BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

歌い手さんで花吐き病 (そらまふ)
日時: 2017/08/29 22:07
名前: さすらい

はじめまして!
さすらいと申します!

長編になると思いますが、歌い手さんで花吐き病を書いてみたいと思います。

どうぞお付き合い下さい!<(_ _)>

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Re: 歌い手さんで花吐き病 (そらまふ) ( No.1 )
日時: 2017/08/29 22:17
名前: さすらい


はじめに吐いた花びらの色は、鮮やかな青色だった。


喉を襲った強い圧迫感と息苦しさに、声が出ない。それが数日続いていたある日、押し殺した感情がついに形となって現れた。

「花吐き病」

そんな名前の奇病だということは、受診先の病院で知った。

原因は分かってる。

押し殺した感情の名前を、僕はよく知っている。
それを向けていた相手も、よく分かっている。
鮮やかな青色は、あの人を象徴する色だから。



……………これは、その罰なんだ。


Re: 歌い手さんで花吐き病 (そらまふ) ( No.2 )
日時: 2017/09/02 19:05
名前: さすらい


この奇病は、存外厄介なものだった。

というのも僕の職業柄、何処でも発症してしまうと困る。例えば、誰かとのコラボ動画とか、そんな最中に発症した時は。

手のひらに溢れる美しい青。

それが神出鬼没に僕の喉からこぼれ落ちれば、気味悪がられることは避けられない。

「……………う、。」

こみ上げてきた花弁にまた咳き込む。そして、薄暗い部屋でぼんやりとしていた。
鮮やかな青。
この世で一番愛しい色。
諦めなければいけない人。

神様は、ひどく残酷だ。

こんな形で、僕の恋に終止符を打つ手助けをしてくれるなんて。

「まふ、。」

頭上から呼びかけられ、しゃがみこんでいた僕は上を見上げる。

「………止まった?。」

心配そうにこちらをのぞき込む天月は、散らばった花を拾い上げる。
僕は小さく笑みを浮かべて頷いた。

「大丈夫。ありがとう、天月。」

何気なく出した声は、酷くかすれていた。

Re: 歌い手さんで花吐き病 (そらまふ) ( No.3 )
日時: 2017/09/10 21:50
名前: さすらい

天月は唯一、僕の病気のことを知っている友人。
知られてしまった理由は、僕の不注意によるものだったんだけれど。

「水、持ってきたよ。あ、詰まったりしちゃうか。」
「ううん、大丈夫。」

細かいところにまで気を使ってくれる天月にお礼を言い、僕はコップを傾けた。
冷たいミネラルウォーターが、喉をすり抜けていく。
さっきまで喉を圧迫していた花びらの感触はもうどこにも無かった。

「……だんだん酷くなってってる?。」

座り込む僕の目線に合うようしゃがんだ天月は、控えめにそう聞いてきた。
僕はそれに少し間を置いて頷く。
この奇病は、どうやら拗れた恋の年月の分だけ深刻化していくようで。
積もりに積もって複雑に絡まった片思いを餌に、徐々に余命を縮めていっているような気がした。

「言う気は、ないんでしょ?。」
「…………まさか。そんなこと、絶対にしないよ。」

天月は僕の病気の治療法を探してくれている。
だから、一番の方法である恋の成就を少なからず推進しているように感じていた。
けど、分かっているはずだ。
天月も、同じように。

叶うことは、ないんだと。

「そらるさんとは最近会ってないし、心配することないよ。絶対にバレたりしないように、頑張るから。」
「……………うん、そっか。俺にも出来ることあれば、協力するからね。」

天月はそう言って微笑む。
僕はそれに、心からの笑顔を返した。




そらるさん。

そらるさんが、好き。




…………どうして、好きになってしまったんだろう。

Re: 歌い手さんで花吐き病 (そらまふ) ( No.4 )
日時: 2017/10/19 23:25
名前: さすらい


『まふ、明日空いてる?』

その日の夜。
発作が酷くなっていることを心配して家に泊まってくれた天月とゲームをしていると、そらるさんからメッセージが届いた。
コントローラーを放り出して端末を掴んだ僕を見て、天月は察したようにゲームを一時停止する。
天月の配慮にお礼を言いつつ返信を打っていると、続いて端末が振動した。

『朝迎えに行くから』

「……、なんか、珍しいなぁ」
「ん?何が?」

届いたメッセージを読みながら呟くと、天月が僕の端末を覗き込んだ。

「いや、そらるさんからこういうの誘ってくれること、あんまりないからさ。だいたいその日に次を決めるか、僕が連絡するか」
「へぇ、そうなんだ」

だから、かなり嬉しかった。
舞い上がった気持ちを隠しきれず頬を緩めると、素早く返信を打ち直した。それを送ってから、端末とコントローラーを持ち替えて天月の方を見る。
そこでようやく、彼が深刻そうな顔でこちらを見ていることに気づいた。

「……………どうしたの?」

それが何に対しての表情なのか、どんな意味を含んでいるのかがわからず問うと、天月はゆっくりと口を開いた。

「…………大丈夫?今、そらるさんと会って」
「…え?」
「発作が酷くなるかもしれないじゃん。……それだけが心配」

真剣な声音で目を伏せる天月。
僕は一瞬考えたが、直ぐに笑顔を返した。

「大丈夫。危なかったら、トイレにでも行って治るまで待つよ」

弾んだ声だった。
実際、病気のことが不安じゃないといえば嘘になる。けど、これが惚れた弱みと言ったところだろうか。


発作に苦しむことへの心配よりも、そらるさんに会いたいと思う気持ちが勝ってしまうなんて。

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