二次創作小説(新・総合)

私と俺とシンデレラ ( No.288 )
日時: 2017/09/22 21:46
名前: トクマ

 皆さま、お待たせ致しました。

 あとがきにて語らせて頂きますので、多くは語りません。

 それでは、どうぞ。




 メキキ、サンドリヨンの拳がアシェンプテルに深くめり込む。

サンドリヨン「ハァァァァァァ!!」

 血だらけの拳に力が入り、アシェンプテルを残っている力を絞り出して殴り飛ばした。殴り飛ばしたアシェンプテルはそのまま地面に倒れ、立ち上がるそぶりを見せない。

サンドリヨン「……これで……やっと……」
トクマ「おつかれ、サンドリヨン」

 血の流しすぎで倒れようとするサンドリヨンを支えるトクマ。その顔には安堵の表情が滲み出ていた。

トクマ「たく、無茶しすぎだって」
サンドリヨン「すいませ――」
トクマ「謝るより早く治療しろ。終わったのに出血多量で倒れちゃ笑い話にもならねぇよ」
サンドリヨン「――はい」

 謝ろうとするサンドリヨンに回復スキルを使うように言うトクマ。サンドリヨンはその姿に少しだけ笑みをこぼしながら回復スキルを発動する。

?「――…――」
トクマ「ん?」

 ふと、何かの声が聞こえた。周りを見渡しても何もない事に首を傾げる。

?「――…――……――」
サンドリヨン「何か、聞こえますね」
トクマ「サンドリヨンもか?」

 サンドリヨンが疑問の声をあげる所を見て、気のせいじゃない事を認識するトクマ。

?「――……! ……――…!」
トクマ「どんどん近付いてくるぞ」
サンドリヨン「これは……上?」

 徐々に大きくなる声に警戒するトクマ。声の出所が上だとわかって見上げるとそこには――


















































シュネー「お姉さまァァァァ!!」

 ――シュネーがこっちに向かって落ちてきた。

 まさかの出来事に固まるトクマとサンドリヨンだが、ハッと意識を戻して慌てる。

トクマ「ギャァァァァァァ!!」

 慌てているトクマとサンドリヨンめがけてシュネーが落下。あまりの衝撃にトクマは悲鳴をあげ、砂煙が周りを包んだ……そして、サンドリヨンの後ろから何かが近付いて来た。

シュネー「お姉さま大丈夫でイヤァァァァ!! 血だらけぇぇぇ!? それに服や髪がボロボロ、こうなったら私が手入れ(意味深)をするべきで――」

 近付いて来たのは、落ちてきたのに何故か無傷のシュネーだった。マシンガントークのごとく語るシュネーが両手を怪しくワキワキと動かしながらさらに接近する……目がキュピンと謎の擬音を鳴らして輝いたり、欲望に満ちた笑みなんて見せていない。

 近付こうとしたシュネーの頭を誰かの手が掴んだ。

トクマ「落ち着けバカ」
シュネー「……黙れ超バカ」

 シュネーの落下の衝撃で身体に砂埃が着いたトクマが静かに怒りながらアイアンクローでシュネーを制止し、シュネーもトクマに気付いてケンカ腰になる。

 一触即発の二人にハラハラするサンドリヨン。すると上から絨毯が降りてき、ロビンとジーンがサンドリヨン達の前に現した。

ロビン「お二人とも、大丈夫ですか」
ジーン「まさか、『降りるより落ちて行く』って言って無事とはな」
サンドリヨン「ロビンさん……えと……」
ロビン「紹介します。彼はジーンです」
ジーン「取り合えずお宝ちゃん寄越せ」
トクマ「紹介の第一声がたかり!?」

 躊躇なく言うジーンに思わずツッコミをいれるトクマ。するとトクマの腰にある斧――ハストゥールの鍵を驚く表情を見せた。

ジーン「おいおい、そいつはハストゥールの鍵か……それ要らないなら俺にくれないか?」
大聖「やめといた方が身の為である」

 ジーンの言葉を音もなく訪れた大聖が忠告し、いつの間にかいた大聖に全員が武器を構えて警戒した。しかし、トクマとシュネーは大聖の背中に隠れていたトレ子を見て驚いた。

大聖「まさか、汝の言う通りとはな」
トクマ「な、こんな時に大聖……とトレ子ぉ!? 何でお前そっち側なの!」
トレ子「安心してください。裏切ってませんよ」
大聖「然り。我は投降したのだ」

