複雑・ファジー小説

吸血症状
日時: 2019/08/23 01:38
名前: 匿名 (ID: nWfEVdwx)

プロローグ 不幸程掬われるモノは無い


人を愛すのに見た目が一番肝心


「はぁはぁ……っ!」
 走る。走る。走る。街の中を、商店街の中を一心不乱に走る。僕が一体何処へ向かうのか? それは僕でさえ分からないが、ただこれだけは言える。「逃げなきゃ」と。何故逃げなきゃならないのか? そんなの決まっている。『背後に居る怪物から逃げる為』である──これは僕が『僕』で無くなる、いや『人』から『人間』になる物語かもしれない──

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Re: 吸血症状 ( No.5 )
日時: 2019/08/28 01:25
名前: 匿名 (ID: fhP2fUVm)

 恐怖。恐怖とは『怯える事』。そして『恐れ戦く』事だ。実際問題僕はそう簡単に怯えるという事は無いのだが、流石に『あれ』は怯えるし、恐れ戦くし、恐怖する。流石に『あれ』を怯えないし恐れ戦かないし恐怖しない人なんて相当限られるだろう。というか相当肝が据わっていると言うか何と言うか? 僕はそう思いながら震えた手で何とかドアノブを捻り、玄関の前迄移動し、再度震えた手でドアノブを捻って家に進入する。あー怖かった、今迄で相当怖かった、人生の中で一番怖かった。いや、怖いと言うか何と言うか? 『得体の知れない何か』って感じだった。……だが、だが、だ。幾ら『得体の知れない何か』って感じでも『人の形をしていた』のだ、そう『人という種族の女性』という性別に。……と、此処で僕は「助けなきゃ」と、思った。いや、普通は思わないだろうが、日本人として『どんな人でも怪物でも動物でも妖怪でも悪魔だろうが何だろうが救わなきゃいけない』と思ってしまった。日本人の性と言えば良いのだろうか? まぁ、そんな感じで僕は『彼女を救いたくなった』のである。まぁこれを偽善だったり何だり言う人もいるだろうかもしれないが、そんなの一々気にしていたら気が病んでしまいそうになる。──とりあえず、動きやすい服、汚れても大丈夫な服に着替えるか。僕はそう思い、靴を脱ぐ。と、よくよく見てみれば、妹の靴が置かれていた。僕はすぐさま妹の靴の匂いを嗅いで「今日も汗を掻いているな」と判断する。妹は毎朝消臭スプレーを使うので、匂いがよく分かった。うん、今日も良い匂いだ。僕はそう思いながら急いで妹にバレないように移動し、二階の自分の部屋に移動した。僕はすぐさまベッドの上に鞄を置いて制服を脱ぐ。そしてクローゼットから適当に見繕って、服を着る。よし、動きやすいし何より汚れても大丈夫だ。僕は総判断し、次に救急箱を手に入れる為に周りを探すが、流石に男子高校生の救急箱にゃあ絆創膏と湿布しかなかった。……一階に移動するか、僕は頬を掻いて、一階に移動し、リビングから救急箱を手に入れ、外へ出ようとする。と、此処で僕は「そういえばアイツは何処に居るのだろうか?」と思った。流石に僕と妹の部屋は同じ位置にある。幾ら何でも音が聞こえないっていうのは可笑しい話だった。……だが、今はそんな事を考えている場合では無い。僕は妹の事なんか放って置いて、血だらけの女性の許へと向かった──その時僕はまだ知らなかった。『妹があんな事になっている』なんて──

Re: 吸血症状 ( No.6 )
日時: 2019/08/29 01:34
名前: 匿名 (ID: 1CRawldg)


