二次創作小説(新・総合)

覚醒・ドルピック島編【三日目】 ( No.94 )
日時: 2016/12/25 00:15
名前: トクマ

 折紙様、詳しい設定ありがとうございます。トーチ様、参加確認いたしました。さてさて、物語もいよいよ佳境! 目指すは今月中にドルピック編を終わらせるぞー!! ……できるかな?

 あ、始まりまーす。







 ……――忘れもしない。

 あの戦いで、アイツに後を託し、黒幕とともに消えていく身体で最後に見た光景。

 ボロボロになりながらも運命を変えられた事の喜び、この先の未来にあるだろう希望への安堵、その希望をこの目で見ることが出来ない悔しさ、そして……――


『―――、―――! ―――!!』


 ――俺の、大切な人達への罪悪感。

 それでも、俺はこれで良かったんだと思う……後悔が無いと言えば嘘になるけど、誰かを救うにはこの選択肢しかなかった。

 そう、思ってたんだが……

 あの戦いから数年後、何もない天界でのんびり空を眺めていたら、ふらりと突然来たナーガに『スマッシュブラザーズに行ってみない?』と勧められた。

 最初は渋ったが先代聖王のマルスにフェレ家のロイ、傭兵団団長のアイクといった英雄に異世界の英雄が来ると聞いて、動かずにはいられなかった。

 俺は二つ返事で了承した。

 それを聞いたナーガは俺に有無を言わさない勢いの転移(という名のかかと落とし)を行った事は一生忘れない。

 ……あの野郎、覚えとけよ……

 怒りに燃えながらも久しぶりに踏みしめる感触がある地面を楽しみながら周りを見渡すと――


『ルフレ、さん』


 あまり見せない驚愕の表情を表すルフルとクロム、壁に背を預けてニヒルに笑う仮面のレーサー、その三人の前に泣きそうな目で俺を見つめるルキナがいた。


 ……ああ……そうか……


 ルキナを見て……色々と言いたい言葉が頭から一斉に消え去ったと同時に胸の中に暖かい何かが満たされていく。


 俺は、知らない間に……


『本当に、ルフレさんなんですね』

『……あぁ』


 ゆらゆらと揺れながら歩いて近付くルキナを俺は静かに、優しく抱きしめた。


『……うぅ……ぐずっ……えぇぅ……ひっく……ぅうぅぅぅぅ…………』


 子どもが感動映画を見た後よろしく泣き始めたルキナを泣き止ますように頭を撫でる。


 ただいま、俺の好きな人。




     [とある魔導師の追憶]

覚醒・ドルピック島編【三日目】 ( No.95 )
日時: 2016/12/23 22:31
名前: トクマ

ギガマック「ウォオオォォォ!」
クロノダイル「■■■■■ッ!」

 激闘。言葉を表すならそれが相応しい程に苛烈な闘いであった。ギガマックへと姿を変えたマックの剛腕がクロノダイルを捉えるが、クロノダイルも負けじと剣となった腕を振るい、マックはそれをスウェーで紙一重に回避する。激しさを増す攻撃の応酬の中でキリトは自分が持つ剣の能力で力と速さを上げながらクロノダイルの足を少しずつ地道にダメージを与える。

 ルフレは地面に何かの魔法陣を描き、当麻とドレディアはクロノダイルの攻撃を警戒している。

クロノダイル「■■■■!」

 クロノダイルがマックから一歩退き、右腕を挙げると紫色の魔力が剣に溜まり始める。

当麻「ルフレ、右腕を挙げたぞ!」
ルフレ「四秒後に斬撃が飛ぶぞ! マックとキリトはヤツの視界から離れ、当麻は右腕の用意!」

 当麻の言葉にルフレは全員に聞こえるように指示すると、四秒後にルフレの言葉通りに斬撃が飛んできた。マックとキリトはその攻撃を避け、当麻がルフレの前に出て左手で無効化する。ガラスが割れたような甲高い音とともに攻撃が無効化される。

ルフレ「トロン!!」

 当麻の後ろからルフレが迎撃する。しかし、攻撃が当たってもクロノダイルは応えてないのか雄叫びを上げる。

ルフレ「……貫通があるトロンでもあまり効いていないな……読み通りだ。反撃を行う! マックと当麻、ドレディアは予定通り頼む!!」
当麻「わかった!」
ドレディア「ディア!!」
マック「オウ!」

 ルフレの返事に全員が同意する。マックがクロノダイルに素早く接近、クロノダイルが左の剣で横に振るうもマックは身体を低くして避けながらクロノダイルの懐に近付いた。

マック「KOアッパーカット!!」
クロノダイル「■■■■■■ッ!?」

 大乱闘においてソレなりのダメージが貯まっている状態で食らえば場外必須のマック固有の必殺技がクロノダイルの顎を捉えた。

ルフレ「『我、闇を繋ぐ者なり。光を捕らえ、汝を封じる線となり、世界を止めることを渇望する。この身を鎖に繋げ、杭を打て、楔を止めよ、されど我は汝を封じる牢となろう!!』」

 クロノダイルがたたら踏み、その隙を逃さずにルフレは詠唱を行って描いた魔法陣を剣で両断した。両断した魔法陣から文字が鎖に変化し、クロノダイルを拘束した。

クロノダイル「■■■■■!!」
ルフレ「力ずくでは壊そうとしても無駄だ。その鎖は俺が持つ魔法の一つである【リザイア】をベースに作った拘束用魔術……威力はないが、お前にとっては充分すぎる効果がある」

 ルフレの不敵な笑みにクロノダイルは自身の変化に気付いた。

クロノダイル「■■!? ■■■!!」
ルフレ「気付いたか……この魔術の動きを拘束する事は副作用に過ぎない、本質は相手の強化した分を奪ってこちらが強化する能力なんだよ。今のお前は少し頑丈なだけの蜥蜴とかげだ」

