複雑・ファジー小説

時空の器と星空。 〜It began〜
日時: 2017/10/09 18:28
名前: 狐憑き (ID: VKUUDnij)

――Space-time vessel and starry sky.

 今忘れられた國では 忘れられた歌を謳う。

 美しき幻想の國では 馬鹿げた夢見て咲う。

 藍色に染まった國に 浮かぶは天に光る星。


《キリ番・特筆すべき事が有れば》
【スレ設立日:2017/10/09】

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プロローグ ( No.1 )
日時: 2017/11/04 14:43
名前: 狐憑き (ID: VKUUDnij)

 ボーン、ボーン__。
重く静かに地を這うその響き。私は妙に、その音に対して聞き覚えがあった。酷く耳に馴染んでいる。私はその音の正体を掴んだとき私は言い知れないワクワク感にあまねく支配されて脳をも乗っとられそうになった。嗚呼、前世の私は何をしていたのだろう……。


           ◆◇◆          


 ……目を覚ます。ギョロリギョロリと目んダマの感じが酷いぐらいに張り付いてきて、トテモ気持ち悪い。それでいて脳は醒めていないらしく、私は眠る前に何をしていたかをてんで思い出せない。身体を動かせばギシリとベッドが悲鳴を上げる音が聞こえた。……マァ、壊れるようなことは無いだろうから気にしなくても良いか。上体を起こすと同時に掛け蒲団を私の体から引き剥がす。季節は冬でないから、寒くは無い。足を下ろしてベッドに腰掛ける体勢になれば、後はグッと力を入れるだけである。
 __ボーン……ボーン……__
私が立った矢先、何処からともなく音が聴こえてきた。この音は……? その地響きみたく、な音には不思議な位に既聴感があった。クラリクラリと倒れそうになる。視界に点々と白いものが広がり頭がヘンに重く感じる。やめてくれ、やめてくれと何故だか必死に叫ぶがその低い音は止む兆しすら見せない。やがて私は力無くしたようにへなりとその場に座りこんだが、それでもしんどくて堪らず頭を地に置いた。遠く遠くに天井が広がる。


「オォ、目ぇー覚ましたのかい。これァ伝えにいかないと」


 ガチャリと金属音がした後、若くて威勢のいい強気な女性の声が聴こえた。ビックリたまげたような声色にドタンバタンと忙しそうに続く落ち着きの無い物音だから、キット私が目を覚ましているのが珍しくて珍しくて不思議なのだろう。バタンと礼儀なく閉められた扉の音に続きやがて離れていく足音が聞こえなくなった。
 私はどうしたことか、重い重い付属品のような二つの細ォい腕を思いっきり自分の胴体の方に曲げて自身のオ顔の方に持っていった。次に腕の先にある大きな手がフイに顎に当たり自身の顔がドコに有るのかが今はっきりと解った。そのまま腕を上に持っていき、手でワサリワサリと顔をゆっくり撫で回していく。スラリと通った鼻筋にツンと高い小鼻……もじゃんもじゃんの眉毛に、サラサラと長い睫毛……触りごたえのあるプルリとした唇、チクチクとする短い顎髭…………。それをスベテスベテ、掌で感じ喜び同時に驚嘆した。私の顔付きはこんな感じなのかと頭ン中にじっくりゆっくりと明確に浮かべる。中々に厳つい顔だなと思いフゥーと熱く弱い息を吐けば、更に腕をどんどん上に持っていった。擽ったいような痛いようなのがツンツンツンと手の甲、手のひらに伝わる。モジャモジャのかたいかたい糸のようなものが手に広がり、一度ひッ掴んでみればギュウウウウと思いも寄らぬ痛みが突きッ走った。……この、手入れされていない様なものは髪の毛らしい。毛を辿っていくと髪の毛は私の肩に付くグライに長かった。次に、首から下を見てみた。入院している病人が着るような白い服が着せられていて、それぞれの裾から白く細い腕と足が惜しみなく露になっている。
 いつの間にかボーンボーンとした音は消えており、私はモウ一度その場に起立する。自分の観察は見飽きた。皺がよった服を整え、ブルンブルンと顔を左右に犬みたく何度も何度もフッた。次に、グルングルンと部屋を見回す。白いコンクリートの分厚く冷たい冷たい壁と床に石の天井。天井には火の点った蝋燭が飾られた照明と大きく張られた蜘蛛の巣だけがあり、壁には鉄格子の小さな小さな窓と鉄製の立て付けが良さそうな扉があった。隅に大きなベッドだけがあるが、年季が入っていて見るからにボロそうだ。出来れば寝たくない……と思うが先程までそのベッドで寝ていたのだと思うと言い表し難い気持ちになる。壁に近付いていき窓を覗くと、どうやら外と面しているらしく青々とした緑の景色がイッパイイッパイに広がっていた。ピヨピヨとさえずる鳴き声は聞こえないが、この景色ダケでもこのサップウケイな部屋にすると大分な癒しである。
 ソノマンマ、ずっと外を眺めていると不意に後方――扉のある方向からガチャンと音が聴こえた。私は例の鉄製の扉に目をやるが、特段変わった様子は無い。視認する限りでは何ら変わっておらず部屋を見渡した時と同じ、堅い表情で佇まっているだけであった。......可笑しい、確かにこの辺りから聴こえた筈なのに...。聞き間違いかと恐る恐る、忍者のゴトク足音を立てまいとそろぉりそろぉりと近付いた。鉄製の扉は上の方に鉄柵...鉄格子の小さい版が付いていて窓の様に覗ける様になっている。然し、その窓は上過ぎて到底私の身長では覗けない。ク、ククゥと思わず変な声を漏らす程にこれ程に残念極まり無いことは初めてだ。ゴ察しの通り、この部屋の家具はベッドしかない為に椅子や机なんかは無いのだ。シマッタシマッタ、どうしたものか...。覗くことが出来ないとこの扉に変化有りか否かが確かめられない。ガックリ、とわざとらしく肩を落とすと私は次に息を潜ませた。扉越しに何か音が聴こえるかもしれない。ピトっと耳を扉に宛がえば、ヒュウヒュウと起てる息を抑えこンだ。

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