複雑・ファジー小説

Body of Blade
日時: 2016/04/24 22:51
名前: ブレイド (ID: LxaimtSa)

この板で書くのは初めてです。ブレイドと申します。
まだまだ稚拙な文章ですので、ご指導いただければと思っております。

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Re: Body of Blade ( No.1 )
日時: 2016/04/24 22:59
名前: ブレイド (ID: LxaimtSa)

 創暦204年。
 火の国と呼ばれる大陸ではある病が発見された。
 その病にかかった者の肌に触れると、まるで刃で切り刻まれたかのように惨死してしまう。
 故に、その病にかかった者は一生涯隔離され外界との交流を禁じられる。
 発見から数十年が経ち、創暦268年。未だにその病の治療法は見つからず、人々は発症を恐れていた。
 

 ――刃身病(じんしんびょう)。


 そう命名された病。
 後に、『奇跡の病』と称される事になるものである。

Re: Body of Blade ( No.2 )
日時: 2016/04/25 18:24
名前: ブレイド (ID: LxaimtSa)

「お前ら、作戦は理解しているな!」
 数頭の馬が駆け抜ける平原に、しわがれた声が響き渡る。
 男は馬に乗り平原を進む集団の先頭を進んでいた。狼のような形の白髪、左目を覆う黒い眼帯、漆黒の鎧を纏ったその姿はベテランの風格を醸し出している。
 実際、この男は集団のトップである。名はガイア。
「この先に塔が見えるはずだ。塔が見えたら馬を降りて、徒歩で進む。いいか、もう一度念を押すが、これは刃身病患者の『保護』が目的だ。無駄な殺しはするなよ!」
 後ろを着いてくる者たちの威勢の良い返事が聞こえる。
 刃身病患者の保護。彼らが遂行する作戦は名目上そうなっているが、『保護』した患者がその後どうなるのか、それは知らされていない。
(ま、大体予想はついちまうんだがな)
 老兵は心の中で呟く。
 だが、気づいたところでどうすることも出来ない。彼は兵士。命令に忠実でなければならない。
 例えば、彼がまだ若かったなら。あるいはその常識を覆せたかもしれない。
「……全員止まれ。塔が見えた。徒歩に切り替える」
 前方にそびえ立つは、石造りの古塔。兵士たちは馬を降り、教えられたとおりの隊列を組む。
「さあ、任務開始だ」


 ここが歴史の分岐点。
 だが、そこに立ったのはガイアではない。『彼』はまだ未熟な兵士。名は――シュウヤ。

Re: Body of Blade ( No.3 )
日時: 2016/04/26 23:32
名前: ブレイド (ID: LxaimtSa)

 その少年は部隊の最後尾にいた。
 後ろは肩まで、前は眉毛が隠れるくらいのストレートの黒髪。中肉中背、温厚そうな目つき。鎧を纏えばモブキャラと化してしまうほど特徴の少ない少年だ。
 彼は馬から降り、腰に携えた刀を握り締めながら指示を待つ。
「俺たちの班は側面から回る。いいか、目標を発見次第速やかに保護せよ」
 指示をしているのは中年の小太り男、ラースである。それでも班長になるほどの実力は持っている。
「さあ、行くぞ」
 同じ班の兵士だちが動き出す。少年――シュウヤは彼らの後ろを着いていく。
(正直、こんな重要な作戦に俺が派遣されるのは間違っている気がするんだけどな……)
 そう、シュウヤはまだ兵士になって1年にも満たない人間である。刃身病患者の保護という重要な作戦に派遣されるにはまだ未熟すぎるのだ。
「おいシュウヤ、緊張してんのか?」
 ケラケラ笑いながら話しかけてきたのは、シュウヤの親友であるギンガ。トゲトゲの赤髪、鋭い目つき。シュウヤと同じくまだ兵士歴1年未満である。
「ギンガは緊張してないのかよ」
「俺は逆に楽しみだね。こんな重要な任務、中々参加出来ないんだぜ?」
「……俺としてはそれがどうも怪しいんだよな」
「余計なことは考えるなって。大体、新兵の俺たちに策謀とかそんなの無いって」
 軽い調子で話すギンガとは対照的に、シュウヤは温厚な目を顰める。
「だといいんだがな」


 そうこう言っているうちに、シュウヤたちは目的の建物に到着した。
 建物というより、要塞と表現したほうが正しいか。遠くから見えていた塔はこの要塞と繋がっているらしい。どちらも石造りではあるが、頑丈そうに見える。
「陽動が始まったら突入するぞ。情報では、あの塔に目標が監禁されてるらしい」
 ラースは小声で指示を出す。汗をかいているのか、しきりに額を腕で拭っている。
 要塞の周りは雑草や木だらけで、人間が隠れるのには十分すぎる。夜明けが近くなってきているのか、東の空が微かに明るくなっている。
「刃身病……か。なんで治療法が見つからないんだろうな」
 考えを深めている時間は無い。呟いた直後に別の班の陽動が始まったのだ。
「始まったな。行くぞ」
 足音に注意しながら、シュウヤたちは要塞へと接近していく。


