複雑・ファジー小説

『受拳戦争』
日時: 2017/12/04 23:41
名前: 四季彩

彩都さんと四季の合作です。

合作といっても、企画や世界観・キャラクターの名前や原形、プロットなどは、彩都さんです。
四季はキャラクターの口調を考えたくらいだけのもので、執筆係です。

よろしくお願いします。

スレ立て 2017.11.19
投稿開始 2017.11.20

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Re: 『受拳戦争』 ( No.39 )
日時: 2018/06/25 17:37
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

「それでは今からー……」

 前振りするのは、一番背の低い女性。

「「「『死ぬ気の秋祭りを行う』!!」」」

 後の『死ぬ気の秋祭りを行う』の部分は三人全員での発言。
 ぴったり揃っているところが、プロっぽさを感じさせる。これほど揃うというのは、少なくともぶっつけ本番ではないだろう。見事なものだ。

 だが、三殊たちからすれば、「何だそれ?」という感じである。
 自己紹介もなく、いきなりそんな発言が飛び出したのだから、誰もが首を傾げるばかりだ。

「――と、その前に、軽く自己紹介を」

 背の低い女性がそう言った。
 その後、四角い眼鏡をかけたドレッドヘアーの男性が口を開く。

「オレィは、四重院 一重(しじゅういん ひとえ)!婚活ナウの理科教師!ヨロピク!」

 奇妙な格好の一重は、やや古い言葉を使いつつ、簡単な自己紹介を行った。
 いい年してこのノリというのは、正直厳しい。

「あたしは四重院 二重(しじゅういん にじゅう)だ。よろしくな」
「アチシ、シジュウイン ミエ。ピチピチノニジュウヨンサイデスカラ、ヨロシクオネガイシマス」

 先に述べたのは、褐色肌で胸がなく背が低い方の女性。
 そして、後から述べたのが、三人の中で一番高身長な方の女性だ。

「ここからはオレィが話す!ヨロピコォッ!!」

 両手をそれぞれピストルのような形にし、バキューンと撃つような動きをする。そして、それと同時に、片目をつむりウインク。傍から見れば、完全にイタイ人である。

「今までは三人だったがなぁ、ここでは――」
「ゴニンヒツヨウデス」
「おいぃ、三重!良いとこ取るのは止めてくれよ!そこ重要!予炉詩区ぅ!」

 これまでは一つの部屋につき三人が基本だったが、今回選ばなくてはならないのは五人。選べる選択肢が減りつつある中で、五人を選択するというのは、なかなか難しい。しかも、いかにも危ない内容のようだから、なおさら慎重に選ばねばならない。

 三殊たちは悩みに悩み、だいぶ時間が経ってから、ようやく五人を選び出した。

 選出されたメンバーは、音張坂 環視(おとはりざか かんし)、皇崗 黄銅(おうおか おうどう)、王城 琢磨(おうじょう たくま) 、冥 魔宵(めい まよい)、不二 海斗(ふじ かいと)の五人だ。

Re: 『受拳戦争』 ( No.40 )
日時: 2018/07/02 04:17
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

 音張坂 環視、皇崗 黄銅、王城 琢磨、冥 魔宵、不二 海斗。

 今回選ばれたのは、この五人だ。
 これまでは三人だったが、今回は五人。選ばなくてはならないのが予想より二人多かったということもあり、三殊たちは選択に苦労したが、何とか決めることができた。

