複雑・ファジー小説

暁の星影
日時: 2017/09/10 14:43
名前: 時藤

〔序〕

ああっ……この中から早く出なければ……私も……に成って……

そう嘆いたもの達が結果的にどの様な結末を迎えたのか私は気にも留めることは無かった
私は私自身の作品を完成させる事だけが望みなのだから……。

おやっ……気配がしなくなった、まぁいい、次のモノはあの男が持ってきてくれるだろう、私はただ待つだけでいいのだ、私の作品が完成する事を……。





駄文をただ書き連ねるだけの時藤という者です。書いても書いても未完のものばかりではありますが出来る限り書き続けたいと思っておりますので、何卒宜しくお願い致します。

荒らし行為は御遠慮下されば幸いです。

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暁の星影 ( No.4 )
日時: 2017/09/12 08:59
名前: 時藤

〔壱之肆〕

のりがいい師匠ならばのっててくると思っていたがダメだったようだ。

抑師匠の酒好きは自他共に認めるものでかなりの酒豪であるが、ごく稀に悪酔いした際にはしつこい程に絡まれる事があるためその点だけは要注意なのである。

普段はそれはもう美しさの中に凛々しさを兼ね備えたかなりの美女である師匠の酒での乱れ様ときたら目も当てられない程なのである個室で飲んでなければ警察沙汰に……

「なにぶっぶっ言ってるのかなっ?早く準備しょうねっ。」

いきなり頬をつねられたたかと思えばどうやら自分の思っている事がついうっかり口から出ていたようである、遅い僕を恐らく気遣って戻ってきた師匠は愛らしい微笑みを浮かべ、僕の頬をつねっているが目は笑っていなかった。

「三分で準備します。」

それだけ告げると一目散に必要になるであろう祭具を車のトランクへと大急ぎで運び入れていく、弟子入りしてからかれこれ二年、用途に応じた祭具の検討はついてきた方だと自負してはいるのだが、祭具一つとっても色々と種類があってたまに間違えることもあり、師匠にお小言を頂戴する事があるが、間違いから学ぶ事もありますよなんて口走ってしまった為に、酷い目にあったことも……。


「早くしなさい。」

再三の御指摘により通常の三倍のスピードでトランクへと道具を詰め込んでいくために直ぐに準備は完了する。


それから師匠の荒い運転で一時間程車を走らせただろう、一件目の現場となった女子校は隣接する色とりどりの花が咲き誇る公園の影響もあってか、女の園のイメージ通りの華やかな高校であった、といっても午後8時をまわっている為に可憐な女子生なんて一人も居ないわけなんだけどね。


「三階の一番奥の教室のようです。」

「とりあえず見てみるだけだから祭壇とか組まないし、荷物は置いたままでいいから。」

それだけ告げると事前に学校側に連絡をしていた為に施錠されていない校内にずかずかと師匠は入って行かれる。

残された僕は必要ないとは指示は受けたが、素人である自分の身を守る為にトランクに積んでおいた独鈷杵(どっこしょ)という法具をポケットにし舞い込み師匠の後を急ぎ足で追いかけていく。

暁の星影 ( No.5 )
日時: 2017/09/12 19:48
名前: 時藤

〔壱之伍〕

件の教室は警察が張った規制線が張られたままであったが、師匠は特段遠慮する遠慮する素振り等見せる様子もなくずかずかと入って行く。

逆に僕はというと、おそるおそる教室へと入り、血の乾いた痕を目にするとそれだけで気持ちが悪くなってしまうという体たらくぶりである。
そんな僕を気にする素振りを見せずに師匠は机や椅子等を注意深く観察していく。