 倒れているアシェンプテルを見て驚きを隠さない大聖、それよりも大聖が投降してきた事に驚くトクマ達。

シュネー「投降ってどんな経緯があって……」
トレ子「簡単に言うとキタキタ踊りして亀甲縛りし、桃白白からマッサージで写真撮影です」
トクマ&シュネー「恐ろしいぐらい全くわからない!!」

 トレ子の説明に頭を抱えるトクマとシュネー。

大聖「それに、まだ終わりではない」
トクマ「……? ッ!?」

 大聖の言葉に首を傾げる瞬間、トクマ達の背後から冷たい威圧感が襲った。自分達の後ろには一人しかいない……あり得ないと思いながらも振り返るとそこには……

アシェンプテル「……」

 幽鬼のごとく佇むアシェンプテルがいた。

トクマ「な!?」
シュネー「ウソでしょ……もうボロボロなのに……!!」

 見ただけで恐れを感じるアシェンプテルの姿に震えるトクマとシュネー。すると大聖がトクマ達の前に立った。

アシェンプテル「……何故、裏切ったのだ……大聖……メロウ……」
トクマ「……メロウ? 誰だそいつ?」
大聖「少なくとも、汝は会っているぞ」
トクマ「は? それって――」

 アシェンプテルと大聖の言葉に首を傾げようとした瞬間にトクマ達の近くで大きな水柱が立ち、その水柱から青い肌の人魚――メロウが現れ、トクマは驚きの声をあげた。

メロウ「また会ったわねボウヤ……上着、返すわね」
トクマ「あァ!? お前はあの時のファミレスにいた痴女!!」
シュネー&サンドリヨン「チジョ!?」

 上着を受け取ったトクマの発言に驚くサンドリヨンとシュネーだが、大聖は気にせず説明する。

大聖「メロウには、汝とサンドリヨンの監視及び護衛を頼んでいたのだ」
サンドリヨン「もしかして、アシェの動きが急に悪くなったのわ……」
メロウ「私のスキルよ……ごめんなさいね」

 サンドリヨンが前後のはさみ撃ちによる奇襲でアシェンプテルの動きが急に遅くなった事を思い出し、二人の勝負に手を出した事をメロウが謝る。

アシェンプテル「何故……何故なんだ……」
メロウ「……アシェ、もうやめましょう……私達はやり方を間違えた……またゼロから始めましょう」
アシェンプテル「……私は……また……」

 どこか悲哀があふれる目になるアシェンプテルを黙って見つめるトクマ達。

サンドリヨン「……」
トクマ「……サンドリヨン?」
シュネー「お姉さま!」

 ただ、サンドリヨンが一人でアシェンプテルに近付いて行く。一人で進むサンドリヨンに戸惑うシュネーだが、サンドリヨンはあっという間にアシェンプテルの前に立った。

サンドリヨン「……」
アシェンプテル「……サンドリヨン……」

 サンドリヨンに気付いたアシェンプテルだが、襲いかかろうとしない様子を見せない。念の為にトクマ達は警戒する。

アシェンプテル「お前を見た時は驚いたぞ。まさか私と同じ人間がこの世に存在するなんてな……」
サンドリヨン「……私もです」

 アシェンプテルの言葉に素直に返すサンドリヨン。するとアシェンプテルが赤いガラスの剣をサンドリヨンに手渡す。

アシェンプテル「……充分だ……私を斬るがいい」
サンドリヨン「……それは……」
アシェンプテル「……ああ、もう一度同じ事が起こらぬように元を絶つべきだ。貴様とて初めてではなかろう……敗者に情けはいらない……」
メロウ「……アシェ!」

