複雑・ファジー小説

『受拳戦争』
日時: 2017/12/04 23:41
名前: 四季彩

彩都さんと四季の合作です。

合作といっても、企画や世界観・キャラクターの名前や原形、プロットなどは、彩都さんです。
四季はキャラクターの口調を考えたくらいだけのもので、執筆係です。

よろしくお願いします。

スレ立て 2017.11.19
投稿開始 2017.11.20

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Re: 『受拳戦争』 ( No.19 )
日時: 2018/02/26 19:23
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

第五章 八月の八派の八策と八課なる課題と血祭りの夏祭り

 完のいる部屋に、飛翔、十六、陸羽を残し、三殊ら3年1組のメンバーは次なる部屋へと向かう。

「いやぁ。それにしても、いきなり女子の水着にはびっくりしましたね。ボクには刺激的すぎましたよ。ですよね、枯淡?」
「確かに。さすがのオレも、色々驚きすぎて危なかったぞ」

 歩きながらそんな会話をする半天も枯淡。
 二人とも、両方の鼻の穴に、何度も捻ったティッシュを詰めている。ドリルのような形になったティッシュを、豪快に突っ込んでいる形だ。
 というのも、先ほどの部屋で女子の水着姿を見て、興奮のあまり鼻血を噴出させてしまったのである。

「ところで半天。お前、どの娘がタイプだった?」
「えっ、ええっ。ボクですかっ?ボクは女の子なんて……」
「なーに、言ってんだ!鼻血出してただろ!オレはな、ちゃーんと見てたんだぞ」

 二人のくだらない会話を、三殊は密かに聞いていた。半ば呆れながら。

「どうなんだ!?おいっ!おいっ!」
「あ、あ、えぇとですね……」

 半天は顔面を真っ赤に染めながら、両手の人差し指を合わせてうにうにしている。

「き、金髪のロングヘアをシニオンにまとめてた、肉付きの良い娘ですかね?」
「おっ!お前案外凄い趣味だな!驚きだぞ!」
「女の子の趣味くらい放っておいて下さいよ。ボクにだって好みくらいあります。じゃあ逆に、枯淡はどうなんですか?」

 一方的に問われるのに耐えかねた半天は、枯淡に対し問いかけた。人に聞くなら自分も言わなくてはならない――そう思ってのことだろうか。

「お、オレ!?何だよいきなり!」
「ボクはちゃんと言いましたよ」
「くっ、くっそぉ!」

 半天と枯淡がやけに大きな声で話しているのを聞いているうちに、次の部屋へ到着し、三殊は内心驚いた。まさかこんなに時間が経過しているとは思わなかったのである。
 三殊たち3年1組のメンバーは、改めて覚悟を決め、次なる部屋に入っていく。そして、そこで彼らは、驚くべき光景を目にするのだった。
 血だらけの少年少女が立っていたのである。

Re: 『受拳戦争』 ( No.20 )
日時: 2018/03/05 13:07
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

 血だらけの少年少女を三殊たちが不思議がっていると、そこへ、筋肉隆々の男性が姿を現した。褐色の肌を持つ健康的な雰囲気の男性だ。先ほどの部屋の、ガリガリに痩せ細った完とは、真逆のような人物である。

「おっす。おらは鈴木原 舌禍(すずきはら ぜっか)。『保険医』であり、『保権威』だ」

 現れた男性は、唐突に自己紹介を始めた。しかし、その内容は極めて謎なものであった。
 三殊ら3年1組のメンバーは、よく分からない舌禍の自己紹介に、誰もが首を傾げている。「何言ってんだコイツ?」状態である。

「次に進みたいなら、三人選んで、三人共相手の学校の生徒に打ち勝て。いいな?」

 舌禍は頭を掻きながら言った。
 三殊らが困惑している間に、舌禍はどんどん話を進めていく。ある意味マイペースと言えるかも知れない。
 こうして、3年1組は、またしても三人選ばなくてはならなくなった。

 三人を決めるべく話し合うが、どうも決まりそうにない。
 そんなことで皆が悩んでいると、目盛 秤、呶呶 土豪、田井中 鈍器の三人が、静かに手を挙げた。
 他に希望者はいなかったため、今回はその三人が参加することとなる。

「決まったみたいだな。じゃ、早速敵の学校を紹介する」

 舌禍は、頭を掻きながら、口を動かす。

「敵となる学校は『白兵学園』だ。そして」

 まず紹介された少年は、大人びた少年だった。落ち着いた雰囲気がある。

「まず一人目。江戸川 古臣(えどがわ ふるおみ)な」

 そして次に紹介されるのは、太った少女。
 突進されれば数メートルは飛ばされそうな、かなり肉がついた身体をしている。

「で、二人目は次々 翌実(じじ よくじつ)。『じ』だらけの名前がチャームポイントだろうな」

 そして最後に紹介されるのは、穏やかそうな少年。柔らかな毛質が印象的だ。

「最後。三人目は、杭谷田 素描(くいやだ すがき)。いかにも妄想とかしてそうな男子!」

 いかにも妄想とかしてそうな男子、はおかしな紹介だと思う三殊であった。

 この後、三殊たちは、鈍器と土豪に「先に進め」と言われ、彼らを残していくことを選んだ。若干申し訳ない気もする三殊だったが、本人らの希望なのだから仕方ない。

 そして、戦いは始まる――。

Re: 『受拳戦争』 ( No.21 )
日時: 2018/03/12 14:36
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

