二次創作小説(紙ほか)

泉君のカノジョ
日時: 2017/10/21 14:11
名前: 奈狐

初投稿です!奈狐と言います。ご存知でしょうか「おおきく振りかぶって」。野球が大好きで、この漫画がお気に入りです。推しキャラは泉孝介なのですが、彼に可愛いカノジョがいたらどうなるんだろうと思い、二次創作ということで書くことにしました。拙い文章ですが、もし宜しければ見ていって下さい。

因みに、これは西浦高校が一年の夏の県予選で負けた後のお話です。夏休み中なので、毎日練習が有ります。



物語は泉視点で展開するので、言葉が所々悪いです。すみません。







紹介だけになってしまいましたが、近いうちに本編をアップしたいと思います。宜しくお願いします。

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Re: 泉君のカノジョ ( No.32 )
日時: 2018/09/18 19:39
名前: 奈狐

―本日は柚梨サイドです―


午後3時30分。休みの日のこの時間の日課は、灼熱の太陽に頑張って堪えているお庭の植物たちにお水をあげること。

「今日も暑いねー、みんな。」

自分でも変人だなと思うけど、私はこういうふうに話しかけながら水やりをするのが好きだ。

「わぁ!大輪になったねぇ、向日葵ちゃん!!」

お庭の西側に植えている向日葵にそういって根本に水をかける。と、いきなり

「宮里……先輩…?」

声変わり途中のような変な声が背後から聞こえて、私は思わず飛び上がった。

「ふぇっ?!」

謎な声とともに振り向くと、薔薇の垣根の向こうに見覚えのある顔が戸惑った表情でこちらを見ていた。

「あ、やっぱり。宮里先輩だ。」

「え……………?結城君…?」

野球部で私を同級生から庇ってくれた、ひとつしたの後輩、結城君だった。

「宮里先輩、お家ここだったんですね。全然知りませんでした。」

屈託のない笑顔を向けられて、私は目をしぱしぱさせた。

「何でここにいるの、結城君。」

びっくりしたまま訊ねると、結城君は肩をすくめて

「いえ、この近くに林道っていうクラスメートがいて、そいつのところに遊びに来たんです。」

と言った。

「あぁ、雄太のとこね。なるほど。」

そう返して微笑むと、結城君は何かに気づいたらしく、

「宮里先輩、何かありましたか?」

と聞いてきた。

「あ、うーーん………。」

返答に迷ってしまう。

「ちょっと、隣の家の仲良しなお兄ちゃんと喧嘩しちゃって………。」

曖昧に答えると、結城君は笑いながら

「隠そうとしなくて良いですよ。カレシでしょ、その人。」

と言って、更に質問を重ねてきた。

「で、何でケンカしちゃったんですか?」

「それは………。」

うまく言えない。あそこまで怒ることじゃなかった気がするし。

「ざっくり言うと、進路かな。私はその彼氏と同じ学校に行きたいの。でも、親とか先生とか、皆『もっと上を目指せ、そんなとこに行くな』っていうの。本音を言っちゃえば西浦は勉強なんてしなくても受かるんだよね。でもさ、自分の進路ぐらい自分で決めさせてほしいじゃない?それなのに、孝介までそんなこと言ってくるから、ついイラッときて飛び出しちゃったの。それから会ってない。」

一気にしゃべって結城君を窺うと、相も変わらず結城君は笑顔だった。

「宮里先輩。それは、彼氏さんが良くないですよ。宮里先輩のことをよくわかっているはずなのに、そうやって思わず吐き捨てちゃったんです、きっと。事前に何があったかにもよりますけど、やっぱり彼氏さんに責任があります。でも、宮里先輩も冷静に考えてみるべきかも知れません。そこは、二人の問題です。僕は口は出せません。それじゃ、また。」

そう言って結城君はヒラヒラと笑顔で手を振りながら去っていった。

「孝介が………悪い……?そうかな…?ね、どう思う、薔薇さんたち。」

そっと垣根に手を添えて、私はしばらく考えていた。

Re: 泉君のカノジョ ( No.33 )
日時: 2018/09/03 17:23
名前: 奈狐

―柚梨サイド続きます―


四時間ほどたって、私が新しいパンジーを鉢に植え替えていると、結城君がまた通りかかって声を掛けてきた。

「先輩。まだやってたんですか?」

「うん。庭のお手入れは私の趣味だからね。」

小さく笑ってそう答えると、結城君は嬉しそうに頷いた。

「宮里先輩みたいな人に手入れしてもらえるなら、植物たちも本望ですよ!」

この子は、すぐこういうことを言う。良い子なんだなとは思うけれど、正直くすぐったすぎて痒いからやめてほしい。

「あげようか、ホタルブクロ。」

ふと思いついてそう言った。

「可愛いお花でしょ?お気に入り。家に鉢とかプランターとかがあれば植えてあげてね。」

……花には人を落ち着かせてくれたり、幸せにしてくれたり、そういう優しい力がある。結城君が私に『どうかしましたか?』と声を掛けたのは多分、結城君自身なにか悩んでいたことがあるんじゃないのか。私はコミュニケーションをとるのが苦手だから、結城君みたいに誰かの話を聞いて助言するようなカウンセリング力はない。だから、花に託しておこうと思う。