 自身を強化して戦闘するクロノダイルにとって天敵とも言える魔法に慌てて鎖を引きちぎろうとするも素の状態になった今では抜け出す事も出来ず、その隙を見逃す程ルフレ達は愚かじゃない。

キリト「スターバーストストリーム!!」

 剣の能力で充分な強化とルフレの魔法陣によってクロノダイルから奪った強化分が合わさったキリトの十六の斬撃にクロノダイルは初めて悲鳴をあげた。

 キリトがクロノダイルを斬った胸の部分から黒い本が露出する。

キリト「あれか……ルフレ! お前がサンドリヨンから聞いたコアはあれか!」
ルフレ「そうだ! 後は頼むぞ!」

 ルフレの指示にドレディアは当麻を掴み、そして――

ドレディア「ディィアァァァァ!!」

 ――投げた。ドレディアの見た目とは裏腹の力で投げられた当麻はクロノダイルの胸に浮かぶ本に拳を握る。

当麻「その幻想を……――




























         ――ぶち殺す!!」

 当麻の幻想殺しがクロノダイルのコアである本に触れる。瞬間、本は弾けて灰のように散らばり、クロノダイルが苦悶の声をあげる。

クロノダイル「■■■■■■■!! ■■■――■■―■――……」

 苦しむクロノダイルはそのまま白く発光して消えた。その様子に五人は荒く息をする。

マック「……終わったんだな」
キリト「間違いないだろう」
当麻「目の前で灰になったんだ。終わっただろ」
ドレディア「……アァ」

 自分達の手でやっと倒せたことに安堵の息を吐く。その表情には疲労の色が濃く出ている。

ルフレ「反応も消えてる。さっさとトクマを呼ぶぞ……あいつの方が俺達より過酷な――」

ルフレの言葉が途中で止まり、不思議になる四人。視線は自分達の後ろを向けており、おそるおそる振り向くそこには――





































 ――黒い霞のようなモノを纏った本が浮かんでいた。

全員「……は?」

 呆然とした五人の言葉とともに黒い霞のようなモノは形を形成していく。

 強靭に発達した足、

 恐竜のような尻尾、

 義手のように取り付けられた両腕の剣、

 身体に巻かれた時計、

 そして……ワニの頭部。

マック「おい……ウソだろ……倒したから終わりじゃねぇのかよ!!」
クロノダイル「■■■■ッ!!」

 倒した相手が再生するという誰も予想だにしなかった事態にマックが狼狽える。

 ……予想外だ……まさか、空気中に漂う魔力を吸収して再生したのか!! 灰になったのは効率よく集める為にわざと倒されて!!

ルフレ「……全員、まだ戦えるか?」
マック「限界が近いな」
キリト「同じく」
当麻「俺は大丈夫だ」
ドレディア「ディ、ディア」

 ルフレの質問に答える。マックとキリトは最前線で戦った上に身体に限界がきており、当麻とドレディアは最後に動いただけなのでまだ動ける。

 しかし、ワニの周囲に三体の岩で出来た巨人が召喚された。

当麻「……やっぱ厳しい」
ルフレ「……だろうな」

 当麻の言葉に苦笑いするルフレ。いくら無効化できると言えど複数で攻撃されたら打つ手がない。ドレディアの力でも時間を稼ぐことは出来ても勝つことは出来ない。撤退しようにも彼女を置いていくことはダメだ。

ルフレ「最後まで……足掻いてやるよ」

 身体にムチを打ち、忌々しくクロノダイルを睨むしかなかった。

覚醒・ドルピック島編【三日目】 ( No.96 )
日時: 2016/12/23 22:36
名前: トクマ

 一方、ホテル・ドルフィーノではとある人物達がこちらのスマブラに訪ねてきていた。

マリオ「助かったぜ。ありがとな……ティンニンとマーリン、エリザベス」
エリザベス「はい」
ティンニン「なの、どういたしまして」
マーリン「気にする必要はない」

 No@hさんからアンリとティンニン、折紙さんからエリザベスとメリオダス、マーリンがホテルで治療を必要とするメンバーの治療に来てくれたのだ。

アンリ「他の方の治療も終えました。いつでも動けます」
アリス「私、復活!!」
ピーター「元に戻ったぜ!」
吉備津彦「迷惑をかけてしまったな」

 別室で治療していたアンリも完治したピーター達を連れて現れた。

マリオ「おれの所は回復系統少なくて助かるなー」
ルフル「速く兄様達の所へ急ぎましょう。あのワニと戦っています」
ルキナ「ルフレさんが!?」
マリオ「その前に、一仕事だ」

 一刻も早く助けに行こうとするルフルとルキナを止めるマリオだが、何気ない一言に首を傾げる。

CDドラゴン「ギャウ! ギャオオオオオオオオオオ!!」
ティンニン「なの!?」
マルス「なにこの声!!」
アンリ「ケントニスだ! 外で何かあったんだ!!」

 突然の叫び声に驚くティンニンと動揺するマルスにアンリは急いで窓から眺めると、大きな竜に対峙する体が鉄に覆われた巨人が二体いた。

メリオダス「ゴーレムか?」
吉備津彦「あれは俺達の世界で言う“巨人”だ……右から自身の周囲を破壊する“暴旋風”、巨岩を遠くから投げて攻撃する“投擲とうてき岩”だ」

 メリオダスの疑問を吉備津彦が答えると投擲岩がホテルに向かって巨岩を投げた。その様子を見たメリオダスは窓から跳びだし、投げられた岩に向かって刃のない柄だけの剣を振るった。

メリオダス「全反射フルカウンター!!」

 その言葉と同時に投げられた岩が巻き戻しのように投擲岩に向かって高速に飛び、避けることなく当たった。

メリオダス「ここは俺達がやる! マーリンは建物や建造物に完全なる立方体パーフェクトキューブをかけてくれ!」
アンリ「僕も戦います。皆さんは速く行ってください! 僕達も片付けしだいすぐに向かいます……行くよケントニス!」
CDドラゴン「ギャオオオオオオ!!」

