ダーク・ファンタジー小説

余命4ヶ月の天使
日時: 2020/01/26 10:01
名前: Dios

所詮、私の人生なんてこんなものなのだろう。
幼少期から、病気がちな私、一条うららは人生という物語を諦めていた。
むしろ、いつ死ぬかそれだけが私の頭を埋めていった。
真っ白な無機質な部屋に閉じ込められ、窓越しに見える同い年くらいの子達に黒い感情を抱いてしまう毎日。
いっそ、早く死んでしまえばいいのに。
そうすれば、アイツと会える……。
だから…お願いっ、誰か私を殺して……。


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Re: 余命4ヶ月の天使 ( No.5 )
日時: 2020/02/10 11:43
名前: Dios

けれど、私は燐の言葉には気づかなかった。それ以上に本に夢中になってしまっていたのだ。
「……あぁ、本当に綺麗だな。天使は。
ね、燐?」
優しく撫でた表紙の天使から目を話さずにそのまま燐に問いかける。
けれど、燐は返事をしなかった。
「あれ?燐?」
そこに燐の姿は無かったのだ。
最初、私は疑問こそ感じたがそれ以上のものは感じなかった。


燐があんな事を思っていたなんて……。


Re: 余命4ヶ月の天使 ( No.6 )
日時: 2020/02/10 11:55
名前: Dios

それから暫く燐は、姿を見せることは無かった。
私は、毎日燐から貰った本を読み進める。
1ページずつしっかりと。
「天使か……。」
栞を挟み表紙の天使を再び見る。
純白の美しい羽は体を覆うほど大きく頭上に浮かぶ白い輪はきらきらと輝いていた。
金髪の腰元まで伸びる髪、青く透き通った瞳その全てがこの世のものでは無い事を物語っていた。
「はぁ……。綺麗だなぁ……。」

実際、私は幼い頃から天使に憧れていた。
天使がこの世にいて亡くなった人が皆、否皆じゃなくてもいい事をした人は天使になる。
そう信じてる。
だから、あいつもきっと天使になったと思うんだ。

Re: 余命4ヶ月の天使 ( No.7 )
日時: 2020/02/10 16:58
名前: Dios

私、一条うららと真宮燐ともう1人氷浦夏向。通称かなくんは所謂、幼馴染と言うやつだった。
クールで冷静沈着な燐が好奇心旺盛な私と夏向のストッパーとなって色々な所を冒険していた。両親同士が仲良くて、幼馴染になっていた訳だが、初めて逢ったのは4歳の時のBBQの時だった。
今でも、あの時の事はよく覚えている。
当時、まだ人見知りな私を2人が連れ出してくれたのが始まりだった。
「一緒に行こう!!」
2人の目が輝いていてかっこよかった。
それからの私達は、親に勧められてっていうのもあったけれど3人で同じ学校に進んだ。小学生になった私達の楽しみは帰りにアイスを買って食べながら帰ること。


「うらら、まだかよ。早くしろよ。」
店の扉にもたれかかりながら外の様子を見ている夏向。
「う~待ってよぉ…。バニラかな?それともチョコ?うぅ~悩む……。」
アイスが入っているクーラーボックスに頭を突っ込んで半泣きの私。
そんな私達を見てため息をついて燐が窘めるように言う。
「もう、夏向は焦らせないの!うららはゆっくりでいいからクーラボックスから頭を出しな。」
燐に嗜められた夏向は怒られた子犬のように私に向けた牙をしまいそっぽを向いた。
「チッ…悪かったよ……。」
そんな2人を見て私は微笑んでしまう。
その笑みに2人は怒る。
「何、笑ってんだよ!!お前のせいじゃん!!」
「もう、うららは…仕方ないな。」
頭を掻きながらアイスを頬張る夏向と優しく微笑んでいる燐の後を追って店を出る。
「待ってよぉ!」
それが私達の毎日だった。

幼い私達をオレンジ色の光が優しく照らしている。





Re: 余命4ヶ月の天使 ( No.8 )
日時: 2020/02/11 10:24
名前: Dios

夏休みが始まる前、7月19日。
今日は待ちに待った終業式だ。
「うらら、夏向、今日もいつもの場所でな!」
燐が、左手を大きく振って私と夏向に声をかける。この声に私は振り返り大きい声で返事をする。
「うん!!」
夏向は私とは違って左手を軽くあげるだけだった。
そのまま、それぞれのクラスに入る。
実は3人ともクラスが違く、それが私はとても嫌だった。否、寂しかったという方が正しいのかもしれない。
この日、最後の夏休みという事で3人で帰りに冒険する約束をしていた。
席に着いても、私の顔は帰りが楽しみでネジが緩んでいたのかもしれない。

Re: 余命4ヶ月の天使 ( No.9 )
日時: 2020/02/11 13:46
名前: Dios

夏休みの始まりを告げるチャイムとともに私は教室を駆けでる。
あの2人の元へと……。
しかし、短い足で階段を駆け下りて行く途中、急いでいたせいもあり踏み外してしまった。
「きゃッ!」
ぶつかる、そう思った時だった。
「おい!」
「うらら?」
聞き慣れた大好きな声が聞こえ、上を見上げる。
そこに居たのは、幼馴染みの燐と夏向だった。階段から落ちてきた私は2人の腕の中におさまったみたいだ。
「あはは…やっちゃった。てへへ…。」
体勢を戻し、笑ってみせると2人は困った顔をしていた。
「はぁ…お前はドジだな……。」
夏向は呆れて溜息をつき、燐は優しく微笑んでいた。




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