複雑・ファジー小説

愛を愛シテル
日時: 2016/10/30 19:01
名前: 高槻 玲音



君らは、“生きてる”って感じる時はある?


僕にはある。


物凄い高揚感と、幸福感で胸が一杯で堪らなく興奮する。

それは一種の性行為であり、二人でしか愛を感じることは出来ない。

現に、その時だけは僕と“その相手”は愛し合うのだ。男だろうが女だろうが、子供も老人も、僕と甘く甘く愛し合うのだ。

その“愛”は、僕と“その相手”だけの秘密であり、誰にも邪魔をさせない。


“その相手”と過ごた時間は、僕が“その相手”を愛したという紛れもない事実。だが、誰かに知られた瞬間にその“愛”は不完全なアイになってしまう。

だから秘密なのだ。

例え、意味のわからない紙切れを突き出しながら僕の目の前に現れた警察にも秘密だ。


どんな風に愛し、どんな反応を返したかと興味津々に聞かれたって、僕は教えてあげない。


僕と“その相手”は相思相愛。一緒に過ごした時間は僕たちの蜜月なのだ。誰にも渡したくない。


だから僕は、印をつけてあげる。

僕と“愛しあった”のは君だよ、という意味を込めて十字架の刺青を、首の後ろに入れてあげるんだ。勿論、僕の手で。

みんな喜ぶんだよ、泣きながら。

でもたまに、泣かない子がいるんだ。その子には、特別可愛がってあげるんだ。

だって、その子は僕と愛しあう為の痛みに耐え抜いた。

痛みより、僕らの愛が上回った証拠だ。

でも、どんなに愛し合ったってお別れがくる。どんなに思い出を作ったって、愛し合う者の別れは辛い。

だが、そのお別れは僕らの“愛”の為の必要なこと。

だから僕は、この愛を完成させるために喜んでしようじゃないか。

君たちを愛したこの手で終わらせる。


赤黒く錆びたノコギリとナイフにハサミ。


僕と君たちは命をかけて愛したあった。
君たち一人一人を僕は、形を変えて愛した。

だから、僕のつくった“愛”は、僕が君たちを破壊することで完成する。





Truelove.

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少年の敗北 ( No.1 )
日時: 2016/11/05 21:16
名前: 高槻 玲音



月は笑う。

空は泣く。

貴方は知ってる?

月は孤独を知ってるから笑う んだ。

寂しさを埋めるために。

貴方は知ってる?

空は愛を知ってるから泣くん だ。

自分だけを見てって。

嗚呼、なんて贅沢なんだろう 。

(みんな、

無くなれば言いのに…。)

「はっ…はぁっ…ぅっ…ひく っ」

うずくまって泣きじゃくる不 様な少年と、そに群がる数人 の不良。

「おいおい!泣いてやがるぜ コイツ!」

「ダッセェーww」

「男が泣いてんじゃねぇ、よ っ!!」

「ウグッ!!」

鈍い音が周りに響き渡る。

「ごめ…なさ…ヒクッ…ゆる して、くださ…」

イジメ役とイジメられ役。

どこにでもある役柄だ。

いつしか見たアニメの世界み たいだ、と殴られながらも許 しを請いながらも冷静な自分 がいる。

僕が人質で、彼らは悪役。

じゃあ、

僕は呼ばなきゃ…

「だず…けて…ヒー、ロー… 」

嗚咽とともに出た助けを求め る声。

「…聞いたか?」

「聞いた聞いた」

「ヒーロー…だって!」

『ギャヒャヒャヒャヒャ!!』

下品な笑い声が、僕の耳を劈 く。

(煩いよ。もっと静かに笑えな いのか。)

