複雑・ファジー小説

エンヴィネアの城
日時: 2015/09/24 19:12
名前: 詠 (ID: EBP//tx7)

間違えていた
間違えていた
ああ認めよう、私は間違えていた
さげすんでいたのではなく、私は、あの、あの者たちを、羨んでいたのだ
              (ルーヘン・グランツリッヒの記録より)

  ―・―・―・―

こんばんにちは、詠(うた)と申します。
亀更新速度&ド下手文章ですが、よろしくおねがいします。

魔法だとかは登場いたしませんが、獣人やら魔物やらたくさん出てくるので、苦手な方はここでリターンをよろしくお願いします。


 +目次+

【第零夜】
 >>2

【第一夜】
 1 >>3
 2 >>4

Page:1



Re: エンヴィネアの城 ( No.1 )
日時: 2015/09/22 17:50
名前: 詠 (ID: EBP//tx7)

・主な登場人物・

 ビド(五号)
エンヴィネアの城で飼われている猫型の奴隷獣人。

 ブラドリギス
絢爛な羽ペンにに寄生する堕天使。
ビドに拾われる。

 ルーヘン・グランツリッヒ
エンヴィネアの城にいる研究者。
ビドの所有権を持っている。

 一号
エンヴィネアの城の奴隷。

 二号
一号同じく。

Re: エンヴィネアの城 ( No.2 )
日時: 2015/09/23 11:14
名前: 詠 (ID: EBP//tx7)

【第零夜】


少年は、いつからそこ≠ノいるのかよく分かっていなかった。
ただ自分の半生の大半を占めているだろうということは察していた。
なぜなら少年は、そこ≠フ風景しかしらなかったからだ。

そこ≠ヘ城であった。
白と黒の巨城だった。
少年はそこ≠フ部屋を与えられ、食べ物を恵まれ、ある程度の教育を施されていた。が、そこから出たことが無い―――つまり、軟禁されていた。
出ようと思ったことはない。もし出ようと思ったとしても、首の奴隷輪がたちまち首を絞めるだろう。

少年は外の世界を知らない。
それが不幸なのかは分からないが、少なくとも苦痛は感じていない。
それならば良いとさえ思っていた。

思っていた。


―――あの日、城内の物とはかけ離れた、絢爛なペンを拾う前は―――。

Re: エンヴィネアの城 ( No.3 )
日時: 2015/09/23 15:41
名前: 詠 (ID: EBP//tx7)

【第一夜】


  ―1―

足が風を切る。
軽く鈍い音と共に「ぐぎゅあっ」というくぐもった悲鳴が耳をつんざいた。
空中で回し蹴りを直にくらった、巨大な紅い鳥の声である。
鳥はそのまま地面にはたき落され、回し蹴りを繰り出した白い影は、その真横に降り立つ。

(地面の衝撃を考えていなかったな)

白い影は鳥の首をつかみ、持ち上げる。鳥は抵抗もせず――――正しくはできず―――だらんと足をのばしたままであった。

どうやら白い影は鳥を持ち帰るようだ。
しかし、白い影が腕いっぱいをのばして持ち上げても、鳥の細い脚は地面を引きずる。
それは鳥が巨大だからという理由だけではなく、白い影が小さすぎたというのもあった。

白い影は十歳前後の少年だった。
なめらかな白い髪が隠す顔も、青い目もまだ幼い。
それほどガタイが良いというわけでもなく、先ほどの回し蹴りをするには筋肉も発達していない。
それが出来たのは、ひとえにこの少年が獣人だったからである。
少年は猫の獣人だ。その証拠に、顔の横についているはずの耳が、頭の上についている。形状も異なった猫の耳だ。

そしてもう一つ、少年には他の人間と違うところがあった。
それは首。
正しく言うと首についた首輪である。
金具部分に管理用の魔宝石が付いた、奴隷用の首輪。


奴隷の少年獣人。それがこの白い影の特徴の全てだった。
名を―――――――『ビド』と言った。






奴隷のビドを飼っているのは大きな白い城の主である。
といってもそれは形式上だけで、すべての権利はルーヘンと言う研究者にある。奴隷首輪の鍵もルーヘンが持っている。
ビドが倒した紅い鳥は城の領地内の森に侵入した魔物である。ルーヘンのような戦闘を得意としない部下を持つ城の主に、魔物がいては仕事に支障が出るということで、こういった事をたびたび命令された。
ビドにとって城の者の仕事など知りようもなかったが。