 僕は急いで血だらけの女性を救うべくその場所迄走る。そして路地裏を見つけ、僕はすぐさまその路地裏へと進入した。
「はぁはぁ……」
 息を荒くして僕はあの場所に辿り着く。だがそこで僕は「異常だ」と思ってしまった。それは何故か? 簡単な話である。『血だらけの地面なんて無かった』からである。「えっ?」と思う僕に対し、血だらけの服の女性は静かに起き上がって、「あいたたた……」と、言って僕を睨む。
「……何じゃ? お主は? 一度逃げた軟弱者が戻ってきてどうしたのじゃ?」
「えっ? あっ、いや、その……両腕を止血しようと? ……だってアンタ両腕から血が出てたから、急いで僕が救急箱を持ってきたんだけど……」
 僕がそう言うと彼女は「あははははは!」と、その場で笑う。
「何じゃお前! 何とも面白い人じゃのお! 気に入った! 貴様、名を名乗れ!」
「えっ? 面白い? いやぁ、僕は面白くないですよ……って、名前ですか? 名乗る程の者ではありませんよ?」
「ん? 名乗らないのか? じゃあ儂が名乗ろう! 儂の名前はレッドミスト・リンダ・リィエ・ヴァニール、知らぬか?」
 突然名を名乗る女性──基、レッドミスト・リンダ・リィエ・ヴァニール──だが僕は一ミリたりとも聞いた事が無い名前で首を傾げる。
「えっと……どちら様でしょうか? 僕は外国人と少しも関わった事が無いですが……?」
「ん? 知らない? 何じゃ? 儂の名前を知らぬとは? まぁ、良い。次に儂の肉体の事を話せば厭でも分かるじゃろう?」
「厭でも分かる……? えっ……と、一体どういう──」
 僕が言葉を言い終える前に目の前の女性は微笑みながら言う。
「儂は『死ぬ事が無い』、『吸血鬼』という存在じゃ? ほれ、おぬしも吸血鬼という存在を聞いた事はあるじゃろう?」
「えっ? 吸血鬼……?」
 吸血鬼。それは『血を吸って、永遠の命を弄ぶ悪魔のような妖怪のような鬼のような、何かよく分からない存在』だ。まさかその存在が目の前の巨乳の女性だって? 何を言っているのか? 否、『何を妄言を漏らしている』のか? 僕はそう思いながら少し怪訝そうな顔をする。
「ん? 信じてないようじゃなぁ? じゃあ聞くが『地面に落ちていた血は何処に有る』のじゃ? 知らんじゃろ? 知らぬのなら知らぬと言えばよい」
「……まぁ、確かに知りませんね? でも『それ』を言うには少し不可解な事がある」
「不可解? 何じゃそれは?」
「『その服の血』です。もしも仮に『地面の血が貴方に吸収された』と、考えるなら『その服の血でさえ貴方の体に吸収される』筈です、それなのに『何故吸収されていない』んですか?」
「……正確には『血は吸収されておらん』よ? 実際には『乾燥した』だけじゃ。だが服の方は『繊維が血を吸った』ので乾燥していないだけじゃ」
「は、はぁ……」
 何か説明を受けている……一体どうしてなのか? 僕はそう思うと両手に重みを思い出した。そうだ僕は彼女の止血を行おうと思ったのだった。
「あっ、そ、そういえば、僕、アンタの両腕の止血を行おうとしてここに来たんだった。そ、それじゃあ両腕、失礼しますね?」
 僕がそう言って、彼女に近付く。すると『待て』と、言って彼女が止める。
「こんなの『生やせばよい』じゃろう?」
「生やせば……」
 僕は彼女の発言を聞いて少し戸惑った。その瞬間『彼女が力むと右腕が生えてきた』、無論『切断面から生えてきた』。
「ほら、これで大丈……おっと、左手を忘れていた」
 彼女はそう言って、左手に力を込めるが、左手には何も生えない。すると彼女は僕を見て、「す、すまんがお主に聞きたい事がある」と言う。
「お主、儂を助けたいと申したな?」
「はい」
「じゃあ『吸血鬼になる気はある』か?」
「はい?」
「いや、じゃから吸血鬼になる気はあるか? と。流石に今の状況じゃあ、儂も此処に来る迄に『力を使い過ぎて力が薄れている』ようなのじゃ。だから他人の血を吸って力を借りようと……でもそれをするとお主も吸血鬼になるのじゃがぁ……? どうする? それでも助けるのか?」
「…………」
 まさに二者択一な質問だった。もしも仮に彼女を救う事が出来たら僕は吸血鬼になる。だけれど僕が助けなかったら彼女は一生──一生か? それは分からないけれど──左腕を、左手を生やす事は出来ないだろう。だが、その二者択一、間違えてしまえば逆に『彼女を殺しかねない選択になる』だろう。何故なら『彼女はどうして此処で両腕を失ったまま血だらけの状態でぶっ倒れていた』のかという不可思議が残るからだ。もしも『彼女が此処で襲われていた』らどうだろうか? もしも助けずに見過ごしたら、再度此処に彼女を襲った存在が現れて彼女を再度殺しかねない。それをしたらしたで僕が見殺しにしたようなもんだ。…………それだったら僕は──僕はそう思い、その場で深呼吸して、答を、応答を、回答を、彼女に答えた──