「よっし。じゃ、第一戦。目盛 秤VS次々 翌実!」

 舌禍が筋肉の盛り上がった腕を持ち上げ、はっきりと一戦目の開始を告げた。

 ブルマに鉢巻きと学ランという古臭さが否めない格好をしている秤。腹の肉付きが凄まじく見るからに暑苦しい翌実。
 個性溢れる二人の戦いが、今まさに始まろうとしていた。
 土豪や鈍器はもちろん、『白兵学園』の古臣と素描も、二人の様子をじっと見守っている。

「翌ちゃん、頑張るべ」
「まったく。アタシに勝てるつもりでいるとは、笑わせる女だぜ」

 睨み合う翌実と秤。
 今はまだ、お互いの様子を探りあっている状況だ。
 先手必勝という言葉はあるが、どんな時も先に出た側が有利というわけではない。むしろ、先に動き出すと不利になる場合もある。
 だから、二人とも、すぐには動き出さない。

「そーだ、次々。アンタさぁ。バレンタイン誰かにあげる?」
「何聞いてくるんだべ」
「いーや。好きな男子いるのかなって思ってな」
「こ、個人情報だべ!」

 翌実は顔を真っ赤にして、「言うものか」と首を左右に動かす。やはり彼女も女の子だ。

「初対面の相手になんか、絶対教えんっ」
「あーそう。残念の極みだぜ。せっかく協力してやろっかなって思ってたのによ」
「え……?」

 翌実は驚いたように目をぱちぱちさせる。敵である秤が「協力」などと言ったのが意外だったのだろう。

「そうだったべ……?」

 完全に油断した翌実。
 秤はそこを狙っていたのだった。

「なーんてな!」

 頬を赤らめぼんやりしている翌実へ接近。右腕を大きく振りかぶり、勢いのあるパンチを繰り出す秤。

 ――しかし。
 秤の慣れない素手パンチは、翌実の腹部についた肉に、ぽよむっ、と跳ね返された。しかも、肉が衝撃を吸収するため、翌実はダメージを受けていない。
 彼女には物理攻撃は効かないのである。

「なっ……!」
「次は翌ちゃんからいくべ。ほいっ」

 翌実は太い両手で、突っ張り攻撃を繰り出す。次から次へ、次から次へ、秤を激しく攻めていく。
 肥満体型にもかかわらず、動きは素早くコンパクトだ。

「ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ」

 規則正しい声と共に、翌実は突っ張り攻撃を続ける。

「ほいっ。はいっ。ほいっ。はいっ。ほいっ。はいっ。ほいっ。はいっ。ほいっ。はいっ。ほいっ。はいっ。ほいっ。ほいっ。はいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。はいっ。ほいっ。はいっ。ほいっ。はいっ」
「何だよ!しつこいな!」
「ほいっ。ほいっ。はいっ。ほいっ。ほいっ。はいっ。ほいっ。ほいっ。はいっ。はいっ。ほいっ。ほいっ。はいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。はいっ。はいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ」

 秤はあまりの繰り返しに苛立つが、うかうかしていては攻撃を浴びることになるので、確実にかわしていく。

「翌ちゃん、相撲部入るつもりなんだべ」

 そう語る翌実の腹や胸――全身についた大量の肉が、激しく、ぶんぶん揺れていた。
 その光景は、見ているすべての者を圧倒する。

「だから密かに特訓してるんだべ。ほいっ。ほいっ。はいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。はいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。はいっ。はいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。はいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。はいっ。はいっ。ほいっ。ほいっ」

Re: 『受拳戦争』 ( No.22 )
日時: 2018/03/19 17:30
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

 このままでは埒が明かない、と思った秤は、ひたすら突っ張り攻撃をしてくる翌実に話しかける。

「アンタの好きな人って、どんなタイプの男子?」
「言わないって言ったべ!秘密っ!ほいっ。ほいっ。ほいっ」

 翌実のワンパターンな突っ張り攻撃に慣れてきた秤は、軽い身のこなしでかわしながら、話を続ける。その口元には、僅かに笑みが浮かんでいた。

「そっかぁ、まぁ言いたくないよな。アンタの体型じゃ告っても良い返事が返ってくるわけないもんな。可哀想な女だぜ」
「何とでも言ってればいいっ。ほいっ。はいっ。ほいっ」
「そんなじゃきっと、彼氏の一人もいたことないんだろ?」
「うっさい!うるさいべ!はいっ。はいっ。ほいっ」