 そう言ってメリオダスは暴旋風、アンリとケントニスは投擲岩の方へ向かっていった。

ルキナ「速くルフレさん達の所へ!!」
ピーチ「落ち着いてルキナちゃん。彼らはそう簡単にやられないわよ」
マーリン「何か根拠があるのか?」

 ルキナが完全なる立方体をかけ終えたマーリンにテレポートを頼もうとしたらピーチがルキナを宥めた。その様子を見てマーリンが問いかけるとピーチは花が咲くような笑顔で答えた。
























ピーチ「貴方達の他にも援軍がいるのよ」





































 ドパァン、とマンマビーチに突然大津波が襲った。

 クロノダイルの二倍三倍もある大きさの津波に対応出来なかったクロノダイルと三体の巨人は呑まれ、呆然とその様子を見ていた五人はこちらに接近する波を見て我に返った。

当麻「ちょ、こっちに来てる! こっちに来てるって!!」
キリト「流石に避けれな――」

























???「インスタントバリケード!」
???「ライトバリア!」

 突如、自分達の横から三つの人影が現れ、唱えると同時に周囲に頑丈な鉄の壁と光の膜が襲い来る津波を防いだ。

???「間に合って良かった」
???「見つけるのが遅れてたら大変でしたね」
???「間一髪ってところ……少しぐらい加減してよメロウ……大丈夫?」

 会話しながら鉄の壁と光の膜を解除する三人を呆然と見ていたが、その内の一人に声をかけられて意識を取り戻す。

ルフレ「お前達は一体……」

 ルフレの質問に三人は不敵な笑みを浮かべて答えた。

ミズキ「ミズキと言います。トクマさんとはとある事件で助けられたので助けに来ました」
レオナルド「レオナルドって言います。ミズキさんに連れてこられましたが、僕も助けに来ました」
トーチ「トーチです。さっきの津波は一緒に来たメロウが起こしたものですが、悪気はないんです」

 ミズキ、レオナルド、トーチの三人の援軍に流れが変わった事を感じたルフレはまだ戦えると立ち上がって三人に感謝する。

ルフレ「……俺達は気にしてない。むしろ助かった……ありがとう」
マック「おい、来るぞ!!」

 目の前のクロノダイルと巨人三体に全員が戦闘態勢をとる。すると、トーチの懐から軽快な音楽が流れる。全員の視線を受けながら連絡に出る。

トーチ「……わかった……皆さん聞いてください。さっきメロウから連絡が来たんですが、そちらのシネレッタの伝言で援軍が来たそうです」
キリト「……援軍?」

 トーチの言葉にキリトは首を傾げると周りが暗くなった。ふと、上を見上げるとそこには――

































???「ウゥゥゥラァァァァ!!」

 ――クロノダイルに負けないぐらいの巨躯である大鬼がいた。

全員「ハァッ!?」
当麻「お、鬼!?」

 思いもしない援軍に驚きながら巨人に殴りかかる鬼を見ていると、後ろから大勢のミニオンが走ってきた。

???「野郎どもぉ! あのデカオニに遅れをとるんじゃねぇ! 進めぇ!!」
ミニオン「ソレイケー!!」

 大声を上げながらミニオンに指示を出す左腕が義手の海賊服を着た男性がおり、近くにいたシネレッタが当麻達に近付く。

シネレッタ「よかった! みんな大丈夫?」
ルフレ「シネレッタ! これは……」
シネレッタ「援軍だよ。マリオさんに『大至急呼んで来てくれ』って頼まれて急いだの! 途中で私に似た人に出会ってその人と協力して唱えた私達の魔法で大津波を起こして船長の船を運んだんだから!!」
当麻「船長……鉄の義手に海賊服……もしかしてあのお方ってもしや……」
フック「お前さんの思ってる通りだ……おれ様の名はアイアンフック。船員どもからはフック船長と呼ばれている……ピーターの小僧が世話になってるな……あのデカオニは温羅うら童子だ」
温羅「ワシ、ツヨイ!!」

 ミニオンを軍隊のように指示をするフックとクロノダイルと巨人の両方を相手取る温羅童子にマックは無意識に感嘆を口にした。

マック「……スゲェ」
フック「いやいや、それはこちらの台詞だ。尖兵とはいえ強力な強さを誇るクソワニを長時間足止め出来たんだ……戦力としてはお釣りが来ても可笑しくない」

 その言葉に気をよくしたのか、フックは少し笑いながらクロノダイルと戦ったルフレ達を賞賛した。

マリオ「そりゃあ、俺の自慢の後輩だからな!!」

 その声に、全員が振り向いた。

マリオ「ルフレ、マック、当麻、キリト……よく耐えてくれた」

 多くのファイター達を連れて進むその姿は歴戦の勇姿を幻視し、そこにいるだけで圧倒的な存在感と安堵を与える姿を目にした。

マリオ「さて、反撃といこうか」

 いま、ここに、歴戦の超人達スマッシュブラザーズが立ち上がった。

覚醒・ドルピック島編【三日目】 ( No.97 )
日時: 2016/12/23 22:41
名前: トクマ

サンドリヨン「私達は他の巨人を倒しましょう」
吉備津彦「わかった!」
ミクサ「……ぅん……」
ピーター「用意しとけよアリス」
アリス「はいはーい! わかったよ!」

