複雑・ファジー小説

白線お流れ〜迷想奮闘記〜
日時: 2019/08/18 00:04
名前: 梶原明生 (ID: VlfYshYD)  

清純な田舎の女子高生の物語。優秀な開業医を父に持ち、何不自由なく一人っ子の箱入り娘として生まれた。長野県松本市内の優等校に通い、将来に迷っている三年生。…じゃなくて……………………同市内の底辺校に通い、ドラッグストア薬剤師兼レジ係りの父を持ち、精肉工場のパート勤めの母を持つ高校三年生、八倉園美のお話し。7人兄弟の三番目、次女として生まれて毎日醜い兄弟ゲンカを繰り返し、外面は一人っ子の清楚な女子高生を演じて回りを辟易させる。そんな彼女がある日、父が借りてきた「白線流し」というTVドラマDVDをたまたま視てしまってからが大変。回りを巻き込んで主人公、七倉園子になりきろうとドタバタ騒ぎを展開する。しかし意外な結末が待ち受けていた。ハートフル?青春コメディが幕を開ける。

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Re: 白線お流れ〜迷想奮闘記〜 ( No.51 )
日時: 2019/12/09 08:02
名前: 梶原明生 (ID: 99wOCoyc)  

…「あ、そうか。もうそんな季節なんだね。ドラマでも確か寿司屋の後に…」そこで気がつく叶。「そうか。死亡フラグを気にしてた理由がわかった。」「そうなの。もしかしたらって…」「だ、大丈夫だよ。そんな都合良く死…あ、いや不幸なことないって。」「そうならいいんだけど。」不安に思いながらも家に辿り着いた。「じゃあまた明日。」「明日。」叶は折り返して自宅に向かった。翌朝、遅刻して雅春は警察署に向かった。父親が建設談合の件で逮捕されたからだ。母親を宥めて学校に向かう雅春。「やぁ、長田君。」声をかけてきたのは五島だった。千鳥柄のジャケットに肩掛け鞄引っさげて現れた。「五島さん。何か用ですか。」「君のお父さん、無実かもしれないんだよ。」「え…」彼は五島の取材に応じた。園美達はと言えば、普通に学校生活を終えて帰路についていた。「そうだ、叶さんち行ってみよう。磯山君達が部屋に入ったのに彼女の私が行かない話はない。」スキップしながら意気揚々と向かう。しかし…「あれ、叶さん、おばさんに相島さん…」工場前に3人が何か深刻に話し合っている。「園美ちゃん…ちょっと。」彼女の手を取り河川敷まで歩く叶。「実は…工場の経営が芳しくなくてね。倒産するかも知れないんだ。」「え〜っ、じゃあ大学は…」「諦めるしかないよ。」「ダメそんな。」涙する園美。その後早速両親にこの事を話す。「園美、その小河君の学費を何とかしたいと言いたいのか。」「うん。」武史が口を開く。「無理を言うな。うちはお前を大学にやるのが精一杯だ。それもお前がお姉ちゃんのコンビニでバイトする条件でだったろ。弟妹もいるんだぞ。余裕はないよ。」これに口ごもる園美。「足しになるかわからないけどこれ。」「お婆ちゃん。」何と香が貯金通帳を差し出した。「こんなこともあろうかと貯金しておいたのよ。ま、私のヘソクリ含めて100万円ある。お爺ちゃんとの老後かお前達の嫁入りにと貯めてたんだけどね。先行投資。使って園美。」二人は使え、使えないの押し問答になりつつ、結局預かることに。翌日、五島は武豊から意外なことを言われる。「五島三尉、長田建設に続き今度は小河電子に裏工作ですか。やり過ぎでしょいくらなんでも。」「おいおい待てよ何のことだ。」「惚けないでくださいよ。小河電子が倒産するそうじゃないですか。」「いや、そこまではやってない。」「え、まさか違うんですか。」叶の件はさすがに五島の工作ではなかった。…続く。

Re: 白線お流れ〜迷想奮闘記〜 ( No.52 )
日時: 2019/12/13 00:46
名前: 梶原明生 (ID: 97SCsTUE)  

