二次創作小説(新・総合)

変隊創設者と心と拳 ( No.280 )
日時: 2017/09/15 19:27
名前: トクマ


 お待たせしてしまってすいませんでしたァァァァァァ!!(ドリフト土下座)

月曜日更新の予定が金曜日になるとは……これから少しずつ月曜日更新に直していきます……え?なんで月曜日更新なのかって? なんかジャンプっぽくていいじゃない?

 え、気のせい? ……ですよねー。

 さてさて、余談はここまでにして、始まり、始まり〜。



 


 サンドリヨンがアシェンプテルと再び邂逅する前、サンドリヨンを向かわせる為に戦ったトレ子の場面へと変わる。

トレ子「あれ? もう終わりですか?」

 トレ子が襲いかかってきたヴァイス達に聞こえるように言うも、返事はない。

 何故ならそこは、死屍累々だった。

 赤い水溜まりに顔からうつ伏せに倒れたナイトメアキッド、力なく倒れるシャドウアリス、縄で縛られた意識がないデスフック、そして息を切らすヴァイスがいた。

ヴァイス「……クソが……」

 肩で息をするヴァイスがトレ子を睨みながら口から言葉を紡ぐ、腹から絞り出したような怨嗟に近い声がトレ子に這いよる。

ヴァイス「テメェ……す……し……は……







































 ……少しは……マジメにやれやァァァァァ!!」

 キレるように言ったヴァイスの言葉にトレ子が首をかしげた。

トレ子「何がですか? マジメにやってますよ?」
ヴァイス「あれがマジメなら、全国の常識人に土下座して謝ってこい!!」

 そう、我々は彼女が――トレ子が変態ならぬ変隊だと言うことを忘れていた。

 開幕にナイトメアキッドとデスフックが連射のスキルを発動し、トレ子に弾丸の雨が襲いかかる……ハズだった。トレ子は襲いかかる弾丸をキタキタ踊りで避けながら接近し、デスフックとナイトメアキッドを瞬く間に亀甲縛りして身動きを封じた。そしてシャドウアリスに向かって縛ったデスフックを投げ、そして桃白白よろしくその上に乗って突撃。

 直撃して仰向けに倒れたシャドウアリスの上に馬乗りし、トレ子はマッサージを始めた。的確なツボ押しと絶妙な力加減で妙に生々しくて色気ある苦悶の声を出すシャドウアリスにナイトメアキッドは脳のキャパシテイが超えて鼻血を出して気絶、それに続いてシャドウアリスも戦意喪失。

 そして自分だけになったヴァイスは切り札のワンダースキル――【ホワイトシャドウ】を発動。

 動きが素早くなったヴァイスがトレ子に向かって走り、トレ子も向かって走るヴァイスに合わせて走る。すれ違い様に交差し、着地する二人だが、目立った外傷はどこにも見当たらない。

 ヴァイスの服装がメイド服じゃなければの話だが……

 その後はある意味でトレ子無双だった。トレ子の姿が目の前で消える度に自身の服装がチャイナ服、婦警、浴衣、バニーガール、セーラー服、ゴスロリ、サンバ衣装、ナース服等々に変わるという謎の恐怖に震えながらもトレ子に攻撃を繰り返すヴァイス。

 トレ子はその攻撃を軽々と避けながら自前のカメラで撮影する。

 亀甲縛りで倒れるデスフック、顔を赤くしながら虚ろな目で陸に打ち上げられた魚よろしくビクンビクンと全身が痙攣してるシャドウアリス、自身が生み出した鼻血の水溜まりにうつ伏せで倒れるナイトメアキッド、スカートを押さえながらトレ子を睨むヴァイスとその様子にご満悦なトレ子。

 あえて言おう、カオスであると!

トレ子「早速、コレを元手に写真集を作るとしますか……今秋発売カミングスーン!」
ヴァイス「コロス!!」

 トレ子の発言に殺意をたぎらせて襲いかかるヴァイス。トレ子はニコニコと布面積が小さい水着を取り出そうとした瞬間――

大聖「その辺にして貰おう」

 ――頭上から何かが落ちてきた。

 突然の事に上に舞い上がる砂煙から離れるトレ子。警戒している内に砂煙が薄くなる。姿を現したのは美猴を軽々と倒した金色の大猿――大聖が気絶したヴァイスを支えていた。

 その様子を見て、トレ子が大聖に口を開いた。

トレ子「リンさんの言っていた味方とは貴方ですね……ならば納得できます」

 その言葉に大聖は動きを止め、トレ子を威圧しながら怪訝な表情で見つめる。

大聖「……何故言える?」
トレ子「敵ならば、わざわざヴァイスさんを気絶させる必要はないですからね……それに、貴方から殺意はおろか敵意がない。大方、暴走しようとしたヴァイスを止めるだけだったんでしょう」