 サンドリヨン達は三体の巨人の一体に武器を構えながら走っていき、マリオはクロノダイルの前に進んで拳を鳴らす。

マリオ「さて、お前の相手は俺だな」
ルフル「マリオさんは下がってください!」
当麻「アンタは病み上がりだろ!」

 解呪したとはいえ、まだ影響が残っているマリオを退くように言うルフルと当麻、マリオ目掛けて巨人の一体が腕を振り上げながら走って来た。

トーチ「させるかよ。バナナバズーカ」

 それをトーチは造り出したバズーカを射った。勢いよく飛び出たバナナの皮は走っている巨人の足に踏まれ、踏んだ巨人は滑って転んだ。

メロウ「ダウナーソング、そしてアクアスパイラル」

 追い打ちにメロウが巨人のステータスを下げ、さらに攻撃を加える。

トーチ「お前の相手はこっちだ」
メロウ「さぁ、楽しみましょう」

 標的が自分達に変わり、トーチとメロウは巨人と戦い始める。

ミズキ「レオナルドくんは巨人の弱点を探して下さい」
レオナルド「はい!」

 ミズキも残った巨人を相手取り、レオナルドに弱点を探してもらうように頼み、武器を作り出して巨人に振るう。

ルフル「マリオさんは早く下がってください!」
ピーチ「マリオなら大丈夫よ……あら、そういえば言ってなかったわね」
ルフレ「何がだ?」
ピーチ「マリオがなんて呼ばれてるか知ってるかしら?」
当麻「……Mr.ニンテンドー?」
ピーチ「あってるけど違うわ。それはね――」

 ピーチの言葉が硬いものが砕けたような音に遮られ、急いで振り向くとそこには――

クロノダイル「■■■■――ッ!?」
マリオ「その程度かワニ?」

 ――右手の剣を砕かれて悶えるワニを冷たく睨み付けるマリオがいた。

マック「……動かずに武器を壊した!? オレ達でも傷一つつけることすら出来なかったのに!!」

 唯一、マリオとクロノダイルとの戦いを見ていたマックは驚愕を露にしていた。ギガマックになって殴りあった彼だからこそ、ただの攻撃じゃ砕くことは出来ない事を知っているのだ。

マーリン「……驚いたな」
メリオダス「何がだマーリン?」
エリザベス「メリオダス様! ご無事でしたか!!」
メリオダス「ああ、アンリとケントニスも協力してくれたお陰で思ったより早く駆けつけれた」
アンリ「それより、何が驚きなんですか?」

 そのなかで、冷静に分析したマーリンが小さく呟いた言葉を合流したメリオダスとアンリが質問し、マーリンがそのわけを説明する。

マーリン「ここのマリオ――トクマリオは攻撃が当たる瞬間に力を爆発させている」
当麻「……爆発?」
マーリン「例えるなら菌類だ。あのワニの強さを200として、ルフレ(キミ)達の総攻撃力を165とする……ここまではわかるな」

 マーリンの説明に当麻達は無言で頷く。例え見栄を張ったとしても、搦め手を使わないと倒せない相手であることは理解している。

マーリン「トクマリオはエネルギー消費を極端に抑え、強さを常日頃から10にしている。そして攻撃を当てる瞬間と防ぐ瞬間に数千、数万倍に菌が増殖する爆発的な速さで力を上げているのだ……そして行動が終われば元の10に抑える……エネルギー消費を限界までなくし、戦闘で無駄がない動きを行う為に重ねた……いわば効率を重視し続けた結果、存在そのものが【兵器】へと昇華したような人間だ」

 マーリンの言葉を分かりやすく言うなら、トクマリオは防御、攻撃する箇所かしょが当たる瞬間に相手の倍以上の強さを爆発的に発揮する。さらに、発揮した力を刹那的に元の状態へと戻す事で『100の力を10の力で迎撃された』や『100の力で防いだのに10の攻撃を防げなかった』という状況も作り出せる。

 しかし、そう考えると納得いかないところも出てくる。

当麻「魔力で肉体強化はしていないのか?」

 “魔力”。魔法の力を行使こうしする際に必要になる代表的な力――燃料で言うガソリンのようなモノである。

 どんな魔術にも必要なモノであり、呪術も例外ではない。しかし、その質問を聞いたマーリンは少しだけ言いにくそうに答えた。

マーリン「……ハッキリ言うと魔力量に関してはホーク殿の方が上だ。出来たとしても疲労回復と治癒速度を少しだけ上げる事しか出来ない。おまけに先程治療したが特別な術式や魔力も感じられなかった」
キリト「じゃあ、どうやって呪術に抵抗したんだ……精神力に左右されると言っても魔力が基本なんだぞ」

マーリン「そんなの決まっておろう……






























      気合い。それだけで抵抗したのだ」

全員「」

 唖然とする。無理もない、呪術で拘束されたにも関わらず、それだけで抵抗したのだ。一端の魔法使いなら白目になって気絶しても仕方ない。

 魔除けの術式や道具を持っていたもしくは特殊な体質ならまだわかる。しかし、文字通り『気合い』という根性論だけで抵抗したことに魔術を知る者はあまりの事実にポカンとした表情を見せた。

ピーチ「昔からああいう人なのよマリオは……素直で愚直ぐちょくでまっすぐで、折れない曲げない振り向かない信念の塊なのよ……だからこそ、スマブラのリーダーになれた」

 ピーチがどこか懐かしむような表情でクロノダイルを仰向けに倒し、頭部を嵐のごとく殴打しまくるマリオを見つめながら話す。

ピーチ「彼がいるからこそ、キノコ王国に戦争が起こることはない……超高効率戦闘技術と鋼の精神を兼ね備え、理論上は永久的に戦うことが出来る人物……幾度の戦場を駆け巡り、たった一人で鎮圧した姿を世界はマリオ(かれ)をこう呼んだ――


































