二次創作小説(新・総合)

復帰と侍と母の言葉 ( No.238 )
日時: 2017/07/31 18:35
名前: トクマ

 この先、色々と場面展開が多くなります。見にくいと思いますが、読んで頂くと幸いでございます。

 それでは、どうぞ!!



サンドリヨン「……トレ子さん」

 サンドリヨンが必死に逃げ、自身の無力を嘆いていると何者かが手を差し伸べた。その正体はトレ子であった。

トレ子「あらら、転けて泥だらけじゃないですか」

 サンドリヨンの姿に軽く息をはいて泥を落とすトレ子。

サンドリヨン「……あの……その……」
トレ子「まぁまぁ、深呼吸ですよ」

 戸惑うサンドリヨンをトレ子は深呼吸するように促し、次第に落ち着きを取り戻していった。

サンドリヨン「……すぅ……はぁ……すぅ……はぁ……」
トレ子「落ち着きましたか?」
サンドリヨン「ありがとうございます……トレ子さん。スマッシュブラザーズのファイターである貴女にお願いがあります……トクマさんを助けてください」

 今も戦ってるトクマの姿を思い出したサンドリヨンはトレ子に援軍として来てくれと頼もうとする。

トレ子「え!? 何かあったんですか!」
サンドリヨン「……アシ……サンドリヨンがトクマさんと戦っているので止めてください……この先の砂浜で戦っています」

 今の自分が助けに行っても無駄だと感じたサンドリヨンはトレ子に行くようにお願いする。それは彼女の善意からくるのか、それとも見捨ててしまった罪悪感からくるものなのかはわからない。

トレ子「それは大変ですね! 一緒に行きましょう!」
サンドリヨン「え!?」

 しかし、トレ子はサンドリヨンの思惑とは違い、サンドリヨンの手を握ってトクマの所へと行こうとする。

サンドリヨン「ま、待ってください! 私はいけません!!」
トレ子「何でですか? 私一人じゃ無理なんで一人より二人いけばなんとかなるでしょ?」

 トレ子の言葉にサンドリヨンは躊躇しつつも少しずつ話した。

サンドリヨン「私には……戦う力がありません……だから……トクマさんを助ける事は出来ないんです」









































トレ子「……だったら……なおさら行かないとダメですよ。トクマさんは貴女を待っています」

 その言葉に、サンドリヨンの内側にあった熱いものが溢れ出した。

サンドリヨン「貴女に……何がわかるんですか!!」

 吐き出すようにサンドリヨンの口から放たれた言葉は嘆きや怒りと言った熱を帯びてトレ子に降りかかった。
 
サンドリヨン「……もう……私を知る人はいない……仲間も……力も……失った……誰かを助ける事なんて出来ない……私が出来る事は……誰かに想いを託すことしか出来ないんです!!」

 一つ、一つ、吐き出すたびに熱いものが目から溢れ、喉を熱し、自身の内側を締め付ける痛みを与えた。

 その痛みに苦しむとトレ子はサンドリヨンの肩を掴み、いつもとは違う真剣な表情をする。

トレ子「……それでも……貴女は行かなければいけません」
サンドリヨン「……どうして」
トレ子「言うよりは見る方が早いですね」

 そう言いながら、トレ子は自身のポケットからスマホ程度の大きさをしたテレビを取り出した。

トレ子「何の目的か忘れましたが、アスナさんに今日一日だけトクマさんの盗さ……撮影を頼んだんですよ……映像が無事ならまだ映って――」

 トレ子の説明とともに映像が映し出された。ガラスの双剣で斬りかかるアシェンプテルをトクマは障壁や斧で防いでいく。防戦一方の状態だが、サンドリヨンが目にしたのはそこではなく――

 ……苛立っている?

 アシェンプテルの様子である。状況は防戦一方のハズだが、サンドリヨンの目にはアシェンプテルをトクマが追い詰めてるように見える。

アシェンプテル『……何故、何故私をサンドリヨンと呼ばない!!』
トクマ『だから、お前はサンドリヨンじゃないって言ってるだろ!!』

 ……え?

