複雑・ファジー小説

『受拳戦争』
日時: 2017/12/04 23:41
名前: 四季彩

彩都さんと四季の合作です。

合作といっても、企画や世界観・キャラクターの名前や原形、プロットなどは、彩都さんです。
四季はキャラクターの口調を考えたくらいだけのもので、執筆係です。

よろしくお願いします。

スレ立て 2017.11.19
投稿開始 2017.11.20

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Re: 『受拳戦争』 ( No.65 )
日時: 2018/12/10 19:12
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

 牛歩はシキに向かって雪玉を投げ続ける。
 当たらない、当たらない、当たらない。が、牛歩は決して諦めなかった。

 自分が負けたら、3年1組はそこで終わってしまうかもしれない。もしそうなれば、皆のこれまでの努力が、すべて水の泡になってしまうのだ。

 ――そんなことは、絶対に許されない。

 だから、牛歩は戦いを続けた。
 時間切れになる瞬間まで諦めない、と、そう心を決めながら。

「そいっ!」

 だが、シキはとても素早い。それに加え、人間業ではないような動きをする。そのため、なかなか動きを予測できない。

 それらの要素が、牛歩を、かなり苦戦させた。

「そいっ!そいっ!そいそーっす!そいっ!そそいっ!そいっそ!そいっ!そいっ!」
「やみくもに投げても無駄だ」
「諦めないかなかな!」
「無駄だと言うのが分からないのか」
「諦めるものかなかな!ぎゅうぎゅうは、最後まで、諦めないで戦うかなかな!」

 真臘は、苦戦する牛歩を見て、静かに笑みをこぼしていた。自信作のロボットが圧倒的な強さを見せつける光景というのは、実に楽しいものなのだろう。

「そろそろか……シキ!」

 突如、真臘が放つ。
 すると、シキの口がガコンと大きく開いた。

「かなっ!?」

 一瞬、牛歩の手が止まる。

 直後。
 シキの口から、青く染まった雪の玉が吐き出される。

「うわ!」

 牛歩はその雪玉を食らってしまった。白い服が青く濡れる。

「かなっ!?」

 そこへ追い討ちをかけるように、シキの口から、またしても青い雪玉が放たれた。

「かなぁっ!」

 牛歩は咄嗟に身をよじり、シキが放った青い雪玉をかわす。だが、シキはまたしても雪玉を吐き出してきた。シキに遠慮なんてものは存在しない。

「かなっ!かなっ!かぁなっ!かななっ!かななんっ!かなっな!かんななっ!かなっ!かなっ!」

 今度は牛歩が責められる番だ。

 シキはどんどん雪玉を放ってくる。牛歩はそれを、必死になって避け続ける。反撃しようにも、隙がないからどうしようもない。

Re: 『受拳戦争』 ( No.66 )
日時: 2018/12/17 01:20
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

 真臘が作ったロボットのうちの一体であるシキに、牛歩は苦戦を強いられている。

 牛歩が能力のない人間なのではない。彼はそれなりの運動神経を持っており、極めて馬鹿というわけでもない。ただ、人を越えた動きをするシキが相手となると、そう上手くはいかないものなのである。

 シキはいまだに、大きく開いた口から雪玉を吐き続けている。
 嵐のように襲い来る雪玉をかわしつつ、牛歩は作戦を考えていた。

 ――どうすればシキに勝てるか。

 これは、人とロボットの対決だ。まともにやり合ったのでは、牛歩に勝ち目はないだろう。もっとも、シキの動きをほんの僅かにでも止められたなら勝ち目があるかもしれないが。

 雪玉が続々と放たれる状況。
 それはまるで、冬に嵐の中にいるかのような。

「きっ……厳しい、かっ……なかな……」

 牛歩が挫けそうになった、その時。

 奇跡が起こった!

「なっ……こ、これは!まさかの、ぎゅうぎゅう神(しん)!?」

 牛歩の頭に、作戦が舞い降りてきたのだ。
 強敵・シキに勝利するための作戦が。

「キタァ!」

 一気にやる気を取り戻す牛歩。その瞳は、希望という名の輝きに満ちている。

 そして、駆け出す。

 牛歩はシキの方へと走り出した。雪玉が体にぶつかることも厭わず、彼は、一直線にシキへと駆け寄っていく。

「何をするつもりだ」

 突然駆け出した牛歩を目にし、真臘は怪訝な顔をしていた。

「かなかなかなかなかなかなかなかなかなかなかなかなかなかなかなかなかなかなかなかなかなかなかなかな」

 シキにぶつかる直前、地を蹴り、高く飛び上がる。

 そして。

「かぁー、なぁーっ!!」

 宙から舞い降りてきた牛歩は、両足を揃え、シキを全力で踏む。

「ぎゅうぎゅうが勝つかなかなーっ!」

 全体重に重力も加えて踏まれたシキは、真ん中で二つに割れてしまった。

 こうして、かなり無理矢理な方法でシキを破壊した後、牛歩は、シキの服に雪玉をたくさん擦り付けた。色をたくさん付けると勝てるからである。

「五分経過!終了!」

 少しして、真臘がそう告げた。

「勝者、牛坂 牛歩!」
「軽く勝っちゃったかなかな」

 制限時間を最後の最後まで使っての、牛歩の勝利だった。

 その後、前の部屋で戦っていた3年1組メンバーらが、牛歩のいる部屋へとやって来た。牛歩以外の3年1組メンバーは、牛歩だけを見て、『また出会えなかったか』と思う。そして、牛歩は、彼らと一緒に次の部屋へと向かうことになった。

