複雑・ファジー小説

白線お流れ〜迷想奮闘記〜
日時: 2019/08/18 00:04
名前: 梶原明生  

清純な田舎の女子高生の物語。優秀な開業医を父に持ち、何不自由なく一人っ子の箱入り娘として生まれた。長野県松本市内の優等校に通い、将来に迷っている三年生。…じゃなくて……………………同市内の底辺校に通い、ドラッグストア薬剤師兼レジ係りの父を持ち、精肉工場のパート勤めの母を持つ高校三年生、八倉園美のお話し。7人兄弟の三番目、次女として生まれて毎日醜い兄弟ゲンカを繰り返し、外面は一人っ子の清楚な女子高生を演じて回りを辟易させる。そんな彼女がある日、父が借りてきた「白線流し」というTVドラマDVDをたまたま視てしまってからが大変。回りを巻き込んで主人公、七倉園子になりきろうとドタバタ騒ぎを展開する。しかし意外な結末が待ち受けていた。ハートフル?青春コメディが幕を開ける。

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Re: 白線お流れ〜迷想奮闘記〜 ( No.30 )
日時: 2019/10/31 19:50
名前: 梶原明生  

…叶はわざわざこんな深夜にリスクを犯してまで八倉家にやって来たのか。それは吊り橋効果と、「わ、私の初めてをあげたいんです。両親とは離れた部屋にいるんで大丈夫。」と園美が色気に訴えたことに由来する。やはり叶も男である。淡い期待と妄想が彼を盲目にしていた。かくして、忍び足で玄関を越えていざ二階へ。「いらっしゃいませ。」「イケメンさんだ。」「絵本読む人なの。」貞治、香子、乙美の三人は起きていた。「や、八倉君。一人っ子って言ってなかったっけ。しかも結構ご両親の寝室の真上だよ。」「あら、やだどうしよう。もう、何で起きてんのよお前ら。」「だって姉貴がコソコソ電話してたら眠れないったらありゃーしない。」「こいつーっ。」「八倉君やめなさいって。静かに。」兄弟喧嘩を止めようとする叶。「あーあっ、勝手にしろ。」次男義郎だけ冷めた目で寝たふりする。暫くすると乙美の子守役になる叶。「龍を退治したブリキさんホウキさん猫さんは、ふるさとに帰りました。…あれ、寝ちゃったか。」いつの間にか寝落ちする兄弟。その後ろの園美も布団でスヤスヤ眠りについた。「ふふ、やましいこと考えるより、こうして寝顔見てるほうが可愛いな。」ほっぺに指を当てると、彼も就寝してしまった。…翌朝一番に美和子の悲鳴が響き渡る。「キャー。」「どうした。こ、これは一体。」武史も階段を駆け上がった。「ち、違うんです、こ、これにはワケが…」飛び起きた叶が慌てて弁明する。「き、君は人んちに何勝手に…通報してやる。」武史がスマホを取り出したその時だった。「私が招き入れたの。」「お、お婆ちゃんっ。」香が上がってきていた。「大事なお嬢さんを危険な目に合わせたからと叱られて家を追い出されたのよね。ねぇ小河君。」ウィンクする香。「え、ええ…」渡しに船で乗るしかなかった。「武史、彼を悪く言うのは筋違いよ。お弁当のお礼に食事を奢ってくれたそうじゃない。」「お母さん…」母親に頭が上がらない武史。いつの間にか朝食を八倉家一同、叶を交えて取っていた。「くーっ、ドラマ通り。」またもや設定が叶って悦に浸る園美。二人は一緒に学路を歩く。「叶さん、多分今から家に帰ったら佳乃さんから封筒を信集銀行に届けるよう頼まれます。そして行ってみたら幸子おばちゃんが銀行頭取に土下座してます。」「はぁ、一体どういう意味だよ。」「ああ…予知夢を見たんですよ。ハハハッ。」誤魔化す園美。しかし偶然の一致の恐ろしいこと。…続く。

