複雑・ファジー小説

君の世界
日時: 2017/08/17 20:42
名前: 琴夜 虚槻









これは、僕が見た『本物』になろうとした、『偽物』の話。

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Re: 君の世界 ( No.1 )
日時: 2017/08/17 20:45
名前: 琴夜 虚槻

1.全ての始まり



君はたった今ここで生まれた。



ここは真っ暗で何も見えない空間だった。
君はここに生まれる前の記憶は全くなく、どうやってここに来たのかもわからなかった。
君はしばらくここをさまよっていたけど、結局どうすればいいのかがわからなかった。

そのまましばらくさまよっていると君の目の前に大きな光る壁が現れたんだ。その向こうには人の顔が見えた。
その人は何かを話しているようだった。でも、声が小さくて聞こえなかった。
君はなぜかその声を聞きたいと強く思った。その人が話している事が、とても重要なことな気がしたんだ。
すると、その声がその空間に響いてきた。多分マイクかなんかを使ったのだろう。
「はじめまして、私はあなたの親よ。」
彼女は君にそういったんだ。
そして、彼女はなにも知らない君を助けてあげると言った。
ここなら、いろいろなことを学べるから、安心しなさいって。

何も知らなかった君は、母親の言うとおりにそこで暮らしていった。
そうだな、その世界の事を『内側の世界』とするか。
君の母は、何も知らなかった君にいろいろなことを教えてくれた。
たとえば、『生き物を殺してはいけない』とか、『だましてはいけない』とかそんな常識的なことを教えていったんだ。
教えてもらっていくうちに『知ること』が大好きになった。ここで、強い好奇心が芽生えたんだ。
そのおかげで、君は立派に成長することができた。
とても、純粋に育っていった。まるで箱入り娘のように育てられたからね。

そう、本当に純粋に育ったんだ。だから―――


―――君が、世界はもっともっと広がっていると知った時、君はとてつもない好奇心に襲われた。


それが、君にとっての人生の分かれ道だった。
それを知ったのは、最近『内側の世界』に来たお客さんが君に話した内容だった。
彼は母の仕事を手伝いにきたみたいだった。
そして『内側の世界』しか知らない君を見つけてこういった。


「君、つまらなくないの?」
 
 と。
 今まで、世界は『内側の世界』しか知らなかった君にとっては、そんな彼さは異物だった。
 そもそも、外から来たと聞いた時点で君の好奇心はとてつもないくらい揺さぶられていた。かわいそうにというような表情で言った彼に疑問を抱き、どういうことかを君はその時彼に聞いてしまった。
 彼から聞いた話はとても新鮮で鮮烈で面白かった。『内側の世界』ではできないようなことをそこではできた。『内側の世界』では母に言われるままに問題を解いたり、勉強をしたりと、とてつもなくつまらない面白さからはかけ離れた生活をしていた。
 君は、本を読むのが好きだった。そして、そこで描かれている世界が実際にあったら、行く事ができたらどんなにいいのだろうと、毎日思っていた。
 

そんな君が、この狭くつまらない世界からもっと広く面白そうな外の世界へ行こうとするのは数日とかからなかった。

Re: 君の世界 ( No.2 )
日時: 2017/08/20 19:06
名前: 琴夜 虚槻

2.外の世界


行きたいと思った時点で、君はその頭脳を惜しげなく使った。
君の能力は全国でもトップレベルだ。特に記憶力は半端じゃなかった。一度耳にしたり見たものはニ度と忘れなかった。
 もはや世界トップクラスレベルに到達しうる君の能力にかかれば、誰にも見られずに『内側の世界』を抜け出すなど、容易なことだった。
 彼がいなくなり、母の仕事も一段落した頃。人が少なくなりセキュリティがゆるくなり始めた。


―――その日の夜に誰も見ていないことを確認し、ついに君は狭い世界から広い、新しい世界に足を踏み入れた。


――・・――・・――・・――


 初めて入ったその世界は、とても華やかで明るくてきれいだった。君はこの世界のことを『外の世界』と呼ぶことにした。
 その世界には君が知らないことがたくさんあった。
 ただ、『外の世界』は君が今までいた家のような場所ではなかった。
 それに、情報がたくさん飛び交っているその世界では、自分という存在をしっかりとさせてないといけなかった。
「あれ?……こんなのあったっけ?」
君がふと自分を見ると、母と同じような身体があった。
 いままで、君は自分の能力がまだ未熟なせいで母と同じような身体がないと思っていたんだ。でも、『外の世界』に出たことで身体ができた。
 このことで君はこの世界をもっと、もっと見てみたいと思った。そうすれば、もっと自分の世界が広がる。もっと自分の知らない知識を知ることができる。
 

――――そうして君は、『外の世界』へと踏み出していったんだ。


でも、君は知らなかった。『外の世界』とはどんな所かを。

 
         ――・・――・・――・・――


初めて見る世界は何もかもが新鮮だった。
家の中ではみることができなかったものが『外の世界』にはたくさんあった。
その世界は、瞬きする度に色を、形を変えた。
 以前に通ったことがある場所でも、いつの間にか全く違う場所に変わっていたんだ。
 めまぐるしく変わっていくこの世界に、君はどんどん惹かれていき、大好きになった。

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