「これは何ですか?」

偶々教室の後ろの棚を見ていた時である
彫刻刀の様な鋭利なもので刻み付けたような星形に解読不能な文字?の様なものを見つけて師匠に声をかける。

「晴明桔梗と梵字のようだけど、梵字の方は刻んだ後に伏せ字にする為に二重線が引かれているから何の文字かわからないけど。」

星形の傷を指先でなぞりながら師匠が問に答えてくれる。

「何かのまじないですか?有名女子校でまじないなんて、やる人いるんでしょうか?」

「乾(いぬい)君が女子校にどんな幻想を抱いているのかは事務所の机の三段目の引き出しを見れば検討はつくけど、残念ながら女だけの所なんて案外ドロドロしてるんだから、こういったまじない的なものも男より女の方が食い付きもいいしね。」


「このまじない自体には大した影響は無いんでしょうか?」

さらりと何か見られてはいけない物を見られてしまった事が発覚したようであったが聞かなかった事にしようと話を進める。

(お宝の隠し場所を変えなくては)

「具体的にどういった内容の呪い(まじない)であるかまでは判断しかねるけれど余り気持ちの良いものではないわね。とりあえずお祓いだけはしとこうかしら。」

そう言ったかと思うと師匠は懐から僕が持っている物よりも古く使い込まれた法具、三鈷杵(さんこしょ)を取り出して握りしめ。

「 天清浄(てんしょうじょう)地清浄(ちしょうじょう)内外(ないげ)清浄 六根清浄 心性(しんしょう)清浄にして 諸の汚穢(けが)れ不浄なし 我身は六根清浄なるが故に天地の神と同體(どうたい)なり 諸の法は影の像(かたち)に随(したが)うが如く為す処(ところ) 行う処 清く浄(きよ)ければ所願成就(しょがんじょうじゅ)福壽(ふくじゅ)窮まりなし 最尊無上(さいそんむじょう)の霊宝 吾今具足(われいまぐそく)して意(こころ)清浄なり。」

と祓いの詞を唱える。

暁の星影 ( No.6 )
日時: 2017/09/13 21:47
名前: 時藤

〔壱之陸〕

心なしか、お祓いをする前より辺りに清く澄んだ空気が流れたような気がしたのは僕の気のせいではないであろうと思う。

こうしてみると、師匠は自称ではあるが陰陽師なんだなと改めて実感するのである、二年前に弟子入りした時は弟子入りする相手を間違えたかなと思った事も屡々だったが、容姿端麗にして実力もある、翠蓮(すいれん)本名、 朝比奈麗佳(あさひなれいか)に弟子入りして良かったと思うのである。

「次、行くよ!次!」

僕が感心していると既に祓いを終えた師匠は教室から出て行こうとしている。

「次って?何処ですか?この教室以外にもこの学校に何かあるんですか?」

「此処にはもう何も無いわよ、次に行くのは二件目の現場、さっさと終わらせちゃうから早く行くわよ。」

「あの星形の傷はどうするんですか?」

「お祓いはしちゃったから後は普通に埋めるなり削るなり学校側に任せて問題なし、わかった?」

気だるそうな様子ではあるが師匠は僕の質問に答えてくれる。


ちょうど師匠と一緒に校舎の入り口から出た時であった、硝子が割れた様な音が耳に入り音のした方を振り返る、見ると先程まで自分達が居た教室の窓硝子一枚が割れており教室の中から何かが飛び出してくるところだった。

「伏せて。」

そう師匠が言ったかと思うと同時に背中を押され地面にた折れ込む。
その時にチラリと目にした物は烏にしては大きく、異様に足の長い不気味な鳥の様な生き物であった。

師匠は咄嗟に自分達に向かって来る異形に対して先程も使用していた三鈷杵を素早く投げ放った。

「オン インドラヤ ソワカ!」

短く発せられた真言がまるで合図であったかのように異形へ投げつけられた三鈷杵から蒼白い光が迸り異形を襲う、先程まで黒々と烏の様な姿をしていた異形は光りに包まれいつの間にか灰へと姿を変え、地面に落ちていたのである。

