複雑・ファジー小説

魔王が転生したので色々やり直すそうです
日時: 2015/09/04 18:42
名前: 某夢の国の黒き鼠の使者 (ID: 2AE1iE9Q)

勇者の剣が己に届いたとき

魔王ははじめて満足するだろう

悪事を殺す正義が自分を下すとき

魔王はその正義に微笑むだろう


そう、魔王は勇者以外に殺されてはいけない
その永きにわたる生を勇者の為だけに捧げる存在


そう、この俺も正にそういう存在のはずだった


「……まさか、お前たちにこうされるとはな」


己の体を貫くのは勇者の正義ではなく
下位の魔物たちだった、という訳か


下らないな、弱者が群がって俺を殺したのか


『………魔王ルカ』


あの女の声がする、
魔王である俺を産みおとした大馬鹿の声


「……悪神レイシア」


口角をつり上げて目を開く
悪人の笑顔、とでも言おうか


『相変わらず、その生意気な口はなおっていないようですね』


「フン、まだ神とよんでいるだけ、有り難く思え」


俺の言葉にため息をつき、レイシアは続ける


『………貴方はこれから、人として驚くほど短い生を得るでしょう』


「………何?」


『その短い時間の中で、考え、成しなさい』


「……俺が何をすると?」


『それも考えるのですよ、それではルカ』


『お別れです………私の愛しい子』


そしてまた、視界が暗くなる
体の感覚がなくなるのがわかった


ああ、嫌だな
あんなちっぽけで弱い集合体の一員になるのか


まぁ、いい


また、魔王として君臨してやろう






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Re: 魔王が転生したので色々やり直すそうです ( No.1 )
日時: 2015/09/04 19:22
名前: 某夢の国の黒き鼠の使者 (ID: 2AE1iE9Q)

「起きたのか…可愛いな」


「ええ、だって私とハワードの子だもの!」


俺の顔を覗き混んでいるのは、人間だった
そして女は、俺のことを子供だといった


どうでもいいがコイツらの目には寒気を覚える


魔術で殺してやろうとも思ったが、呪文が使えず
よくわからない声が出ていた


ならしめ殺してやろうと手を伸ばしても届かない
しかも手は驚くほど小さく、小指を握れるほどしかなかった


女に抱き上げられてやっと一つの考えにたどり着く


あの愚神
人間としての一生とは考えたものだ


つまり今俺は赤子になっているらしい
恐らくコイツらが親だろう


「……泣かないわね」


「……ルカはお利口だな、偉いぞ」


「そうね!」


ああ、どれだけ能天気なんだコイツらは
泣かない子供なんて気味が悪いだけだろうに


それからは眠気に勝るものもなく、
一日中寝ていることもあった


あの父親、見覚えがあるな……
ああ、そうか
あのときの騎士の若造か…
だとしたら、あの女はあの時の聖者の小娘か


昔の宿敵の仲間を目にして、感傷に浸る
あの時は殺しそびれた、とか


男の名前はハワード、女の名前はレイアというらしい
勇者の名前すら知らなかったのだから知らなくて当たり前か


動けるようになると、とにかく家を歩いた
歩いていて分かるが、ここはそこそこに広いらしい(俺の城よりは圧倒的に小さいが)
窓から見ると大きな商業区や住宅街など
随分大きな領地だ

それに使用人もみえる


小僧と小娘はどうやら貴族階級にいるらしい
それに、小僧の腕には王からの勲章があり
小娘は聖教会のローブを着ている


大分出世したようだな……


そろそろこいつの体にどれほど魔力があるか確かめようと考えた俺は

己の体とは考えにくい体で術式を起動する


どうやら単純な魔力計算はできるらしい
この世界では魔法だけでなく、剣技にも魔力は使う
逆に無いものには生きる価値もない


魔力の量は……俺の魔力の軽く十倍はあった
もともと体に空きがあったらしい


つまりこの体は死ぬ運命を背負っていたのか……
はじめての子供が死産など、アイツらなら堪えきれなかったろう


「ルカ!こんなところで何をしてるの?」


「………ぅー」


「ふふ、そうねー、お昼寝しに行きましょ?」


まぁ、このバカ共がバカ能天気に笑っているのは都合がいい
せめて、可愛い息子のフリでもしていてやろう

Re: 魔王が転生したので色々やり直すそうです ( No.2 )
日時: 2015/09/05 07:46
名前: 某夢の国の黒き鼠の使者 (ID: cIlxy0g.)