 アシェンプテルの言葉にサンドリヨンは一瞬だけ思考が止まった。

トクマ『覚えてるんだよ……アイツは理由なしに斬ろうとしない。それに、あんたが仮にサンドリヨンだとしたら、記憶がおかしいんだよ……苦しそうに泣いていたヤツが気付いたら嬉々として人を斬るだなんて考えられない!』

 そう、一見欠点が無いように見える生命録水晶だが、2つ程弱点があった。

 一つ目は『記憶を奪う際に第三者がいること』。長時間かつともに行動している人物の記憶を奪う時は一人の時に奪わなければ、記憶の食い違い――矛盾が発生するからだ。

 そう、アシェンプテルはミスをしてしまった……初めてサンドリヨンの記憶を奪った時に撤退を選ばず、ドレディアが護衛するサンドリヨンの所に行って記憶を奪えば良かったのだ。

アシェンプテル『……ッ!!』

 自身のミスに気が付いて歯噛みするアシェンプテルを見て、トクマは不敵に笑う。

トクマ『……本物は来る……オレが知るサンドリヨンは……仲間のピンチには放って置けない性格なんだよ!』

 トクマは気合いを再び入れ直し、斧を構える。

アシェンプテル『……だが!! 仮に戻って来たとしてもあの女に力なんてない! 役立たずが増えただけで共倒れになるだけだ!! 貴様の行為に得る物など何もない!!』
トクマ『得るものなんて何もねぇ……だが、ここで諦めたら、自分が自分じゃなくなるんだよ!!』

 アシェンプテルの大声を合図にトクマは砂浜を駆け、斧を振るう。アシェンプテルも攻撃を防いで反撃に移ろうとする。

トレ子「……これでも、トクマさんは貴女に来て欲しくないと思っていますか?」
サンドリヨン「……どうして……なんで……」

 トクマの行動に戸惑うサンドリヨン。力をなくした自分を信じて戦う姿に疑問を持つ。

トレ子「……サンドリヨンさん……貴女は少しだけ勘違いしていますよ……」

 トレ子の言葉にサンドリヨンは顔を向ける。

トレ子「トクマさんはアヴェンジャーとか言われていますが、アヴェンジャーにとって必要なのは燃えたぎる復讐心でも、全てを失う覚悟でも、凄絶せいぜつなる過去でもありません……極度の負けず嫌いです」

トレ子「諦めたくない、挫けたくない、負けたくないという頑固な信念が二本足で立ったような人物なんです……彼は一度だけ人としての心を殺しました……復讐の為だけに感情を捨て、心を捨て、表面だけで生きていた」

トレ子「そして恩人に出会い、捨てたモノを拾われ、その重さを知り、立ち上がって抗ってるんです……溢れたものをまた、溢さないように必死に……」

 トレ子の言葉にサンドリヨンは静かに聞き、胸を軽く押さえる。

トレ子「……サンドリヨンさん……貴女が必要なのは力じゃないでしょう……貴女は……何の為に立ち上がりますか?」
サンドリヨン「……何の……為に……」

 トレ子の質問にサンドリヨンは静かに思い出そうと深く考え始める。記憶をなくした思考を動かしながら必死に探り始める。

 ――そして、それこそが生命録水晶の二つ目の欠点である。

サンドリヨン「――あ――」

カチリ、パズルのピースがハマる音とともにサンドリヨンは思い出した。自身が剣を振るい、誰かを助けると決めた原点を。

 思い出したサンドリヨンは来た道を辿るように走ろうとし、トレ子がどこに行くのかを聞いた。

トレ子「……どこに行きますか?」
サンドリヨン「……決まっています……トクマさんの所へ」

 トレ子に答えたサンドリヨンの目には先程の迷いや寂しさが消え、生気が溢れる瞳になっていた。その様子を見たトレ子は懐からウサ耳頭巾をサンドリヨンに投げる。

トレ子「ウサ耳頭巾です……少しでも早く行けますよ」
サンドリヨン「ありがとうございます……トレ子さん、行ってきます」

 トレ子から受け取ったウサ耳頭巾を着けたサンドリヨンは全力で駆け抜けた。

 目指すは自分を待つ仲間の元へ。


 まだまだ続くよ! コメントはまだ!