 ――“永久殲滅せんめつ機関”。誰よりも強く、誰よりも冷酷で、誰よりも優しい狂戦士ヒーローよ」

 動かなくなったクロノダイルの胸からコアである本を無理矢理引き抜いたマリオを慈愛に満ち、それでいてどこか悲しそうな表情でピーチは誰に語るわけでもなく呟いた。

 引き抜いた本を片手に歩くマリオを最後の足掻きなのか、倒れていたクロノダイルが胸に穴が開いた状態で突然立ち上がって左の剣を振り上げる。

レオナルド「みなさん、弱点は頭部です!!」
アリス「一気に決めるよー!! 夢と不思議のおもちゃ箱! ぜーんぶひっくり返しちゃう!!」

 レオナルドの能力で巨人の弱点を【視た】結果を伝えるとアリスから魔力が溢れだし、一瞬で巨人と同じ背丈まで大きくなった。

ルフレ「で」
マック「で」
キリト「……で」
当麻「でかくなったぁぁぁぁ!!」

エリザベス「大きくなりましたね」
メリオダス「ディアンヌより少し小さいぐらいか?」
ベヨネッタ「変わった魔法ね」
ルフル「自分達の元となった物語をモチーフにした魔法らしいです」
マーリン「ふむ、興味深いな」

 その様子に驚く当麻達と慣れて(?)いるメンバーは談笑する。しかし、対決は幕を閉じようとしていた。

サンドリヨン「皆さん、一気に畳み掛けましょう! きらめけ、我が閃光の刃よ! はぁあああっ」
吉備津彦「応っ! 全身全霊の一撃を受けよ!!」
ミクサ「炎よ……もっと……もっと……大きくなぁれ……」
ピーター「いい夢みさせてやるよ!」

 ピーターの能力で強化したサンドリヨン、吉備津彦、ミクサの三人から繰り出される水晶、剛力、火炎の一撃と振りかぶったアリスの一撃が――

トーチ「決めるとするか! パイルバンカー!!」
メロウ「怖がらないで、ただ海へと還るだけ」

 トーチが創造した至近距離で杭を射出して相手の防御を貫通する兵器――パイルバンカーと海流を身に纏ったメロウの一撃が――

ミズキ「ホーリーフレア“三式”」

 聖なる炎の爆発で全てを燃やし尽くす威力を誇る術式を展開したミズキの一撃が――

マリオ「正邪マリオ……必滅パンチ!!」

 クロノダイルの足掻きである左の剣を無慈悲に破壊し、あらゆる世界から永久殲滅機関とうたわれた自身の代名詞とも言えるマリオの一撃が――





 ――対峙する敵に振るわれた。

 その一撃を受けた巨人の身体は瓦解し、クロノダイルの身体は空中で砂のような粒子状に分解されながら、消滅した。

キリト「……すげぇ……」

 自分達より格上の姿に全身の震えが止まらず、その姿に目を奪われ、感嘆をこぼした。

マック「……いけねぇ! マリオさん! 油断したらダメッス! その本は――」

 我に返ったマックがマリオにクロノダイルが再生する事を伝えようと声をかけようとしたら――

マリオ「フンッ!!」
ティンニン「なの!? ちぎった!!」

 その本を豪快に引き千切った。しかも目測でも結構な量のページが抜かれた事がわかる。目を白黒にするメンバーをよそにマリオは千切ったページを細かく観察する。

マリオ「……なるほどな……この本はやられると同時に周囲の魔力を吸収して【転生】する性質なのか……この本が持つ特殊な【生態】だから当麻の能力で打ち消せない訳だな」

 一人納得し、連絡機器を取り出して何処かに連絡を取り始める。連絡機器を懐にしまった所でメンバーの視線に気付いたマリオは千切ったページをおもむろに差し出した。

マリオ「よかったらいるか?」
キリト「いや、差し出されても……」
ルフレ「……あれ一枚十数万もするぞ」
当麻「あれが!? 紙切れ一枚で!?」
ルフル「異世界の神秘の塊ですから、魔道を進む者にとっては垂涎モノですね」
ピット「再生とか……しないんですか?」
ベヨネッタ「本体から切り離された絞りカスのような物体だから大丈夫よ……プラナリアのように新たな個体は出てこないわ」
ルキナ「それでも、充分に高価なモノですよ」

 まさかの価値に戸惑うメンバーにベヨネッタはため息を吐きながらマリオに返事する。

ベヨネッタ「それは欲しい人に渡すとして、残りはどうするのかしら? 本体は周囲の魔力を吸収して復活するんでしょ?」

マリオ「それは……こうする!!」

 ベヨネッタの質問にマリオは本体である本を真上に空高く投げた。

マリオ「三人ともぉぉぉ! 話は聞いてたなぁぁぁ! よろしく頼む!!」

 マリオの大声に空に浮かんでいる物体を目にした。それは薄い桃色の服装に身を包んだ少女と箒にまたがる少女、宙に浮かぶ傘を持った女性がいた。





















まどか「ティヒヒ! わかったよー!!」
幽香「体調も良くなったし、思いっきりいくわよ!!」
魔理沙「倍返しだぜ!!」

 薄い桃色の少女――まどかは弓を構え、箒にまたがる少女――魔理沙は八卦炉を本に向け、傘を持った女性――幽香は傘を本に標準を合わせるように構えた。

魔理沙「弾幕はパワーだぜ!」
幽香「花のように散りなさい」
まどか「いっくよ〜!!」

 青いエネルギーが八卦炉と傘の先に充填され、弓には素人目に見てもヤバいと断言できる桃色のエネルギー矢の形となって少女の力となっていく。

魔理沙&幽香「マスタースパーク!!」

まどか「救世主の(セイヴァー)破滅デストロイ!!」

 青い光線と桃色の極光が空中で舞う本を呑み込んだ。呑み込まれた本は吸収を試みるも無駄に終わり、白い灰へと姿を変えて消滅した。

マーリン「ふむ……過剰魔力による許容量の崩壊オーバーフローか……それなら復活せずに破壊できるな……」
マリオ「魔力を吸収するなら、受け入れられない魔力量をたらふく注げばいいだけだ……そういや、トクマはどうした?」