 五人が決定した後、海斗が言う。

「お前らは先に進め。俺たちは後から合流する」

 迷いのないしっかりとした声。
 けれども、抜けた歯が散らばっているなどの、この部屋の惨状を見ていしまっているからこそ、三殊らには不安があった。

「本当に大丈夫ですか?内容もまだはっきり分かっていないのに」

 口を開いたのは半天だった。その瞳は不安げに揺れている。鼻血を噴出し続けていた時とは大違いの、真剣で、心配そうな顔つきだ。

「俺たちを信じろ。信じて、先へ行くんだ」

 心配の色に染まる半天に、海斗ははっきりとそう述べた。

 3年1組のために戦う――その強く頑なな意思が、海斗の双眸には宿っている。

「で、でも……ボク心配ですよ……。もしクラスメイトに何かあったらと思うと……」

 両手の人差し指を擦りあわせ、もじもじとした仕草をしながら、半天は言う。今の彼は、誰が見ても小心者だ。それほどに、この部屋の惨状は衝撃的だったということであろう。

「置いていくなんて……心配です……」

 涙ぐむ半天。
 そこへ、枯淡が口を挟む。

「大丈夫だぞ。心配するな、半天」
「こ、枯淡……」
「オレたちのクラスメイトなら、きっと大丈夫だぞ。ちょっとやそっとで負けるほど、弱くはないからな」

 枯淡は筋肉質な腕をグッと曲げ、二の腕の筋肉をグイッと隆起させる。男らしくはあるものの、暑苦しいポーズだ。

「そ、そうですよね……」

 直後。
 半天は突然カッと目を開き、「ならば!」と声をあげる。

 みんなの視線が半天に集中する。

「せめて行く前に、応援の舞を披露します!!」

 そう宣言すると、半天は踊り始めた。

 今にも転びそうな怪しい足取りでステップを踏む。両腕は規則正しくぐるぐる回転させる。そして上半身は、海の中で揺らめく海藻のごとく、ゆらりゆらりとくねっている。

 信じられないほどに珍妙な『応援の舞』だった。

 半天の奇妙な『応援の舞』は、十分程度続いた。半天自身も汗だくになり、それでも踊り続けていたのだ。

 そして、ようやく舞が終わった後、三殊たちは海斗らを残して、先へと歩き出した。

Re: 『受拳戦争』 ( No.41 )
日時: 2018/07/09 01:19
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

 三殊らが先に進んでいった後、口を開いたのは、珍妙な格好の男性教師である一重。

「今から五人には、五つの競技に挑んでもらう!三勝すればオーケーだっ。分かったな!?」

 海斗たち五人はこくりと頷いた。
 やる気は十分だ。

「まず一人目は相撲だ!ヨロピク!」

 最初の競技は相撲。ということで、ここに残った3年1組メンバーの五人は、誰が出るかを話し合った。この後どのような競技がくるか分からないため、あまりしっかりとした計画は立てられないが、取り敢えず相撲に挑む者を決めなくてはならない。

 そして、話し合いの末、不二 海斗に決まった。

 相撲に挑むため、海斗は服を着替える。元々着ていた服はほぼすべて脱ぎ、まわしだけという相撲ルックにチェンジした。

「おぉ!似合ってんじゃん!」

 裸にまわしだけという相撲ルックになった海斗を目にし、琢磨は盛り上がって言った。彼女は男性的な精神を持つゆえに、かっこよく見えるのかもしれない。

「そうか?」
「いい感じじゃん。頑張れ」
「よし!」

 琢磨に褒められ自信がついた海斗は、しっかりとした足取りで、土俵へと向かった。

 海斗の向かいに立つのは、少女のような生徒だった。まわししか装着していないところを思えば男子なのだろうが、その顔つきといったら、完全に可憐な少女である。

「花咲枷 織々(はなさかせ おりおり)です。よろしくお願いします」

 織々の声は、声変わりした後の少年、といった雰囲気だった。
 だみ声や極めて低い声ではない。ただ、少女にしてはやや低い、純真無垢な少年といった声質である。

 ――と、そのうちに、試合が始まった。

 勢いよくぶつかり合う海斗と織々。その押し合いは、なかなかのものだ。二人とも、相撲の経験はあまりないだろうに、結構それらしく見える。

「そらっ!そこだ!いけいけっ!」

 海斗を一番応援しているのは、意外にも琢磨。
 彼女は熱い戦いが好物のようだ。

「あぁっ、あっぶね!いや、いける!まだだ!よしっ。勝てそうじゃん!」

 海斗と織々の試合は白熱している。
 だが、それよりも、琢磨の応援が白熱している。

「そこだ!いけ!いくんだ!余裕で勝てるって!」

 そこへ加わる黄銅。

「そうですよ!そのままいけば、間違いなく勝てるのです!」
「勝てそうじゃん!迷わず押せ押せ!」
「頑張って下さいよ!3年1組のためにも、勝つのです!」

 琢磨や黄銅らの、熱の籠った声援に、海斗は徐々に有利な位置へついていく。
 それと同時に、織々は追い込まれつつあった。

Re: 『受拳戦争』 ( No.42 )
日時: 2018/07/16 12:39
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

 今回の第一戦、織々と海斗の相撲対決は、最終的に海斗の勝利で終わった。

 海斗は織々を見事に土俵から押し出したのだ。文句無しの完全な勝利であった。海斗が頑張ったことはもちろん、琢磨や黄銅の必死の応援が実を結んだとも言えるだろう。

「一人目、相撲対決は、不二 海斗の勝ちィ!オメデトゥー!」

 勝者を告げる一重は、妙に盛り上がっていた。
 それはもう、素晴らしいスポーツの試合を観て興奮している人のような、盛り上がりぶりである。

「やったじゃん!」
「勝ちましたね。お見事なのです」

 戦いを終えた海斗を迎える琢磨と黄銅は温かかった。

 だが、戦いは始まったばかりだ。まだ一勝である。
 この一勝によって、3年1組が精神的にだいぶ有利になったことは確かだ。けれど結果はまだ出ていない。だから、まだまだ気を緩めるわけにはいかない。

