複雑・ファジー小説

幸せの歌
日時: 2015/09/02 21:29
名前: 山路友吹

1.青く澄んだ空、心地よい風。
 俺と悠志は、グラウンドの木の下で、大の字に寝転がっていた。
 趣味の話や流行の遊び、そんなたわいもない会話に幸せを感じていた。―――「おい悠眞、おい、起きろって」 はっ、なんだ、夢か。
 午後5時半、ここは俺、相沢悠眞の家。隣には、中山隆雅。
 隆雅が俺と一緒に家にいるのは理由があった。
 
 俺、相沢悠眞と友成悠志は、名前に同じ漢字が入っているという
単純な理由で友達関係が始まった。2人とも歌うことが大好きで、好きな食べ物も一緒、趣味も一緒、家も近所でとても仲が良かった。
 毎日学校から帰ってきては、2人で遊んだり勉強をしたりするの
が当たり前の日常だった。
 だが、当たり前が当たり前じゃなくなったのは、高校2年生の時だった…
 10月、当時通っていた高校である事件が起こったのだ。
 俺と悠眞のクラス、2年4組で、同じクラスの、山田瑛太、庄堂結杏
相馬みのり、須藤彰、桝本望玖の財布からお金が抜き取られたという
事件だった。
 俺たちの担任の教師、小谷忠文は悠志をうたがった。
 悠志がそんなことするわけないのだが、小谷は、力が強くだれも
逆らえない教師でだれも口を出すことができなかった。
 やがて、悠志は学校に来なくなり、やがて悠志は何も言わずにどこかの学校に転校してしまった…

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Re: 幸せの歌 ( No.1 )
日時: 2015/09/01 19:52
名前: 山路友吹

2.あれからはや4年。悠眞と隆雅は21歳となっていた。

  隆雅は俺が高校3年生になった春に転校してきた。
  その頃の俺は悠志がいなくなったことに落ち込み、すっかり
 しゃべらなくなっていたが、席が隣になったことや隆雅が明るい
 性格でよく俺にしゃべってくれたので、だんだん俺は明るさをと
 り戻していった。
  隆雅には何でも話すことができた。悠志のことも隆雅には、話す
 ことができた。
  夏休みに入った頃、隆雅から提案があった。
  「なぁ、悠眞は悠志君に会いたくないのか?」
  「そりゃ会いたいけど…無理だよ…」
  「悠眞は悠志君に会いたいんだよな。そこで提案なんだけど、
  夏休みにも入ったことだし、一緒に探さないか?」
  「えっ…でもどうやって?」
  「今の時代を甘く見てないか?インターネットを使うんだよ!
  たとえば、何かのサイトを悠志君が使ってるとしたら、名前と
  か登録してるだろ?調べるんだよ!インターネットで!!」
  こうして、俺たちの悠志探しは始まった…
 
  あれから、もう4年もたつ。
  4年も一緒に探してくれている隆雅には、本当に感謝している。
 でも、俺は思っていた。もう悠志には、会えないんじゃないかと…
  隆雅があるサイトを見つけるまでは。
  
  「なあ悠眞、お前と悠志君って趣味が同じだったっていってた
  よな?」
  それがどうしたんだろう?と思いながら、
  「ああ、悠志は俺と同じで歌うことと、歌を聴くことがが大好き   だったよ。」
 と返すと、
  「実は、今流行りの歌や好きな歌手について語り合ったり、
  自分が歌う動画を投稿できたりする『歌Uta』ってサイトがある
  だ。歌が好きなんなら、このサイトを使っているかもしれない。」
  そのサイトなら俺も使っている。歌が好きなら、誰もが一回は
 使うようなサイトだ…ってことは?
  「ゆ、悠志も使っているかも!」
  「そうゆう事!」
  やっと希望の光が見えてきた。キーボードに手をのばし、友成悠志  の名前を一文字一文字ゆっくりうっていく。
  (どうか、どうか悠志がこのサイトを使っていますように。)
  震える指で検索ボタンをクリックした。
 

Re: 幸せの歌 ( No.2 )
日時: 2015/09/02 21:26
名前: 山路友吹

3.検索ボタンをクリックした後、思わず目を閉じた。
 前にも何度か悠志が使っていそうなサイトは見つけていた。
 でも、結局見つからなかった。
 もしかしたら悠志は今度もこのサイトを使っていないんじゃないか
 と思っていたのだ。だから、怖くて目を開けられなかった。
 「おい、検索結果でてきたぞ。」
  隆雅のその言葉でゆっくり目を開けた。すると…

 ー友成悠志という名前で当サイトを使っている人物は見つかりません でしたー
 
  「やっぱ、使ってないみたいだ…」
  「そうか、残念…」
  
  またか、と思い、意味もなく画面を上下に動かしていると、
  んっ?

 ー似ている名前の人物が3件見つかりましたー

  えっ?
  
 ー大友悠志ー

  違う…

 ー友成優司ー

  違う違う…

 ー友成悠志★ー

  あった…
  友成悠志★のプロフィールを恐る恐るクリックすると…

 ー生年月日・1994年12月2日ー
 ー出身地・東京都ー
 −好きな歌手・向日葵colorー

  しばらくの間、声を出すことができなかった。悠志と生年月日、
 出身地、好きな歌手がまったく一緒だったのだ。

  「ということは…」
  「どうしたんだ?悠眞?」

  「同じなんだよ。似ている名前の人物でヒットしたやつの
 生年月日も、出身地も、好きな歌手も!!」
  「えっ?ほっ、本当か?」
  「悠志に、悠志に会えるかもしれない!!」
  
  興奮している俺とは対照的に、隆雅は冷静に
「とりあえず落ち着け。まずやるべきことは、その人が本当に
 悠志君か確認することだ。このサイトのチャット機能を使って、
 悠志君かもしれない人にメッセージを送るんだよ!!」

  落ち着きを取り戻した俺は、チャットでメッセージを送った。
  『友成悠志★』が本当に悠志であることを祈りながら…

Re: 幸せの歌 ( No.3 )
日時: 2015/09/05 21:23
名前: 山路友吹

4.隆雅が帰ってからも、俺は画面を見つづけた。
 返信が来ることを心待ちにしていた。
  毎日毎日待ったが返信が来ることはなく、メールを送信してから
 一週間がたとうとしていた。
 「今日も返信着ていないのか?」
 「あぁ…」
  やっぱり『友成悠志★』は人違いだったのだと、あきらめようとし たとき、返信が届いたのだ。
 「久しぶり、俺は元気にしているからな。悠志」
 
 『友成悠志★』はやっぱり悠志だったのだ。
  俺は、飛び上がりたい気持ちを抑えながら、電話で隆雅にこのこと を伝えた。
 「もしもし、隆雅か?あのな、『友成悠志★』はやっぱり悠志だった
 んだよ!!今から家に来れるか?すぐに来てくれ!!」
  長く探していた悠志が見つかって、俺は幸せを感じていた。
 
  このときはまだ俺は知らなかった。 この後おこる最悪の未来なんて…

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