復帰と侍と母の言葉 ( No.239 )
日時: 2017/07/31 18:51
名前: トクマ

 その頃、ピーチ姫のグループでは闇吉備津の戦闘中に乱入が多くあったが、行方不明だった吉備津彦が姿を現した。

吉備津彦「皆のもの……待たせてしまって申し訳な――」








































三人「桃様ぁぁぁぁぁ!!」

 ズドォン、と重い音ともに吉備津彦が壁にめり込んだ。その衝撃で吉備津彦の腹から出血し、彼の口から吐血した。

ピーチ「ちょっとォォォ!? 吉備津彦ちゃん出てきたのに早々退場になろうとしてる! 人生から退場しようとしてるわよ!!」
ルフレ「どんだけ会いたかったんだよ三人とも! 勢いつけすぎだろ!」
ルフル「し、シレネッタさん回復! 早く回復!!」
留玉臣「ッ!? 桃様がいつの間にか出血して……酷い!!」
楽々森彦「おのれ闇吉備津! 桃様に気付かない攻撃をするとは!」
ルフレ「いや、真犯人はお前ら!!」

 腹から出血しながらビクンビクン、と痙攣する吉備津彦を治療するシレネッタを横に三人に説教するピーチ姫とルフレ、その様子を苦笑するルキナとシュルクと言うグダグダな空間が出来ていた。

闇吉備津「……フン……寸劇を始めるために、わざわざ地獄から這い上がって来たのか?」
吉備津彦「いや、終わりにしよう……俺よ」

 呆れる闇吉備津の言葉に吉備津彦が答え、闇吉備津はその答えに鼻で嗤う。

闇吉備津「弱き者は、引っ込んでいろ! オレが求めるのは迷うことなき強き者の力! 強さがあれば、どのような事が起きようとねじ伏せる事が出来る!! その為ならば、俺は斬って斬って斬り続けよう!!」

吉備津彦「それが、贖罪の為でもか」

 吉備津彦の一言に闇吉備津の動きが止まる。しかし、あまりわからない周りのファイターは疑問符を浮かべるだけだった。

ルフレ「どういう意味だ。吉備津彦?」

 代表してルフレが質問すると吉備津彦は懐から巻き物を取り出して渡し、闇吉備津と面を向かい合う。

吉備津彦「俺もただ傷を癒す為に静かにしていたわけではない……もう一人の俺が何故ああなったのかを調べていたのだ……辿り着いたのは俺自身の出生だ」

 ルフレが巻き物の中身を見ると吉備津彦の文字で詳しく調べられた記録が書かれてあった。

吉備津彦「俺はとある都にて『鬼の力を宿す皇子』と占われ、父上と母上に預けられ育った……そこで一つ仮説を建てた。もし、俺自身の中に宿る鬼の力が暴走し、支配されればああなるのではないかと」

 そこには絵も描かれており、名もない墓石が並ぶ光景があった。

吉備津彦「鬼の力とは強大だ……俺の中に宿る力も俺自身を溺れさせようと狙っている……」

 その言葉に吉備津彦は自身の胸を押える。彼の中には未だに機会を狙う鬼の力が渦巻いていた。

吉備津彦「お前は幼き頃から鬼の力が暴走して支配され、押さえることができた頃には……多くの骸が貴様の後ろに出来ていたのだな」

『……その中には……俺の友も混ざっていたのだろう……』と小さく呟く吉備津彦を見て、シュルクとシレネッタは闇吉備津が時折していた表情を思い出す。

吉備津彦「お前が言う弱者とは、己自身を意味してるのではないのか? 強き者との闘争を願うのは、止めて欲しく、願わくばそこを自身の墓にするからではないのか?」

 その言葉に闇吉備津は後頭部をかき、大きく息を吐いた。

全員「――ッ!?」

 瞬間、全員に冷たい殺気が襲いかかった。まるで氷柱を首筋に突き立てられたような感じに全員が硬直していると闇吉備津が目付きを尖らせて口を開いた。

闇吉備津「……ごたくは、もうよい」

 そう言って大剣を横に振ってから、構える。

闇吉備津「構えよ」

 その様子に吉備津彦は仕方なさそうにため息を吐いた。

吉備津彦「……そうだな。貴様と語るには言葉は不要だ……」
犬飼「桃様!!」

 犬飼が自身の背に背負ってた大剣を投げると吉備津彦は受け取って剣を縦に振り、闇吉備津と同じように構える。

犬飼&森彦&玉臣「必ず、生きてください!!」

 その様子に犬飼と森彦、玉臣のさんにんは主の心配と勝利を願って声をあげる。その様子に吉備津彦は笑って答えると剣を軽く振るった。

吉備津彦「侍の刃は幾千の言葉に勝る!! 貴様をこれ以上、重ねさせる訳にはいかん! 俺自身が止める!!」

 その言葉とともに吉備津彦に燦々さんさんと輝く赤いオーラが、闇吉備津には禍々しくも蠢く黒いオーラがまとわり始める。

吉備津彦「鬼をも超えし我が力、その目に焼き付けよ!」
闇吉備津「我が身、既に鬼なり……我が心、既に空なり」


 吉備津彦のワンダースキル――【境地・修羅無双】が、闇吉備津のワンダースキル――【無我・悪鬼羅刹】が周りの風を巻き込みながらうねりをあげる。

 荒武者と鬼武者。

 二人の侍の戦いが始まった。


 コメントはまだ! 続くよ!!

