社会問題小説・評論板

死にたがりの彼女はそう言った。
日時: 2019/04/04 15:00
名前: ( ´∀` )



 
 自分より不幸な奴がいるのは百も承知だった。
 アフリカや中東の貧しい子供たちと比べれば自分の不幸なんて百分の一にも満たないことも。
 親から殴られたり蹴られたりしたあの子たちの方が人生ハードモードなことも分かってる。
 治る確率のない病気にかかって闘病中の人たちの方が苦しいのも知ってる。


 そんな人たちに対して自分の不幸があまりにも小さすぎるのに、この程度の不幸で辛いって死にたいって思ってる自分が情けなくて不甲斐なくて、それでまた死にたくなるんだ。

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Re: 死にたがりの彼女はそう言った。 ( No.9 )
日時: 2019/04/05 12:42
名前: ( ´∀` )

第八話 拒絶


 結局その後、僕は月原に「ごめん」とだけ言って第二自習室を後にした。月原はきっと不快になったに違いない、プライドを傷つけられたに違いない。
 僕なんかに優しくして『やった』のに僕なんかに拒絶されるなんて屈辱でしかないだろう。

 生まれて初めて――ではないにしろ、三回目くらいだ。こんなに大きい罪悪感を感じたのは。でも、仕方ないじゃないかと僕は思った。「話聞くよ」なんて言われたことないんだから。
 人から頼っていいよと意思表示されることなんて初めてなんだから。


 「高津君」


 西館の階段を下りる僕の耳に聞こえたのは、月原の声ではなかった。月原よりも低くてよく透る声。


 「高津君が思ってるよりも『引く』のハードルって低くないと思う」


 長い髪の毛をポニーテールにしていて、スカートは月原よりも長い。先程の月原と同じく神妙な顔をして僕に話しかけている――雨野つぐみ。
 
 「なんで西館にいんの」
 「もともと第二自習室占領してたの私だし、加奈に頼まれて空けてあげてたの。第二自習室使えなくなって、今日はちょうど軽音部の部室から帰ってたところ」
 「へえ」
 「軽音部なの?とか聞かないんだ、まあいいや。加奈に『話聞くよ』って言われたんなら話してあげればいいんじゃない、加奈も話聞きたいから言ってんでしょ」


 僕の顔を見ずに、西館の五階に続く螺旋階段あたりをぼんやりと眺めて、雨野は言った。月原の友達だからだろうか、僕にそんなことを言うのは。
 類は友を呼ぶ、というのは本当らしい。


 「加奈に引かれるかも、って思ってるかもしれないけどちょっとやそっとじゃ引かないから加奈だって話聞くって言ってるんでしょ。それに人間って簡単に人に対して引かないしさ、多分」
 「はあ」
 「優しさを拒絶されるのは悲しいよ。多分加奈は高津君のためだけに話聞くって言ったんじゃないだろうし、じゃあね」

 
 非常に中途半端なところで話を止めて、雨野は素早く階段を下りていく。なんであいつが僕と月原の会話を知っていたのかは全く分からないままだった。

Re: 死にたがりの彼女はそう言った。 ( No.10 )
日時: 2019/04/05 13:16
名前: ( ´∀` )

第九話 誰がために


 結局その日、僕はそのまま家に帰った。
 ゲームセンターにも行かなかった。だから久々にチュ●ニズムをやる事もmaim●iをやる事もオ●ゲキをやる事も出来なかったし、今はスマホゲームをやる気にもならない。漫画を読む気も起きない。

 ――高津君のためだけに話聞くって言ったんじゃないだろうし

 雨野が言った言葉が脳裏をよぎる。じゃあ月原は誰のために言ったんだろう、「話聞くよ」なんて。勉強をもっと教えてもらうためだろうか、つまりは自分の利益のためだろうか。
 何となく違う気がした。もしそうなら、雨野はあんなに神妙な顔をして僕に話しかけないだろうから。
 雨野に聞こうか、そんな風に一瞬考えたけれど僕から話しかけたら気持ち悪いって思うに決まっている。雨野になんて聞けない、じゃあ聞く相手は一人しかいなかった。


 「明、ちょっといい?」


 隣の部屋のドアをノックして尋ねた。「あ、ごめんちょっと用事!またかけ直すわ」――男と電話してたんならまた後にすれば良かった。けれど声をかけてしまったし明……姉は恐らく電話を切ってしまったからには言うしかない。


 「いーよ、おいでおいで」


 ドアを開けて部屋に入る。散乱した服をまとめてクローゼットに突っ込んだ後、明は座椅子に座った。立ちっぱなしもおかしいので、僕も机を挟んだ向かい側にあった座椅子に座る。多分これ、結構高い奴だ。


 「珍しいね、お姉ちゃんを頼るの」
 「多分生まれて初めて」
 「それは盛りすぎ。で、どうしたの?」


 少しの間、明のまた少し明るくなった茶髪を見たり、化粧の濃くなった顔を見て脳内で話を整理した後、僕は大体全部正直に話した。別にかっこつけたいとかそういうのではなく、家族に「学校で友達がいない」「今までずっといなかったので彼女の意図が分かりません」なんて言うのは恥ずかしい気がした。
 僕よりずっと社交的な明は、話を聞いて五秒も経たないうちに言葉を発した。


 「人は結局自分のためにしか動けないからね。確かに光のことを思って話を聞くって言ったんだろうけど、それって光の悩みをどうにかしてあげたいって言う自分の欲望を満たすためなわけだし」
 「そういう理屈なんだ」
 「それに頼られるっていうのは相手に好かれてるってことだし。頼られるまではいかなくても一緒に悩めるとか嬉しいじゃん、そういう事だよ」

Re: 死にたがりの彼女はそう言った。 ( No.11 )
日時: 2019/04/05 13:17
名前: ( ´∀` )

登場人物 今まで


・高津 光 (たかつ ひかる)

・月原 加奈 (つきはら かな)

・雨野 つぐみ (うの つぐみ)

・中谷 (なかたに)

・高津 明 (たかつ めい)

Re: 死にたがりの彼女はそう言った。 ( No.12 )
日時: 2019/04/05 13:18
名前: えー

月原加奈うざい

Re: 死にたがりの彼女はそう言った。 ( No.13 )
日時: 2019/04/05 13:33
名前: (´∀`)

>>12

えーさん

書いてて私もそう思いました笑
現実でこのノリは可愛い子以外許されないですね笑加奈を可愛い子設定にしといてよかった…

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