 アシェンプテルの遠回しの言葉に慌てるメロウ。しかし、トクマはメロウの肩を掴んで制止する。

トクマ「……大丈夫」

 その言葉に不安な表情を見せるメロウ。サンドリヨンはアシェンプテルからガラスの剣を受け取り、そのまま近くの地面に突き刺した。

サンドリヨン「……大聖さん、彼女を運ぶのを手伝ってください。館で治療します」
アシェンプテル「甘ちゃんめ……情けは要らないと言っただろう!」
サンドリヨン「何とでも言ってください! 私は貴女を助けたい! 貴女ともっと話がしたい! これは情けではありません! 私の個人的なワガママです!!」
アシェンプテル「なっ……!?」

 アシェンプテルが声を荒らげるもサンドリヨンが威圧するかのように答える。

ジーン「だが、コイツはお前の命をまた狙うんじゃないのか?」
サンドリヨン「いいえ。直感ですが間違いない。私には分かる! 彼女は偽物でも、悪に染まった私でもありません! 私と同じ運命を歩んだ全く同じシンデレラなんです!」
アシェンプテル「お前、何を言って……?」

 サンドリヨンの言葉に疑問を持つアシェンプテル。

サンドリヨン「両親を失った貴女は継母達に居場所を奪われ灰かぶりにされた事がずっとトラウマになっていた。私を殺そうとしたのはまた同じように自分だけの居場所を奪われると思ったから。違いますか?」
アシェンプテル「止めろ……」

 サンドリヨンの言葉にアシェンプテルの表情に変化が起きる。

サンドリヨン「他を寄せ付けないその戦闘スタイルも、己の居場所を守る為に自然とその型になっていった」
アシェンプテル「もういい、止めろ……」

 少しずつだがアシェンプテルの表情に怒りが込められていく。

サンドリヨン「私だって昔は彼女らを恨んでいた。私も貴女と同じような物語を歩んでいたかもしれません」
アシェンプテル「止めろ! 他人の事を知った風に言うな! お前に何が! 私が受けた地獄のような日々の何が分かる!」

 激情に任せて吠えるアシェンプテル。その様子を見たサンドリヨンが近付く。

サンドリヨン「知ってます。ほとんど……いえ、全て。何もかも。手に取るように全部分かってます。だって……」

 そして、アシェンプテルを抱き締めた。

アシェンプテル「……!?」
サンドリヨン「貴女は他人なんかじゃない。私と同じシンデレラなんですから」

 ……暖かい。

 サンドリヨンから感じる体温に、アシェンプテルはいつの間にか忘れていたモノを思い出した。

 居場所を求めていた自分の周りには、メロウの他にも仲間がいたことを……手を握ってくれたぬくもりを忘れていた事を……

アシェンプテル「あ……ああ……!」
サンドリヨン「貴女もさぞ苦労したのでしょう? でももう大丈夫です」

 まるであやすかのように背中を軽く叩くサンドリヨン。その様子はまるで、幼い子供を慈愛深く抱き締める母親だった。

アシェンプテル「サンドリヨン……! うわああああああああああ!」
サンドリヨン「もう悪夢は全て終わったのです……今更縛られる必要なんてありませんよ……」

 人目を気にせずに泣くアシェンプテルをサンドリヨンは優しく受け入れた。その様子にロビン達は警戒を解く。

ロビン「何故、ガラスの姫君はもう一人の自分を知っているのでしょうか?」
ジーン「恐らくだが、クリスタルがサンドリヨンの記憶を奪う際にサンドリヨンはアシェンプテルの記憶を見せられたんだと思う」
大聖「……そんな事がありうるのか?」
ジーン「普通はねぇだろうな……だが、アシェンプテルはサンドリヨンのアナザーキャスト……もう一人の自分だからこそ出来た事かも知れねぇ」
シュネー「そんな難しいものじゃないですよ……お姉さまは……」
トクマ「……強いな……本当に……」