「誰がお前何かを助けるヒー ローがいるかよ!」

「身の程を弁えろっての!」

「だーれもお前なんか見てく んねぇよ」

「あ!そんなにヒーローに来 てほしいなら背中に書いてや るよ!」

一人の男が、何か閃いたよう に声を漏らした。

「誰かマジック持ってねえ? 」

「コイツの鞄の中にあんだろ 」

男が僕の鞄を漁り、ネームペ ンを取り出す。

「はい見っけたー!」

あろうことか僕のネームペン で制服のブラウスに落書きを し始めた。

「明日も着て来いよwwじゃね ぇとブッ殺す」

「やめッ!やめてよ!!」

まるで拷問のように続く暴力 と罵声と侮辱。

その度に、僕は黒い血を吐く 。

ボタボタと吐かれた血は、僕 の心に染み込んで跡をつけて いく。

嗚呼、今日も

ヒーローは来てくれない。

少年の願い ( No.2 )
日時: 2016/11/05 21:27
名前: 高槻 玲音


産まれた時から"人種"とは決 められるのだと思う。

搾取する側とされる側。

僕、赤月 琴南は、いつだって 搾取"される側"だった。 多分、この先も搾取"される側 "なんだと思う。

現に、この様だ。

ズタボロにされた制服に、泥 まみれの体。 泣きじゃくった顔なんて、見 れたモノじゃない。

「…あーぁ…帰らないと…」

痛む体に鞭を打って荷物を持 って公衆トイレの中に入った 。

一応、親には運動部に入って いると言ってある。心配事を 増やしたくないし、こんな惨 めな姿を知られたくないから だ。

かろうじて守った体操服とジ ャージに着替える。

手洗い場で顔と髪を洗って鏡 を見た。

「ひっどい顔。傷だらけじゃ ん」

鏡には、傷だらけの顔で引き 攣った笑みを浮かべる自分が いた。

「……帰ろう…」

制服を鞄に入れてその場を離 れた。

「ただいま」

玄関のドアを開けるが、人の 気配が全くしない。

「お母さん?お父さん?」

今は夜の9時だ。どちらも帰 って来ているはずだ。靴もあ るし。

ガタンッ!

音のした部屋を覗く。

そこには、ぶら下がった二つ の塊があった。

「あ゛く゛っ…ぁ゛っ…こ゛ と゛…な゛」

「う゛ぁ゛っ…ぐぅ゛っ…す ゛、ま゛な゛…い゛ぃ゛…」

天井からぶら下がる塊は、僕 の……

――お父さんとお母さんだっ た…。

お父さんとお母さんが苦しん でる…。

こっち見て、苦しんでる…… 。

紐を切って、肺に空気 を入れて…その後は救急車を 呼ぶんだ…。

頭は回転してるのに、機能 してるのに…

僕の脚は、本来の機能をしな い。

脚が震える…、すくんで動 かない…。

「動け動け動け動け動け動け 動け動け動け動け動け動け動 け動け動け動け動け動けッ!!! 」

手で脚を動かそうとしても、 まるで地面と足が縫い付けら れたように動かない。

「お父さん…お母さん、ちょ っと待ってね…今、助けっ… るから…」

動かない脚に苛立ち、己の非 力さに涙が出た。

滲む視界の中、両足を強く強 く殴りつけた。

棚の上に置いてあったハサミ を掴んで駆け寄って紐を切っ た。

「お父さん!お母さん!」

床に倒したお父さんとお母さ んを呼びかけるが、二人は息 をしていなかった。

「死なないで…死なないで!!あ ぁ…嗚呼…!ヒーロ…ッ」

ポタポタとお母さんの顔に涙 が落ちる。

「ヒーローじゃなくてイイ! 神でもヒールでも悪 魔でもイイら…ッ!!」

この願いが誰かに届くように 大声で叫んだ。

「誰か…!…助けて……ッ!!」

「今…"ヒールでもイイ"と、言 ったな?」

見知らぬ男達が現れた。

…誰だ、この人は……?

ダークスーツに金の時計。

明らかに、こんなボロアパー トにそぐわない男に頭が困惑 する。

「運べ」

ダークスーツの男の声に白い スーツの男達が動き出した。

男達がテキパキと動く中、ダ ークスーツの男は、踵を返し て部屋を出ていくのが見えた 。

僕の意識は、ここで途切れた …。

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