複雑・ファジー小説

『受拳戦争』
日時: 2017/12/04 23:41
名前: 四季彩

彩都さんと四季の合作です。

合作といっても、企画や世界観・キャラクターの名前や原形、プロットなどは、彩都さんです。
四季はキャラクターの口調を考えたくらいだけのもので、執筆係です。

よろしくお願いします。

スレ立て 2017.11.19
投稿開始 2017.11.20

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Re: 『受拳戦争』 ( No.69 )
日時: 2018/12/31 19:58
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

 唐突に現れた爆乳の女性――英恵 丹花は、微笑みながら、マシュマロのような柔らかく甘い声で説明を始める。

「此処では『羽子板で羽根突き』をしてもらいます」

 これまた意外な内容。
 三殊を含む3年1組メンバーたちは、驚いた。

 しかし、内容に驚いたからといって、騒いだり喚いたりしている暇はない。そんな余計なことをするくらいなら、その間に対策を考えるべきなのである。

「あぁ、ちなみに。あの、お正月で有名なやつですよ?」

 なるほどな、と思いつつ話を聞き続ける3年1組メンバー。

「このシャトルみたいな物を交互に打ち、地面に落とした者の負けです。そして、勝敗の決定はというと、合計十回落とした者の負けとなります。負けた場合ですが、貴方は『文武学園に入学できない』、そういうゲームです」

 丹花からざっと説明を聞き、ドキドキする3年1組メンバー。

「そしておまけに、貴方達の背後には強風が吹き荒れるゾーンがあります。なので、くれぐれも『背後の事にも気をつけて』おかないとダメですよ?」

 そんな風に話す丹花は、笑顔。

 決して派手な笑みではないが、その野に咲く花のように可憐な笑みは、見る者の心を貫く。

「なるほどな?それじゃあ、用意するメンバーは何人だ?」

 多々良がそう問うと、丹花は軽やかな口調で「四人よ」とだけ返した。

 3年1組メンバーたちは、集まり、誰を出すかを考える。

 羽子板で羽根突きをした経験のある人なんて今時あまりいない。となると、経験で有利という者を出すことは難しい。なら、何をもって選ぶのか……。

 そんな時だった。

「オレが出る!」

 枯淡が挙手してそう言った。

「では、あたくしも」
「はななも頑張るぅーんっ」
「仕方ないなー。役立たずばっかじゃ何も変わんないだろーから、アタイも参加してやる」

 教 鏡花(おしえ きょうか)、桃井 花園(ももい はなぞの)、芳澤 蜂窩(よしざわ ほうか)も、枯淡に賛同する。

 こうして決まった四人の試合を見るため、多々良と三殊は座って見続けていた。しかし、枯淡に「お前たちは先に進め」というようなことを言われ、二人は仕方なく先へ進むことにしたのだった。

Re: 『受拳戦争』 ( No.70 )
日時: 2019/01/07 20:26
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

 枯淡らに言われた三殊らが先へと進んでいってから、丹花はルールを付け加えた。

「ああ、そうそう。ちなみに、四人には、シングル二回とダブルス一回の計三回で勝負してもらいますからね。そこのところ、思い違いなさらないで下さいね」

 こうして、羽根突き対決が始まる――!

「一試合目はシングルです。どなたが出ます?」
「では、あたくしが」

 3年1組から出たのは、教 鏡花。

「分かりました。では、対戦相手を紹介しますね」

 丹花がそう言うと、一人の男子が現れた。
 柿渋色、セルリアンブルー、鉄色、パステルピンク、茜色、インディゴ、ターコイズ、桃色、萌木色、ロイヤルブルー、藤色、菖蒲色、ペールオレンジ、オリーブ色、アザレアピンク、檸檬色、モスグリーン、青緑色……などが混ざった、非常に派手な色の髪が特徴的な男子だ。

「彼の名は、直道 直角(すぐみち ちょっかく)といいます」
「直道 直角です。宜しくお願い致します」

 直角はわりと丁寧な質のようで、自己紹介を済ませた後、頭を軽く下げていた。

「あたくしは、教 鏡花。こちらこそよろしく」

 鏡花はサラリと挨拶する。

「では、一試合目。教 鏡花VS直道 直角……始めますね」

 告げる、丹花。

「「はい!」」

 応える、鏡花と直角。

 それを合図として、羽子板による羽根突きの試合が始まった。

「はいっ」
「ふふっ」
「はいっ」
「ほい!」
「あっ……」

 記念すべき最初の一点を獲得したのは、鏡花の方だった。
 鏡花も直角も羽根突きに慣れていないので、動きはぎこちない。とてもあどけない戦いが繰り広げられている。

「はいっ」
「ふふふっ」
「はっ」
「うふっ」
「はいっ……って、え?あ……」

 二点目も鏡花が取った。

「あたくしが勝たせてもらうわ」
「そういった言い方は、少し失礼ではないですか?」
「いいえ。普通よ」
「相手に不愉快な思いをさせるような発言は、慎んでいただきたいものです」