 白いシンデレラと黒いシンデレラの抱き合う姿にトクマ達は短いようで長かった戦いが終わりを迎えた事を感じとった。


 まだ続きます。コメントはまだ。

私と俺とシンデレラ ( No.289 )
日時: 2017/09/21 20:12
名前: トクマ


トクマ「まさか……泣き疲れて眠るとはな……」

 アシェンプテルがサンドリヨンの腕の中でスヤスヤと眠っているのを見て、知らずにため息をこぼすトクマ。

サンドリヨン「彼女は無意識で孤独に戦ってきたのです。緊張の糸が切れたのでしょう」

 サンドリヨンの言葉に渋々納得し、ここから館にどう帰るか現実逃避も含めて考えようとする。

シュネー「そういえば、なんで二人はここにいるのですか?」

 瞬間、トクマとサンドリヨンの寿命が少しだけ縮まった気がした。

 何とか誤魔化そうとトクマはサンドリヨンにアイコンタクトを試みるも彼女も必死でバレないように焦っている。

トクマ&サンドリヨン「…………」
シュネー「……何で黙るんですか?」

 身体から滝のように冷や汗を流す二人に疑惑の目を向けるシュネー。

 ……私が知らない私服……二人の様子……お姉さまから香る知らない香水……この男にしては珍しいおしゃれ……おしゃれ……!!

 そこまで考えたシュネーはピースがぴったりとハマったかのような達成感と嫉妬が身体から溢れだし、槍を取り出した。

シュネー「……なるほど……そういう意味ですか……」
トクマ「……おい、なんでジリジリ寄ってくんの? 怖いわ!! 虚ろ目でゆらゆらと揺れながら近寄ってくんな!! て言うか、なんで槍を構えてんの? え? ちょっと洒落にならないんだけど! ちょ、おま、ヤメロォ!!」

 いつもより恐ろしさを感じるシュネーの様子にビビるトクマ。避けようにも身体の疲労から素早く動けない。

シュネー「さぁ、お前の罪をカゾエロォォォォ!!」

 その言葉とともにシュネーはトクマに槍を突き出した状態で突撃した。このままいけばトクマは串刺しになり、『復讐者串刺し殺人事件〜リンゴは死の香り〜』という謎の火サスが始まってしまう。

シュネー「ぶげら!?」
メロウ「邪魔しちゃダメよ」

 しかし、シュネーの首に何かが巻き付かれ、メロウの手へとシュネーが高速で引きずられていく。半ば急ブレーキのような形だった為、シュネーは衝撃で意識を失う。

トクマ「さ、サンキュー……」
メロウ「良いわよ。アシェを止めてくれた事に比べれば軽い事よ……ボウヤ」

 シュネーから助けてくれたメロウに感謝するトクマにメロウはどこか真剣な目で話しかける。

メロウ「言わなきゃわからない事もあるのよ」
トクマ「……そりゃ、あるだろ?」
メロウ「……ハァ……」

 意図がわかっていない返事をするトクマにメロウはため息を吐いた。

トレ子「それでは、私達は先に戻りますね」
トクマ「あ、オレ達も運んでくれないか」
トレ子「すいません……どうしても二人余ってしまうのでサンドリヨンと二人で何とかして館に戻ってください」
トクマ「いや、誰か呼んでこいよ!」
トレ子「私は忘れっぽいので……では、シュネーさんと二人っきりに――」
トクマ「無理言って悪かった。サンドリヨンと二人で何とかしよう」
トレ子「ご理解ありがとうございます」

 トレ子の言葉に反論するもある意味恐ろしい言葉に屈するトクマ。もしシュネーと二人になってしまったら、今度こそ事件が起きそうである。具体的には火サスのような事件が。

 空飛ぶ絨毯や大聖の筋斗雲で館へと向かうメンバーを見送るトクマと座ったまま海を見つめるサンドリヨン。

トクマ「あいつ、何て言う脅しをかけてくんだよ……」
サンドリヨン「……」
トクマ「……サンドリヨン?」

 ボー、とした様子のサンドリヨンを心配して声をかけるトクマ。その様子に気付いたサンドリヨンは慌てながらも答えた。

サンドリヨン「……いえ……その……終わったんだなと思ったら身体から力が抜けてしまって……」
トクマ「今日だけでも色々あったからな……」

 よくよく考えれば、濃い一日だった……初めはマリオの『デートしろ』命令がきっかけだった。ラーメンとは言えないラーメンを食べたり、ナイトメアキッドと恋罵女の遭遇、ゲーセンや映画鑑賞、海でサンドリヨンが心の内を独白してアシェンプテルの奇襲、アシェンプテルと戦って、和解して、とにもかくにも色々あった事がよくわかった。