…「じゃあ、本当に。」「ああ。あそこは以前から何度か銀行の不渡りを出していてな。危なかったのは確かだ。だがまさかこんな早くに倒産とは思いも寄らなかった。」「じゃあどうするんです。勿論助けるんですよね。」武豊のその言葉に無言の言葉を投げかける五島。「何で…」「悪い八倉。我々は破壊工作は得意だが建設は苦手でな。」「そんな…相手は義理の弟になるやつかも知れないんですよ。見殺しですか。」「誰もそこまで言ってないだろ。」「すみません、俺、少し頭冷やしてきます。」どこぞへ歩きさる武豊。まだ朝は始まったばかりだ。園美はその頃、お婆ちゃんとのやり取りを思い出しながら二次試験に向けて歩いていた。「二次試験に無事合格したら通帳は受け取るわ。ああでも妊婦さんを運ぶ設定だからややこしいわね。」そうそう運良く妊婦がいて助けを求めるなんてドラマみたいなことはなかったのだが…「い、五子お婆ちゃん。」「あんれ奇遇だね園美ちゃん。」歩道の欄干にすがってうずくまっていたのは田沼五子だった。「どうしたんですか。まさか赤ちゃんできたんですか。」「んなわけあるかい。と、とにかくお腹が痛くて痛くて…」「すぐに救急車呼びますね。」スマホで緊急電話をかける。しばらくするとサイレンと共に救急車が駆けつけた。園美も同伴する。「しっかり、お婆ちゃん。私ならここよ。」ずっと手を握り締め、付き添った。やがて病院では香と小澤先生が駆けつけた。「心配したわよ園美。」「八倉さん、大丈夫なの。」園美は落ち着き払って答えた。「うん、ごめんね。それから先生、お話しが。」ドラマに合わせてだが、次の瞬間それを打ち砕かれる。「親御さんですね。この度は母が娘さんに助けて頂いて、助かりました。私、田沼良次と申します。」「何ですって…もしかしてヨシボウ。」「は…何故そのあだ名を。」「やだ、忘れちゃった。私よ、八倉香。」「は、ま、まさか香おばさん。」「そうよ、五っちゃんと同じ中学の。」「え〜っ。」園美は驚愕した。まさか五子お婆ちゃんが香と同窓生だっただなんて…最終回「空は飛ぶためにこそある」に続く。

Re: 白線お流れ〜迷想奮闘記〜 ( No.53 )
日時: 2019/12/16 01:15
名前: 梶原明生 (ID: u7d.QD9m)  

「空は飛ぶためにこそある」………………………………………五子の病室にいる園美達。「あんれま。誰かと思えば香ちゃん。」「お久しぶりね。私がわかるの。」「分かるも何も、生涯の恋敵の顔を忘れたりしないわ。」「恋敵…」園美は首を傾げた。「恋敵か。竜也君のことね。遠い昔の淡い青春時代の話よね。私はあなたのこと恋敵だなんて思ってないわ。ふられたのよ私。あの人はあなたが好きだったのよ。」「香ちゃん。…これで蟠りはなくなったわね。」そんなことがあったのかと感心させられる園美。だが結局二次試験は受けられず仕舞いだった。しかし、園美の中にふつふつと将来への希望が湧き上がっていた。2月も中旬を過ぎた頃、設定通り松本電鉄の列車デートを叶とやった。彼は暗い状況を押し潰すように努めて明るく振る舞った。「大学への夢、諦めてないから。」「叶さん…」口をすぼめて喜ぶ園美だった。午後からは登校し、もうすぐ卒業を迎えるためにロッカーや机の整理整頓を行った。夏が自分の机の落書きを見た。「これ、試験受けた私達の後輩になる中学生が書いたんだよね。」「あ、本当だ。」「去る者、来る者か。…」「それ本当ならまっちゃんのセリフなんだけど。」「そっか、そのちゃんの設定だもんね。」「ハハハハッ」三人して笑った。そしてしみじみ。「ね、そのちゃん、まっちゃん、五子さんのお見舞い行こうか。」「え…」園美は嫌な予感がした。「だ、大丈夫だって。そんなドラマ通りなんないって。」まっちゃんに励まされ、放課後病院へ。案の定、五子は病室でピンピンしてた。「あら、三人で来てくれてありがとうね。」「もう大丈夫何ですか。」「 ええ、暫く入院すれば必ず良くなるって。園美ちゃんのおかげよね。感謝してるわ。 」「そ、そんな。私はただ…」照れる園美。「そんなあなたに申し訳ないんだけど、一つ頼まれてくれない。 」「何です。」 「岐阜に行って竜也さんに会ってきてほしいの。白線流しが好きだった竜也さんは今、風の頼りに岐阜県の高校の近くに住んでいると聞いてね。あの時の事ごめんなさいって伝えてもらえないかしら。勿論本物の白線流し見たいでしょ。旅費は私持つから。ね。」まさに設定通りで感激する園美。「是非行かせてもらいます。」翌日、香同伴でその竜也さんという初老過ぎの男性のところへ特急で向かった。その頃、裁判所前で判決を待つ雅春の姿が。母親が現れる。「雅春、安心して。お父さん無罪だって。」「やったーっ。」…続く。

Re: 白線お流れ〜迷想奮闘記〜 ( No.54 )
日時: 2019/12/17 15:59
名前: 梶原明生 (ID: NOqVHr1C)  