 物語(サーガ)が、動き出す。

Re: Body of Blade ( No.4 )
日時: 2016/04/27 21:57
名前: ブレイド (ID: LxaimtSa)

 突入する扉は思ったよりも近くにあった。
「ここからはスピード勝負だ。あの塔に最速で向かう。ま、陽動のおかげで敵はいないはずだ。気楽に行け」
 ラースはゆっくりと石の扉を開け、中へと入っていく。それに続き、シュウヤたちも入る。
 石の廊下は壁の松明で少し明るくなっていた。だがその明るさにも限界があり、廊下の端までは見通せない。
 シュウヤの班は計5人。それぞれが足音を気にしながら進んでいく。
「おい新入りたち。直線上の扉を見て来い」
「了解」
 ラースの指示通り、シュウヤとギンガは扉に近づく。
「俺が開ける。ギンガは構えててくれ」
「おう」
 シュウヤは扉の側面に、ギンガは正面に構える。そして、しゅうやは扉をゆっくりと押し開け、ギンガは剣を構えた。
 薄暗い部屋。視界に映るのは微かな松明の炎。そして――

「っ! 敵兵!!」

 次の瞬間、大量の矢が飛んできた。
「畜生、隠れてやがったのか!? ギンガ、無事か!」
 シュウヤは急いで扉から距離をとり、ギンガに問いかける。だが、答えは返ってこない。
「おいギンガ! ギン……」
 その時、ふと見えたのは仰向けに倒れているギンガの姿。矢が十数本刺さっているようだ。少しの動きも見えない。
「進め、侵入者どもを殺せ!」
「マズッ――!」
 扉の向こうには10人ほどが隠れていたようだ。統率された動きで、部屋から飛び出してくる。
「あ、ああ……ああァァァァァア!!」
「2名発見! 1名は死亡」
 突きつけられる剣。敵は全員マスクをしており、顔が分からない。シュウヤは恐怖から動くことが出来ない。
「なんだ、新米かよ。おい腰抜け、残念だったな。憎むならお前らの隊長を憎むんだな」
 低い声の兵士が剣を振り下ろす。
(死ぬのか? こんな訳の分からない場所で?)
 死。それが目前に迫る。
 その時、少年は――

「死んで……たまるかぁぁぁぁ!!」

Re: Body of Blade ( No.5 )
日時: 2016/05/03 00:49
名前: ブレイド (ID: obDW75wI)

 そもそも。
 軍隊に入るためには壮絶な試練をクリアしなければならない。確かに、その後の成長には個人差がある。だが、生き残る術は全員が取得している。
 『殺されないこと』。それだけでいいのなら、新兵にでも出来る任務なのだ。
 だが、この任務をクリア出来る者は多くない。分岐点は、本番で訓練通り動けるかである。それが出来る者こそが、後に凄腕と称されるのだ。


「死んで……たまるかぁぁぁぁ!!」
 シュウヤは自分の剣を引き抜き、間一髪、敵が振り下ろした剣を防いだ。
「ほう、新米のくせにやるじゃねぇか」
 だが、敵は冷静だった。マスクの隙間から覗く眼光は鋭く、それだけで殺されてしまいそうな感覚すら沸き起こる。
「俺もかなりの新米を斬ってきたが、テメエみたいなのは初めてだな」
「は、はぁ?」
 敵は何故か剣を納めながら言う。
「みんなビビッて動かねぇんだ。全く、無様だよなぁ」
「な、何が……言いたいんだ」
「テメエは生きろ。どのみち、テメエらの部隊は全滅する。折角この俺が見逃してやるんだ、生きろ」
「あ……ああ?」
「仲間には攻撃しないよう言っといてやるよ」
 シュウヤには状況が理解出来なかった。
 さっき斬りかかってきた敵が、今度は生きろと言う。こんなおかしなことがあるか。
「ああそれと、逃げるなら自分の軍隊には戻るな。いいか、絶対だ」
「さっきも、言ってたな。……隊長がどうとか」
「ちょっと待て。おいホワイト、こいつは大丈夫だ。他の奴らにも攻撃しないよう伝えろ」
 ホワイトと呼ばれた人物は首をかしげながらも、石の廊下を走っていった。
「……いいか、詳しいことは省く。ここに刃身病患者はいねぇ。そのことをテメエんとこの上司は知ってる。知っててこの作戦を実行した」
「どうしてそんなことが言えるんだよ……」

「俺たちが待ち構えてた理由、それを考えれば分かることだ。来た道を戻れ。いいか、今は俺を信用しろ」

 そう言うと、敵はホワイトが走っていった方向へと消えていった。去り際に、彼は自分の名前を伝えてきた。
 ――シルヴァ
 その名を心に刻み、シュウヤは来た道を戻り、要塞から脱出した。

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