複雑・ファジー小説

天命────壱────
日時: 2020/02/24 15:50
名前: 佐久間 (ID: lBubOowT)
参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=image&file=1434.jpg

 信長に仕え『人生を軍事に費やした英雄』として評価される
               柴田勝家《しばたかついえ》の波乱な生涯を描く──。

  【目次】

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Re: 天命 ( No.1 )
日時: 2020/02/24 15:36
名前: 佐久間 (ID: lBubOowT)



   天文二〇年( 千五百五十一 )卯月  室町時代末期 応仁の乱から約九十年。京はまだ焼け野原。言葉では言い表せない程であった。そんな京から約45里程離れた尾張・織田家。織田家の当主・織田信秀は病により倒れていた。

 柴田勝家《しばたかついえ、織田家の重鎮》は自らに迫り来る馬を跨ぎ駆け走る音を耳にして抜刀した。自らに迫り寄って来るのは二百を超える野人の大軍。

  柴田勝家の隣に柴田勝信《しばたかつのぶ》が率いる七人の軍兵が並んだ。

   『兄貴、敵軍は恐らく二百は超えているだろう………七人で戦うなど無茶だ。ここは信行様の軍をお借りするのが一番では………』

  柴田勝家は弟の勝信の言葉など耳にせず一向に動かない…。どうやら勝家は耳を澄まして何かを確かめているようだ………。

  野人の長である鄭主雲《てい・しゅうん/明の野人》は微動だにしない勝家の姿を見つけて口元が緩んだ。そして勝家に矢先を向けて矢を放つ…すると耳を澄まし目を閉じながら何かを確かめていた勝家の目がパッと開き手に持っていた鋭い刀で飛んでくる朦々たる矢を跳ね返した。


    『あそこだ!!!敵の長はあそこにいるぞ!突撃せよ!』

  勝家と共に並んでいた五人の軍兵は命令の後、すぐに抜刀し鄭主雲の元に猛進する……それを見た勝信も嫌々だったが抜刀し鄭主雲の元に刀を手にして猛進した。

   
   数は七人と少ないが突き進んでくる勢いを見て鄭主雲は少し後退りをする……


    『お、おい、、お前ら…あやつらを………早く…倒すのだ……』

  十人ほど抜刀し勝家に剣を振り下ろすが華麗に避けられ薙ぎ倒された………。それを見た野人らの中に七人に立ち向かおうとした奴は誰一人いなかったのだった──。

  すると鄭主雲は尾張の民達が逃げ寄っていた小さな小屋に目をつけ矢に火を付けて標準を小屋にして鄭主雲は大笑いした。

   『この矢の標準はあの…小さな小屋にある。どうする?小屋にいる人々を見捨てて儂を殺すか…或いは小屋にいる人々の為にお前らの命を差し出すか………選ぶがいい。自分の命か。或いは小屋にいる人々の命か。』

   すると勝家はすぐにその質問に対して答えた。

     『火矢をあの小屋に射ってみろ…儂らは自らの命を選ぶ。』

   勝家は薄らと笑い、鄭主雲にそう答えた。鄭主雲は思いもしなかったその解答に戸惑いを隠せなかった。しかし勝家がそう答えたのだ。主雲は火矢を引き………………







                            小屋目掛けて火矢を放った

















       その火矢は小屋の近くにいた勝家の末弟・柴田勝復《しばたかつまた》によって跳ね返された。
 小屋の近くに前々から居ることを知っていた勝家は勝復を信じて主雲に火矢を射たせた。
  そして、勝家ら七人に主雲は追い詰められた。主雲以外の他の野人は逃げて行き主雲。彼一人が残った。
    
   主雲の首は後に信秀に贈られた。

   ー尾張 勝幡城《しょばたじょう》ー

  『父上。なりませぬ。末森城に行くなど………ここから末森城に行けば御身に触ります。どうか御移動の準備令をお取下げください。』

 病に伏せる父・信秀に対して信長は準備令を取り下げる事を必死に請うていた。その姿に勝家は『全くだ』という顔をしていた。

  『ならぬ………儂は………死ぬ前に………手にせねばならぬ物があるのだ………必ず死ぬ前に………手に取りたいのだ………』

  信行がサッと信長に向かって薄笑いしながら信秀を起こした。『父上。ならば私が御一緒致します。兄上はお忙しいようなので。』

  近隣の重鎮らは口々こう噂した。

    『次の当主は信行が妥当だ。』『信長公は元服してから昼から酒を飲んでいるそうだ。次の当主は…』

  元服後の信長の様子から信行派勢力が急拡大していた。信行派の中に柴田勝家。彼も入っていた。

        終 

Re: 天命────壱──── ( No.2 )
日時: 2020/02/25 22:28
名前: 佐久間 (ID: lBubOowT)


