複雑・ファジー小説

芸能界浄化睦軍
日時: 2015/12/29 01:57
名前: 梶原明生  

芸能界浄化の宣言
一つ、芸能界は芸能人搾取があってはならない。

一つ、芸能界は情報提供に速やかに応じなければならない。

一つ、芸能界は悪質な秘密を抱えてはならない。

一つ、芸能界は正当な浄化行動に逆らってはならない。

一つ、芸能界は清浄、且つ国民の模範とならねばならない。

芸能界が不浄且つ不純な行動行為表現を行った場合、芸能界浄化陸軍は武装武力をもって浄化執行する権利を有する。
以上

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Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.103 )
日時: 2018/02/19 18:16
名前: 梶原明生  

…幕張は佐藤を抱きかかえる。「梓っ、梓っ、そんな。死ぬな。」銃傷を押さえながら悲壮感に満ちた声で叫ぶ。「うれしい…あなたの腕の中で死ねるなんて。言ったでしょ、私のことは忘れ…て。」幕張の頬を撫でる手を血だらけの手で握り返す。「できるわけないだろっ、まだ、まだこれからじゃないか…やり直しなんかいつだってできる。生きて…生きて俺と。」言いかけた所で芸浄隊衛生班の清水玲奈曹長が彼の肩を掴む。「どいて。助けたいんでしょ。なら私達に任せて。」テキパキとしたナートの仕方は彼でさえ、目を見張るものがあった。橘一等兵が声をかける。「清水曹長に任せたら大丈夫。芸浄隊衛生班の中でも女ブラックジャックの異名を取る精鋭だから。」清水曹長は一通り処置が終わると、氷川曹長に叫ぶ。「氷川曹長。幕張を借りてきますよ。いいですね。」テキパキした物言いに彼ですら驚く。「か、構わんが。」「よし、幕張一等兵、何ボサッとしてる。愛してるんでしょ。なら病院までヘリで輸送するから彼女のそばで手を握ってなさい。」「は、はい。」ペンション近くの駐車場に着陸したUH−60ヘリに搬送される佐藤と共に幕張は一路病院に向かった。呆然とする長谷川に藤高曹長は肩を掴んで声をかける。「長谷川、大丈夫か。」「大丈夫…と言いたいですが。正直、ショックです。まさか、自分の父親が…」「だが、長谷川。お前はお前だ。父親とは違う。お前はお前の道を行くんだ。」「藤高曹長。」感動する長谷川に氷川曹長もまた声をかける。「そうだぞ。お前は俺達の仲間だ。」「はい、ありがとうございます。」長谷川がそう言ったものの、氷川曹長は矛先を藤高曹長に向ける。「ところで藤高。お前国会でSP相手に大暴れしたそうじゃないか。よく来れたな。捕まらなかったのか。」「そこなんだが。実はその後、石原総理が現れてね。粋な采配をしてくれたのさ。おかげでお咎めなし。その上、西島幹事長は更迭。後は石神大佐が処理してくれているというわけさ。さて、問題はこれからだな。後間もなく警察庁の連中が来る。現場検証に報告会。やることは多いぞ。」「了解。」長谷川、橘、木下はじめ、現場にいた芸浄隊員が返事をした。全てが終わる頃には紅鏡の旭が登りはじめていた。帰りはUH−60ヘリが藤高、長谷川達を乗せて一路、芸能界浄化陸軍基地を目指した。「美紀…」長谷川は「忘れない煌めき」という歌が聞こえてきた。…最終回「忘れない煌めき」に続く。

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.104 )
日時: 2018/02/20 17:44
名前: 梶原明生  