ルフレ「……そうだ! 今から呼びます! 待っててください!」

 マリオの言葉にルフレは思い出し、急いでワープブロックを起動させてこちらからのワープを行った。

折紙「あっぶねぇぇぇぇぇ!!」

 しかし、ワープで出てきたのは全身汗だくの折紙とセリノ、そしてボロボロの状態であるトクマだった。

マリオ「二人とも大丈夫か! なにがあったんだ!!」
セリノ「……それは僕が説明します」

 全身汗だくである折紙とセリノに運ばれたトクマをティンニンとエリザベスに渡して、説明を始めた。






 折紙とセリノはトクマがいる無人島につくと早速発見したが、ボロボロになったトクマを片手で掴んだ所々焼けたアドリエンヌとメリザンドを見つけた。すぐに折紙は聴覚による幻術を見せる技――最後の手紙(キャプテン・マードック)を発動して混乱してる隙に救出、セリノの回復スキルで治療し、幻術を解いたアドリエンヌとメリザンドとの戦闘を開始する直前――

































 ――桃色の極光が島に向かってきたのだ。

 生涯に数回見るか見ないかの莫大な魔力量に危機を感じて焦る四人にトクマの懐にあったワープブロックがルフレの持っていたブロックの信号をキャッチし、自動転移を始めて間一髪間に合ったのだ。

全員「……」

 桃色の極光。その言葉に数人が心当たりある人物に視線を向ける。本人はその視線に対してテヘペロしていた。

マリオ「……俺達も知らないんだ」

 マリオの言葉に全員が沈黙の肯定を行った。知らぬが仏とはまさにこの事だろう。

覚醒・ドルピック島編【三日目】 ( No.98 )
日時: 2016/12/23 22:52
名前: トクマ

アドリエンヌ「最悪ダワ……」

 沈黙した空気で声が聞こえ、武器を構えて振り向くとそこには所々焦げあとがあるアドリエンヌとメリザンドがいた。

ルフレ「お前ら……なんで無事なんだ!」
メリザンド「それはこの能力のお陰ですわ」

 ルフレの問いにメリザンドは後ろにある紫がかった黒い穴を出して指を差した。

メリザンド「この穴を咄嗟に出したお陰で爆発の余波を受けるだけですんだのですわ……もっとも、桃色の極光を見たときは焦りましたが……」

 その言葉にまた沈黙が始まった。事情を知らない折紙とセリノは首を傾げるも切り替えてメリザンドに声をかける。

折紙「トクマリオや俺達は全快している。お前達には不利だぞ」
セリノ「大人しく撤退してください」
メリザンド「えぇ、普通なら……そうですわね……」

 その言葉と同時にメリザンドが指パッチンをすると後ろに暗い紫色のカーテンが現れ、そこからミニオンやミニオンを強化した強化兵、小型ゴーレムが大軍で出現した。

ピーター「おいおい……一気に敵が増え――」
































トクマ「がぁぁぁぁあああ!!」

吉備津彦「トクマ殿!!」
フック「何があった!!」
シネレッタ「急に苦しんだの……そしたら……」
ティンニン「なの。身体中に黒い紋様が浮かんだの!」
ルキナ「貴女……何をしたんですか!!」

 容態が急変したトクマをルキナは親の敵を見るような目でアドリエンヌ達を睨み付ける。

アドリエンヌ「私達をオイツメタ事を評しテ……【自身の過去二殺さレル】呪術をカケタノサ」
メリザンド「解いてほしければ、サンドリヨンを渡しなさい……」

 非道。一言で理解できた相手に数人が怒りに燃え始める。それは助けに来たメンバーも同じである。

折紙「……テメェらは……」
トーチ「……いい加減に……」
ミズキ「……してください……」

 各々の武器を携えてアドリエンヌ達に襲いかかろうとした瞬間に後ろから止められた。

折紙&トーチ&ミズキ「!?」

 振り向くとピーチ姫が慈愛の表情を向けていた。よく見ればルフレ達をリンクやフォックスの初代メンバーが止めていたことがわかる。

ピーチ「大丈夫よ」
折紙「いや、大丈夫って……」
トクマ「く……来るんじゃ……ない……」

 その表情に戸惑う折紙にトクマは苦しそうに呟き始める。

アンリ「当麻さん、幻想殺しは効きますか?」
当麻「いや、効果がない」
トクマ「たのむ……来るな……ソレを片手に……近付いてくるな……」

 アンリの言葉に左手をトクマに触れるが無効化されないことに歯噛みする当麻。

トクマ「屈しない……オレは……絶対に屈しない……!!」
ミズキ「トクマさん……」
アンリ「片手……ナイフでしょうか……」
トーチ「いや、拳銃かも知れない」
折紙「どうした? マック、当麻、ルフレ、吉備津彦?」

 苦しそうに呟くトクマの様子に心配する助けに来たメンバー、しかしルフレ達は何か気付いたのか複雑な表情を見せ始める。

当麻「いや、その……」
ルフレ「案外、余裕がある」
折紙「余裕?」

 当麻とルフレの言葉に疑問を浮かべているとトクマは大きな声で叫んだ。

トクマ「屈しねぇぞ……オレは……オレは……






































         ……シロクマになってたまるか!!」

全員「あ、まだ余裕だわ」

 わかった瞬間、全員が苦笑し始める。

 ……いや、確かにこれも彼にとっては悪夢だけど……この状況下で普通見るか!? 他の作者さんや読者がいたら『心配を利子つけて返せ!』とツッコミをいれられるぞ!!