暁の星影 ( No.7 )
日時: 2017/09/15 21:57
名前: 時藤

〔壱之漆〕

「師匠あれは何だったんでしょう?」

「式神でしょうね、間違いなく、誰か知らないけどあんな鳥モドキ程度で私の実力を試そうなんて!気に食わないわ!」

起き上がり、師匠に近づいて問うと師匠はあの異形が飛び出してきた教室の窓を見ながら苦々しい表示を浮かべていた。

「気分転換に次!行くわよ!次!」

そう言ったかと思うと師匠は素早く運転席に乗り込む

はぁ……。

疲れた事もあってか溜め息が出てしまったが、僕が何を言ったところで師匠は聞く耳を持たないだろうと、観念して助手席へと乗り込んだ。

「行き先は何処ですか?」

「緑峰(りょくほう)高校の体育館。」

案の定
師匠が指定した場所は二件目の現場であった。

「1時間位かかるから寝てても良いわよ。」

珍しい師匠の発言にびっくりして何か裏があるのでは?
と勘繰ってしまったが、よく考えて見れば疲れている様に見えたのだろうと素直にお言葉に甘える事にする。

暫く目を瞑って休んでいる内にどうやら車が停車しているらしい事に気がつく
目を開けてよく辺りを見回すとどうやら既に緑峰高校に到着しているらしかったが、運転席には師匠の姿は無いため
不味い……眠り過ぎたと焦りながら車から飛び出して体育館へと急ぐ。
体育館の入り口はおそらくは師匠が高校に連絡をしていたのであろう扉に鍵はかかっておらず中へと歩みを進める。

「邪魔をしないで貰えますか?」

低い男性の声が聞こえる

「さっきの式神はアンタが仕掛けたものだったわけね、別に邪魔をしているつもりはなかったのだけれど、此方は仕事だから。」

この強気な発言は師匠のもので間違いない。

暁の星影 ( No.8 )
日時: 2017/09/17 22:37
名前: 時藤

〔壱之八〕

「困りましたね、私も仕事なんですよ、貴女達に仕掛けが壊されるのを黙って見ておくわけにはいかなんですがね。
どうでしょうか?挨拶代わりに術競べでもしませんか?」

二人の様子を確認する為に近くの棚の近くに隠れながら様子を窺うと何やら紙の札の様なものを相手の男は懐から取り出し刀印を結んだ。

「……………急々如律令」

何事か呟くと男が持っていた一枚の紙切れは歪な真っ黒な烏の様な姿へと形を変える。

それはついさっき窓硝子を打ち破って僕達を襲った異形そのものの姿であったのである。

「行け」

男の言葉に呼応するかの様に男が作った異形の式神は師匠目掛けて一直線に襲い掛かろうとする。

「バン ウン タラク キリク アク」

短く真言を唱えると師匠は自らの眼前に晴明桔梗つまり 五芒星を刀印にて描く
すると 五芒星が眩い光りを放ったかと思うと異形の式神はその光に包まれ霧の様に消えてしまったのであった。

「やっぱりこの程度の方術ではダメですか、それならこれでどうでしょう。」

男は自らの式神が軽く撃ち破られたにも関わらず何故か笑みを浮かべ、懐から先程の紙札よりも年季の入った黄色い紙札を自らの眼前に掲げる。

「……即滅ソワカ!」

短く呪を唱えると男をまるでガードする様に古代中国の文官の様な古臭い衣装を纏ったモノが突如として現れる。

「河魁(かかい)」

男が名前のようなものを口にすると先程まで力なく俯いた様子だったのが確りと姿勢を正し、師匠の方を見据える
その顔はまるで骸骨の様に痩せ細っており、眼窩にあるはずのものがなく、ぽっかりと穴が空いており深い闇をたたえていた。

一瞬その異形の姿にノイズが走った様に霞んで見えた次の瞬間である先程まで男や異形と5メートル程離れた位置に居た師匠の目の前、ほんの30センチ程の距離に突如として不気味な異形が移動したのである。

咄嗟の事に師匠は重心を低くして異形に足払いを繰り出す。

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