複雑・ファジー小説

【坂の街:更新】カタテマ【短編集】
日時: 2019/03/22 00:42
名前: R ◆0UYtC6THMk

どうも、初めましての方は初めましてRと申します。
今回は短編集に手を出してみました。
というのも只の現実逃避なだけなんですが。

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【お知らせ】
書き溜めはないので自分の調子で投稿スピードは異なります。
ご了承ください。

随分と久しぶりの活動になります。どうもこんにちは。
未完成の作品も多くあって申し訳ないのですが作者のやる気が維持しないのです(;・∀・)
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【作品一覧】
透明人間 >>1
星降る >>2
自由落下 ふりーふぉーる >>3
ウサギの田中君 >>4 >>14 >>18
天の声 >>5
リリアの目 >>11 >>12 >>13
カコノヒト>>16 >>17
客観的であり主観的見解 >>21
夜明けに沈む >>22 >>23
風の吹く街 >>24 >>25 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30
この世界 >>31
手と手とて >>32
ペットボトルロケット >>35
以下、めんどくさいので略

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Re: 【ペットボトルロケット:更新】カタテマ【短編集】 ( No.35 )
日時: 2017/05/04 01:15
名前: R

【ペットボトルロケット】

少年達の夢が詰まったロケット。
一から自分達で作り上げたそれは、今思えばなんて不格好なモノだっただろう。

遠く、遠く、遥か彼方。
人の手では触れられないモノにさえ、届くような気がしていた。

夢だとか、希望だとか。
眩しいくらいにキラキラしたモノだけが彼らの瞳に映っていた。
綺麗なものだけを映した少年達の瞳は、ビー玉のような輝きを放つ。

ロケットだけでなく、吸い込まれそうな青空や少年達の全てが詰め込まれた街並み、川面、汗に反射する太陽の光、そして少年達自身。

全てがこの時間を果てしなく明るい光のカーテンの様に包み込む。

ただ少年達は知らなかった。
彼らはあまりにも無知で、だからこそ、輝きだけを放っていた。

少年がポンプを押す。
水圧と、期待と、鼓動が高まり、高鳴る。

さん、にー、いちっ。

カウントダウンが響き渡る。
息を呑み、少年達の周りから音が消える。

破裂音。

破壊音。

静寂。

ペットボトルで作られた拙いロケットは、空中で見事に分離した。

少年達は足元に転がる残骸を何も言わずに見つめていた。

Re: 【手と手とて:更新】カタテマ【短編集】 ( No.36 )
日時: 2018/01/26 00:39
名前: R

【空き瓶】

ぱりぃん、ぱりぃん。
少年は空き瓶を冷め切ったコンクリートへと叩きつける。
山のように積み上げられたその空き瓶はどこかから拾ってきたものなのだろうか。その答えは誰も知らない。空っぽの少年にもそれはわかっていなかった。
瓶の中身は乾ききっていて一滴の雫も零れ落ちない。少年は様々な形に砕け散った瓶の破片を手のひら一杯に拾い上げて、思いきり握りしめた。
血が滴る。乾いた瓶を潤す。
中年の小太り男性が少年の前を通りすがる。傷ついた手の平に気付いた男性はその出血量に焦りながら、持っていたハンカチを少年へと渡しに近づく。
刹那、少年は一本の瓶を片手に大きく宙を舞った。驚いた男性は体勢を崩し背中を地面へと叩きつける。山になっていた瓶が大きな音を立てて崩れていく。
目を開けた男性の瞳に映っていたのは、満面の笑みを浮かべながら瓶で殴り掛かってくる無邪気な子供の表情だった。
鈍い音が鳴り響く。耳の奥に残る、不快で陰鬱な音。少年は歌を口ずさんでいた。昔誰かに歌ってもらっていた曲のメロディーに合わせて殴る。そこにあったのはノスタルジックで暖かくて心の底から寒気がするような残響。
少年は血だまりなど気にせず、再び瓶を叩きつけ始めた。
一本、また一本、そして次は。

Re:【SML:更新】カタテマ【短編集】 ( No.37 )
日時: 2018/02/16 21:36
名前: クスノキ(元R)

【SML】

どのような服をお探しでしょうか?