Re: 白線お流れ〜迷想奮闘記〜 ( No.31 )
日時: 2019/10/31 20:57
名前: 梶原明生  

…事務所にいた佳乃に呼び止められる。「ああ、待って叶。」「まさか、封筒を信州銀行頭取に届けろじゃないよね。」まさかと思いたいが、一応言ってみる叶。「何でわかるの。ほら、これ。」「やっぱり…」あまりもの的中に青ざめる。とにかく信集銀行を目指す叶。「頼むぞ、次は予知通りになるな。」願いながら頭取室に通されると。「ゲッ…」何と、こともあろうに母幸子が銀縁眼鏡の白髪混じりの頭取に土下座しているではないか。「な、な、な…」言葉にならない叶。最後は幸子と共に河川敷を歩きながら家に帰る。「みっともないとこ見せちゃったね。ごめんなさい叶。」「ゲッ、まさか頭取が高校時代のクラスメートだとか。そんでああいつ何とかしてくれるんだとか言うんじゃ…」実はさっきの学路でそこまで園美に言われていた。「あら、何でわかったの。」「やっぱり…」また青ざめる。「西山高校一の秀才でね。一流大学を出てこっちの銀行に就職したの。今じゃ頭取でね。お父さんが亡くなるまでまさか彼がうちの取引先とは知らなかったのよ。でもね、何とかしてくれて、小河電子工業も持ちこたえたんだけど。今どこも不景気で。…」「まさか母さん。」「んん、心配いらない。何とかなるわよ。」安堵した叶は、家に戻ったら勉強に励んだ。しかし夕方に近づくにつれて園美の笑顔が浮かんで仕方ない。「やっぱりそうだ。僕は、彼女に恋してる。」早速家を飛び出すと、一目散に八倉家を目指していた。「叶さんから、うれしい。近くにコンクリート塀が高い公園があります。そこへ…」「う、うん。」この時のために探したドラマ通りの公園に誘う。「ちょっ、ここ、高過ぎないかい。ベンチあるしさ…」「ダメっ。ゼッ〜タイここじゃないとダメなんです。」「そ、そう。」渋々従う叶。塀の丈はゆうに2メートルは越えている。「私、叶さんのことが好きなんです。」「ぼ、僕もだよ。」「あ、ちょっと待って。」涙が出ないので持参したわさびを目に塗るのだが…「ハ、ハ、ハックション。」誤って鼻に吸い、くしゃみと共に鼻水まで飛ぶ始末。「やだもう私、ウワーッ」2メートル下の砂場に見事に落ちる園美。「園美ちゃん、ウワーッ」叶まで落ちる始末。「ハハハッ…」何故か笑い合う二人であった。翌日、小河電子工業の実情を知った園美は、佳乃の名を借りて辞表を偽造した。事務所に誰もいないことを確認した園美は社長の机に辞表を置いてそそくさと出ていった。そして運命の親子面談。…続く。

Re: 白線お流れ〜迷想奮闘記〜 ( No.32 )
日時: 2019/11/06 19:34
名前: 梶原明生  

…園美は予めメールで学校に呼び出していた。「しめしめ、丁度長田君にまっちゃん、磯山君のご両親が来てる。しかも待合いもドラマ通りとは、私ツイてる。」両手を組んで感激に浸る。「さぁ、なっちゃん。叫んで外に出るんだ。女優になるんだとか言って…」しかし待てど暮らせど何も聞こえてこない。「それじゃ立嶋さんのお母さん。今後ともよろしくお願いします。」「いいえ、こちらこそ。でもこの子が歯科助手を目指してくれて助かります。」「何でレールに敷かれたコース選ぶよっ」「ちょっと園美。」美和子が引っ張って席につかせる。帰っていく夏と入れ替わりに叶が姿を現した。「はーっ来てくれたのね。…長田君のお父さん、ほら、彼の誹謗中傷してください。ほら。」「はぁ…」突然の申し出に呆気に取られる雅春の父。「あんたどうしちゃったのよ。迷惑でしょ。」美和子と武史で園美を取り押さえる。気まずくなる叶がしどろもどろになっていると、一人の男性教諭が割り込む。「ああ、小河君だね。この前の件で話してくれるんだよね。」「え…」そんな予定はないはずだが、教諭のウィンクで合わせることにした。「ああ、そうでした。」「仮面ライダーが好きらしいが…」その教諭の言葉に武史が反応する。「もしかしたらスナック仮面ライダーに通ってるかい。」「ええ勿論。」「それを早く言いたまえ君。」園美の意に反して意外な共通点で叶を気に入る武史。「もう、どいつもこいつもドラマと逆に走りやがってっ。」悪態つく園美。怒った彼女は教室に戻り、自ら机に傷を入れてしまう。「ちょっと八倉、何してる。やめろ。」「なら代わりに私と赤い傘で相合い傘で帰ってよ。」「え〜っ。」やむなく従う雅春。叶はたまたまそんな二人を目撃してしまった。「晴れた空に何してんのかなあの子。」転ける園美であった。時は過ぎてもう12月。「クリスマスパーティーやろう。」と見事に園美がけしかける。渋々慎二の旅館の空き部屋ですることに。ケンタッキーは外さず購入し、均きり盛り上がった所で慎二にまた謎かけ。「ほら、一人足りないんじゃない。」「誰が…あ、小澤っちか。」「違うっ。」つい慎二の首を絞める園美。「叶さんだろうが。」「うへ、なんで…お前が呼べよ。」「あーっ、面倒くさい。皆で一緒に小河電子工業に行かない。」「え〜っ何で。」全員嫌がるも何とか説得して街に出た。その頃、叶も同じくクリスマスに湧く街に繰り出している。「佳乃。会社を助けるためだと。」…続く