それよりも、命令をどうやって遂行しようかのほうが重要だった。
魔物を研究する者からの命令で、一匹殺さずに持ってこいと言われたのだ。
奴隷に下された命令は絶対である。

(さてどうしようか)

考え始めたところで――――猫の高度な聴音技術が、小さな音をとらえた。
枝が折れた音――――生き物がいる音。

ビドは反射的に飛び上がった。飛び上がった木の上で、さらに飛び上がった。
木々よりも高く跳躍したビドの目に、木々よりも大きなノームの姿が写りこむ。

(・・・どうして魔物はどれもこれも大きいのだろう)

どうでもよいことを考えつつ、ビドは体制を整える。


(あっ、それよりも)


足が風を切る。



(・・・どうやって運ぼう)



重要なことに気が付いたのは、かかとを魔物の脳天に落としてからだった。

Re: エンヴィネアの城 ( No.4 )
日時: 2015/09/24 19:12
名前: 詠 (ID: EBP//tx7)

【第一夜】


  ―2―

「―――と、いうわけなので、手伝っていただけませんか」

森の中心部、天高くそびえる木々の中で、ひときわ大きく成長した樹がある。
幹も枝も太く伸びているそのふもとに、一人の男性が座り込んでいた。
癖の強い黒い髪と、ぎらぎらした金色の目が特徴的である。
ビドと同じような白いシャツを着て―――――ビドと同じように、奴隷の首輪をはめていた。

「・・・俺、忙しいんだけど」

男は欠伸をしながら言う。
失礼ながら全く忙しそうに見えない、と近づくと、男は面倒くさそうにふらりと立ち上がった。

「仕事で困ったことがあったら二号へ言え、とルーヘン様から言われております」
「ルーヘン、ルーヘン、てうるせえよ。ルーヘン至上主義者かよお前」
「主人の命令は絶対ですゆえ」
「・・・。・・・あー、本当、面倒くせぇやお前」

この城の奴隷、二号は頭を掻きながら、ビドを見る。

「どこだよ」

それを聞き、ビドは顔を僅かに明るくする。


―・―・―・―


城は石づくりである。
黒い石、白い石。なめらかな石、とがった石。
名称こそ知らないものの、廊下や階段に使われた石を眺めながら歩くのは、ビドにとって楽しいことだった。

特に好きなのはルーヘンの部屋に続く廊下だ。
壮大で美しいが、この城は色と言う物を知らない。その中で唯一いろいろな色があるのがこの廊下なのだ。
廊下にはところどころ、色のついた宝石が埋め込まれている。
赤、青、黄色、碧、桃色、空色、実に様々な宝石が、朝日や夕陽に照らされて、時間が移り変わるたびに違う風合いで煌めかせる。

なぜそこだけがそうなっているのか――――ビドはそれを聞ける身分ではないし、聞かなくても、楽しければそれでいいのだ。


「ルーヘン様、五号でございます」
「ルーヘンー、はやく開けろー、つーぶーれーるー」

ビドはそこを渡りきった地点にある部屋、ルーヘンの部屋の前に来ていた。
ビドの事実上の飼い主はルーヘンである。
他の研究者に頼まれた仕事を終える前に、帰城報告をせねばならなかった。

こればかりは木でできた扉が、重々しく開く。
開いたのは紅毛の女性だった。
細い目の隙間から、深紅の瞳がのぞいている。城と同じ、真白な白衣をまとっている。
―――ルーヘンだ。

「ビド――――と、二号か。・・・そのノームは何だ?」
「こいつのもう一つの仕事だってよ! こいつ素早いけど、非力だかんな」
「研究者のかたから、魔物を一匹とらえて来るように言われました」

狭い廊下の中、巨大なノームは目立つ。
はたから見ると、ノームが喋っているように見える。

「・・・とりあえず中へ入れ」

扉が完全に開かれた。
薬の独特なにおいが鼻孔をくすぐる。

 


***作者コメント***
尻切れトンボになってしまい申し訳ありません。
次はもうすこしマシにしますので。

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