耳に飛び込んでくる味気のない定型文。
気に触った。耳の中を這う定型文。
僕は決まりきった、型にはまっただけのものが嫌いだ。
だから食パンも嫌い。
常識も嫌い。
だから、だから。

こちらの服などどうでしょうか?
お客様、サイズの方は……?

Sの人がLを着たって、Lの人がSを着たって。

どうでしょう、店員さん僕と体型近いと思うんですけど、サイズの方は……?

着ている真っ黒いコートのポケットへ手を入れる。

あっ、そうですねぇ。私がLなのでお客様もLくらいで大丈夫ではな

かちかちっ、ぶすっ、さくさく。

え?

店員の腕から血が滴る。肉が削げる。サイズが変わる。
悲鳴が轟く。
LがSになる。

Re: 【手と手とて:更新】カタテマ【短編集】 ( No.38 )
日時: 2019/02/12 01:26
名前: R

【坂の街】

私は坂まみれの町に生まれました。小さくて、静かで、潮風の吹く町です。
私は人生のうち20年間をこの町で過ごしました。産まれてから、今まで。
遊ぶところは少ないし、夜はすぐに灯りが消えるし、コンビニも少ない。割と不便な町みたいで友達の多くは高校卒業と同時にここを出ていきました。
そんな中で私は今も、この町で生きています。だけど特別ここに残らないといけない理由なんてなくて、何なら仕事をしている訳でもないです。大学にも通ってません。

砂糖の2つ入ったコーヒーをくいっと飲み干す。天気は晴れのち晴れ。実に清々しい朝である。窓から差し込むお日様から挨拶替わりの暖かさを貰ったところで今日も出かける準備をする。
スケッチブック、読みかけの小説、水筒、音楽プレイヤーなどなど私にとっての娯楽の詰まったリュックを背負いスニーカーを履く。
あえて履き潰しかけのスニーカーを選ぶ。今日はお前だ、履き潰しきるまで履いてやる。おいおい、と嬉しそうにするスニーカーを想像して私も綻ぶ。私とスニーカーは相思相愛だ。
勢いよくドアを開け今度は全身に日光を浴びる。エネルギーの波が押し寄せてくるみたいだ。忘れないように、立て掛けてあるいつものやつを手に取る。
半ば無意識に呟くように、我が家にいってきますと告げ今日も坂まみれの町へ飛び出した。

Re: 【坂の街:更新】カタテマ【短編集】 ( No.39 )
日時: 2019/03/22 01:14
名前: R

【坂の街】

よっ、よっ。
全身に風の抵抗を感じながらどんどん加速していく。加速してはブレーキ、加速してはブレーキ。次々と変わっていく連続的な景色の数だけスニーカーはすり減る。
街の一番下から見上げて一番高い所にあるのが私の家だ。最初に続く急な坂を下ったら、あとはゆるりゆるりと町の四方八方に続く坂を進む。
私を連れて坂を下ってくれているのは、かれこれ4年目になるであろう車輪付きの板である。名前はないし、経年劣化のためおんぼろだ。しかし愛着は何よりもある。もちろんこの子とも相思相愛。私は浮気性なのかもしれない。
目的もなくスイスイと走っていると、わんぱくそうな少年少女にいくらか出会う。

あー、今日祝日か。なるほど。

ぽつりと呟く。とっくに失われた曜日感覚とカレンダーを見た記憶を必死に照らし合わせる。多分あってる。
それにしてもこの町の少年少女は元気が良いというか活きが良い。最近の子供たちはスマホいじったりだとかYouTube見たりだ、とかで生活範囲は家か学校かみたいな世の中だけどこの町は例外だな。
お姉さんはそっちの方が好きだよ。大きくなれよ、小さきもの達。
すいー、すいー。
小さいのは社会に対するキャパか、私の。
今はこれでいいんだ、私は。
成人した私の残りの人生は、上り坂か下り坂か。重力に逆らえないように、私は私に逆らわない。
通り過ぎ際に聞こえたおばさま方の会話から、今日が日曜日であることを知った。

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