    ー末森城ー
 胸を締め付けられるかのような痛みを感じながら体を這う織田信秀。。。彼は直に畢生を終えようとしていた………。信秀は父・織田信定《おだのぶさだ》からの書置きに手を伸ばした………。

 〈我が家の子孫には天下人となる者が現れるだろう──。儂の直径から天下人が輩出する事を願っておる。

 『父上…どうかお許し下さい…私は天下人にはなれぬ運命です…どうかお許し下さい…………………』

 天文二十一年( 千五百五十二 )卯月の天道( 四月八日 )織田信秀は息を引き取った。家督は織田信長に引き継がれた。周囲の織田家の家臣は徐々に離れていき…残った家臣は信長派と信行派に分裂した。そんな中、以前織田家に家臣として仕えていた山口教継《やまぐちのりつぐ》が駿府の今川義元に寝返り織田家に危機が訪れる………

   蹴鞠をする子供、露天を開き笑顔で接客をする老人、赤ん坊を抱いて笑う母。勝家はその者らの笑顔を見て思わず笑う。後ろから数百人の護衛を連れた山口教継が馬に跨り現れた。

  『教継、すごい護衛の数じゃな…駿府に来てからかなり出世したようだ…』『勝家殿。駿府に来てはどうですか?尾張のうつけ者に仕えるよりはまだ良いでしょう。』教継は勝家に軽い諧謔を弄した。しかし勝家は真面目な威儀《いぎ、違う意味:姿勢》で、教継も行間を読んだ。

 

   ー駿府 桜中村城《さくらなかむらじょう》の教継の間ー
 
 その間は広々としており教継の周りには何十人もの家令。奥の部屋には鋭い刀が3本、鉄砲が一本あった。この頃の鉄砲はポルトガル人から伝えられて間もなかった為高価なものであった…駿府に一本でもあった事はすごい事だ。
《鉄砲が伝えられたのは1543年。1575年には織田信長が鉄砲三千本を兵士に持たせて長篠の戦いに挑んだ》

  その様子からかなりの大出世である事を知れる。柴田勝家もこれ程だとは知らずかなり驚いている様子。

 『それで柴田殿、御用件は何ですか?かなり重要な内容のようですが。まさか駿府に来るのですか?』『後に信長公がそなたを討ちに来るだろう。その際儂が手助けする…勝てるか?』『私と取引するのですね。いいでしょう。その提案乗ります。』

  終

Re: 天命────壱──── ( No.3 )
日時: 2020/02/26 16:45
名前: 佐久間 (ID: lBubOowT)


   勝家は馬に跨り尾張に帰国した…。相変わらず織田宅周辺に住む人々は新たな当主である信長公を''尾張の大うつけ''と嘲られ笑われていた。天下の信秀様の嫡男とは思えぬような異様な風体。粗暴な振る舞いを目にした人々は信行派に偏っていく…。

   少し前に娘を信長に嫁がせた美濃の国主・斎藤道三も信長と尾張を心配していた…。

 『''美濃の蝮''までもが儂ら織田家の当主を心配するのだ………。信長公をこのままにはしておけぬ。故に先日織田家から今川家に寝返った山口教継の顔を見てきた。儂は彼に''軍事同盟''を持ちかけたのだ。』

  勝家のその言葉にその場にいた皆の者どもが下げていた顔を一斉に上げた…

 『柴田殿。一体…何を申すのだ…この様な時にその様な戯話を…』

  林秀貞は勝家の言葉を戯話だと受け止めるがその後の勝家の真剣な表情を見て察した。勝家が山口教継に軍事同盟を持ちかけたのは事実である事を────。

   『内密に私兵三百を山口側に送るのだ!急げ!』

  林秀貞らは全く納得していない模様だが勝家の言葉によって配下らが動こうとした時…………

     信長の部下・木下藤吉郎が息を荒くして駆け走って来た、、、藤吉郎は言った。

  『林公。柴田公。信長様より出陣令が下されました…どうか出陣をお急ぎください!』 

  天文二十一年 (千五百五十二)の皐月、籠城する山口軍に対して信長は攻撃令を下した。この時、柴田勝家も出陣したとされ信長の書によると勝家の様子が変だったと記されている。

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