複雑・ファジー小説

辿る日々が君の遺書
日時: 2017/06/03 20:46
名前: 五月雨

梅雨、降りしきる雨が、感情までもじわりと薄れさせる。

そんな時期に、妻は命を絶った。

理由はわからない。
いつものように帰宅すると、首を吊って死んでいた。
葬儀は行っていない。それは、深い悲しみが僕を死体遺棄の道へと進ませた、という訳ではない。
妻は再び動き出した。
どこかの映画のような、ゾンビ化ではなく、時間が巻き戻って。不思議と、僕はその超常現象を受け入れて生活していた。

そう、これは、多分自殺をした妻の、動機探しだ。

僕は受け入れた。止まない雨が、滲んでぼやけた感情が、現実逃避を上手く回避してくれたおかげだろうか。
妻は穏やかな人柄だった。生活にこれといった不満は見受けられなかったが、僕は何かを見逃していたのだろうか。

「お帰りなさい、あなた。」

時間は、妻が自殺する数週間前迄巻き戻る。
僕は、柔らかい笑顔を浮かべた彼女に、今日も迎え入れられるのだ。

「ただいま。」

雨はずっと降り続く。

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