ダーク・ファンタジー小説

Re: 格安ワケあり物件「ダンジェハウス」 ( No.4 )

日時: 2019/01/25 21:07
名前: 名取


「そろそろジュアも帰ってくるだろう」
「あっ!ジュアさん帰ってくる前に少し確認したいんですけど…」
「なんだ?」
今日初めに会ったのはジュアさんだったが、どうしてもその容姿のことで気になって俺はリベルテさんに聞いてみた。
「ジュアさんって、まだ高校生…ですよね?」
「「……ぷっ、ははははっ」」
リベルテさんとへレスさんは一度キョトンとしたあと吹き出して笑った。ヘレスさんは相変わらず笑ってもイケメンで、リベルテさんは顔が整っているのかもしれないと思った。
でも、そんなに笑う程俺はおかしなことを言ったのだろうかと首をかしげた直後、玄関の扉が開く音が聞こえ、走ってくる音が近づいてきて勢い良くソレは帰ってきた。
「ただいまー!」
「おかえりなさい、ジュアさん」
「おう!森本!」
「ラビートだぞ、ジュア」
「え?ああ!ラビートか!」
にこやかに笑みを浮かべたまま俺の肩を叩いて挨拶を交わすジュアさんにリベルテさんが名前を訂正した。それにジュアさんはすぐに理解した。
あれ?俺、リベルテさんに名乗ったっけ?と思ったが目前の話が変わって聞くのはやめた。
「それよりジュア、また子どもに見られたぞ」
「え?…なあ!?なんだってー?」
「えっ!いや、スミマセン!」
リベルテさんが含み笑いを上品に口元に手をあてながら抑えてジュアさんに言うと、暫し目を点にした後ジュアさんは顔を真っ赤にして不服さ全開で俺に詰め寄ってきた。慌てて謝ると、ヘレスさんが制止の声を出した。
「まあ、無理もないさ」
「ヘレスまでぇー…」
顔をガックリと下にさげたジュアさんはあからさまに落ち込んでて、なんだか申し訳なくなるけど、元はと言えばリベルテさんがジュアさんに言わなければ良かった話で。
「リベルテさんが言うからですよー!」
「ふふ、すまん」
リベルテさんの耳元で小さく文句を言えば、まだ多少笑っていたリベルテさんは笑いながらも謝った。視線を感じてヘレスさんを見れば眉間にシワがよっていて俺を睨んでいた。それも一瞬、怖いと思った時にはいつも通りの顔に戻っていてジュアさんを見ながら俺に説明した。
「ジュアはこれでも24だ」
「あーやっぱり……ええ!?24!?」
「そんなに驚くことないだろー?!」
どう見ても18歳のジュアさんは童顔だとわかった。不満げな顔も頬を膨らませて隠そうとしないところがまた子どもらしさが出ていて、俺より歳上なのだから気をつけようと思った。

「おいおい、相変わらずうるさいねー。ここは幼稚園児の集まりかよ」
初めて聞く声に顔を向ければ、二階から男が見下ろしていた。
黒髪の癖毛が伸びきっていて長さもバラバラな上に色んな方向に跳ねているボサボサ頭を掻きながら白い肌と短い眉毛、ツリ目には碧の瞳。内側にボーダーの服を着て黒いワイシャツで襟を立てて、黒いズボン。黒いな、が第一印象。どうやらこの人がルキさんかもしれない。
「ルキ!おはよう!」
「元気だねぇ、寮長さんは」
ジュアさんが片手を上げて元気よく声をかけるとニヤケ顔のままルキさんは応える。
「もう夜か、風呂には入ったのか」
リベルテさんが左の腕時計で時間を見てルキさんに問うと、ルキさんは腕を組んだリベルテさんに寄って行き「それよりメシだろ?」と言うので、俺が作りますと口を開いた瞬間誰かに背中を押された。
「うわっ!たたっ、危ない!」
背中を押されて崩れたバランスのままルキさんにぶつかりそうになるが、ルキさんがギリギリで体を引いて俺はルキさんとリベルテさんの間を通り過ぎ、ソファに顔をぶつけた。
一体誰が背中を押したんだよと振り返ればヘレスさんが居て、ルキさんはその時俺に初めて気づいたようだ。
「はあ?誰だよオマエ」
「あっ、今日からお世話になるラビートです。よろしくお願いします」
咄嗟に床に正座して挨拶する。笑われないかと心配になったが、ルキさんが言った言葉は予想していなかった。
「へぇー、ウマイのか?」
「えっ…あ!料理ですか?まあまあだと」
「ケッ、青臭いねぇ」
俺が答えている途中で苦虫を食べた表情で言葉を遮るルキさんに何か違ったのか?と周りを見ればヘレスさんは降ろしていた金髪の髪が全て逆立っていて、リベルテさんの眉間にはシワが寄ってる。ジュアさんを見れば、彼は元気に話を変えた。
「よし!じゃあ飯にするかー!俺も腹ペッコペコだよー!今日はラビートの歓迎会も含めて酒だ酒ぇー!オレ、サル起こしてくるから、リベルテは飯よろしく!」
「ああ、わかった」
「なら俺は風呂を炊いてくる」
「頼んだ!」
それだけ言うと床に正座のままの俺を置いて三人は移動を始めた。ルキさんは俺を気にも止めずリベルテさんの後を追う。
「徹夜明けかよ、健康な時が一番ウメーのによ」
「黙れ」
「あーあーコワイコワイ」
「ラビート、コイツの相手をしてやってくれないか?」
「うえ?!」
「おいおいリベルテくん酷くねぇ?あのこと言っていいのかよ?」
「…あのこと?」
いきなり呼ばれて一応ルキさんの近くのリビングテーブルの椅子に腰掛ける。エプロンをして野菜を切っていたリベルテさんが「あのこと」と聞いて手が止まる。
なんだかリベルテさんはルキさんとはピリピリした空気を出してる、もしかしたら嫌いなのかもしれないと察する。
「ラビート、リベルテくんってば実はーーーあだっ!」
「風呂、出来たぞ。さっさと入れ」
振り返ったルキさんが俺の近くでヒソヒソ声で話した途端にルキさんの後頭部に何か当たる。
ルキさんは後頭部を擦りながらぶつかった物が飛んできた方向を見ればヘレスさんが無表情で言った。
ルキさんは聞こえるぐらい大きく舌打ちをついて風呂へ向かう。ヘレスさんは見向きもせずキッチンに入りリベルテさんの手伝いをしようと話をしている。
ルームシェアでもやっぱり仲の善し悪しは出るんだなと思うとこれからの事に苦労しそうで苦笑いした。

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