「忘れない煌めき」最終回

…「どうして美紀の歌声が…」長谷川のその様子を見て藤高もまた同じことを言う。「お前も聞こえるのか。神原美紀の歌が。」「はい。」「俺も。」ヘリに乗っている要員は全員彼女の不思議な歌声にしばし聞き入った。氷川曹長だけは理知的にへり搭乗員に聞く。「ラジオ短波でもスピーカーで流してるのか。」「いえ、そんなはずはありません。本部から無線も入ってませんし、第一任務中に音源を拾うわけがありません。」「そうか。するとどこから…」不思議に思いつつ、旭をバックに勇壮とUH−60ヘリ軍が基地に向かって飛んでいる。朝早くに関わらず、居残り組の芸能界浄化陸軍基地隊員相手にライブを展開していた神原美紀。長谷川を感じたのか、彼女は歌い終わるとアイドル衣装のまま飛び出した。「輝、輝ーっ。」ヘリポートに到着したUH−60の扉を開けた長谷川は、負い紐で89式小銃を脇にどけつつ、神原目掛けて走り出した。「美紀ーっ。」抱き合いながらクルクル回る二人。「やれやれ。帰投してそうそう見せつけてくれるよ。」氷川が皮肉混じりに呟く。「ち、あいつらばっか春を謳歌しやがって。俺が一番背高くていい男なのに何で俺に春は来ないんだ。」木下が初めて愚痴をこぼす。「まぁそう言うな。お前にだっていずれ…」言いかけた藤高曹長だったが視線の先に辛島麻里の姿があった。「麻里。」「ご無事で…利行さん。」涙して敬礼する麻里を、藤高は強く抱きしめた。「かぁ、そういう藤高曹長まで…」開いた口が塞がらない木下を、つい橘がクスッと笑う。氷川まで笑いながら彼の肩を掴む。「まぁそう言うな。何なら家内の伝手で女優さんを紹介してもいいぞ。」「マジっすかっ。あざーすっ。」「おいおい、現金なやつだな。」一度に笑いが込み上げる。それを余所に長谷川神原は熱いキスの後、語り合っていた。「わっぜ愛しとうよ。もし、生きて帰れたらって約束。いっちょんOKよ。かごっまの、うちげ け。」「お、お国言葉だね。勿論ありがとう。一生君を守ったる。ほなよろしくな。」「げんね。けど、てげけしんかぎぃ思うとるよ。ありがとう。」再び抱き合う長谷川神原。日の光が二人を照らし出している。…それから数日後。世間では、西島、苅田を始めとする、政界と芸能界のスキャンダルが賑わった。一時期芸能界浄化陸軍の解隊すら噂されたものの、石原総理の計らいにより、新たなスポンサーが付き、軍の継続が決定した。…続く。

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.105 )
日時: 2018/02/21 00:24
名前: 梶原明生  

…一方、佐藤梓はと言うと、芸能界浄化陸軍病院の集中治療室で生死の境は脱したものの、依然と意識不明のまま。幕張は許可のもと、外出許可が出て毎日勤務時間外は病院に通い、佐藤の手を握って話しかけていた。「はい、コーヒー。あんまり根詰めてるとあんたもやられるよ。」そう声をかけたのは白衣姿の清水玲奈曹長だった。「あ、ありがとうございます。でも、一分一秒でも長くそばにいたいんです。」「大丈夫。その気持ちはきっと彼女に伝わってる。それに私達最高の医療スタッフがついてんだよ。安心しなって。」幕張は微笑みながら、視線を佐藤に移した。瞼が微かに動いたような。…翌日は休暇をもらっていた長谷川は、神原を連れて大津駅に来ていた。「うわーっここが輝の生まれたところ。」「うん。正確には膳所だけど。」二人はその膳所駅に向かい、滋賀銀行側の道路をひたすら歩いた。「懐かしい。2年前と変わってないや。あ、ここが俺んち。」指差した先にはこじんまりとした一軒家が佇んでいた。緊張する神原。やがて家に入り、リビングから駆けつけた母が出迎えた。「まぁ、輝。立派になって…こちらのお嬢さんはまさか…」「は、初めまして。ひ、輝さんと交際してます神原美紀と申します。」「まぁ、こんな可愛いお嬢さんをうちの息子が射止めてしもうて。ほんま隅に置けんわなぁ。」「いえ、そんな…」意を決した長谷川は母に告げる。「母ちゃん、聞いてくれ。早過ぎるかもしれないが、俺、美紀と来年結婚する。」「へ…」あまりの発言に固まってしまう寛子。その後くつろいでいる間もなく、翌日には鹿児島に向かった。途中サインを求められたりしたが、快く受け入れつつ、鹿児島中央駅に到着。観覧車を見上げていると神原の父親が車で出迎えた。「こ、これは、お久しぶりですお父さん。」「んだもしたん、せからしかよ。いらんこつ言わんで、もて、乗れ。」言葉は分からないが、とにかく彼のSUVに乗る長谷川。一路天文館近くの神原の生家へと向かった。そこには母と美紀の弟がいた。弟は騒ぐ。「うーは、姉ちゃんかごっま帰ってきた。わっぜわっぜたまがっ。」「キャー、宗雄、まっこと会いたかった。」二人は飛び跳ねて再会を喜んだ。しばらく互いに落ち着いてから、長谷川は切り出した。「お約束の件ですが、その、あの、当初の予定をですね、は、早まりまして、その、結婚をですね…」「知ってるよ。来年結婚式を挙げたいんだろ。」「げっ、何故それを…」…続く。

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.106 )
日時: 2018/02/21 19:23
名前: 梶原明生  