 しばらく張り詰めた空気が流れ、大聖が威圧感を放つのをやめる。その表情に敵意はなく、友好的だと一目でわかった。

大聖「……昔に比べ、汝は変わったな」
トレ子「いやいや、変わりませんよ」

 何かを思うような目でトレ子を見て、その様子をトレ子は笑いながら否定する。

 その後、ヴァイス達を動けないように縛って大聖はトレ子に今回の件について説明した。

大聖「汝の言う通り、我はリンともう一人の三人でアシェンプテルを止めようとしたのだ」
トレ子「では、美猴さんを止めたのもその一つなんですね」
大聖「然り。昔の我は血の気が多く、暴れられたら計画に支障が出てしまう。手荒でも奴自身が安静を忠告される程の怪我を与えれば暫くは足止めが出来ると判断した」

 トレ子の質問に答える大聖だが、不意に表情を暗くする。

大聖「しかし、我の考えが甘かった。アシェンプテルは我の考えを越える力をいつの間にか身につけ、もう一人の自分の力を奪ってしまった」
トレ子「……どういう意味ですか?」

 大聖の言葉に疑問を持つトレ子。その様子を見て大聖は答える。

大聖「あの女人の力に空間移動はない。我等はおとぎ話の住人……力を持っても自身の物語に関する力しかない」

 その言葉にトレ子はハッとした表情を見せた。確かに、トクマ達から聞いた話ではアシェンプテルは黒い炎による空間移動を行った。しかし、シンデレラの物語にはその炎を使った経緯など全くない。移動能力はあってもスキルによるスピードの上昇、馬車による移動のハズだ。

 ……なにやらきな臭いですね……

 仄かに匂う怪しさに少ししかめるトレ子。

大聖「……あの女人はもう、止められない。己の身体が崩れるまでその手にある刃を振るい続ける」
トレ子「大丈夫です。止められますよ」

 大聖の言葉に間髪いれずトレ子は答え、その様子に大聖は怪訝な表情になる。

大聖「……それは女人としての勘か? それとも、昔の主としての勘か?」
トレ子「すいません。昔の私は黒歴史に近いので出さないでくれませんか? それにどちらも違いますよ」

 その言葉にますます怪訝になる大聖。

トレ子「おや、大聖さんは知らないのですか……」

 その様子を見てトレ子はクスクスと笑って答えた。

トレ子「『恋する乙女に不可能はない』って事ですよ……さて、行くとしましょう」

 ファイター達に連絡をいれてからトレ子は大聖とともにとある場所に移動を始めた。向かうのは、トクマとサンドリヨンがいる砂浜。


 まだ続くよ。コメントはまだ!

変隊創設者と心と拳 ( No.281 )
日時: 2017/09/15 19:36
名前: トクマ


 一方、砂浜ではサンドリヨンと邂逅したアシェンプテルが睨みあっていた。

アシェンプテル「何しに来た。サンドリヨン」

 サンドリヨンが来た目論見がわからず、アシェンプテルは問いかけた。

サンドリヨン「貴女を止めに来ました。アシェンプテル」

 その言葉にアシェンプテルは理解できなかった。

アシェンプテル「止めるだと……この私を……力も……仲間もいない……貴様が……フフフ……フフ……ハーハッハッハ!!」

 その言葉にアシェンプテルは笑った後、手を軽く払うとサンドリヨンは後ろに飛ばされて壁に激突した。

サンドリヨン「ぐっ!」
トクマ「サンドリヨン!!」
アシェンプテル「笑わせるな。なんの力も持たないお前に私を止められるハズがない」

 立とうとするサンドリヨンに駆け寄るトクマ。アシェンプテルは立ち上がろうとするサンドリヨンを軽蔑の視線で淡々と冷徹に言い放つ。

アシェンプテル「その減らない口と共に息の根も止めてやろう……貴様はここで終わりだ」
サンドリヨン「終わりません」

 ガラスの剣を向け、サンドリヨンを睨むアシェンプテルをサンドリヨンは答えた。

サンドリヨン「私は、ここで、まだ、終わりません」
アシェンプテル「……?」

 足が、声が、心が恐怖に震えてるハズなのに視線を逸らさないサンドリヨンをアシェンプテルは頭に疑問符を浮かべる。

 ……クリスタルを通して見たこいつの記憶ではこの状況を覆す手立てはない……よしんば出来たとしても逆転は無理なはず……なのに……何故私はこの女を警戒しているのだ?