 鏡花の自信に満ちた物言いに少々腹を立てたのか、直角は眉を寄せ口角を下げている。今の彼の顔は、まるで、面倒臭い教師に叱られている時のようだ。

「はいっ」
「ふふっ」
「はいっ」
「うふ」

 それからも、鏡花と直角の戦いは続いた。

「ははいっ」
「……あ」
「よぅっしぃっ!」
「……あら、不愉快」

 険悪な空気になりつつ、戦いはいつまでも続く。
 二人の力はほぼ互角だ。

「はいっ」
「ふっ」
「はいっ」
「ふっ!あたくし、本気でいくわよ」
「はいっ」

Re: 『受拳戦争』 ( No.71 )
日時: 2019/01/14 09:03
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

 五点、六点、七点、と、試合は進んでいく。鏡花も直角も、時間の経過とともに、徐々に羽根突きに慣れてきた。それによって、二人の対決はますます激しいものへと変化していく。どちらかが十点目を取るまで終わらない熾烈な戦いだ。

「はいっ」
「ふふ」
「ほいっ」
「あら、弱いわね」
「……ほいっ」

 直角は確実に打ち返す。
 鏡花は時折挑発的なことを言う。

「ふふっ」
「はいっ」
「うふ」
「……せいっ!!」
「あらー。決められてしまったわー」

 直角が六点目。

 これで今は、鏡花が八点、直角が六点だ。

 どちらかといえば鏡花が優勢に見える。が、まだ二点差だ。勝敗がどうなるかは分からない、微妙な点差である。

「あたくしから点を取るとは、案外やるわね」
「負けません」

 それからも、鏡花と直角の羽根突きは続いた。

 二人の激しい戦いは長引く。

 慣れてきたというのもあってかどちらも落とさず、打ち合いがなかなか終わらないのだ。それにより、どちらかが一点取るだけでも膨大な時間がかかる。

 ――だが、ついに決着の時が来た。

「うふふっ!」
「あっ……」

 決まった。
 鏡花の十点目が。

「はい。これは試合終了ですね」

 十点目が決まった瞬間、丹花が述べる。

 彼女は、鏡花と直角の対決を、きちんと見守っていた。

「では結果発表を。一試合目、教 鏡花の勝利です!」

 丹花の宣言に、敗者となった直角は眉尻を下げる。肩を落とし、背を丸め、身を縮めた。その様は、まるで、寒さに震える小動物のよう。

 かなり落ち込んでいるようだ。

 一方、勝者となった鏡花はというと、喜びを露わにしてはいなかった。それが、敗者直角への気遣いだったのか否かは、謎である。ただ、彼女が「当然」というように澄ましていたことは確かだ。

「では早速、次の試合へ参りましょうか」

 丹花は柔らかく微笑みつつ話を進めていく。

「二試合目はダブルスです。どなたが出ます?」

 その問いに手を挙げたのは、花園と蜂窩の二人。

「はなな頑張るぅーんっ」
「自分のことを『はなな』とか呼ぶ頭の弱い女には任せられないからなー。アタイも一緒に参加してやる」

 蜂窩の失礼な発言には、第三者である丹花も苦笑していた。

「桃井 花園、芳澤 蜂窩、ですね」

 苦笑しつつ言う丹花。
 その言葉に、花園と蜂窩は頷く。

「では、対戦相手を紹介します」

Re: 『受拳戦争』 ( No.72 )
日時: 2019/01/21 15:56
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