…感極まってつい飛んで喜ぶ雅春。「良かったね雅春君。」「五島さん…はい。あなたのおかげです。」「いやいや…それじゃ俺はまだ取材があるから、この辺で。」立ち去ろうとする五島を呼び止める。「そう言えば、五島さん。本庁の刑事さんでしたよね。なんで記者に転職したんですか。もしかして、事件の捜査とか…」冷や汗な質問に苦笑いで振り向く。「ま、まぁ、そんな所だ。誰にも内緒だよ。」「はい。」「じゃあ。」手を軽く振って裁判所を後にした。ワイン業者のバンに乗る五島。裕子がパソコンに向かいながら質問する。「心が痛まないんですか五島三尉。彼お礼まで言って。」「君らしくない質問だな。まだ心があったか。」「答えになってません。」「そうだな。大義のため…と言えば聞こえがいいが、痛まないかと言えば嘘になる。だが俺達が痛んでばかりいたら誰がこの国を救えるんだ。その一つ一つ背負って任務を遂行していくのが俺達の仕事だ。」同乗していた武豊が突っ込む。「うちの妹の妄想に付き合うことがですか…」助手席で転ける五島。その頃、園美は岐阜県飛騨高校近くの河辺に来ていた。「あ、白線流し…」案の定、毎年恒例の卒業行事が行われている。「本当、テレビで見たまんまだわ。私もようやく思い出した。お前の事件以来卒業アルバムも見ることなく中学時代を思い出さずに今日まで来た。もっと早くに見に行きたかったわね。」「でもいいじゃない。こうして五子おばあちゃんのおかげで見れたんだし。」そう言いつつ、下流まで歩く園美。「ちょっと園美、何で下流まで行くの。」「だって白線回収してる女子高生二人に話しかけないと。」「そっか。」まだまだ設定にこだわる園美。「なんじゃこりゃ。」話しかける七倉園子が100人はいた。「まぁ、まるで園子祭りね。」明らかに女子高生でないだろという女性まで白線セーラー服にポニーテールコスプレで下流に集まっていた。「ここ最近SNSなんかで白線流しのドラマの話題が広がってね。コスプレした七倉園子が増えはじめたんだよ。」「はぁ…えっ」初老の男性に声を掛けられ、どこかで見た顔だと考えはじめる。香はわかったようだ。「あ、あなたまさか…」「ん、私の顔に何かツイてるかね。」「竜也君。」「そ、その呼び方。…まさか、香ちゃんか。」「そうよ。牧村香。今は八倉香だけどね。」「懐かしいなーっ。」「えーっ。」園美は驚愕した。まさか奇遇にもこんなところで本命のお訪ね者に会うとは。…続く。

Re: 白線お流れ〜迷想奮闘記〜 ( No.55 )
日時: 2019/12/22 01:59
名前: 梶原明生 (ID: UvBorD81)  

…「もう何年ぶりかしら。お互いシワが増えたわね。」「何を言ってるんだ香ちゃん。あの日の面影は変わらないよ。」「ま、お世辞言っちゃって。…実はね。あなたに会いにここまで来たのよ。」香は事の次第を竜也に話した。「そうだったのか。色々あったんだな。あの頃はただ、必死に働いて働いて。今白線流ししてるこの若者達では想像つかない生活をしてきたものな。色々あって当然だな。だがそんな悲しいことは起こっていてほしくなかった。五子ちゃんには立派に女優になっていて…いや、せめて結婚して普通に幸せになっていて欲しかった。まぁ、最後にはそうなったのだろうけど。」白線の回収作業を眺めながら三人は佇んだ。「会ってはもらえない。奥さんには悪いけど…」「妻は二年前に癌で他界したよ。苦労かけっぱなしでな。…東京の工場に勤めたのが最初の就職で、五年勤め上げた後に転職してな。会社が理解あって、夜間の高校に行かせてくれた。必死に勉強してたら岐阜から集団就職して来た子がいてな。何の因果か飛騨出身だった。結婚してここへ引っ越し、それで初めて飛騨高校近くの中学校の事務員の仕事にありつけた。それから数十年…子供も育てて独立し、孫も出来て定年後もパート事務員したと言うのに。先立たれた。毎年こうして白線流しを見るのも私一人。正直、寂しかったのが本音だ。これも何かのお導きかもな。香ちゃん、会うよ五子ちゃんに。」「竜也君。ありがとう。」こうして旅の願いが叶った園美であった。その頃、美和子はコンビニを訪れていた。「真澄。園美の受け入れ態勢バッチリ整ってる。」「ああ、お母さん。勿論バッチリよ。本部にも話は通してるしね。」「良かった。あんたん時もそうだったけど、園美が働いてる姿見られるなんて感激だわ〜。」言ってる間に上だけ作業服の中年男女がコンビニに入ってきた。「あ、いつものやつ頂戴。」「毎度あり。小河電子さんにはいつもご贔屓ありがとうございます。」「お、小河電子…」その名前に美和子は覚えがあった。「あの、…」「はい、何か…」「もしかしたら小河電子工業の社長さんですか。」「そうですが、何か。」やっぱり、という顔になる。「私、八倉美和子と申します。」「や、八倉…まさかあの」「はい、息子さんと仲良くさせて頂いてる八倉園美の母です。」「まぁ、お嬢さんのお母さん。」「ええ、お母さん、小河さんとこの坊ちゃんと…」驚愕する真澄だった。その後は初対面の主婦らしい会話で弾む。…続く。



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