 なんの力を持たない目の前の自分に自身が警戒していることに謎が埋め尽くす。その様子を知らないサンドリヨンはアシェンプテルに向かって話始めた。

サンドリヨン「……私は、スマッシュブラザーズの皆さんを置いて遠い所へ行こうとしてしまったことがあります。後悔があった、どうしようもないことだと諦めて達観したつもりになっていた……でも、一人の人物に気付かされました……私を取り戻そうとして大喧嘩して……情けない話だけど気づかされた、後悔していたって……みなさんのところへ帰りたいって」
トクマ「……」

 サンドリヨンの言葉をトクマは静かに聞いていた。彼の頭に過るのは自分とサンドリヨンがまだ、今ほど仲良くなかった時の記憶……彼女がまだトクマを嫌っていた時の記憶。

サンドリヨン「居場所は、一人では出来ません。友達でも、家族でも、そこに誰かがいるから居場所になるのです……私は貴女に力を奪われ、そんな大事な事も忘れていた」

 サンドリヨンの頭にも浮かび上がったのはあの日の記憶。あの日ほど自分の気持ちをさらけ出して大喧嘩したのは初めてだった……そして、自分の過ちに気付いた日でもあった。

サンドリヨン「何故でしょうか……そう思うと……不思議と胸の奥が温かくなります」

 そう言って静かに自分の胸に手をあてるサンドリヨン。気のせいかか薄く白い輝きがサンドリヨンの身体から溢れ出てるように見える。

アシェンプテル「……!」

 いや、気のせいではなかった。サンドリヨンの一つ一つの言葉に共鳴するかのように白い光がサンドリヨンの身体から溢れ出ていた。

サンドリヨン「そして、思い出した……忘れ去られても……私が帰って来ることを信じて待っててくれた人がいる……」

 少しずつサンドリヨンから放たれる白い輝きが強くなる光景にアシェンプテルは戸惑った。

 ……何があったのだ……なぜ……!?

 目の前の受け入れがたい出来事に狼狽えるアシェンプテルだが、自分の身体も白く光っている事に気付いた。サンドリヨンの記憶を奪ったクリスタルがサンドリヨンに反応して光輝いていた。

 ……まさか……ヤツの想いと奪った記憶が共鳴しあっているというのか……!

 自分にとって最悪の事態を予感したアシェンプテルは起こる前に素早く移動してサンドリヨンに凶刃を振るった。

トクマ「……少しは……黙って、聴いたらどうだ?」

 ギリギリで反応したトクマがアシェンプテルの攻撃を受け止めた。剣先が目の鼻と先にあると言うのに決して逃げようとしないサンドリヨンの様子にアシェンプテルはようやく自身が恐れた理由を理解した。

