複雑・ファジー小説

『受拳戦争』
日時: 2017/12/04 23:41
名前: 四季彩

彩都さんと四季の合作です。

合作といっても、企画や世界観・キャラクターの名前や原形、プロットなどは、彩都さんです。
四季はキャラクターの口調を考えたくらいだけのもので、執筆係です。

よろしくお願いします。

スレ立て 2017.11.19
投稿開始 2017.11.20

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Re: 『受拳戦争』 ( No.55 )
日時: 2018/10/08 20:45
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

 春夏冬と瞳のテニスゲーム対決は、激闘の果て、春夏冬の勝利で幕を下ろした。途中まで両者の実力は拮抗していたのだが、春夏冬の方が体力的に少し勝っていたようで、彼の勝利となったのである。

 だが、これで終わりではない。
 ゲーム喫茶での戦いは、まだ続いていく。

「次、三人目は、ブロック崩しで戦ってもらおうかねぇ。3年1組は誰が出る?」

 展翅は相変わらずの感情が掴みづらい笑顔で、先ほどと同じようなことを述べた。

「このぼくが出るでんな」

 3年1組メンバーの中で、ブロック崩し対決に挑むことを希望したのは、宝永 永保(ほうえい えいほ)だ。

 頭部と同じくらいの大きさの、赤茶色チェックのベレー帽。赤みを帯びたジーンズ生地のオーバーオール、その下にはアースカラーのボーダーのポロシャツ。

 なかなか個性的な格好をしている。

「宝永 永保でんな。宜しくお願いするでんな」
「面白い子だねぇ」
「そうでんかな?」
「姉の息子の彼女の妹が小学校の頃好きだった田村 澤ノ助くんに似ているんだよ」

 対する相手は、滞氷 伍夢(とどこおり いつむ)という、青っぽい髪を四箇所でお団子にした少女。

「あれぇ?あれっあれっ、あれん?あれあれあれれっ?」

 彼女が場に現れるや否や、展翅が妙な動きを始めた。まるで磁石に引かれるかのように、伍夢へと近づいていっているのだ。

「あれっ?あたしゃ、まだ頭は大丈夫なはずなんだが……あれあれっ?あれ?」

 理由は不明だが、妙な動きを続ける展翅であった。

「そしたら二人とも、あれっ、持ち場に、あれんっ、ついてねぇ」

 展翅は妙な動きを続けながらも、今すべきことをこなす。

「はいでんな」
「はーい」

 永保と伍夢はそれぞれ返事をし、指定された席につく。そこには、大きなモニターと、一本のバーがあった。

「よーい……あれんっ!?……気を取り直して。よーい……始めっ!あれんっ!」

 色々苦労しながらも、展翅は始まりを告げた。
 こうして、ブロック崩しによる戦いが幕を開けたのだった。

Re: 『受拳戦争』 ( No.56 )
日時: 2018/10/15 18:03
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

 始まった、ブロック崩し対決。

 それは、開始早々、凄まじい戦いとなった。

「いくでんなぁぁぁぁぁっ!」
「負けないぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」

 頭部と同じくらいの大きさはあるベレー帽が特徴的な永保は、普通の人間の目では到底捉えられないような速度で手を動かし、ブロックをどんどん消していく。プロゲーマーとして世界大会に出場しても問題なく戦えるかもしれない、と思うくらいの、人間離れした技術だ。

「まだここからぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「負けないよぉぉぉぉぉっっ!!」

 対する伍夢も、かなり超人的な腕前だ。狙った獲物は逃さない、凄腕スナイパーのような器用さで、永保と見事な対決を繰り広げている。

 ブロックはみるみるうちに消滅していく――そして、ほんの数分にして戦いは終わった。

「ただいまの対決、宝永 永保の勝ち!」

 展翅がそう告げる。
 だが、伍夢はすぐには納得しない。

「どうしてこっちが負けなの」

 不満を漏らす伍夢に、展翅はモニターを取り出して見せる。

「録画していたからねぇ、良く見て欲しい。実は永保君が君より少し早く終わっているんだ」

 展翅がモニター脇の再生ボタンを押すと、映像が流れ始めた。二人のプレイしている様子が同時に表示されている。なので、非常に分かりやすい。

「ほらねぇ」

 最後の瞬間、モニターを指差して展翅は言った。

「スロー再生すれば、もっとよく分かると思うけどねぇ」
「……分かった。もういいよ」
「そうかいそうかい。なら、決まりだよ」
「べつに、いいよ」

 こうして、永保は勝った。

「よっしぃ!」

 伍夢もかなり善戦した方だが、さすがに永保が上だったようだ。見事、としか言い様のない、完全勝利である。

「これでぼくは勝ち。あと二戦でんな」
「次はわたしで良いですよね、宝永さん」

 嬉しそうな永保に声をかけるのは、灯。

 ――そう、四六時中 灯。

「いいと思うでんな!」
「ありがとうございます。……必ず勝ちます」
「勝てるでん!勝てるでん!」

 永保と灯は、そんな風に、あっさりと言葉を交わしていた。

「よし、じゃあ次。四人目は、メダルゲームだよ」

 いよいよ後半戦。
 既に三勝している3年1組は、かなり有利だ。

 あとは、駆け抜けるだけ。

「3年1組からは、わたしです。四六時中 灯といいます。なんということのないわたしですが、よろしくお願いします」

Re: 『受拳戦争』 ( No.57 )
日時: 2018/10/23 02:32
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

 四戦目、灯の対戦相手として現れたのは、与那国 新多(よなぐに あらた)という少年だった。
 黒い髪に焦げ茶の瞳、身長や体型は平均的、という、極めて平凡な容姿をしている。が、頭部にネクタイをハチマキのように巻いているところだけは、個性があった。

「ぼくは与那国 新多!よろしく!頑張るゾ!」

 また、話し方も少々普通でない。

「よろしくお願いします。与那国さん」
「こちらこそ!」
「お互いに頑張って、良い戦いにしましょう」
「頑張るゾ!頑張るゾ!」

 灯と新多がある程度言葉を交わしたところで、展翅が説明を始める。

「まず最初に、それぞれにメダルを二十枚ずつ配るからねぇ。それを使って十五分ゲームを続けて、終了時に、メダルを多く持っていた方の勝ち。いいかな?」

 展翅の簡単な説明に、灯と新多はそれぞれ頷く。

 その後、両者にメダルが配られた。二十枚ずつ。

「それじゃ……開始!」

 展翅が対決の幕開けを告げる。
 こうして、メダルゲームによる対決が始まった。

 二人の戦術は対照的だった。

 灯は、堅実にゲームに挑み、メダルを徐々に増やしていく。塵も積もれば何とやら、といった戦術だ。
 一方、新多はというと、上手くいけば一気に枚数を増やせる大勝負に、連続で挑んでいく。負けた時の損失は大きいが、勝った時にはメダルを大量に増やせる、そんなスタイルである。

 安定感のある灯。波のある新多。

 しかし、両者とも、メダルを増やしていくことには成功していた。

 ――残り、三分。

 ――残り、二分。

 ――残り、一分。

「止めて!」

 開始から十五分、展翅がはっきりと終了を告げた。
 灯と新多の手が止まる。

「では、メダルを数えるからねぇ」

 その結果、灯は百二枚、新多は百一枚だった。つまり、一枚差という僅かな差で灯が勝利したのである。

「やりました!」

 勝利を知った灯は、可愛らしく喜びを露わにする。

「頑張ったんだけどナ」

 対する新多は落ち込んでいた。
 顔を俯け、肩を落とし。
 物凄く分かりやすい落ち込み方である。

「ただいまの対決、四六時中 灯の勝ち!」

Re: 『受拳戦争』 ( No.58 )
日時: 2018/10/29 20:02
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