「ホタルブクロは雑草だよ。だけど、雑草っていうのは厳しい環境でも生き残れる生命力の強さがある。だからこその、生き残ったからこそのありふれた『雑草』なんだよ。」

そう言って切り取った5、6束のホタルブクロを傍にあったカラスノエンドウの蔓の1つで結わえて渡す。

「何があっても、めげちゃダメ。強くね、精神を持つの。きっと、大丈夫。辛いときには、君の周りにいる沢山の大人たちが助けてくれるから。じゃ、暗くならないうちに帰りなね。」

「あ………ありがとうございます……。」

とたんに、結城君はボロボロ涙をこぼして泣き始めた。

「ど、どうしたの結城君!?」

ビックリして聞くと、結城君はさらにボロボロ涙を流した。


あわあわしている私は、孝介が帰ってきたことに気が付かなかった。

Re: 泉君のカノジョ ( No.34 )
日時: 2018/09/18 19:38
名前: 奈狐

―泉サイドに戻ります―





午後5時40分。フラフラとチャリをこいで帰ってくると、何やらわぁわぁ騒ぐ声が聞こえてきた。

「……なんだ?」

声のする方に目を向けると、柚梨が薔薇の生垣をはさんで知らない男子と喋っていた。

「は?何やってんだ柚梨のやつ?」

栄口にぴしゃりと怒られた事もあって柚梨を気にしていた俺は、何だか盗み聞きみたいで良い心地はしないものの会話を聞いてみた。

『………どうしたの結城君?うぅ〜〜〜、私何か変なこと言ったっけ?ごめんね?』

『違う。宮里先輩は悪くないよ……。ただ、ちょっと思い出し泣きというか…。』

『ホントにどうしたの?ちょ、結城君?大丈夫?』

『だい…じょうぶっ………ですっ……っとも言えない……。』

『何があったの?野球部?』

『……うん。………その…僕、頑張ったんだよ。宮里先輩が部活来なくなっちゃってから。スコアなんて皆付けようとしないし、用具の準備も片付けもやってたんです…。僕と、篠原と、二人で。全部。』

『あぁ、篠原君ね。結城君と一緒によく仕事手伝ってくれた子だよね。』

『うん、そう。それでさ、僕、ホントにホントに頑張ったんですよ。篠原も。でもさ、先輩達の当たりがどんどんキツくなってさ?辛かった。宮里先輩が居れば、励ましたりしてもらえるのにって。ねぇ、僕どうすれば良いの?最近なんて、篠原も部活に来なくなっちゃったんだよ。僕さ、独りぼっちなんだよ。』