 ※詳しくは『リアル動物ごっこ(笑)』参照。



トクマ「くっ……左右に肉球派、前後にモフモフ派、上にはスク水を持ったトレ子……万事休すか……!!」
ルフレ「このバカは何を見てるんだ……『上にはスク水を持ったトレ子』ってどういう意味だよ」
ピーター「トレ子がスク水持って天井に張り付いてるんじゃないのか?」
マック「……ありそうで怖いッスね」
アリス「さらに下には私たちギャグカオス組が――」
フック「追い打ちするな」

 トクマの言葉に呆れるルフレ、ピーターの軽口に想像して青褪めるマック、さらに悪夢にしようとして頭に拳骨を落とされるアリスと苦労人を見つけたような目でトクマを見るフック……予想以上に緩和した空気になったが、その様子をアドリエンヌとメリザンドは驚愕の表情を露にした。

 ……ありえない……確かに【自身の過去に殺される】呪術は悪夢を見せる……だが、それは入口に過ぎない。どのような悪夢を見ようとあらゆる手で殺しにかかる……ならば目の前の光景はなんだ? 何故この男は殺されていない。悪夢を見ているハズなのに何故落ち着いているのだ……魂が殺されて停止し、汚濁し、腐敗している頃なのに……何故……安らかな顔ができるんだ……

 トクマの様子にメリザンドはただ、ただ、困惑していた。

覚醒・ドルピック島編【三日目】 ( No.99 )
日時: 2016/12/23 22:59
名前: トクマ

 ラスト! 油断せずに行こー!!



メリザンド「なぜ……なぜ……何故悪夢を見る程度ですんでいるんだ!!」
マリオ「そんなこともわからないのか」

 メリザンドの叫びをマリオが両断する。

マリオ「そもそも、トクマ(こいつ)はファイターってより復讐者アヴェンジャーなんだよ」
ルフレ「……復讐者アヴェンジャー?」

 マリオの言葉にルフレは首を傾げながらトクマを見る。共同生活してたからこそわかるが、その言葉はトクマには程遠い言葉で似合っていないのだ。

マリオ「俺も資料で見ただけだから詳しい事はわからんが、トクマは十年間孤立していた時期があった」
当麻「じゅ、十年……」

 マリオの衝撃発言に当麻は目を丸くした。当麻も自身の体質で孤立していたからわかる……十年という長い歳月のなかでトクマはその苦しさに人知れず耐えていたのだ。

マリオ「それでもなお、トクマは手を伸ばしたが否定された。何度手を伸ばそうと、何度抗おうと、何度願おうと無慈悲に否定され、やっと受け入れられたと思ったら、それは自分を絶望に叩き落とす企みだったんだ」

マリオ「気付いてしまった瞬間、トクマは手を伸ばすことを諦めた。それは受け入れてもらえない現実を理解したと同時に憎悪とも言える“悪意”が芽吹いた」

マリオ「それからトクマは変わった。表面を偽り、心を壊し、感情を砕き、全ては復讐の為に身を費やした。人の壊し方を得る為に数多の武術を学び、効率よく壊せる技術を知る為に数多の知識を吸収した……自分を騙そうとした人達を騙し、恨みごとを言われようとトクマは他人事のように思って嘲笑していたそうだ」

マリオ「しかし、トクマは復讐を成し遂げてたはずなのに満たされる事は決してなかった……その答えはとある人の出会いによって解った……」

マリオ「『自分の考えを裏切って欲しかった』」

マリオ「自分が無意識に人を想っていた事に気付かされたんだ……嫉妬は信用、怠惰は希望、色欲は憧れ、憤怒は激励、強欲は情愛、暴食は夢、傲慢は期待……要するにアンビバレントだった訳だな。相反する二つの感情がトクマにあり、自分が勝手に落胆した人間にその考えを打ち砕いて欲しかったんだよ」

 その言葉に全員が沈黙する。トクマと親しかった者にとっては衝撃が走る程の事実であった。彼が普通を望んでいたのは知らない過去による影響だと気づかされたのだから……

アドリエンヌ「ソレの……そレノどこが関係アルのよ!」
マリオ「関係あるさ」

 その過去を否定するかのようにアドリエンヌは糾弾するがマリオは即答する。

マリオ「……とある吸血鬼曰いわく、『諦めが人を殺す。人は諦めを拒絶した時、人間は人道を踏破する権利人となるのだ』……一度復讐に身を落とした人間が這い上がって来たんだ。たかだか死の呪い程度で――




































 ――終わると思うなよ」」

 その言葉と共に一つの人影が立ち上がった。

 それはボロボロになっていても力強く立ちあがり、トレードマークとも言える赤は風に揺れ、その姿を彼は心の中で自分を救ってくれた実像ヒーローと幼い頃に憧れた虚像ヒーローの姿を重ねながら不適に笑い、驚愕を隠さないアドリエンヌとメリザンドを見つめる。いま、ここに――

トクマ「それが、それこそが、オレの新たな意義であり、今までの贖罪だ」

 ――……一人の復讐者が帰還したのだ。

ルフレ「……ト……クマ……」

 呪術で苦しめられたことなど無かったかのように堂々とした立ち振舞いでトクマはルフレに振り向き、気さくに笑った。


トクマ「ただいま、バカ軍師」


 ニヒルな笑みを向けたトクマを見たルフレは苦笑して――









































 その顔面を、思いっきり殴り飛ばした。


トクマ「あびゃ!?」
ルフレ「なぁにがただいまバカ軍師だよ!? 遅いぞバカとでも言えばよかったのか!? 言うわけねぇだろうが!! お前は自分を粗末にし過ぎだ!! もっと自分を大事にしろや!! マック、当麻、キリト!! お前らも蹴るの手伝え!!」
マック「いらねぇ心配をかけさせんなよ」
当麻「起きれるならさっさと起きろ!」
キリト「……」

ゲシゲシ(トクマを蹴る音)

ゲシゲシ(トクマを蹴る音)

ゲシゲシ(トクマを蹴る音)

ピロリロリン(トクマを蹴る音)

ゲシゲシ(トクマを蹴る音)