Re: 吸血症状 ( No.7 )
日時: 2019/08/30 20:36
名前: 匿名 (ID: V7PQ7NeQ)

「助けるに……決まってるだろ! 僕はお前を見殺しにはしない! 困った奴を助ける! それが僕の信条だ!」
 僕がそう言うと「そうか」と彼女は言った。そして「じゃあ儂に近づいてくれ? 今の儂の状況で動く事さえままならんからな?」と続け、僕は彼女に近付いた。
「……さて、何処を吸われたい? よくある首か? それとも腕か? もしかして足とかか?」
「えっ? 何それ? 選択性なの?」
「まぁな? どうせ『血を吸う』行為なのじゃ。どこでも構わん」
「そうか……じゃあ首にしてくれよ、そっちの方が分かりやすいだろ?」
「……後悔するなよ、ガキ?」
 彼女はそう言って近付いた僕の首筋を舐めた。少し擽ったかった。多分注射前のコットンで腕を消毒する類のモノかと思った。そして彼女は鋭利な歯で、刃で、僕の首を噛んだ。ずきり、と、痛みが走った。そして血が抜かれて行く感覚を覚えた。これが吸血か、僕はそう思いながら吸血鬼のよくある描写を思いだした。…………あれっ? 全然気持ちよく無いな? というか脱力感さえ覚えた。もしかして吸血鬼に血を吸われると性的快楽を得られるとか言ってたけど、実際問題嘘なのかな? 吸血鬼が血を吸う為の大いなる大嘘なのかな? と、思った。だが、吸血行動はまだ続いていた。脱力感と疲労感、そして目眩がした。後者のはそりゃそうだと言われかねないが。そして僕が脱力感と目眩の所為で彼女の方に凭れかかろうとした時、静かに彼女は「ありがとよ、少年?」と言って、僕を抱いた。否、『抱かれた』のだ。抱かれたと言う事は『彼女の両手は完全に復活した』と言う事だ。僕のお陰で彼女の両腕が再生された、何と喜ばしい事か? そして僕は脱力感と疲労感、そして目眩の所為で静かに、静かに目を閉じた──こんなにも安心する睡眠は久し振りだった──

Re: 吸血症状 ( No.8 )
日時: 2019/09/01 03:05
名前: 匿名 (ID: AdHCgzqg)

 …………。
 ……………………。
 ………………………………。
 …………………………………………。

 ぼぅっとする。そう、ぼぅっと、だ。まるで頭が、肉体がフットーしているような感じだ。もっと的確にいえば、深い深い海の中に、沈んでいく感覚だ。気持ち良い、とはならないが、安心するような感覚に陥った。脳がアラームを鳴らす。「これは危険だ!」と。だが、この安心感には肉体が逆らえない、本能が叫んでも、だ。このまま堕ちて行けば、一体全体僕はどうなってしまうのだろうか? そんな事を思っているとふと、彼女の声が聞こえた。すると段々と目の前が明るくなった。一体、これは何なんだ? 一体……『僕は何なんだ』……? そう思うと僕は静かに意識を取り戻した──