トクマ「……てか、お前は無茶しすぎだろ。アシェンプテルの斬撃を殴って相殺するなんて……あれ見た時はヒヤッとしたんだからな」
サンドリヨン「あれは魔力を腕に集中してダメージを軽減したんです……それに、無茶ならトクマさんの方ですよ」

 お互いの言葉に納得いかないのか不満げな表情を見せる二人。

トクマ「いいや、サンドリヨンだ」
サンドリヨン「いえ、トクマさんです!」
トクマ「サンドリヨンだ!」
サンドリヨン「トクマさんです!」
トクマ「サンドリヨン!」
サンドリヨン「トクマさん!」
トクマ&サンドリヨン「…………プッ」

 言いあう事が可笑しかったのか笑う二人。砂浜に二つの笑い声が響く。

サンドリヨン「……トクマさん」
トクマ「なんだ?」
サンドリヨン「貴方が……自身の過去を語ってくれる事を……待っていますからね」
トクマ「……オレの過去なんざおもしろくもないぞ」
サンドリヨン「それでもです……それに貴方は私の過去を知ったんです。私も貴方の過去を知らないと不公平です」
トクマ「どんな理由だよ……帰るぞ」
サンドリヨン「……あの……」

 サンドリヨンの言葉に素っ気なくトクマが答えると、サンドリヨンは申し訳なさそうに返事をする。

サンドリヨン「……身体に力が入らなくて……立ち上がれません」
トクマ「……はぁ……」

 その様子にトクマは仕方なさそうに息を軽く吐き、サンドリヨンを横抱きして持ち上げた。

トクマ「よっこいしょ」
サンドリヨン「……ふぁ!?」

 お姫様だっこで。

 お姫様だっこで(二回目)。

 お姫様だっこで(三回目)。

サンドリヨン「え、あ、あの!?」
トクマ「近くにまだ使えるリアカーが落ちてた。あそこまで運ぶぞ」
サンドリヨン「……このまま館まで運ばないんですね」
トクマ「そこまで行けねぇよ」

 まさかの行動に慌てるサンドリヨンだが、(出来る限り)冷静に答えるトクマに少しだけ残念そうに呟く。

 しかし、館までお姫様だっこでするのは流石にキツいのでは……特に腕が持たない。

 そのままリアカーの方まで歩いていくトクマとサンドリヨンは――

???「もういいかーい?」
トクマ&サンドリヨン「ファら!?」

 ――紫と緑の衣装が目立つ道化師のような格好をした男性に声をかけられて驚いた。その際にトクマはサンドリヨンを落とさないように必死に耐えた。

???「いやー、見てて愉快愉快……何回か『押し倒してしまえ!』と思ったか」
サンドリヨン「だ、誰ですきゃ!!」
トクマ「本当に誰だテメー! 仮面ライダーWのサイクロンジョーカーみたいな配色しやがって……半分こ怪人って呼ぶぞ!」

 煽るように言う道化師に慌てて言ったため噛んだサンドリヨンとケンカ腰になるトクマ。その様子を見た道化師はニコニコと笑いながら自己紹介を始めた。

マグス「マグス・クラウン……その正体は道化か……それとも悪魔か……」

 道化師――マグス・クラウンに固唾を飲むサンドリヨン。トクマはマグスに一言言った。

トクマ「……間を取って変態で」
マグス「却下だ」

 即答で却下されるも気にしないトクマ。彼自身は冗談で言ったようだ……最も、変態だと答えた瞬間に全力で逃走しようと考えていた。

サンドリヨン「……何の用ですか」
マグス「そんなに威圧しても、お姫様だっこされてたらあんまり怖くないよ……戦闘はしないよ。様子見に来ただけだから」
トクマ「……様子見?」

 マグスの様子に警戒するトクマとサンドリヨン。その様子にマグスはニヤリ、と怪しく笑った。

マグス「そう、何を隠そう……アシェンプテルにクリスタルを渡したのは他でもない、この私達さ!!」
サンドリヨン「……な!?」

 まさかの言葉に驚愕するサンドリヨン。トクマも目を点にする。

マグス「彼女に渡し、どのような復讐劇が起こるのか焚き付け、それを観賞していたのさ!」
サンドリヨン「……貴方が……アシェを……!!」
マグス「誤解しないでくれよ。やったのは私ではなく、私の仲間だ……くれぐれも矛先を間違えな――」
トクマ「……おい」