Re: 白線お流れ〜迷想奮闘記〜 ( No.33 )
日時: 2019/11/06 20:59
名前: 梶原明生  

…全ては母幸子の一言から始まった。「誰が辞表なんて嫌がらせしたんだろうね。そうでなくても家の傾いてる会社に貢献したいと、夜のアルバイト始めたのに。」「よ、夜だって…」いても立ってもいられず飛び出す叶。「きっとキャバクラかあるいは…いやいや、想像したくない。待ってろ佳乃。」叶は心で叫んでひた走った。その頃クリスマスプレゼントを白い手提げ紙袋に入れていた園美は、これから起きる奇跡に胸踊らせていた。勿論ドラマのようにセーター等編むはずもなく、市販のセーターを買ってわざわざマジックで「KW」と星座を模して書いていた。普通なら「KO」なのに…その叶は佳乃を見つけていた。水色のスーツに化粧を施している。「あいつ、彼氏がいるのに…」「開店セールで〜す。」彼女のティッシュを持つ手を掴む。「な、何よいきなり叶。」「お前何て仕事してんだ。風俗なんてやめろ。」「はぁ…これティッシュ配りのバイトだけど…」大幅に転ける叶。「な、何で…じゃあこの格好は…」「ああ、これ。今日これ終わったら快斗とデートだし。クリスマスだよ。」飛んだ誤解だった。そして運悪く、園美達と遭遇。「叶さん…」喜びを押しこらえて悲痛な顔をする園美。「あ、そ、園美ちゃん。ごめんねクリスマスパーティー呼ばれてたのに行けなくて。これから皆とどこかお出かけ…ゲッ」園美のストレートパンチが叶に顔面ヒット。「そこは、お前なんか遊びだった。でしょ。セリフが違う。」「そのちゃん何してんの。」なっちゃんまっちゃんが取り押さえる。「ああ、いいんだ。クリスマスの×ゲームだよ。ハハハッ…」苦笑いしながらフォローする叶。「ならせめて、セーターを…」車道側に紙袋を放り込もうとしたその時。「物は粗末にするもんじゃないよ。」五島のセリフが頭をよぎる。「どうしたの。」「ううん、何でもない。ごめんねまっちゃんなっちゃん。私帰るわ。皆せっかく街に出たんだし、カラオケでも楽しんで。」「そのちゃん。…」白銀の雪が舞う中、彼女は家路についた。「小河さん、送ってあげて。」まっちゃんが叶に頼む。「わ、わかった。」今は見えないカシオペアに、園美の妄想は消えつつあった。…次回「偽りを蔑んで」に続く。

Re: 白線お流れ〜迷想奮闘記〜 ( No.34 )
日時: 2019/11/08 19:30
名前: 梶原明生  

「偽りを蔑んで」……………………………12月も終わり、新年の初詣が始まった。西山高校の面々も、各々の願いと抱負を持って神社にお詣りに来ていた。教師である小澤もその一人だ。「今年も無事、卒業生が卒業できますように。」祈り終えて絵馬やら買うと、偶然にもまき、夏、雅春、慎二と出会った。「あら、四人共珍しいところで会ったわね。あけましておめでとうーっ。」「先生。あけましておめでとうございます、初詣ですか。」「うん。」そんな5人の姿を確認すると園美は人混みに消えていった。「お母さん、年賀状出した。」二階から今降りて来たという雰囲気を作りながら、お餅とおせち料理を用意している美和子に問いかけた。「出したわよ。何今更。」「しまった。」しまったはずはないのだが、急いで叶の家に直行した。無論、メールで雅春、慎二にも同じ場所に落ち合うよう指示。慎二の気持ちを悟っていた園美は、それをいいことに誘ったのだ。やがて小河電子のポストを確認。「しめしめ、年賀状は届いてるな。」「よぉ、八倉。長田連れて来たぜ。話って何だよ。」後ろから声をかけられる園美。そこへグッドタイミング。叶が歩いて来た。「叶さん。」七倉園子になりきって走りさった。「おいおい何だよっ八倉っ。」ポツンと置いてきぼりを食う三人。気まずい空気を打破したのは慎二だった。「まぁいいや。せっかく新年早々あんたとばったりしたんだ。俺達と話さないか。」「え、う、うん。」近くの河川敷に向かう三人。「あんた俺達とタメだよな。」「いや、違うよ。たしかに三年生だけど、色々あって一年棒に振ったから今19歳。 まぁ、特待生として君達と同じく今年卒業だけど。」少し転ける慎二。「あいつデタラメ情報教えやがって。」それからと言うもの、何故か三人うまが合うのか、話が弾んだ。しかし、その姿を園美は帰らずに尾行して盗み見ていたのだ。「うんうんこの調子この調子。」一人悦に入っていた。「この後は、磯山とまっちゃんを神社前に呼び寄せて…」しかしそううまくは行かない。そうしている間に叶からメールが来る。「大変だ。従兄弟の佳乃が突然会社やめて出ていった。園美ちゃん何か知らないか。」知らないと返信したものの、この偶然な出来事にガッツポーズを決める。「まさにドラマ通り。く〜っ。」かくして冬休みも終わると、ゼミの直前講習が始まる。ただ設定と違うのは雅春を始めとして5人全員が参加し、行動を共にするところだ。…続く。

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