Re: 『受拳戦争』 ( No.67 )
日時: 2018/12/19 19:18
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

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Re: 『受拳戦争』 ( No.68 )
日時: 2018/12/24 06:07
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

第十章 一から始まる新年と一々煩い人間共、一年中盛り合う世界、一巡しても、変わらない世界、一周しても、変わらない世界

 三殊たち3年1組メンバーは、次のステージへと進んだ。

 これまで残してきた、牛歩を始めとする仲間たち。彼らのことを忘れている三殊たちではない。ちゃんとクリアできたのだろうか、という不安もかなり残っている。

 けれども、今さら戻ることはできない。

 三殊たちは仲間から「進め」と言われた。
 そして、先に進むことを選んだ。

 だから、ただひたすらに進む以外に選択肢はないのである。

 そんな三殊たちを待ち受けていたのは、強風が吹き荒れている空間だった。

 三殊たちは周囲を見回す。そんな中で、部屋の端に巨大な送風機があることに気がついた。この空間に吹いている凄まじい風。それはどうやら、その巨大な送風機から来ているようだ。もちろん説明があったわけではないが、3年1組メンバーたちはそれをすぐに理解した。

 そんな彼らの前に、突如、一人の女性が現れた。

「うふふ」

 非常に背が高く、凄まじい爆乳の女性だ。
 その胸元の迫力といったら、月といい勝負をできそうなくらいである。

 そんな彼女は、胸を揺らしつつ柔らかく微笑み、当たり前のように多々良を抱き締めた。

 ――3年1組メンバーに、衝撃が走る。

「釈迦医師 多々良、この小さいのが……」

 彼女の、天災のごとき突然の行動には、さすがの多々良も驚いたようだ。衝撃を受けたような顔つきをしている。

「離せブス!?」
「ごめんごめん?君はあの伊良部校長と『関わりがある』から、絡んじゃった」

 爆乳の女性は、歌うような調子で言いつつ笑う。

 ――関わりがある?

 多々良を除く3年1組メンバーは、皆、怪訝な顔をしていた。爆乳の女性が軽やかに発した言葉が、かなり意味深だったからである。

 誰もが『どういうことだ……?』と思っていたに違いない。

 しかし、3年1組メンバーのうちの誰かが多々良に質問するより早く、爆乳の女性が話し始めた。

「ごめんなさいねー、いきなりお騒がせしてしまって」

 マシュマロみたいな声だ。

「私は、英恵 丹花(はなえ たんか)と、申します。以後お見知り置きを。それじゃあ、この部屋についての説明をしますね」

 胸は空気を入れすぎた風船のように大きく、表情は微笑が愛らしい。さらに、柔らかく甘いマシュマロのような声。

 これはもう、理想の女性コンテストで優勝できるかもしれない。

Re: 『受拳戦争』 ( No.69 )
日時: 2018/12/31 19:58
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

 唐突に現れた爆乳の女性――英恵 丹花は、微笑みながら、マシュマロのような柔らかく甘い声で説明を始める。

「此処では『羽子板で羽根突き』をしてもらいます」

 これまた意外な内容。
 三殊を含む3年1組メンバーたちは、驚いた。

 しかし、内容に驚いたからといって、騒いだり喚いたりしている暇はない。そんな余計なことをするくらいなら、その間に対策を考えるべきなのである。

「あぁ、ちなみに。あの、お正月で有名なやつですよ?」

 なるほどな、と思いつつ話を聞き続ける3年1組メンバー。

「このシャトルみたいな物を交互に打ち、地面に落とした者の負けです。そして、勝敗の決定はというと、合計十回落とした者の負けとなります。負けた場合ですが、貴方は『文武学園に入学できない』、そういうゲームです」

 丹花からざっと説明を聞き、ドキドキする3年1組メンバー。

「そしておまけに、貴方達の背後には強風が吹き荒れるゾーンがあります。なので、くれぐれも『背後の事にも気をつけて』おかないとダメですよ?」

 そんな風に話す丹花は、笑顔。

 決して派手な笑みではないが、その野に咲く花のように可憐な笑みは、見る者の心を貫く。

「なるほどな?それじゃあ、用意するメンバーは何人だ?」

 多々良がそう問うと、丹花は軽やかな口調で「四人よ」とだけ返した。

 3年1組メンバーたちは、集まり、誰を出すかを考える。

 羽子板で羽根突きをした経験のある人なんて今時あまりいない。となると、経験で有利という者を出すことは難しい。なら、何をもって選ぶのか……。

 そんな時だった。

「オレが出る!」

 枯淡が挙手してそう言った。

「では、あたくしも」
「はななも頑張るぅーんっ」
「仕方ないなー。役立たずばっかじゃ何も変わんないだろーから、アタイも参加してやる」

 教 鏡花(おしえ きょうか)、桃井 花園(ももい はなぞの)、芳澤 蜂窩(よしざわ ほうか)も、枯淡に賛同する。

 こうして決まった四人の試合を見るため、多々良と三殊は座って見続けていた。しかし、枯淡に「お前たちは先に進め」というようなことを言われ、二人は仕方なく先へ進むことにしたのだった。

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