 サンドリヨンに注意するマグスだったが、トクマが横から声――しかし、いつものような声ではなく、感情を削ぎ落とした機械のような声で話しかけてきた。

トクマ「お前がどこの誰で、何しようが勝手にすればいい……モグラ・ブラウンだかマダム・クラムチャウダーだか知らねぇけど勝手に名乗っても構わねぇ……けどよ……“オレ”の琴線に触れるなら話は別だ……」
























































トクマ「テメェ等の息の根ごと“俺”が奪い尽くすぞ」

 冷淡に、冷徹に、冷酷に言うトクマの言葉に固まるサンドリヨン。顔を見ようにも見えず、唯一顔が見えたのは相対してるマグスだけだった。トクマの様子にマグスは先程よりも怪しく、妖しく、不気味に笑った。

マグス「……こいつは怖い怖い。触らぬ神に……いや、邪神に祟りなしとはこの事か」
トクマ「素敵言葉どーも。お礼に末代まで祟ってやろうか?」
マグス「復讐者に……それもハスターの契約者にそれを言われると冗談に聞こえなくて困るな……さっさと去るか」

 声の度合いから本気だと判断したマグスはトクマとサンドリヨンから離れ、まるで手品師の挨拶のように大振りに会釈した。

マグス「それではお二人さん。縁があったらまた会おう」

 ボン、マグスの足元から濃い煙が現れ、マグスの姿を隠して煙が晴れると道化師の姿が影も形もなくなっていた。

トクマ「……マグス……か……」
サンドリヨン「油断できない人物でしたね」
トクマ「……今度こそ帰るとするか……あ、言い忘れる所だった」

 リアカーの元へ歩こうとしたトクマが何かを思いだし、サンドリヨンに話しかける。

トクマ「おかえり、サンドリヨン」
サンドリヨン「はい、ただいま戻りました」

 その様子に、月が笑っていた。


 さぁ、コメントはまだだよ!

私と俺とシンデレラ ( No.290 )
日時: 2017/09/22 18:18
名前: トクマ

 今回から大長編のラストにその物語のイメージとなるBGMを流そうと思います。まだ試験運用のだんかいですが、より楽しんでくれたなら幸いでございます。


BGM:プライド革命


 後日談。今回のエピローグ。

 あの後、アシェンプテル達の処分は保護観察及び長期の無償奉仕である。

 これにはルイージやフォックスが一枚噛んでいるとトクマはゼルダとピーチ姫から聞いた。闇の軍勢に立ち向かえる充分な戦闘能力を持った人材をなくすには惜しいと説得したようだ……まぁ、強情なヤツには時折黒い部分を見せて黙らせたと言う聞きたくない事も聞いてしまったが、そこは余談である。

 ジーンについては簡単に言うと、スマブラ館の一員として転がり込んだ。彼いわく『こっちにいる方がお宝ちゃんに会える確率が高くなる』らしい……現にトクマが持つ武器の『ハストゥールの鍵』を狙っている。

 そして、彼らは何をやっているかと言うと……――

マリオ「マスターハンド。これで良いのか?」
マスター「ありがとう。次はこっちをお願いね」
マリオ「おう」

 メンバー数人で館の壊れた壁の復旧作業をしている。

 何分、トクマとサンドリヨンの二人を見ていたのはメンバー全員だったので修理にあてがうのを忘れてしまっていた。他のメンバーにも未だに壊れている橋の修理に呼ばれ、余ったメンバーで館の壁を修理しているのだ。

大聖「創造神。これはこちらか?」
マスター「そうそう。ありがとうね大聖くん」
大聖「礼に及ばず」

 そこにはアナザーキャストの姿もあるが、殆どのメンバーは早いスピードで馴染んでいった。その中でもリンや大聖、メロウの三人は元々争う気がなかったので仲良くなるのに時間はかからなかった。

ヴァイス「大聖のヤツ。早くも馴染みやがったな」
スカーレット「元々争う気はなかったみたい……ヴァイスも少し素直になったらいいと思うわ」
ヴァイス「断る。馴れ馴れしくするぐらいなら舌を噛み切った方がマシだ」