サンドリヨン「もう、私は逃げません。退きません。離しません! もう、なくしたくないから!! 失いたくないから!!」

 サンドリヨンの言葉に先程より光が強くなり、記憶も共鳴してアシェンプテルの身体が強く輝き始まる。

サンドリヨン「それが、他の誰でもない、私の――」
アシェンプテル「やめろォォォォ!!」






































サンドリヨン「――サンドリヨンの心です」

 瞬間、アシェンプテルの身体から純白の光が弾け飛び、その衝撃でアシェンプテルが吹き飛ばされ、光はサンドリヨンの方へと吸収されるように集っていく。

 光に包まれたサンドリヨンに変化が起きた。服装が白いドレスへと変化し、脚にガラスのブーツ、両手には空のように青く透き通ったガラスの双剣が握られた。

トクマ「……綺麗だな」

 サンドリヨンの姿に思わずトクマは呟いた。

アシェンプテル「……認めない……」

 腹の底から呟くような声にトクマが振り向くと吹き飛ばされたアシェンプテルがトクマとサンドリヨンを睨んでいた。

アシェンプテル「……認めてなるものか……私は負けない! 今更あの生活に戻るわけにはいかない! 貴様とその男を消し、今度こそ居場所を取り戻す!!」

 殺意を周囲に撒き散らして赤いガラスの双剣を構えるアシェンプテル。その様子にサンドリヨンはトクマに話しかけた。

サンドリヨン「……トクマさん」

 サンドリヨンの声にトクマは静かに耳を傾けた。

サンドリヨン「どうか、貴方の勇気を私にください」

 サンドリヨンの言葉にトクマは後頭部をかき、軽く息を吐くとサンドリヨンに言った。

トクマ「頑張れ、サンドリヨン!」
サンドリヨン「はい!」

 トクマの一言に微笑みながらサンドリヨンは返事し、魔力を溜める。両者に魔力がうねりをあげ、強い風が舞い始めた。

アシェンプテル「“ぶとうかい”の主役は誰か、知りたいか?」

サンドリヨン「苦難を超え、栄光の時を刻むのは今!」

 詠唱が始まる。それは、自身を表す物語。それは、因果を示す物語。それは、運命を辿る物語。

アシェンプテル「覚悟なき者に、栄光は決して訪れない!」

サンドリヨン「未来へ通じる道を、私は切り開く!」

 黒のドレスと白のドレスが風ではためき、銀の髪と金の髪が揺れ、赤のガラスと青のガラスが光に反射する。似て非なる二人のシンデレラが己の心を示す為に言の葉を紡ぐ。

アシェンプテル「時は今、運命とともに動き出す」

サンドリヨン「運命は、ここから廻り始める」

 魔力の奔流ほんりゅうが躍り狂うように激しさを増し、徐々に二人の元へと収縮していく。

アシェンプテル「今こそ聞け! 終末の鐘の音を!!」

サンドリヨン「刻め、十二の旋律……シンデレラストーリー!」

 そして、二人が丸いガラス玉のような結晶に包まれ、割れると同時に二人から膨大なエネルギーが溢れていた。

 自身の攻撃力を上げ、常時回復の恩恵を得て立ちはだかる者を体力の続く限り斬り伏せるアシェンプテルのワンダースキル――ロードオブプリンセス。

 自身の攻撃を変化させ、自分を含む味方を回復して共に戦うサンドリヨンのワンダースキル――タイムオブプリンセス。

 孤独と共有。独立と共存。相反する同じ自分が、同じシンデレラが互いの手に握る剣を構える。

アシェンプテル「十二時の階段など、貴様には無意味だ……教えてやる。砕け散れ! 光と共に!」

サンドリヨン「さぁ……踊りましょう」

 最後の戦いが、始まった。


 まだ続く! コメントはまだ!!

変隊創設者と心と拳 ( No.282 )
日時: 2017/09/15 19:48
名前: トクマ


 ……まるで、踊っているようだ。

 その戦いを見守っていたトクマが思った第一印象はそれだった。

 アシェンプテルが繰り出す斬撃をサンドリヨンは紙一重で避け、不規則な動きをする攻撃を放ち、アシェンプテルはその不規則な動きをクリスタルを吸収した際に見たサンドリヨンの記憶を元に予測して避けて斬撃を放つの繰り返しであった。

 一見、打つと避けるの繰り返しだが、相手の攻撃を二手三手先を読んで攻撃を振るう二人の姿が踊っているように見え、トクマはその様子に目を奪われていた。

 だが、サンドリヨンが若干アシェンプテルの攻撃に押されていた。そしてアシェンプテルの放った斬撃がサンドリヨンをとらえた。

サンドリヨン「まだまだ……! まだ負けません!」

 しかし、サンドリヨンはすぐに体勢を整えて回復スキル――アッシュヒールを唱えてアシェンプテルにもう一度向かう。

アシェンプテル「また時間稼ぎ……! 消えろ! 消えろ消えろ! サンドリヨン!」
トクマ「……」

 ……サンドリヨンのワンダースキルのおかげで回復はできた……助力はできるけど恐らく本人は望んでいない……オレができる事はただ一つ……この戦いの終わりを見届ける事だ。

 サンドリヨンのワンダースキルで回復したが、自分が出る訳にはいかないと判断したトクマはサンドリヨンが勝つことを信じて堪えた。

アシェンプテル「何度立ち上がろうが、何度も来ようが同じだああああ! 舞踏会の主役は貴様ではない! この私だああああ!!」
サンドリヨン「ワンダースキルに加え、スキルでさらに強化を……近付けない!」