…突然の意外な発言に、目を皿にして驚く長谷川。「固く口止めされてたんだが、こうして来たんだし、もういいだろう。君の上官だったか、藤高曹長て人が昨日行き違いで訪ねてきてな。色々事情を説明してくれたよ。大変だったそうじゃないか輝君。いつ死んでもおかしくない世界で頑張ったってな。そこをくぐり抜けて美紀のいる芸能界を必死に守ってくれた。その話に感動してな。おまけに土下座まで…部下の不徳は上官の不徳と言われたもんで、さすがにやめてくれと頼んだよ。…あんたいい上官を持ったよ。だからわかった。少し早過ぎるが、結婚を認めよう。」「あ、ありがとうございます。」長谷川は深々と頭を下げた。「そうか、藤高曹長がそこまでしてくれてたなんて。」「藤高さんに感謝しないと。」「うん。」長谷川、神原は互いに見つめ合って頷いた。その頃、芸能界浄化陸軍基地についていた藤高曹長は、正門前でくしゃみしていた。「ハクション。長谷川が噂してんのか。」「ひひっ、藤高曹長殿。」後ろから声をかけたのはあの記者だった。「し、週刊朝企の内野。…何の用だ。」「ひひっ。いやね、お詫びしておこうと思いましてね。完全に私の負けですよ。少しあなた方の活動の意味をわかったような気がします。ただし、記事は書きますがね、良きライバルとして。それではまた。ごきげんよう。」「何だあいつ。謝罪が謝罪になってねぇし。…ふっ、まぁいいか。」微笑みながら通行証を出す藤高。PX横の休憩室に行くと氷川はじめ、いつものメンバーが揃っている。「よぉ、藤高。根回しご苦労様。」「根回しとか言うなよ。あくまで熱意を伝えに行ったまでだ。」「なるほど。お前さんらしい意見だな。」氷川の言い回しを見ながら橘が不思議そうに聞く。「そう言えば木下伍長から聞いたんですが、氷川曹長にとって藤高曹長は命の恩人なんだそうですね。何があったんです。それ以前は犬猿の仲だったとか。」「ああ、その話か。話せば長くなるが、うちの女房がストーカー被害にあっててな。非番だった藤高がたまたま駅にいた女房を刃物持ったストーカーから救ってくれたのさ。以来、何だか打ち解けてな。で、今に至るわけさ。」「そんなことがあったんですか。」 関心する橘。「いけない。約束忘れてた。すまんが話は後だ。」そそくさと出て行く藤高。芸能界浄化陸軍の宣言が書かれたステンレス額がある壁の前で、ドレスアップした辛島麻里と落ち合った。「ごめん、待たせた。」…続く。


Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.107 )
日時: 2018/02/21 20:08
名前: 梶原明生  

…「ううん。いいの。」「どうした…」藤高は麻里の視線を追った。芸能界浄化の宣言が書かれたプレートを見上げていたのだ。「復唱してみるか。」「はい。」

芸能界浄化の宣言

一つ、芸能界は芸能人搾取があってはならない。

一つ、芸能界は情報提供に速やかに応じなければならない。

一つ、芸能界は、悪質な秘密を抱えてはならない。

一つ、芸能界は正当な浄化行動に逆らってはならない。

一つ、芸能界は清浄、且つ国民の模範とならねばならない。

芸能界が不浄且つ不純な行動行為表現を行った場合、芸能界浄化睦軍は武装武力をもって浄化執行する権利を有する。

「あれ…」麻里が何かに気づいた。「これ陸軍が睦軍になってる。何で。」藤高が答える。「んっ、何故かって。睦っちゃんの睦をどうしても入れたいという願いがこもっているのさ。俺と石神大佐の哀願の賜物さ。勿論、陸軍と呼んでもいい。」「そうだったんだ。」互いに待ち受けにした、かつての上原実優さんのお姿を見つめる。「必ず二人で種子島にお墓参りに行こう。」「はい。」やがて二人はタクシーに乗り、夕方の街へと繰り出していった。一年後。相変わらずピクセルグリーン迷彩服に89式小銃折曲銃床で閉所戦闘訓練に明けくれる長谷川、藤高の姿があった。「明日は結婚式だろ長谷川。美紀ちゃん来てるぞ。」「大丈夫っす。」そんな時、赤色灯が回って緊急放送が流れる。「訓練中止っ。出動準備に入れ。」「了解。」藤高曹長の怒号で一斉に駆け出す隊員達。「美紀。」「うん、構わず行って。」「ありがとう。」長谷川は心置きなく芸能界浄化睦軍部隊員として走り出した。そこに救いを求める芸能人がいるかぎり。…


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