 侮辱された翌実は、肉付きのよい丸々とした顔に、怒りの色を浮かべる。誰の目にも変化が分かるほど、翌実の顔つきは変わってきていた。
 だが秤はお構い無しに失礼なことを言い続ける。
 彼女の狙いは翌実を怒らせること。つまり、翌実の表情が変わりつつあるのは、秤にとっては良いことなのだ。

「同じパターンの突っ張りしかしてこないところを見ると、頭もあまり良さそうじゃないな」
「翌ちゃんは強くて優しい翌ちゃんでありたいんだべ!へいっ。ほほいっ。……ほいっ。ほいっ」

 秤の言葉に心を乱される翌実。
 その影響は、突っ張りの動作にも確実に現れていた。規則正しくコンパクトだった動きが、徐々に乱れてきている。細やかさが欠け、秤に狙いが定まらない。
 平常心を失ったからだろう。

「怒って突っ張りが疎かになるようじゃ、相撲部に入っても活躍できないぜ?」
「黙ってほしいんだべ!ほいっ。ほっ、ほいっ。翌ちゃんは相撲界のマドンナ目指すんだべ!二歳半から週に五日相撲教室に通ってきたもんっ!ほいっ。ふいっ。ふいっ。はいっ」

 馬鹿にしたように秤は笑う。

「上には上がいるって言うだろ?アンタには無理無理」
「うっさい!そういうことは翌ちゃんに勝ってから言うべきだべ!」
「ま。それも一理あるかもな」

 ニヤッと笑う秤が見ていたのは、必死になって乱れた突っ張り攻撃を続ける翌実の足下。

「じゃ、お望み通り」

 一瞬にして翌実の背後に回った秤は、片足で、翌実の足をパァンと凪ぎ払う。気づいておらず身構えられなかった翌実は、足を払われ、転んでしまった。

「う、う……う……」

 腰を打って痛かったのか、翌実の目には涙が浮かぶ。

「うあああぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!」

「第一戦、勝者!目盛 秤!」

 翌実が号泣したところで、舌禍が秤の勝利を告げた。

「やったぜ!」

 秤はガッツポーズをする。
 土豪と鈍器も、頷きながら、彼女の勝利の瞬間を見ていた。

Re: 『受拳戦争』 ( No.23 )
日時: 2018/03/26 18:36
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

「じゃ、第二戦!呶呶 土豪VS江戸川 古臣!スタート!」

 秤と翌実の戦いに決着がついた一分後、舌禍が第二戦の開始を告げた。

 土豪はメリケンサックを握り、敵である『白兵学園』の江戸川古臣を睨む。
 土豪の目つきは不良のように鋭く威圧感のあるものだ。眉を寄せることによって発生している眉間のしわも、その厳つさを高めている。
 対する古臣は、達観したような顔つきだ。齢十五とは到底思えないような、大人びた空気をまとっていた。

「やったるで」

 やる気満々の土豪。
 今にも突進していきそうな、勢いのある表情だ。

「……かかってきて構いませんよ」

 古臣は話し方も大人びていた。これまた十五歳とは思えない。中学校のクラスにいたら、かなり浮きそうなタイプだ。

「言ったな。じゃあ行かせてもらうわ」
「……どうぞ」
「よっしゃ、行くで」

 土豪は大きな一歩を踏み出し、淡白な表情のまま立っている古臣に向けて、拳を突き出す。古臣はすれすれのところでかわし、ふふっ、と見下したように微笑した。

「……遅いですね」
「なんや、感じ悪いな」

 失礼な態度を取る古臣を見て、不愉快感を露わにする土豪。
 だが土豪はすぐに気を取り直す。
 心を乱してしまったがために負けた翌実をついさっき見たばかりだ。ここで怒れば、彼女の二の舞になってしまうかもしれない。
 なんせ一人も負けられないのだ。取り乱すのは危険である。

「まぁええわ」

 土豪は一度深呼吸をし心を落ち着ける。
 そして、素早く古臣の背後へ回り、パンチを繰り出す。見えない位置からの攻撃なら反応しきれないだろう、という考えである。
 しかし古臣はそれすらもかわした。

「アホな!これも避けれるん!?」
「……耳が効くからですよ」

 自分の耳を指差しつつ古臣は話す。

「ぼくは生まれながらに異常な聴力を持っているんです。だから、空気が微かに動いた音で、貴方のパンチも分かります。たとえどこから打ってこようとも。つまり、ぼくに死角はないということです」

 だから背後からにしても無駄だったのか、と内心納得する土豪。

「そんならいいわ。もう位置取りは気にせぇへん」
「……どうするつもりです?」
「力押しで行くわ。避けきれへんくらいのな。覚悟してもらおか」

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