「はっ!?」
 勢いよく目を開ける。すると空は夕焼けを通り越して真夜中になっていた。ポケットに入れたスマホが少し温かい。
「よぉ? 起きたか?」
 ふと彼女の声が『頭上で聞こえた』、どういう事だ? と、思っていると『僕の頭上に彼女の顔があった』、僕はその場で「うわぁ!?」と、驚いて、彼女から離れる。彼女は正座のような姿をしており、倒れた僕を膝枕で介抱してくれていた事を確認出来た。
「ふむ、そんなに動けるのなら、儂は嬉しいぞ? 『我が眷属』よ?」
 微笑みながら言う彼女に対し、僕は息を飲み込んで発言した。
「アンタ……両腕治ったんだな?」
「あぁ、お陰さまでな? ありがとよ? 『眷属』よ?」
「……眷属? 何だそれは?」
 僕は不思議そうに言うと彼女が優しく答えた。
「儂は『血を飲ませてくれた存在』を『眷属』と言っておるのだ、言わば『下僕』、『僕』だな?」
「僕はそんなのになった覚えは無い。出来れば提供者と言って欲しいな?」
「こればっかりは儂の意見じゃ、許せ」
「許さん」
「ふぅ……」
 僕の言い分に呆れているように見える彼女。すると彼女は「なぁ、お前、携帯に出なくても良いのか?」と言う。えっ? 携帯? そう思い、ポケットに手を突っ込むと、携帯が震えていた。しまった、呼び出しか。僕はそう思い、携帯を取り出し、時間を確認する。時間は夜の23時だった。わっお、こんなにも寝ていたのか。僕はそう思いながら発信者である姉に電話をした。
「はい、もしも──」
「おい!? こんな時間迄何をしている!?」
 怒鳴る姉に対し、僕は『あー、ちょっと公園で寝てた……』と、返答する。すると彼女が「へいへーい? 誰からの電話ー?」と、可愛い声で返答した。
「ちょっ!?」
 戸惑う僕に対し、姉は「ん? 女と遊んでんのか? お前、嘘吐きやがって!」
「い、いや! 違う! 色々と違う! だから話を聞けって!」
「帰ってきたら話を聞いてやる!」
 そう言って姉は僕との電話を切った。……あー、これは説教タイムだな。僕はそう思いながら、彼女を見て、「お前なぁ?」と、呆れる。
「うふふ? その携帯の主に儂を見せたらどうなるじゃろうなぁ? 主は発狂するかもしれないなぁ?」
「お、おい? レッドミスト・リンダ・リィエ・ヴァニールさん? それは流石に控えてほしいのですが!?」
「なっはっはっ! 流石に我が眷属の前以外にゃ出無いよ? 幾ら吸血鬼たる儂でもそれは弁えておる」
「そ、それはよかった!」
「でも儂はこの国に住居が無い、だから我が眷族の家で寝泊りがしたい」
「はぁ!? 巫山戯んなよ!? 流石に僕の部屋は一人用だから小さいって!」
「なぁに、心配するなよ? 『我が眷族の部屋で寝泊りがしたい』とが言っていないのじゃ」
「じゃ、じゃあどうするんだよ!?」
 戸惑う僕に対し、彼女は静かに「ここ」と、言って、『地面を指差した』、まさかの地面に僕は「はぁ?」と、言った。
「じゃからここじゃここ」
「はぁ? 意味が分からん、我が眷属ちゃんはそこ迄頭が回らない」
「じゃあ『物理的に回して見せようか』? 我が眷属よ?」
「はぁ? 物理的に回す? 出来る訳無いだろ? 出来るもんならやってみ──」
 僕がそう言った瞬間、彼女は僕の頭目掛けて思いっきり『蹴り』を放った。綺麗な足が舞いながら僕の頭を蹴る。その瞬間『蹴りの威力が強過ぎて僕の頭は吹っ飛んだ』、しかも『回転しながら吹っ飛んだ』のだ。視界がぐるぐるぐるぐると変わる。何なんだ何なんだ何なんだぁ!? 僕は戸惑いながら、頭部が壁に当たる。頭部が吹っ飛んでいるので叫ぶ事も喋る事も呼吸する事も出来ない。そして彼女は壁にぶつかった僕に対し、「どうじゃ? 回したじゃろ?」と、微笑む。何て女だ! 僕はそう思い、『振り向いて彼女に叫んだ』。
「巫っっっ山っ戯んな! 死ぬかと思ったじゃねぇか! って、えっ……?」
 僕は『振り向いて彼女に叫んだ』事に気が付いた。そう、『僕の頭は元の場所に戻っていた』のだ。すると彼女が微笑みながら「おっ、ちゃんと戻ったな」と言う。
「ちょっ!? こ、これはどういう事だ!?」
 戸惑う僕に対し、彼女は少し移動して『僕の頭部があった場所』を見せる。すると『僕の頭部はあったが、少しずつ煙──蒸気か何か分からないが──に包まれて消えた』、えっ? 何、これ……? 戸惑う自分に彼女は言う。
「良かったな、我が眷属? 我が眷属もこれで『吸血鬼』の仲間じゃ。吸血鬼の特性、知らない訳は無いよな?」
 彼女の発言を聞いて、僕は思い出す。『吸血鬼は永遠の命を持つ』と──! マジで!? まさか!? 僕が!? 吸血鬼!? 僕はそう思いながら自身の両手を見て驚愕する。『今さっきの出来事が無ければ僕は信用しなかっただろう』、僕はそう思いながら、『人では無くなった』事を理解した。
「おめでとう? 『人ならざる我が眷属』よ? そして……新たな世界へようこそ我が眷属よ! お主はもう『人じゃない』! そして! もう『普通の生活に戻れない』ぞ! 喜べ! お前は儂と一緒、『永遠の命を持つ超生物となった』のだ! 喜べ! 大いに喜べ! そして! ……吸血鬼になった事を恨め」
 最後の発言の時、彼女は目を細め悲しそうな表情になった。その表情の理由は今の自分にはよく分からなかったが、後々気付いて、僕は後悔するが、今はまだしない。そして彼女は静かに「さて、それじゃあ我が眷属よ、色々片付いたし、お主の家を紹介しろ」と言う。
「いや、だから紹介しねぇよ!」
 僕は彼女に丁重にお断りする。だが彼女は笑いながら僕の頭を何度も蹴っては吹っ飛ばし、復活させる。頭を吹っ飛ばされるのは、地味に痛いし、痛いのは厭なので僕は仕方なく折れた。何度も何度も頭を飛ばされては困るし。……さぁて、家族にどう紹介しようかな、彼女を……? 僕はそう思いながら、その場で溜息を吐いた──こうして僕は『人』から『人間』になったのである。何とも不幸な人生で何とも不幸な運命だ──