「ルカ!」


「なんですか?お母様」


「今日は魔の儀式をする日よ、準備はいいかしら」


「はい、もちろんです」


今、俺は15歳になっていた
魔法だって前の広範囲魔法以外は使えている(試したことはないが、多分使えるだろう)
剣術も王国式を学んでいる最中だ
しっかりコイツらの跡取りとしてのことはしている


ああ、そうだ…あとは


『ルカさま〜、』


「紅玉、静かにしていろといったろ?」


白い毛並みに額には真っ赤な宝石
この人間界ではウサギという動物に酷似しているカーバンクル
魔界では定番のペットである
宝石部分を撫でると嬉しそうに鳴き声をあげた

こいつは魔王のときの俺のペット
なんでそんなものがいるか、というと


「ルカ様っ、こんなところにいらしたのですね!」


「なんだ、俺がここにいて悪いことでも?」


「そ、そのようなことではっ!申し訳ありません!」


あの時、俺が数百万の大軍に殺されそうになったとき
最後まで俺を守っていた女騎士、アリア
元はユニコーンとペガサスの間に生まれたやつだが
わざわざ変異の呪文を使い、角と羽を隠して
今でも俺のことを慕ってくれているらしい


まぁ、ただの監視と思っていればいいだろう


「………なんですか?」


魔王時代はそこまで感じなかったが、
今は同じ高さの場所にたっているから分かる
コイツの身長は180cmをゆうに超え
人間の女では有り得ないくらいになっている

それでも邪険にされないのはコイツの容姿に影響されているんだろう
カーバンクルと同じ白い髪に赤い目
人魚すら恐れ多いと逃げ出す顔


「はぅ……ル、ルカ様、そんなに見つめないでいただけると」


「なぜ、嫌か?」


「滅相もございません!ただ…」


「ただ?」


「ルカさまがあまりにも可愛らしいのでっ……」


「ふざけてるのか?」


「い、いえ!
銀色の髪にまるで宝石のように青い目!
どれも魔族にはない特徴です!
たいへん麗しくございます!」


「…………そうか」


「ルカさま!?落ち込んで……」


だって、そうだろう?
この容姿は俺がもう魔族じゃないことの証明

昔は黒髪に紫色の目で美少年ともてはやされていたのに
ああ、あの体が愛しい………


「ルカ様……ルカ様も今日で成人になられる」


「ああ、そうだな」


「この騎士の言葉に耳をおかしください」


「………いいだろう、」


突然俺の前に跪き、手をとる
かつての忠誠を誓う騎士のように


「殿下の魔力は無限、ですから魂がない今でも魔界では殿下の体が使われております」


「何?」


「今も、魔王様の魂が戻ってくればお体も動き出しましょう」


「だから、一度魔界へ……」


「断る」


「なっ、何故です!」


「今はまだ早い……しかし、まぁ、当面の目標だな」


「…………そんな」


「アリア、お前にはそれまでついてきてもらうが…………」


「はっ!もちろんでございます!」


アリアは敬礼すると、その場から立ち去る


そうか、俺の体が使われているのか……


…………………



あのバカども!!!!この俺の体を自由に扱いやがって!!
殺す!!ぶっ殺す!!!


結局何も変わってない魔王ルカくん

Re: 魔王が転生したので色々やり直すそうです ( No.3 )
日時: 2015/09/05 18:11
名前: 某夢の国の黒き鼠の使者 (ID: l2kw0s63)

「ゴホッ……ゴホッ」


俺ももう18歳になった、見た目も昔の体より大きくなっている

しかし問題が発生した、由々しき事態だ
これにはかの全能神すらお手上げだろう


そもそも俺は無発声魔法を使えるのに
なぜ小さかったからといって使えないのか


この事態がその理由だった、
確かに魔力は存在する、まるで無限にわく泉のように


しかし、この体は俺の魔力を全く外に出さない
これは一時期流行った病で、確か人間は
少ないがこの病にかかるものがいるらしい


つまり、体に溜め込む量の限界を超えれば死ぬ、ということ
『恐ろしく短い時間』は人の生のことだと思っていたが違うらしい


計算したが俺が何もせず生きられるのは約1年
どうやらそれまでには体を取り戻す必要があるらしい



もう少し先にしようと思っていたが、そうもいかないようだ


「アリア、いるか?」


「はい、ルカ様…」


「お前が俺を守れ、今から魔界へいく」


「はっ?で、ではっ!!」


「真紅を連れてこい、戻るぞ、王宮へ」


「は、はっ!!」


カーバンクルがなぜ魔物に人気のペットなのか
それは可愛いから、などではない
その宝石から魔界への入り口の情報が分かるからだ

まぁ……可愛いのは認める


「アリア、」


「はいっ!!」


アリアは本当に嬉しそうに術をとく
そこには羽と角の生えている馬の姿があった
そこに乗り、魔界を目指す


まぁ、基本入り口は警備されていないから余裕だろう

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