 二試合目、ダブルスの相手を、丹花が紹介する。

「では紹介しますね。秋春 聯轟(あきはる れんごう)、強貴 清起(したたか きよき)の二人です」

 丹花は柔らかな声色で、二人の名前を紹介した。すると、彼ら二人もそれぞれ、簡単に自己紹介をする。

「ワイは秋春 聯轟や!よろぴくな!」

 豪快な調子で挨拶するのは聯轟。

 背が高く足は短い、がっちりした体つきの男子である。その逞しい体つきは、まるで大人のよう。3年1組メンバーらと近い年とは、とても思えない。

「強貴 清起。よろしく」

 聯轟に続き、清起も挨拶をする。

 一度でも見てしまうと視線を離せなくなりそうな黒い瞳は、まるでブラックホール。彼女はそんな、神秘的で幻想的な目つきをしていた。

「では、二試合目。桃井 花園&芳澤 蜂窩VS秋春 聯轟&強貴 清起。……開始!」

 丹花は、静かながらしっかりとした調子で、二試合目の開始を告げた。

 羽根突きは、3年1組から。

「はなな、いっきますぅーん!」
「相変わらず頭弱そうだな」
「えぇー!ウザいでっすぅーん!」

 花園と蜂窩の間には、何やら不穏な空気が漂っている。

 しかし、試合をストップすることはできない。
 例え不穏な空気であったとしても、継続するしかないのだ。

「はなっ!」
「ホイ!」
「くっ……はぁ!」
「ふっ!」

 羽根突きは続いていく。

「ホイ!」
「はななっ」
「ホイ!」
「ぴえぇっ」
「ホホイ!」
「はななぁーんっ」

 一点目を取ったのは、聯轟。
 花園を狙う作戦で、確実に点を取った。

「おいおいー。何してるのかな?お馬鹿ちゃんー」

 大袈裟に溜め息をつく蜂窩。
 悪意があってしていることがまるばれだ。

「お嬢ちゃん!べつに落ち込まんでええで!」
「……はなっ?」
「ワイは羽根突き大好きなんや!だから強いんやで!」

 自慢げに語る聯轟。
 そう、彼は実は、今年の『全国羽根突きチャンピオン決定戦』の優勝者なのだ。

Re: 『受拳戦争』 ( No.73 )
日時: 2019/01/28 01:30
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

 花園と蜂窩、聯轟と清起。
 二試合目はまだ終わらない。

「はなっ!」
「ホイ!」
「はななんっ!」
「ホイ!」

 聯轟はまたしても花園ばかりを狙う。それは恐らく、花園が強くないことに気づいているからなのだろう。

「そっちばっかり狙ってんじゃねぇよ!」

 しかし、今度はさすがに、蜂窩が割って入る。
 蜂窩がすぐにサポートしたため、点数を入れられることは何とか防いだ。

「せいっ!」
「ホイ!?」
「とりゃっ!」
「ホホイ!?」

 今度は、蜂窩と聯轟の打ち合いだ。

「相手が誰でも負けへんで!ホイッ!」
「叩き潰すっ!」
「ホイッ!」

 がっちりした体つきの聯轟はパワーがある。それゆえ、彼の攻撃は、一撃一撃が高い威力を誇っている。

 だが、その程度で諦める蜂窩ではない。

「ゴリラみたいな体型してれば勝てると思ってんじゃねぇぞ!」
「そんなこと思ってへんわ!」
「せいっ!」
「ホイホイッ!」
「とりゃ!」

 聯轟と蜂窩の打ち合いは続く。

 その光景を、花園はじっと見つめていた。二人のあまりに激しい応酬に、入っていくタイミングが掴めなかったからだろう。

 一方、聯轟の相棒である清起は、ニヤリと笑みを浮かべていた。

「せいっ!」
「ホイ!」
「とりゃっ!」
「ホイホイッ!……あ。嘘やん」

 激しい競り合いの結果、蜂窩が点を入れた。

「嘘やああぁぁぁぁーんっ!」

 点を入れられた聯轟は、両手を額に当てて絶叫する。
 素人に点を取られるとは、まったく想像していなかったのだろう。だからこんなにもショックを受けている――といったところに違いない。

 こうして蜂窩に点を取られた聯轟は、ショックのあまり立ち上がれなくなってしまった。

「よし!」

 蜂窩は小さくガッツポーズ。
 しかし、聯轟を倒せば終わりではなかった。

「聯轟だけだと思うなよ」

 清起が静かに言う。
 信じられないくらい、冷ややかな声。

 ――本当の戦いは、そこからだった。

 聯轟は確かに強かった。彼が羽根突きに慣れていたことも、確かだ。しかし、聯轟清起ペアの本当の武器は、聯轟ではなかったのだ。

 そう、真の実力者は清起だったのである。

 貧乳の少女、強貴 清起。彼女は不思議な力を持っていた。それは、『地面に落ちるシャトルを手元に寄せられる』という力。羽根突きにおいては、否、全ての球技において、かなり意味のある能力だ。

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