気にしなくていいよ、じきに治るんだし」
「そんなこと出来ないよ、ミカエルだって俺たちと同じ人間なんだか」
「さ、この棺の中身は何かなー?」

心配してるのにミカエルは気にするなの一点張りで、姿を現した黒い箱のようなものは死者が燃やされて灰にされる時に入れられる棺桶のようだった。
ミカエルは本題に入るために自分の聞きたくない言葉、要は俺の発言を邪魔して遮る。

棺の中身を見ようとミカエルが手を伸ばす。

バチッ
「っ痛!」
「ミカエル!大丈夫か?」

棺に触れる瞬間、何かが棺から伸びてミカエルの手に当たったようだ。
ミカエルは反射的に手を引っ込める。ミカエルに寄って痛む箇所を覗き見るとその白い手には線状の跡が赤くなっているのが目視できた。鞭で叩かれたみたいな痕。

見るからに痛々しいソレに棺を開けるのを躊躇う。開けたら変な植物が出てきたり、虫が出てきたりしないかな?棺からのカラクリのような仕掛けに、まるで開けてほしくないみたいだ、とも思った。

そんな時、ミカエルがボソッと呟く。

「もしかしたらコレ、ボクらじゃなくて普通の人間にしか開けられない箱…だったりして」

Re: 自由を求めて ( No.29 )
日時: 2019/10/15 20:27
名前: サクマ


おおっと、今のは幻聴か?

俺は耳を疑う。今のミカエルの発言は要約すれば「お前が開けろ」という事だろう。

「えっとー、ミカエル?それは、俺に死を覚悟しろと・・・?」
「覚悟ができたからボクを守ってくれたんじゃないの?」
「ぐっ・・・!」
「早く開けなよ」

ミカエルでさえ傷を負って、今も痛いから両手を隠すように摩っているのに、俺だったらどうなってしまうんだろうかと不安に胸がザワザワしている。

いや、待てよ?

「そもそも普通の人間にしか開けられないっていう証拠は?」
「は?」
「箱を開けようとしたら攻撃されるなら普通の人間の俺だって攻撃受けるかもしれないじゃん!俺なら無傷で開けられるって確証がないと開けられないよ!」

痛いのは嫌だし、無駄に怪我することは避けたい俺は必死に抗議する。ミカエルは必死な俺に片耳を塞いでは煩わしそうに眉だけ寄せて顔を歪める。

「ごちゃごちゃうるさいなあ、キミなら大丈夫だよ」
「だからその確証は!?」
「そんなものは、ボクの勘だよ。ボクを信じてくれるんだろう?」

あれ・・・?なんだか涙が・・・

俺はこれからもこんな目に遭いそうで過去の自分を叩きたくなった。だが、ミカエルを信じようと決めたのは自分だし!・・・てかミカエルの交渉術が上手すぎて何も言えない。

項垂れつつ棺に向かっていき、最後の甘えに振り返って顎を下げてミカエルを上目に見て、精一杯の上目遣いをした。
もちろん、俺の上目遣いなど可愛いわけがなく、冷たい言葉で一蹴される。

「早く開けなよ」
「・・・はい」

これほどまでに自分の行動に恥じたことは無いと思った。

Re: 自由を求めて ( No.30 )
日時: 2019/10/19 00:45
名前: サクマ


恐る恐る触れようとして激しい痛みを伴うくらいなら、一気にやって一気に終わらせよう!そう思った俺は勢いよく棺の蓋部分に両手を引っ掛ける。

「…っうおおお、らああ!!」

攻撃が来るなんて分からないけど、勢いのまま力任せに蓋を押し上げる。鉛のように重たい蓋は数センチ隙間が出来るほど開くと、勝手に中身が全て見えるようにパカッと閉じる力より開く力が強くなり、俺は蓋に重心を置いてた為に体を持っていかれ、バランスを崩して、そのまま開いた棺の蓋に両手をつけたながら中に倒れる。

「っ、うおおっ!」
「開いた」

俺が開けたのに、開いちゃった、みたいな言い方のミカエル。すぐに体制を立て直して服の
ホコリを払う。驚いたことにどこにも痛みは感じなかった。

ミカエルも隣に立って一緒に棺の中身を見る。

中には財宝や人の死体なんて入ってなくって・・・いや、半分は正解。

人間がなかで目をつぶった状態で居た。死んでんのか生きてるのか・・・いや、きっと死んでいるはずだ。棺桶は頑丈な造りで土の中に埋まっていて、息なんて出来るはずがない、魚だって死んでしまうだろう。加えてこの棺が入っていた土は地層が綺麗になっている所、何十年何百年前の棺桶なのかも分からない。その長い期間、酸素なしで人間は数時間持つわけがないのだ。

だが不可解なのは「なぜ死体が白骨化していないのか」という点だった。

まじまじと観察するように見ていると死体の目がパチッと音のなる勢いで見開かれた。

「ぎゃああああ!!」

俺は思わず叫んでミカエルの後ろに隠れた。

Page:1 2 3 4 5 6



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


E-Mail


URL


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大7000文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。