「はい、次!すぐに二人目行くからな!」

 口を開いたのは二重。
 褐色の肌をした、背の低い女性だ。貧乳だが、気は強そうである。

「二人目はボクシングで戦ってもらう!さ、出るやつを決めてくれ!」

 相撲の次はボクシングで勝負ということになった。

 3年1組メンバーでここへ残った五人は、誰を出すかを話し合う。あまり時間がないため、素早く、しかししっかりと考えて決めなくてはならない。難しいところだが、何とか決定した。

「えぇ!?わたくしですか!!」

 ボクシングに挑むことに決まったのは、皇崗 黄銅だった。
 まさかの展開に、黄銅はかなり動揺している。

「さ、さすがに無理なのです!わたくしはそんな、ボクシングなんて!」

 必死になって首を左右に動かす黄銅だが、決定事項が変更になるはずもなく、結局彼が二人目となった。決まってしまったのだから仕方がない。

「それじゃあ、試合開始前に名乗ってもらおうか!」

 二重がそう言ったので、黄銅は嫌々ながらも彼女の前へ行く。
 相手チームからも一人出てきていた。

「わたくしの名前は皇崗 黄銅。よろしくお願いするのです」

 すると、相手チームから出てきた少年も口を開く。

「鬼塚 播磨(おにづか はりま)でっす。よろしくでっす」

 茶髪にピアスというやんちゃそうな格好のわりには落ち着いた声だった。顔つきは案外しゅっとしていて、足が速そうな印象を受ける少年だ。

「よし!じゃ、試合開始っ!」

 二重が開始の声を放つ。
 こうして第二戦となるボクシング対決が始まった。

Re: 『受拳戦争』 ( No.43 )
日時: 2018/07/23 03:17
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

 それぞれ拳にグローブを装着した黄銅と播磨。
 ボクシング対決が幕を開ける。

「遠慮なくいかせてもらうっす」

 早速拳を突き出し、黄銅に向かってパンチを繰り出す播磨。
 その動き方は、慣れを感じさせるものだった。繰り出されたパンチを見て「ヒィッ!」と情けない声をあげる黄銅とは、大違いである。

「おーい!頑張れよー!」

 琢磨は、両の手を口元に近づけ、情けない黄銅を応援する。海斗を応援していた時よりかはテンションが低いが、それでも、その声は黄銅に届いていた。しかし彼は、緊張やら恐怖やらでガチガチになっているため、声援など聞こえていない。

 シュッ、と音を立て、播磨の拳が突き出される度、黄銅は身を震わせて後退する。
 今の黄銅はとても戦える状態でなかった。

「らっ……乱暴は止めていただきたいのですっ!」
「乱暴なんかしてないっすよー。ボクシングっすよー」

 それからも戦いは続いた。
 しかし、播磨が攻めて黄銅が逃げ回るというパターンはずっと同じ。それはそれは、退屈な戦いとなってしまっている。

 もし仮に、観客がいたとしたら、凄まじいブーイングが起きていたことだろう。

「ヒィッ!ヒィィィッ!」
「逃げ回るだけじゃ勝てないっすよ」
「殴らないでほしいのです!」

 繰り返されるのは、そんなやり取りばかり。この有様には、さすがの琢磨も呆れ顔になっていた。もっとも、逃げるばかりで試合になっていないのだから、呆れるのも無理はないが。

 左、右、右、左、と播磨は積極的に攻めていく。
 黄銅はそれを、半泣きになりながら避け続けている。

 考え方を変えれば、播磨の拳を避けられるだけ凄いのかもしれない。凄まじい緊張と恐怖の中で確実にかわしていけているのだから、一般人にしては頑張っている方だろう。
 ただ、こんなことを繰り返すだけでは何も変わらないということも、一つの真実である。

「決めるっす!」
「え、え、えぇっ!?勘弁してほしいのです!!」
「それは無理っすねー」
「ヒィィィィィィィィィ!!」

 播磨が放ったいきなりの決着宣言に対し、黄銅は甲高い悲鳴をあげた。黄銅の顔面から血の気が引いていく。

「も、もう勘弁し――ブッ!!」

 これまでは何とか避け続けてきた黄銅だったが、ついに播磨のパンチを避け損ない、拳を鼻に受けてしまった。

 赤いものが派手に飛散する。
 直後、彼は卒倒した。

 恐らく、恐怖に耐え切れなくなったからだろう。
 黄銅のメンタルは、それほどに弱かったのだ。例えるなら、薄いガラス板程度の脆さである。

「はい!終了!」

 黄銅が気を失ったのを見て、戦闘続行は不可能だと判断した二重は、戦いの終了を告げた。

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