復帰と侍と母の言葉 ( No.240 )
日時: 2017/07/31 19:03
名前: トクマ


 吉備津彦がワンダースキルを発動させた同時刻、サンドリヨンを見送ったトレ子は静かにサンドリヨンの走った方向を見ていた。

トレ子「……出てきたらどうですか? 隠れているのはわかってますよ」

 突如、トレ子が口を開くと白い頭巾に眼帯をした赤色の髪をした女性、海賊服を着た骸骨、ナイトメア・キッドとシャドウアリスが現れた。

トレ子「結構隠れていましたね……失礼ですが名前は?」
デスフック「ワガナハフック……デスフック……」
ヴァイス「ヴァイスだ……邪魔するやつは倒せと言われてるんでな」
ナイトメア「純白の暗殺者の能力のお陰であの牢獄から出れた……悪夢を見せてやろう」
シャドウ「うふふ、覚悟はいいかしら」

 海賊服を着た骸骨――デスフックが錨を構え、白い頭巾の女性――ヴァイスはスカーレットが持つナイフと同じナイフを両手に構え、ナイトメア・キッドとシャドウアリスは銃と杖を構えて戦闘体勢を取る。

トレ子「……フフフ」
ヴァイス「あぁ? なに笑ってやがる」

 その様子を見たトレ子は笑い、笑ったトレ子をイラつきながら引き金を引こうとするナイトメア。

トレ子「貴方達は少しばかり私をナメすぎですよ……まぁ、久しぶりだったので笑ってしまいました」

 その言葉に疑問符を浮かぶ四人。しかし、目の錯覚かトレ子がブレ始める。

トレ子「……いいでしょう……刮目しなさい。貴方達がこれから見るのは全てを飲み込む混沌です」

 怪しげに妖しく笑うトレ子の姿に目が離せなかった。






       ――\ワンダーラーンッ!!/――






 走る。走る。風のごとくサンドリヨンは来た道を走り抜けていた。

サンドリヨン「……」

 その道中、サンドリヨンは思い出した記憶を振り返っていた。

 ……知っていますかトクマさん? 私、最初は貴方の事が嫌いだったことを……

 ……いつも逃げてばかりで、言い訳して、迷惑かけてばかりだった貴方が、私は好きになれませんでした。

 ……けど、ひょんな事からグランマ大お婆様と戦う事になった貴方を見てわかったんです……不器用な人間だった事に……自身を削ってでも誰かを助けようとする姿を見て、逃げながらも相手から顔を背けない姿勢を見て、怖がりながらも震える足を前に進もうとする……

 ……そこから、貴方の事がよくわかりました……

 ……本当は情が厚くて仲間を大切にするところも、大切なものを守る為に本気になれるところも、どんな約束でもちゃんと守ろうとするところも、憎まれ口を叩くけど本当は誰よりも優しいところも、だからみんなに慕われているところも……

 ……私に無いモノを、貴方は持っていました……私の母が持っていた……

 そして、サンドリヨンは母親との忘れていた記憶を思い出す。







サンドリヨン『……ぐす……ひぐ……』
母親『おやおや、どうしたのサンドリヨン?』
サンドリヨン『……近所の子に……いじめられ……ました……』

 とある小さな農村。そこにある小さな家に幼かったサンドリヨンとサンドリヨンに似た女性――母親がいた。しかし、サンドリヨンの母親はどこか調子が悪そうに見え、顔色もあまり良くない。