 ヴァイスはなんとスカーレットと身内だった事から驚かされたが、少しずつ仲良くなっている……口が悪い事を除けばだが……

美猴「……見ねぇ内に仲良くなってやがるな……前までは敵対してたのによ」
リンク「それが俺達だろ……ここはスマッシュブラザーズ……善悪混合、清濁併せ呑みした奇人変人超人集団……たかだか女一人の事情で潰れる程ヤワな奴はいないだろ」
美猴「違いねぇな」
深雪乃「本当にそうよね!」

 美猴とリンクの話を異様にテンションが高い深雪乃が反応し、その様子に二人は引き気味に少し後退する。

美猴「……おい、雪女の嬢ちゃんが怖いくらいテンションが高いけど何があったんだよ」
リンク「多分、トクマとサンドリヨンの事じゃないのか?」
深雪乃「その通り!!」

 深雪乃の反応にリンクと美猴はさらに後退する。

深雪乃「話を聞くと中々熱い内容だったじゃない! 記憶を忘れてもなおも帰ってくると信じて戦う戦士、その戦士の想いに答える為に走る女騎士、そして最後に二人は……デートをしてただけでも美味しいのにあんな熱いモノを見せられたらたまらないわよ! これはあの二人の仲が急接近間違いなしよ!!」
ルキナ「あの二人が……」
ルフレ「……ねぇ……」

 マシンガントークで熱く語る深雪乃。そして、件の二人に目を向けるルキナとルフレ……その二人は……

トクマ「…………」
サンドリヨン「…………」

 険悪な雰囲気で睨みあっていた。

深雪乃「……え? 何であんなに険悪な空気が流れてるの……まさか倦怠期」
ヴァイス「なわけねーだろ……聞いてて呆れたよ」

 深雪乃の言葉に呆れを含んだ声色で答えるヴァイス。険悪な空気でトクマが口を開いた。

トクマ「……サンドリヨン……お前がどんなに言おうと、オレはこの答えを曲げない」
サンドリヨン「……私もです」

 静かに語るトクマをサンドリヨンは頷く、ただならぬ空気が流れる中でトクマが動いた。

トクマ「ジブリのナンバーワンはもののけ姫に決まってるだろ!!」
サンドリヨン「いいえ、天空の城ラピュタに違いありません!!」

 その言葉に深雪乃は滑るような感じでこけた……そこ、古いと言わないように……

深雪乃「……えぇ……ジブリ討論……」
ヴァイス「心配して損するだけだ」
スカーレット「……ということはヴァイスは一度だけ心配し――」
ヴァイス「黙ってろ……おい、その生暖かい視線をやめろ。やめろつってんだろ!!」
ルフレ「あのアーパー天パが誰かを好きになるにはまだ遠いだろ」

 ため息を吐くヴァイスだが、スカーレットの指摘で数人がヴァイスに優しい目線を向けられ、怖くない威嚇をする……ルフレはトクマとサンドリヨンの様子を見て、思わず呟いた。

トクマ「もののけ姫はアシタカとサンの絡み、そして最後には想いを伝えるシーンとか心を掴まれて良いだろ!!」
サンドリヨン「それなら天空の城ラピュタの方がいいです! 目玉焼きを乗せたトースト、温かいシチュー……この美味しそうなご飯に隙があるとでも思いますか!」
トクマ「隙だらけだよ! 心を掴まれるどころか胃袋掴まれてんじゃねぇか!」
サンドリヨン「……気のせいです!!」
トクマ「口の端によだれが出てるぞ」

 まるで仲の良いクラスメイトのように話し合う二人を見て、苦笑するメンバー達。

美琴「あの二人が恋愛に発展するのは難しいと思うなぁ……進展なさそうだし」
当麻「だよな。どっちかと言うと相談相手みたいなポジションで落ち着きそうだな」
深雪乃「……ワンチャンあるはず……」
シュルク「ないですよ」
シュネー「その通り! 絶対にないです!!」
ピーチ姫「そうとは限らないわよ」

