社会問題小説・評論板

僕がやりました
日時: 2020/02/23 23:35
名前: まぐろ

僕の名前は皇隼人(すめらぎ はやと)

当時は高校3年生でした。

実はその頃1つの過ちを犯しました。

同級生をバイクで轢き逃げてしまったのです。

どうしてそんな事になったのか今でも理解していません。

本当に何か悪い夢でも見ているのでは?と思ってしまうくらい現実を受け入れられない
状態でした。

その轢き逃げてしまった同級生は皆川いちかといって髪色は黒で小柄な女の子で
特別美少女という訳ではないがそれなりに整ってて可愛らしい子だった。

彼女はなんとか死なずに生き延びた。
しかしほぼ植物人間とまではいかないが体の自由がきかずとりあえず会話とかはできる
状態だった。

僕は結局警察に自ら出頭し「僕がやりました。」と自首をした。

色々事情聴取とかされて素直に罪を認めた。
でも心の中でまだこれは悪い夢でも見ているんだと思っている自分がいた。

いちかの父には相当責められた
当たり前だ。嫁入り前の娘をこんなふうな目にあわせられたら刺されてもおかしくない。

いちかのお家は父が外資系企業で働いていて裕福な家庭だ。
正直僕からしたら羨ましい存在でいちかに嫉妬する事すらあった。
しかし僕がこんな事をしたせいで輝かしいはずだった人生を送れなくしてしまった。

僕の両親からはすぐに絶縁を言い渡された。
これも因果応報と受け入れた。


しかし意外にもいちか本人から罪に問わずにどうか釈放して欲しいと願い出たのだ。
正直都合のいい夢を見ていると思っていた。
しかしそれは本当に現実だった。

僕は正直怖かった。
彼女にどんな顔して会えばいいのだろう?
謝る事しか出来ないしすぐには償えない。
彼女は何を思ってそんな事を願い出たのだろうか?
過ちなんて言葉でおさまりきれないほどの事を犯したのに何故?

何も答えが出ないまま彼女のもとへ

彼女がいる病室のドアを開けた時変わり果てた彼女の姿が…

首を曲げることも起き上がる事も出来ない状態で目線は常に上向きで寝る姿勢で真上を見ている。
表情は明るかった面影すら無く虚ろな状態だった。

「皇君…」
彼女が僕の名前を呼んだ時僕は心臓が止まりそうになった。
罪悪感と恐怖感でいっぱいだった。

「皇君にお願いがあるの。」

僕はかなり驚いた。

一体何をお願いされるんだ?

死んでくれとでも言われるのか?

正直そうお願いされた方が楽だったかもしれない。

でもそうでは無かった。

「とどめを刺して欲しいの…どうせならあの時死にたかった。」

言ってる意味をすぐには理解出来なかった。

それもご両親がいる前で…。

「何を言ってるんだいちか!」

彼女の父もかなり驚いた様子だった。

「だってこのままお人形さんみたいに生きるくらいならその方がいいでしょう?」

彼女の父はその場で泣き崩れた。

僕はこの願いを聞くべきなのか…

「ごめんいちか。俺にはそんな事出来ない。」

と僕も泣き崩れながら言った。

「どうして?皇君私の事あれだけ嫌ってたでしょ?」

彼女がその言葉を発した時僕は「え?」と思った。

まさか彼女は僕が自分の事を嫌ってると思っててわざと轢き逃げたと思っているのか?

「いいや誤解だ。僕は別にいちかの事が嫌いだから轢き逃げてしまった訳ではないんだ。」

と思わず弁明めいた事を口走ってしまった。

仮に本当にそうだったとして当の本人はそう思わない。

「嘘つき!いちかの財布からお金盗んだり轢き逃げ予告状とか毎日出してたじゃない。
怖かった。毎日怖かったんだから。」

彼女は泣きながら僕に言った。

正直それらのことは勿論僕のした事ではない。

「お前それは本当なのか?」

彼女の父は血眼になりながら僕に聞いた。

僕はどう答えるべきか悩んだ。

確かにそれらの事は僕がやった訳ではない。
しかしそれを否定したところで何も証明出来ない。
それに僕が轢き逃げてしまった事だけは事実。

苦悩の末に僕はこう答えた。

「僕がやりました。」

すぐさま彼女の父に殴られた。すごく殴られた。
歯も折れて口から血も出た。
彼女の母がなんとか彼女の父を止めたが正直このまま止められないで半殺しでも
して欲しかった。

「じゃあ早くとどめを刺して。」

と迫るように彼女が言ってくる。

かなり僕は追い詰められてる感じがしてきた。

僕はもう我慢ならなくて果物ナイフで自分の喉を掻っ切ってしまった。
その時彼女からは冷たい笑みが浮かんでいるようだった。


こうして僕は死んだ。

彼女は多分僕に復讐をしたかったのだろう。
僕が彼女に嫌がらせをしたと思い込んで…

誤解、そしてすれ違い。
全てが己の過ち1つで存在しない事実になってしまう。

その時は全て手遅れ…

「僕がやりました。」

[完]
































Page:1



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


E-Mail


URL


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大7000文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。