 アシェンプテルの攻撃がさらに激しさを増し、捌ききれないサンドリヨンの身体に斬撃が斬り刻まれていく。

 不利と見たサンドリヨンはなんとか考えようにも、足場が砂でいつものスピードが出せない状況に押されていく。

 このままではジリ貧のサンドリヨン。しかし、彼女に一つの策が思い浮かび、賭けとして勝負に出た。

アシェンプテル「ふん、そんな小細工……効くと思ったか? そんなチマチマした攻撃、ロードオブプリンセスで回復できる!」

 蛇行するように動くサンドリヨンの攻撃を避け、確実に届く距離に近付いたアシェンプテルが剣を振り上げる。

アシェンプテル「終わりだ! 煌めき貫け……」

サンドリヨン「……かかりましたね。アシェンプテル」

 瞬間、アシェンプテルの足元から大きな衝撃が襲った。

アシェンプテル「な!? グァア!!」

 大きく飛ばされたが難なく着地し、サンドリヨンを探すも砂煙で見えなくなっている。

 ……自身の攻撃を地面に潜行させていたのか……しかし、サンドリヨンの記憶にはそんな戦い方はなかったハズ……まさか……

アシェンプテル「……模倣したのか」

 自分に抗うために戦闘スタイルを切り替えたサンドリヨンに驚きながらアシェンプテルは周りを警戒すると、前後からサンドリヨンの攻撃が挟み撃ちの形で襲いかかった。

アシェンプテル「その程度の攻撃、効くと思っ――!?」

 アシェンプテルは避けようとした瞬間に身体が鉛のように重くなった。突然の事にアシェンプテルは固まってしまい、前後から来た攻撃をまともに受けてしまった。

アシェンプテル「がぁ!!」

 大きなダメージを受けてしまい、動こうにも予想より重い身体を引きずるように動かすには至難だと判断したのかアシェンプテルは移動速度を上げるスキルを唱えようとした。

サンドリヨン「アシェンプテル!!」

 サンドリヨンが大きなダメージを受けたアシェンプテルを畳み掛けようと駆け出した。

アシェンプテル「……バカが! 貴様の企みはお見通しだ!」

 スキル詠唱はフェイクでサンドリヨンを誘き寄せる為の罠だった。アシェンプテルは素早くサンドリヨンの双剣を狙って斬撃を飛ばした。

 斬撃はサンドリヨンの両手に持つ双剣に当り、サンドリヨンの双剣は後ろに弾き飛ばされてしまった。

アシェンプテル「もらった!!」

 攻撃を防ぐ手段もなく、避けるには近すぎる距離まで近付いてしまったサンドリヨンの首を狙ってアシェンプテルは斬撃を放った。

 斬撃はサンドリヨンの首を、命を刈り取る断頭台の刃のように空気を斬って進んでいく。

 サンドリヨンはその斬撃を――















































 ――左手で殴って相殺した。

アシェンプテル「なんだと!?」

 まさかの行動に驚愕するアシェンプテル。サンドリヨンの左手は赤黒い血が止まることなく流れ、サンドリヨンはアシェンプテルをまっすぐに見つめ、一歩ずつ進みながら口を開いた。

サンドリヨン「アシェンプテル……いえ、アシェ……貴女は私から居場所を望む想いは私の強さを凌駕しています……ですが、一つだけ私にも貴女に譲れないモノがあります……」

 服も身体も満身創痍のハズなのに倒れようとしないサンドリヨンの姿にアシェンプテルは気圧されている。その姿は騎士そのものであった。

サンドリヨン「『私が勝つと信じて待ってくれる人がいる』……本当なら援護したい所を私自身が決着を着けるべきだと判断し、耐えてくれているんです……居場所がない私を信じて……帰って来てくれると信じて……だったら、その想いに答えたいじゃないですか」

 そう言ってサンドリヨンは右手を握りしめ、駆け出した。

サンドリヨン「……だから……私は答えます!!」
アシェンプテル「おのれ……! おのれえええええええええ!!」

 砕けないサンドリヨンの心にアシェンプテルは業を煮やし、今までより多くの斬撃を飛ばし始める。

 刃の嵐がサンドリヨンの左手、右足、太股、脇腹、右腕、頬、左腕、腹部、胸部を斬り刻む。

 そして、斬撃がサンドリヨンの眉間に当たった……当たってしまった。体勢を崩し、前のめりに倒れようとするサンドリヨンを見て薄ら笑いを浮かべるアシェンプテル。

トクマ「――――!!」

 勝利を確信したアシェンプテルだが、トクマは声をあげた。その時の声はアシェンプテルの耳には聴こえなかったが、サンドリヨンには届いた。

 倒れようとする前に傷だらけの足を前に出して倒れるのを防ぎ、そのまま前に進んだ。

 そんな気力があることに驚くアシェンプテル。

 額から血を流しながらも、サンドリヨンはアシェンプテル見据えて強く握った右手を振りかぶる。

サンドリヨン「受け取りなさいアシェ……これが、私のこころです!!」

 サンドリヨンの拳が、アシェンプテルに突き刺さった。




 次回、最終話。

 『私と俺とシンデレラ』


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