 深雪乃の言葉に笑いながら否定するシュルクと強く否定するシュネーだが、ピーチ姫が待ったをかけた。

シュネー「どういう意味ですか?」
ピーチ姫「理由は簡単……前の二人ではあんな話はしなかったわ」
美琴「言われてみれば、そうね」

 ピーチ姫に言われ、反応する美琴にシュネーは恐る恐るシレネッタに話を聞く。

シュネー「前のお姉さまとあの男はどんな感じだったんですか?」
シレネッタ「前の二人ってお互いが遠慮しあってたかな? そして大喧嘩してから少しだけ近付いて、今回の騒動であんな感じかな?」
シュネー「進んでるじゃないですか!!」
ピーチ姫「Exactly!」

 シュネーの反応に発音よく答えるピーチ姫。

サンドリヨン「と、とにかくラピュタが一番です!」
トクマ「いや、もののけ姫だ!」
アシェンプテル「何をしている……油を売ってないで作業をしろ」

 譲らない二人の前に建設作業用の服装――土木着を着たアシェンプテルが現れ、注意する。

トクマ「アシェンプテル! お前はどっちなんだ!」
アシェンプテル「いや、何がだ」
サンドリヨン「もののけ姫かラピュタ……アシェはどっちなんですか!」

 二人の勢いに押され、アシェンプテルは少し考えてから答えた。

アシェンプテル「……もののけ姫」
トクマ「イエス!!」
サンドリヨン「そんな……!?」

 アシェンプテルの答えに大きくガッツポーズをするトクマと頭を抱えるサンドリヨン。その様子を見て、アシェンプテルは少しだけ苦笑する。

サンドリヨン「……なんで……何でですか!!」
アシェンプテル「普通にもののけ姫のストーリーが好きだからだ」
トクマ「これで2対1だな」
サンドリヨン「……むぅ……」
シュネー「いえ、2対2です!」

 トクマとアシェンプテルの前にシュネーが滑りながら登場した。

サンドリヨン「シュネーヴィッツェン!」
シュネー「お姉さまがピンチなら私は駆けつけます……それに……私は(お姉さまが
)大好きです!!」
サンドリヨン「シュネーヴィッツェン……私も(ラピュタが)大好きですよ!」
アシェンプテル「……おい。何か違和感があるんだが……具体的には食い違いが……」
トクマ「いつもの事だから気にすんな」
アシェンプテル「いつもなのか!?」

 何故か百合空間が展開されて戸惑うアシェンプテルだが、トクマの言葉に驚く。

ゼルダ「みなさん。昼ご飯が出来たので休憩にしませんか?」
ドレディア「ディーアー!」
マスターハンド「時間もちょうどいいね。みんなー! 昼ご飯にしようかー!」
全員「はーい!」

 マスターハンドの言葉に全員が作業を中断して昼食をとろうと動く。

サンドリヨン「いきましょう。アシェ」
アシェンプテル「……あぁ、わかった」
トクマ「……」

 その様子を見てサンドリヨンはアシェンプテルに手を伸ばし、マスターハンドのところまで引っ張っていった。シュネーは後から二人を追いかけ、トクマはサンドリヨンとアシェンプテルを見つめる。

 ……サンドリヨンとアシェンプテル……似て非なる二人だけど一つだけ共通点があった……

 ……“孤独を嫌う”……サンドリヨンは誰かを護る為に孤独を背負いながら戦い、アシェンプテルは居場所を求めて孤独に苦しみながら戦い続けた……

 ……もしかしたら、シンデレラの願いは……本当の願いは王子との結婚でもなく、義理の姉への復讐を果たすことでもなく、ぶとうかいに行く事でもなく……

サンドリヨン「トクマさん! 早く食べましょう!」
アシェンプテル「急がないとなくなるぞ」
シュネー「ドレディアちゃん。これも食べていいですよ」
ドレディア「ディアー!」
トクマ「オレの分をドレディアに渡すんじゃねぇぇぇ!!」

 ……心許せる誰かと一緒に、ご飯を食べる事じゃないだろうか……そう思っても、バチは当たらないだろう……

 そう思いながら、トクマはマスターハンドの所まで走り始めた。

 お茶をイッキ飲みし、喉を潤したトクマにサンドリヨンがよそったご飯を渡した。

サンドリヨン「どうぞ、トクマさん」

 シンデレラは、今日も輝く笑顔を見せていた。


 あとがきがあるので、しばらくお待ちください。