 ゲーム喫茶での対決は、いよいよ最終戦へ。

 最後のゲームは『格闘ゲーム』だ。

 3年1組の中からは、今のところまだ一戦もしていなかった、半天。
 対戦相手は、染宮 空浪(そめみや うつろ)という、巨乳の少女。

「袖槻 半天!いきます!」

 ようやく自分の番が回ってきた半天は張りきっている。発する声にはしっかりとした張りがあり、とても聞き取りやすい。

「よっ、よろしく……お、お、願いします……」

 対する空浪は、何かに怯えているような喋り方。
 半天とは真逆である。

「では五人目。今度は格闘ゲームで戦ってもらうよ。これが最後だから、勝てるように、両者、頑張ってねぇ。重要だよ」

 展翅は穏やかな口調だった。それに加え、顔には優しげな笑みが浮かんでいる。彼女は、二メートルは優にある大きな体には似合わない、柔らかな雰囲気を醸し出していた。

「準備はいいかな?」

 展翅が確認すると、半天と空浪はそれぞれ応じる。

「もちろんですっ!」
「は、は……はいっ。が、頑張り……ます」

 両者の同意を得た後、展翅は、格闘ゲーム対決の開始を告げた。

 開始早々、半天は積極的に攻め込んでいく。反撃の隙を与えず、一気に倒しきろうと考えているのだろう。半天としては、長期戦に持ち込ませずに勝つことを望んでいる様子だ。

 そんな積極的な攻めに、空浪はやられ放題になってしまっている。
 しかし彼女は諦めていない。
 ゲーム慣れしていない彼女がここまで追い込まれた光景を見れば、誰だって、「半天が勝つ」と思うだろう。だが空浪はまだ、負けるとは思っていない様子だ。

 その後もしばらく、半天が有利な状況で戦いが続いた。

 空浪は、ゲームというものをあまりプレイしたことがない。また、格闘ゲームとなると、ほぼ一度も経験がなかった。
 一方の半天は、少しだが、格闘ゲームの経験がある。といっても、友達同士で遊ぶ程度に過ぎないが。

「これで終わりですっ!」
「うぅ、う……ま、負けませ……ん……!」

 しかし、途中で少しずつ状況が変わってきた。
 半天の攻撃が命中しなくなってきたのである。

「か、かわされたっ!?」

 空浪は事を把握する能力に長けていたのだ。

Re: 『受拳戦争』 ( No.59 )
日時: 2018/11/04 16:41
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

 開始からしばらくは、半天が、圧倒的に有利な立場にあった。完全に圧倒していたのだ。しかし、時間が経過するにつれ、その状況は徐々に変わってきた。空浪が上手く操作できるようになってきたのである。

「そっ、そう易々と……負けたりは……しません……」

 巨乳の少女――空浪は、懸命に戦う。

 最終戦、『格闘ゲーム』による半天と空浪の対決は、熾烈な戦いとなった。

 どちらも引かない。実力は互角。
 そんな状態で繰り広げられる対決といったら、かなり凄まじいものであった。

「格闘ゲームはやったことがありますっ!だから、ボクの勝ちです!」
「ま……負けたりしません……」

 ここまでくれば、もはや心の勝負だ。

 いかに心を強く持てるか。そして、どれだけ勝利へ執着することができるか。それらが、勝ち負けを決める。

 3年1組メンバーの半天を除く四人――小坂、春夏冬、永保、灯が見守る中、対決は続いた。

 そして、ついに勝負がつく。

「決まったねぇ。……最終戦、袖槻 半天の勝利!」

 その瞬間、半天以外の3年1組メンバー四人からも歓声があがった。もちろん、半天も喜んでいる。

「やったカン!あてぃしらの勝ちカン!」
「吾が輩たちの勝利」
「勝った勝ったやった!でんな」
「袖槻さん、素晴らしい戦いでした。わたし、感動です」

 盛り上がっているところへ、展翅が口を挟む。

「3年1組の完全勝利だねぇ。素晴らしい!そして、両者ともお疲れ様!」

 その言葉を聞くや否や、半天は、何かにとり憑かれたかのように踊り出す。

 両腕は天に向かって真っ直ぐ伸ばし、上半身は左へ下半身は右へと中心からずらす。そして、足を交互に「ル」の字のように曲げながら踊っている。三秒に一回ほどは唇を尖らせるのが、印象的だ。

 ――その後、半天らは先に戦っていたメンバーと合流した。

 しかし、三殊たちと合流することはできなかった……。

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