二次創作小説(紙ほか)

『林檎雨』が降る夜に。
日時: 2018/12/24 21:41
名前: ミク

路地裏にひっそりとたたずむバー。

そこは、裏社会の組織、はたまた探偵、そして、怪しい者たちの憩いの場。

『深い事情は一切問わない』
この決まりのもとでバーは成り立っている。
……たとえ、犯罪者であろうと。

さあ貴方も。
この不思議なバーへおいでくださいな。

きっと、彼等も歓迎してくれるでしょう。

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Re: 『林檎雨』が降る夜に。 ( No.17 )
日時: 2019/01/17 21:20
名前: ミク

遠夏「やあ、立原君。ひとりぼっちの君に会いに来たよ」
唐突にドアノブがまわったかと思えば。
目の前には、絶世の、とは言わずとも、周りからは美人に映るであろう女性がたっていた。
髪にも、マフラーにも真っ白い雪のようなものが薄く積もっている。
遠夏「あれ、知らないのか?今日、初雪だそうだぞ?」
ボケーっとしていた私を驚いたように見つめる深い群青色の瞳。
その瞳は電灯の光でアメジストのように控えめにキラキラと輝いている。
遠夏「絶世の美女、ねえ……立原が面食いだったとはなぁ……」
立原「はいはい、悪かったですね、」
お前だけは純粋だと思っていたのに、と何に向けられたのかもわからない静かな悲しみ。

Re: 『林檎雨』が降る夜に。 ( No.18 )
日時: 2019/01/24 23:17
名前: ミク

立原「ところで、会いに来た、といってましたけど...」
片手で灰かきの道具を片付けながら、私は彼女の方を向く。
遠夏「朗報だよ。君の思い人は一緒に飲んでくださるそうだよ?」
いたずらな笑みが顔いっぱいにたたえられている。
立原「朗報って、貴方のことなんでしょう、その思い人って」
まあまあ話そうよ、と彼女は編み上げブーツできしむカウンターの段を登る。
昼間なのに、雪のお陰か辺りは静かで、繁華街の騒がしさもない。
まるで、田舎に店ごと来てしまったような。
そんな感覚。
立原「確かに客と経営者、という関係じゃ嫌だ、とは思ってましたけど」
うんうん、と目の前の僕の思い人はジャケットを椅子に掛けながら相づちを打つ。
時折言葉につまってしまうが、焦るような空気ではなかった。
ふわふわと柔らかい、縛られない空気だ。
立原「いつから知ってたんですか?」
遠夏「立原と一目会ったときだよ」
いつも、驚かされる。
ふわふわしているのに。
クールだ、と思わせる彼女に。
遠夏「私自身も、友人は多くないが、分かる。」

Re: 『林檎雨』が降る夜に。 ( No.19 )
日時: 2019/04/02 20:54
名前: ミク

遠夏「ま、別に私は心理学者じゃないから何でもはわからないがな、」
彼女はゆっくりと瞬きをしながら窓の外の景色をぼやーっと遠い目で見ていた。
立原「でも初雪と言えどもう冬は終わりそうですけどね、」
1月も後半ですし。私がそういうと、そっか、もうそんな季節なのか、と驚いたような表情になった。
確かに、大人になれば毎日が同じようなことの繰り返しだったりもするのだ。つまらなくはないが、私もそう思っていた。

Re: 『林檎雨』が降る夜に。 ( No.20 )
日時: 2019/04/04 00:16
名前: ミク

春の始め。三月は過ぎ、四月が始まった頃。街並みを眺めれば、桜並木がピンク色にぼんやりと見えました。
風はまだ少し冷たい。
そう言えば、彼女と出会ったのも四月だったか。
夜中にしか会うことのない、今でこそ当たり前になった出会いは当時の私に考えられないこと。
何もかも、人並み、当たり前を求め、そしてその当たり前の生活に退屈していた頃。
何かを、渇望していた頃。
ソレは、私にも分かることはありませんでした。

Re: 『林檎雨』が降る夜に。 ( No.21 )
日時: 2019/04/04 00:26
名前: ミク

「あー、疲れたぁ……」
誰に話しかけるでもなく、路地裏で私は独り言をいった。今は深夜。
仕事を終えて、少し散歩でもしようかと自宅兼、職場を脱け出してきた。
ただ、散歩と言うよりかは私は少しアルコールを欲していた。
中毒者等ではないが、疲れたから。
それに、もう二十歳になったから。
煙草はしない代わりに、少しだけ飲むことにした。
路地裏には隠れ家のような飲み屋があったりする。
まあ、飲み屋、というよりは私は今仕事の都合で洒落た格好をしているからバーにでも行こうかと思うのだ。
「家で飲めたら楽なんだがな……」
生憎、うちには未成年者がいるため、そして、酒に厳しい者がいるため、家で飲めない。

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