母親『ごめんさいねサンドリヨン。こんな身体で……ごほ……げほ……げほ……』

 娘が苛められた事に申し訳なさそうな表情をする母親。咳をしながらも立ち上がってフラフラと移動する。

母親『……げほ……ごほ……ごほ……』

 その姿を見て心配そうな表情をするサンドリヨン。

母親『……ごほ……げほげほ……ごほ……ごほ……少し風に当たりに行くわ』
サンドリヨン『お母様っ!?』

 一人で外に出ていこうとする母親を止めるサンドリヨン。これだけ見れば母親を心配する娘の図ができるのだが――







 ――その母親の両手に猟銃と大型の斧を持っていなかったらもっと感動できたのだろう。

サンドリヨン『だ、大丈夫ですから落ち着いてください! 私は大丈夫ですから!!』
母親『安心しなさいサンドリヨン。そこら辺にいた野良猫を可愛がり(物理)に行くだけよ。猟銃と斧でいい子いい子しに行くだけだから』
サンドリヨン『本当に大丈夫ですから!!』

 すみません。某俺の後ろに立つなで有名な殺し屋も戸惑うオーラを出す母親がいるのですが……

 なんとか説得し、サンドリヨンは母親をベッドの寝かすことに成功した。

サンドリヨン『お母様はお身体が弱いのに無茶をしすぎです。この前だって一人で熊を担いで帰ってきた時は驚いたのですから』
母親『娘の為に親が身体を張るなんて当たり前でしょ』

 母親の行動に呆れるサンドリヨンだが、母親は気さくに笑って答える。サンドリヨンに心配かけまいと気丈に振る舞ってるように見え――

母親『あ、でも近い内に山がくるからその時にポックリ逝ったらごめんなさいね』
サンドリヨン『軽すぎます! もうっ!!』

 ――すみません。気丈に振る舞ってるどころか、とんでもないスクープを振る舞ったんですけど!? どんなワイルドマザー!? ビッグダディもこんなアグレッシブにはいかないよ!!

サンドリヨン『……お母様』
母親『どうしたの?』

 母親の言葉に項垂れるサンドリヨンが自身の母に質問した。

サンドリヨン『お母様はどうして、そんなに強いのですか?』
母親『……う〜ん、そうねぇ……』

 サンドリヨンの質問に上を向いて考え始める母親。まとまったのか口を開いた。

母親『……昔は、騎士に対しての憧れが強かったのね……誰かを守る為に戦うって事に当初はそれほど抵抗感はなかったわ。私も強くなって皆を守りたいと思っていたのよ』

 母親の独白にサンドリヨンは黙って耳を傾ける。

サンドリヨン『でも騎士にはなれなかった……私は【魔力不足】で採用されなかったわ……その後は小さな自警団に所属したけど危険だし、戦うだけではなく報告書や始末書の読み書きや武器とお金の管理、賞賛は貰えるけど本当の所で苦労を理解してくれる人はいないし、男の子には全然モテないし……正直、守る事や強くなる事に疑問を抱き始めたわ……』

 その目には遠い所を見つめていた。恐らく、犠牲も出たんだろう。サンドリヨンは母親の悲しそうな表情を心配して見つめていると、それに気付いた母親がサンドリヨンの頭を撫でる。

母親『でもね、お父さんに出会って、貴方が生まれて……それが変わったのよ』
サンドリヨン『変わった?』
母親『――そう、変わったわ』

 ふわり、花が舞うような笑顔を母親は自身の娘であるサンドリヨンに見せた。

母親『――貴方が生まれてね、とても嬉しかったの。どんな敵を倒すより、どんな犯罪を食い止めるより、どんなに皆に褒められても、貴方を生んだ以上に嬉しいことなんてなかった。

 それにね、貴方が生まれて本当の意味で理解できたんだと思う。私が守っている“誰か”も、他の人にとって大切な人なんだって思えたの……そしてその誰かを守るって事がまた別の誰かを守るって事になるって……

 他の沢山の誰かを守れば、同時に貴方も、お父さんも、守ってられるって』

 その言葉を聞き、サンドリヨンはこれからも人を守ろうと心の中で誓った。古く錆びついて忘れようが、自身の想いの原点はここなのだ。

母親『……サンドリヨン……』

 ベッドから起き上がった母親がサンドリヨンを優しく包むかのように抱き締め、サンドリヨンに一言伝えた。

















































サンドリヨン「『生まれてくれて、ありがとう』」

 その言葉とともにサンドリヨンは走るスピードをあげる。

 忘れていた言葉を、失っていた想いを、消えかけた誓いを思い出させてくれた母親の言葉を二度と忘れないように心に抱いた。


 これで終わり! 感想やコメントOKです!!