BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

妖と人の子
日時: 2018/11/08 08:06
名前: 大寒波

[夏目友人帳]二次創作話
先生:斑と夏目の ほのぼのBLです

現在、短編[2話]中編[2話]長編[2話]があります
これらは全て原作に準拠した内容で完結しております

現在更新中の長編(3)は
平安時代を舞台として
夏目は盲目で在野の鍼医 (当時の漢方医)、
先生(斑)は斑の読替えの [むら]と呼ばれている設定で展開しております


失礼ながら書込みは遠慮します

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Re: 妖と人の子  ( No.99 )
日時: 2018/11/10 02:57
名前: 大寒波

夏目長編(3)39.「夏目話・平安編39」
巨大な体躯にも拘わらず白銀の妖は 音もなく夏目に近付いてゆき 倒れ込む様に横になったまま 身動ぎもしない若者の傍まで行くと そろりと顔を覗き込んだ

結髪からほつれた髪が横向きの額や頬に溢れて影を落としている
白い顔はますます血の気を失い ぎくりとする程 儚く見えた


妖が巨大な鼻先を夏目の手と首元に近付けると 熱は無い代わりに手足は酷く冷たかった

 ちっ 舌打ちした妖は 寝床の足下に畳まれたままの上掛けをくわえて 夏目の身体にそっと掛けると 踵を返して 御簾を潜り部屋を出てゆく。すると、


「風避けが居なくなっては都合が悪い 暫くここにいらっしゃいませぬか」

「…狸寝入りか」

「急に傍らが温かくなって目が醒めたのでございました」

先程の夏目の手足の氷の様な冷たさを思い出した妖は 寝床の脇に戻って来て そのまま蹲った

晩夏の午後は 真夏に比べると随分過ごしやすくなった 陽が傾く頃には風が吹き通り日陰では肌寒さを感じる


「あの時の御礼を まだ申しておりませんでした」目を瞑った夏目がぽつんと言った

Re: 妖と人の子  ( No.100 )
日時: 2018/11/04 10:18
名前: 大寒波

夏目長編(3)40.
「夏目話・平安編40」 昨夜 往来での揉め事の最中に この妖の登場によって 結果的に盗賊から逃れられた事を言っているらしい。

「別に 何となく路に降りてみただけの事だ」

「そうでございましたか ところで昨夜は割れ鐘でも落ちてきたみたいな大音響に稲光と旋風が一時に巻き起こり凄まじい騒ぎとなりましたが

先ほど屋根から降りて来られた時には小鳥でも舞い降りたかの様な静けさだったような気が」
夏目がとぼけた事を言う

「…往来で 徒党を組んだ追剥ぎが若い娘を刃物で脅している様に見えて不快であった」
 小さな声で妖が呟く

「それで どんがらがっしゃんと登場なさったわけでこざいましたか」

「……。」

「ともあれ私には有難い 事にございました
 助かりました」


「…もう寝ろ」

そっぽを向いて妖が言う
夏目は傍らの巨大な妖に向けていた顔を仰向けて眼を瞑った

Re: 妖と人の子  ( No.101 )
日時: 2018/11/10 03:11
名前: 大寒波

夏目長編(3)41.
「夏目話・平安編41」 寝床から半身を起こして夏目は躯を伸ばす  束の間の睡眠だったが 体調が かなり戻った様に感じて意外であった
ニ刻(1時間)程眠っていたらしい。

巨大な風避けは居なくなっていたが 眠っている間は終始 傍らがとても暖かかった事を思い出す
お陰で 冷え切った躯は温もって気分も良くなっていた

妖が伏せていた所に夏目 が顔を向ける
触れば まだ温かいのではないか ふとそんな事を思った

身繕いをしながら御簾の隙間から空を窺うと 顔と体に陽光が当たり熱も感じる 視力を失った眼には 薄暗い視界に飛び込んできた滲んだ光となって視えているのだ

陽光の当たる位置と角度で もう陽が傾いて夕方に差し掛かっているのが分かる
これから 勤めから帰って来る三人の子息達を 順次診て廻れば 今回のこの家での主な仕事は終わるのだ
夏目は背筋を伸ばし休息で弛緩した心身を改めて引き締めた。


この家の三人の子息は
太郎君(長男)と三郎君(三男)が武官で次郎君(次男)が文官として宮中に出仕している

何れも優秀な若者でその点は末の姫同様 優れた才覚を持つ兄弟達といえる

Re: 妖と人の子  ( No.102 )
日時: 2018/11/10 04:20
名前: 大寒波

夏目長編(3)42.「夏目話・平安編42」
衣服を整え 顔と手を洗い清めて 支度を終えた夏目の元へ 次郎君が帰宅した と女房が伝えに来た
了承して暫くのちに 客間を出て次郎君の私室へ向かう

三人の子息達には 誰にも持病が無く健康なので 携えてゆく薬剤は少なく 且つ ほぼ同世代の男同士なので 四角四面な夏目といえども やはり気が楽なのである

当の三兄弟も この博識多才の鍼医の診察、というより 才気煥発な会話のやり取りと 異業種の珍しい話を 沢山聞かせてくれる怜悧な若者の逗留を いつも 心待ちにしているのだった

その鍼医が 大変な美貌とあれば尚更である
それは三人が疾病を抱える者の深刻さとは無縁ゆえの気安さと言えた 

次郎君(じろうぎみ)は着替えを済ませ 自室で紙を片手に唸っていた 文机には筆記具を出している

夏目が様子を訊ねるまでもなく 墨の清々しい匂いと うんうん呻吟する声が洩れ聞こえている

これは 末の姫が散々噂していた 例の積年の想い人へ贈る文の文面を、帰宅そうそう次郎君が考えている最中か と夏目は思った

察するに 今夜逢いに行く、という事なのだろう

Re: 妖と人の子  ( No.103 )
日時: 2018/11/12 01:02
名前: 大寒波

夏目長編(3)43.
「夏目話・平安編43」 部屋の前で声を掛けるとすぐに応えがあり 夏目は お帰りでしたか
と挨拶しながら部屋に 足を踏み入れる

次郎君は 戸口まで出て御簾を掲げて 夏目を通しながら

「ただ今帰りました して瑠璃殿 此の度の滞在はいつ迄の予定でしょうか
聞くと占卜ではなく医の仕事に変更なさったとか」

幼い妹と 同じ事を訊いてくるのである。日程を確かめると

それじゃあ此度は時間があるので 皆で遊興に出ましょう 等と嬉しげにしている


遊びに来た訳ではございませぬゆえ


夏目が にべも無く言うが 気にする様子も無く次郎君は あれこれ心積もりをしている模様である

太郎君(たろうぎみ:長男)も勤めから帰宅しだい 診るのだが 一方の三郎君(さぶろうぎみ:三男)は、と問うと

「あれは宿直(とのい)で昨昼から今夜 夜更け迄の勤めなので帰宅は深夜になるでしょう」


上がりがそんなに遅ければ仮眠して朝に帰宅するのでは、と夏目が至極当然の事を言う

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