社会問題小説・評論板

捨て猫、捨て犬の実態 ―犬編―
日時: 2019/10/30 21:11
名前: 酒井ネコのミコト
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12635

僕の名前はぽち。生後六ヶ月、飼い犬だ。
けれど、あんまり飼い主と上手くやっていけていない。僕はママと兄弟四匹で暮らしている。
飼い主はどうやらママに沢山の子供を産ませて、ニンゲンに売っているようなんだ。
僕は生まれつき右後ろ足が悪くて、歩き方が変。兄弟もママも健康とは言えない。
僕らはいつまでこんな所にいればいいんだろう。そんなことを考えていたある昼下がり、飼い主は僕と兄弟を乗せて車で走った。そしてある山奥に…言うまでもないだろう、捨てたんだ。
僕ら五匹のうち三匹の身体の大きな兄さんは、山を駆け下りていった。その後どうなったかは…知らない。身体の弱い弟に、僕は何度も、何度も、暗く湿った穴の中言い聞かせた。
「大丈夫だよ、大丈夫だよ…きっと優しい誰かが拾ってくれる。」
そう何度も繰り返し言った。三日目の朝、僕が近くの川で口に水を含み、弟に水を飲ませ、身体を舐めてやった後、弟は安心しきった顔で、こう言った。
「おに…いちゃ…ん あり…が…」
最後に顔を舐めてやった。かすれ声だったから、あまり良く聞こえなかったけど、弟は眠ったのだろう。安心した僕は、外に弟のえさを取りに行くことにした。
コツン、コツン、僕の重い右の後ろ足。力が上手く入らないから残った三本の足で、歩く、歩く。山には木の実ぐらいしかないけれど、緊急事態だから仕方が無い。木の実を頬張る。飼い主からもらったえさは美味しかった…視界が曇る。だめだ、くよくよしていられない。早く帰らなきゃ。捨てられた場所に命を繋ぐものがあるだけで有り難いものだ。ふいっと後ろを向いた時―!?ニンゲンだ!僕を助けてくれた!あっでも弟が…ニンゲンは僕を抱き上げて、どこかに連れて行く模様だ。優しいニンゲンだといいな…。温かい家族と過ごす僕の姿が、目に浮かんだ。しばらくすると、ある建物にに着いた。イメージとはちょっと違うけれど、まあ良いだろう。ほっと胸をなでおろす。その建物に入ると、沢山の犬が、ワーワー叫んでいた。何か、おかしい。僕はその中に放り込まれた。するとすぐに、老犬に話しかけられた。
「お前さんまだ若いのに可哀想じゃのう…。」
何の事だろうか?僕にはさっぱり。沢山の犬をかき分け、窓辺に向かった。その犬の中には、兄さんの姿もあった。何でか分からないけれど、何だか、とっても胸が締め付けられる。窓の外をよじ登ってのぞいた。何だかけむり臭い。嫌な予感がする。ぞくぞくする胸を押さえ、おりの出入り口へ。檻があき、老犬が連れ出された。犬達を見ていると、首輪のある犬、無い犬、汚れた犬、まだ綺麗な犬、元気な犬、病気の犬、子供の犬、老いた犬、沢山いる。皆暗い顔をして吠えたりうつむいたり。元気では無さそうだ。これじゃあ、あの家と同じじゃないか。うつむき、色々考えたり、周りを見渡したり、冷たい檻の中で何も出来ないまま時間だけが過ぎていく。このままではだめなのは分かっている。でも何も出来ない。もどかしさと情けなさに、心が痛む。連れてこられた日から4日ほどたっただろうか。ニンゲンがやって来て、兄さんの一匹をつれていった。兄さんは優しい飼い主さんが見つかったのだろうか?そのしばらく後、ニンゲンがまた現れた。しかし、今度は二人、オトナと小さなオンナノコだろうか。目を細めじっくり見つめる。何されるか分からないけれど、つい気になって近寄ってみた。すると小さい方のニンゲンが僕を抱きあげた。怖かったけれど、危害は加えなさそうだったから、少し安心して、そのニンゲンの腕に抱かれた。とても温かかった。
???「本当ですか?!はい!ありがとうございます!」
いつものニンゲンが僕の頭をなでた。こいつは…嫌いだ。最後までこいつには逆らおうと心に決めている。その子に抱かれて建物からでた。煙の臭いがした。これは…確かに兄さんの臭いだ。兄さん…。兄さんはどうなったんだろう?弟は?小さな心配を胸に、車に乗った。

僕を助けてくれた女の子は、ナナと言うらしい。僕はナナにヤマトと言う名前をもらった。ぽち改めヤマト。ナナと楽しく暮らしています。飼い主さん、別にあなたを恨んではいません。僕は今幸せに暮らしていますよ。そして離ればなれの兄弟達も、幸せにくらしてね。


捨て犬、捨て猫は本来居ないはずの存在。懐かなかった、色が気に入らない、大人になって可愛くなくなった、増えすぎた、といった理由で捨てられる小さな命達。彼らは何も悪くない。限りある命の中必死に生きる生き物たち。繰り返される命の叫び、今もどこかで傷つけ、殺され、あがく生き物たちが居ることを我らは忘れてはいけない。野良猫、野良犬は街にいるはずのない、罪のない動物たち―。ニンゲンの身勝手な理由で傷つけられている動物が居ること―。




           ―動物虐待はあってはならない―

Page:1



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


E-Mail


URL


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大7000文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。