『……結城君………。』

『…っ。なんで、この期に及んでそんなよそよそしいの?引っ越したってだけでそんなに人の事忘れちゃうほど宮里先輩は非情なの?』

『ふぇっ?!結城君…?』

『ねぇ、戻ってきてよ………柚梨姉ちゃん。』

『っ?!』



遠目にも、柚梨が目を真ん丸にしたのがわかる。俺は、考える前に足が柚梨達の方に向かっていた。

「おい柚梨。そんなとこで突っ立ったまま話してんなよ。ボロボロ泣かすな、やべー奴みてーだぞ。……うちにこいよ。………結城君…いや、『竜也ちゃん』もな。」

「あ……え…?孝介兄ちゃん?」

「……孝介。いつからいたの。って言うか仲直りしてないし。謝られてないんだけど。」

竜也ちゃんの戸惑いの眼差しと柚梨の冷たい視線が俺に注がれる。

「うっ。まぁ、その…とりあえずうち入れ。それから話をしよう。」

「孝介兄ちゃん……。」

「………わかったよ。バカ孝介。」



……咄嗟に声を掛けたのは良いが、仲直りしていないせいで柚梨の機嫌は最悪だった。何となく微妙な空気のまま、俺たちは俺の家のドアをくぐった。

Re: 泉君のカノジョ ( No.35 )
日時: 2018/11/11 18:30
名前: 奈狐

二人を家に入れたのはいい。けど、さっきまで泣いてたせいで目が真っ赤な『竜也ちゃん』と柚梨を前に、俺はビミョーに気持ちになっていた。

「あの………こ、孝介兄ちゃん?」

「お、おう。なんだ?」

「まずさぁ……。喧嘩してんなら、柚梨姉ちゃんとなかなおりしてよ。僕、こんな変な空気の中喋りたくない…。」

竜也が横の柚梨に目を向けながら言う。

「ん、んーーー。」

当の柚梨はといえば、プイとそっぽを向いたままつんとしている。

「おい、柚梨。」

「何か用?バカ孝介。」

「…ごめん。」

「………。何で謝らなきゃいけなくなってるのか、孝介は自分でわかってるわけ?」

「……そのぉ、あんまり…。」

「ほらね!だからやなんだよ。バカ孝介。」

っつーーー、きっびしぃぃぃぃぃい!

「あはは、柚梨姉ちゃんは孝介兄ちゃんと同じ学校に行って、少しでも近くで孝介兄ちゃんを見ていたいのに、その孝介兄ちゃん本人にまるで『西浦には来んな』って言われたみたいに感じたから悲しかったんだよ。ね、柚梨姉ちゃん?」

竜也が苦笑いしながら小首を傾げて柚梨を見る。と、柚梨の顔がみるみる真っ赤になった。

「ちょ、ちょっと!竜也ちゃんっ!!何でポロっと言っちゃうのっ!?も〜〜〜〜〜!」

ポカスカと自分を叩いてくる柚梨を無視して、竜也は俺に向かって

「ね?孝介兄ちゃんはもっと女心を理解してあげるべきだよ。そんなにおざなりじゃ、もっとしっかりしたヘタレじゃない男にとられちゃうよ?」

と言った。いや、現時点で柚梨がお前にしか反応しなくて俺、おいてけぼりなんだけど。

「柚梨。」

「………なに。」

ふくれっつらになった柚梨が、ぶっきらぼうに答えてこちらを見上げてくる。

「ん。」

俺は少し柚梨の方に寄り、膝立ちになって両手を広げた。

「…………?」

「……おいで。」

「っ!!」

「〜〜〜〜/////」

柚梨がカアッと赤くなってこちらを見ている。何故か隣の竜也まで赤面して口元を押さえている。

「…。嫌だ。」

ん?は??嫌?

「竜也ちゃんの前では出来ない。」

あ、そういうこと。焦るからやめろよな、そういうの。本気で嫌われたかと思っただろ。

「…わかった。」

柚梨は顔を赤くしたまま竜也の方をふりかえり、言った。

「で、竜也ちゃんは私に何を話に来たの?どうしたいの?あと……苗字が前と変わってたから、竜也ちゃんだなんて気付かなかったよ……結城君。」

Re: 泉君のカノジョ ( No.36 )
日時: 2019/07/14 15:52
名前: 奈狐


「あのね、僕ね………」

つっかえつっかえ竜也が話したことは、

@柚梨が部活に行かなくなってから、先輩たちからの風当たりが強くなったこと
A篠原も不登校気味になり、部内で孤立していること
Bクラスにも、煽りの波長が伝わってなんとなく気まずいこと
Cもう限界だってこと

だいたいこんな感じの内容だった。

「結城君は、ずっと一人で耐えてたんだね。ごめんね、気づいてあげられなくて………。無理しなくていいんだよ。野球はそんな辛い思いしながらするものじゃない。スポーツなんて、楽しんでやらないと意味がないんだから。」

柚梨が竜也の頭をぽんぽん撫でながら宥めている。俺も、

「ん。縮こまってたら、野球は出来ないよな。抱え込むな。辛いなら、退部しちまえよ。それでもやっぱり野球がやりたいんだったら、シニアでもボーイズでもなんでもやれるよ。お前ならね。」

と言って竜也の頭に手をのせた。

「あ………う……………うぅ………」

竜也はボロボロ泣き出した。

「おい、泣くなよ……」

柚梨に泣かれると収集がつかなくなることはわかっていた。が、訂正。男は、相手に泣かれるとどうすればいいかわからなくなってまるで役に立たない。

「ん、わかるよ。私も、辛かった。しんどかった。同じ思いをさせちゃったね、ごめんね……。」

そんな俺をほっぽって、柚梨は竜也に話しかけている。



そうか。柚梨も同じような道を辿ってきたのか。無駄に責任感じて仕事して、頼まれても断れない、かといって頼ることも出来なくて味方がどこにもいない感じ。




今までずっと部活仲間に恵まれてきた俺には、わからない感覚だ。所詮、俺には理解できないんだ。
柚梨と竜也の話している声が凄く遠くで響いているように感じた。そう思うと、

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