BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

妖と人の子
日時: 2019/01/03 08:23
名前: 大寒波

[夏目友人帳]二次創作話
先生:斑と夏目の ほのぼのBLです

現在、短編[2話]中編[2話]長編[2話]があります
これらは全て原作に準拠した内容で完結しております

 現在更新中の
「長編(3)」
※[レス61が第1話〜]は
平安時代を舞台として
夏目は盲目で在野の鍼医 (当時の漢方医)、
先生(斑)は斑の読替えの 『むら』と呼ばれている設定で展開しております



失礼ながら書込みは遠慮します

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Re: 妖と人の子  ( No.131 )
日時: 2019/01/09 17:59
名前: 大寒波

夏目長編(3)71.
「夏目話・平安編71」 いや あれは単にへべれけで 意思の疎通が無いだけでだな と言おうとした妖物に被せて もはや独り言の様な呟き声で夏目が言うた

「よく知らぬ者と ‥言われるが 行い だけは 存じて おります 」

「何の話だ あの酔漢の奴か」

「宙を飛ぶ者 には 体重など 無いようなもので ござい ましょう‥  

それを じゃりじゃり足音を立てて 板間をかたかた鳴らして 盲いた私に判るように ‥わざわざ そうやって 近づいて 来られた、」

  「 ………。」

言い終えるか終えぬかの内に 巨大な妖に預けていた 夏目の細い体躯から力が抜けていった

話の最中に 眠り込んだ疲労の色の濃い鍼医を 妖物は 苦虫を噛み潰した様な顔で見下ろしていた



皓皓とした まばゆい月に大きな影が重なった  
宙を駆け上がる様に跳び 辺りを睥睨しているのは 長い尾を靡かせた白銀の妖物であった
目当てのものは 存外すぐに見つかったらしく 身を翻してそちらへ向かう


先刻まで居た屋敷の 裏庭から続く 低い山の木立の天辺に何かがいる


先程 夏目が寝入った直後から 存在を感じてはいたが 出し抜けにそれが接近して来たのを警戒して 妖は様子を見に 出向いて来たのだった

Re: 妖と人の子  ( No.132 )
日時: 2019/01/09 18:14
名前: 大寒波

夏目長編(3)72.「夏目話・平安編72」
不審の者の頭上に 音もなく飛来した白銀の妖が 誰何(すいか)する暇も無く 重々しい声が響いた

 「何を探している」  

白銀の妖には聞き覚えのある声であった


ちり ちりんと耳に付けた鈴の音を立てて 姿を現したのは 杉の木立の先端などに どうやって止まっているのかと 首を捻るほどの巨躯だった

片手は人 もう片方が馬の蹄で 馬の頭に躯は人という妖物である


豊かなたてがみを 靡かせ風を巻き起こしつつ 地に降り立つと 同じく白銀の大妖が 地面に下りて来るのを待っていたが やって来た獣の妖を 眼前にして 意外そうな顔になった

「この前 会った時より体躯が ひと回り大きくなって霊気も漲っているが 何ぞあったか」 言われて初めて 白銀の妖は はたと自分の変化に気付いた

確かに 湧き出る妖力体力が 膨れ上がる様に身中に充ち今にも溢れそうな程 調子が好いのだ

近頃に何か こんな変化をもたらす要因などが あったか、…‥

妖物は暫し考え そしてひとりの人間に思い至った

表情の乏しい物静かな顔と 細心の手つきで異形を撫でた白い手を思うと
何故か胸苦しい心持ちになった

Re: 妖と人の子  ( No.133 )
日時: 2019/01/11 18:26
名前: 大寒波

夏目長編(3)73.「夏目話・平安編73」
白銀の妖に思い当たる事は他にもあった
あの人間の首から滴っていた血である あれを嘗め啜った事が 自分の体内に 多大な力をもたらしたのではないのか

僅かな量の血潮でさえ妖物にとって それだけの効能と滋養があるなら 当の人間の肉体を 丸ごと喰えば 如何に絶大な力を得られるか 想像に難くない。

ただでさえ 妖力や霊力の強い人間は 単に食料として美味な為に 妖や異形から狙われやすいのだ

ましてや 力をもたらす御饌(みけ)も同然の人間 とでも この辺の妖共に広まれば どうなるか考えるまでも無い

瞬く間に喰われて骨も残らぬのに決まっている

沈思黙考していた 白銀の妖は顔を顰めた


考えを廻らす間も 妖の脳裏から離れぬのは 流れ落ちる血が白い首を 赤く汚してゆく あの扇情的な光景だった


「何か 心当たりでもあるのか 斑 」

思索から引き戻された 白銀の妖が目を上げると
馬の妖が 訳知り顔で自分を眺めていた

斑まだら、というのは白銀の獣の妖の名である

初対面の夏目には
『むら、ぶち、ふ』とでも呼べと言っていたのはこの名の読み替えであったと思われる

Re: 妖と人の子  ( No.134 )
日時: 2019/01/13 05:45
名前: 大寒波

夏目長編(3)74.
「夏目話・平安編74」 平安時代には本当の名の事を 諱(いみな)と言い 忌み名と通じる事から
家族以外に本名を知る事は無く 官位や通り名を使うのが 一般的であった


また人外の妖物や魔物は名を知られると神通力を失うとされ 名前を決して明かさない、というのは世界中の伝承や民話に共通の要素である


その斑の知り合いらしい 馬の大妖は 三篠(みすず)と呼ばれる沼護りで 斑同様に世知に長け 人の世に詳しいが 奸計を弄するきらいがある


こやつは何処まで知っているのだろう

相手の 一筋縄ではいかない性質を考えて 斑は慎重に答える

「調子が好いのは 気候のせいだろう 暑い時にはお前も生気が充ちるだろうからな」

「ふむ 私は生憎(あいにく)美味な食物など喰うてはおらぬがな」
三篠がうそぶく

…ある程度の事情は知られている訳か。では何処から見ていたのか

白銀の妖が探りを入れる
「この所 林向こうの屋敷に管弦を目当てに 入り浸っておったが お前はここで何をしている」

「よい気候だからな 酒宴への道すがら 月夜に妙なる調を聴き 目をやると楽師には妖物が付いていた よく見たら斑 お前ではないか」

Re: 妖と人の子  ( No.135 )
日時: 2019/01/13 07:16
名前: 大寒波

夏目長編(3)75.「夏目話・平安編75」
馬の妖は重ねて言う

「先刻 耳にしたかぎりでは大層 腕の良い楽師の様だな」

これを聞いて
では こやつは今夜偶々
楽の音を聴きつけただけなのか、と斑は思ったがそら惚けて言うた

「ふむ 手練れの楽師であろうが いさかいの種になっていたが」

「ほぉ 傾城の美女らしいことだ」

あれが女だと。節穴か

自分の事を棚に上げて 斑が胸の内で呟くが どうやら三篠は 今夜通り掛かっただけの様だと 一息ついた

「それなら三篠 お前は間近であの楽師を見たのか」

「そうだな お前が雷を喰らって 火だるまになって キャン言いながらごろごろ転がっていく所は見たかな」


  「 ………。」

最初からか。

相手の すっとぼけた物言いに 斑は溜め息を吐く

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