Re: 吸血症状 ( No.9 )
日時: 2019/09/02 00:27
名前: 匿名 (ID: SEvijNFF)


 仕方なく僕は彼女ことレッドミスト・リンダ・リィエ・ヴァニールを家に招待する事にした。しかしずっと住むと言う事は少々困った事があった。それは何個かあるが、特に『衣類、食事、風呂』の三つだ。他にも必要な物もあるが、特に困るのはこの三つだろう。まず衣類。これは一番重要だろう。下着もそうだが『僕が女性用の衣類を買う』というのは色々とヤバいだろう。本来なら彼女に買わせるのだが、彼女は名前からして日本人では無い、日本のお金を持っているとは考えられない。後もしも彼女と一緒に買い物に行ったら、最悪篩に見付かったら不純異性交遊を言い詰められ、地味に面倒だ。……まぁ、服を買いに行くにもお金が必要だ、あんまり僕のお金を使いたくないのだが……次に食事だ。家族と一緒に飯を食う、それはあまりにも不可能な事だった。何故なら『彼女を家族に紹介する』という事だ。これが何を言いたいか? 『あまりにも不可思議な事』なのだ。だって『見ず知らずの外国人を家に泊める』のはあまりにも不可解であまりにも不安だからだ。こういった状況で二つ目は、二つ共難しい。でも一番難しいのは最後、『風呂』だ。家の風呂を入れるのは少々問題がある。僕が風呂場で待機しなきゃならないし、僕と一緒に入るなんて言語道断だからだ。後、風呂に入れようとすると最初の衣類の問題がある為、中々入れる事が出来ないだろう。…………何か面倒だ、僕は溜息を吐いて、頭を掻いた。するともう自宅付近迄到着しており、「あぁ、辛いな」と、呟いた。すると彼女は「よし、此処で儂の能力を使うか」と言った。えっ? 能力? どういう事だ? 僕がそう思うと、彼女は僕に「儂の能力、それは『眷族の影に入る事が出来る』のだ!」と、高らかに宣言した。「えっ?」と、声を漏らす僕に対し、彼女は「こう言う事じゃ」と言う。すると彼女は僕の『足から伸びる影に入って、鼻から上を見せ』る。
「じゃっじゃーん、これが儂の能力、黒影遊戯(ブラック・パーク)じゃ!」
「えっ!? 何それ!? それじゃあ僕の家族に会わなくて済むって事!?」
 僕がそう言うと彼女は「そう言う事じゃ! なっ、安心したじゃろ? 流石に見ず知らずの人、つまり我が眷族の家族と会うなんて回避出来るのじゃ!」
 何だよ、そういう事が出来るのかよ、だったら最初っからして欲しかった。僕はそう思いながら、息を漏らす。そして僕は目の前の自宅に向かって足を動かし、柵を越え、玄関を開けて、「ただいま」と、大声を出した──内心震えながらリビング迄歩く──

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