トクマ「ちょ!? やめ!! やめ、やめろぉ!! ワンアップ! ワンアップしてるから! 横腹とか肩のつけ根とか地味にキツいところばかり蹴らないで!! マリオさんもニヤニヤしながら参加しないで!! トレ子はそんな羨ましそうな目でこっち見んな!!」


 この光景を説明するならカオスと言うしかないだろう。さっきまでシリアス全開が今ではシリアル全壊である。

 あとトクマは気づいていないがキリトに蹴られている姿を見てアスナがトクマのことを羨ましそうに見ていた。もちろんキリトはそれに気がつきながらスルーである。

 そして、誰も気付かなかった……まさかキリトが別の意味で道を踏み外れる事になるとは……この変態と名高い私ことトレ子も予想できなか――」

トクマ「お前がナレーションしてたんかィィィィ!!」
ルフレ「不吉なナレーションはやめろ!」
アスナ「キリトくん、まさかバラの道に進むの!? 絶対ダメだよ!!」
キリト「進まないよ!!」

「…………しょぼん…………」

トクマ「誰!? いま、露骨にがっかりしたヤツ!!」
キリト「名状しがたい寒気が!?」
当麻「てか、オレ達の中に(ある意味)腐ったヤツがいるのか!?」

 トレ子乱入でシリアルが加速しちゃったよ……てか、知りたくなかった真実が発覚しちゃったよ! (別の意味で)腐った人がいるなんて!!

アドリエンヌ「……ふ……ケる……ふザケるなヨ!! 贖罪? 今さら罪ヲ償ウなんてムリダロ! 不愉快だ……フユカイだ!!」

 黙っていたアドリエンヌが癇癪を起こした子どものように大声をあげると周りのミニオンや強化兵に紫色のオーラが宿った。

マリオ「どうやら、本気のようだな……トクマ!」

 マリオの声にトクマは顔をあげると、笑ってアドリエンヌを指差した。

マリオ「ケジメはお前が着けろ。どんな結果になっても俺は責めねぇよ」

 マリオの言葉にトクマはおもむろに後ろを向く。そこには、助けに来てくれた他の作者たちがいた。

折紙「……いってこいよ」
トーチ「どうせ、止めても止まらないんだろ?」
ミズキ「危なくなったら、勝手に助けますからね」
アンリ「……無茶しないでくださいよ」

 どこか呆れたような、それでいて安心したような表情を浮かべて四人はトクマの背中を押した。それに対してトクマはサムアップで返し、斧を取り出して歩く。

メリザンド「……一度は助かった命をまた捨てに来るんですね……今の内に言いますが、狂ってますわね」
トクマ「知ってるよ」

 メリザンドの言葉に笑って答え、トクマは斧を掲げる。

メリザンド「……質問よろしいでしょうか……」
トクマ「ん?」

 メリザンドの質問にトクマは首を傾げる。

メリザンド「あなたは……世界が憎くないんですか?」
トクマ「憎いね」

 即答。その言葉に全員が固まる。

トクマ「だってそうだろ。オレは普通の日常を夢見てたんだ……それなのに戦いを強要してくるヤツにトラブルを巻き起こすヤツ、はた迷惑なヤツに裸族……挙げ句の果てに痛い思いをしたんだ……憎く想わない訳ないだろ」

 抑揚がないトクマの言葉に数人がバツが悪い顔をする。しかし、メリザンドは一つため息を吐いて指摘する。

メリザンド「ならば何故、笑顔で語るのですか」

 その言葉に全員が疑問を浮かべた。

トクマ「仕方ないだろ? あいつらとの日常が心地好くて、好きになったんだからさ」
メリザンド「……矛盾してますわよ」

トクマ「ハ、矛盾で結構……愛しいからこそ憎く思い、憎いからこそ愛しいと想える……人しか持てない“愛憎”っていう感情さ……こんな素晴らしい感情ものを語らないでいつ語るのさ?

 ……まぁ、自分的には長長しく話したけど要点だけ言うとさ……

 『この世界の“日常”が好きになった』

 ……たったそれだけさ……

 ……だからこそ――」

 ――勝たせてもらうぜ?

 その言葉を呟いたと同時に変化が起こった。

ティンニン「な、なの? 風が急に――」
フォックス「ちょっと待て! 今日一日は無風だぞ! なんで強風が――!!」

 風がトクマの周囲に集まっていく。まるで、何かに引き寄せられるかのように――

フォックス「トクマを中心に風が集まっている!」
ベヨネッタ「……来るわ」

 ベヨネッタの言葉通りに風景が歪み、何かが来た。

???『奮え! 叫べ! 解き放て!! 我が真名は――』
トクマ「ウォオオォォォォォォォォ!!」











































トクマ「ハスタァァァァァ!!」
ハスター「■■■■■■!!」

 トクマの声により、全身が黄色で大きなタコが奇怪な声とともに姿を現した。

アドリエンヌ「ナっ!?」
メリザンド「あれは、あの時見えたタコ!!」

 無人島で見たアドリエンヌとメリザンドは声をあげるがさらに風が強くなり、目が開けられなくなるぐらい荒々しく風が吹き荒れる。

ネス「わぷっ!?」
アリス「目が開けられないよ!!」
ブラピ「飛ばされないようにするので精一杯だ!」

 そして、パァンと弾けた音で吹き荒れた風が嘘のように止まり、目を開けるとトクマに変化が起こっていた。


























 風にたなびく赤いマフラー。


 踊るように揺れる黄色の布。


 視ただけでわかる強靭な四肢。


 顔全体を覆い隠す白一色の仮面。


 そこには、一人の――































 訂正、間違いがあった。

 わかりやすく簡潔に言おう。











































 プリキュアが着てそうなフリフリの黄色い服を着たムキムキマッチョマンが、そこにはいた。


全員「なんでだぁぁぁぁぁぁぁ!!」
トクマ「こっちのセリフダァァァァァァァ!!」

 悲哀が混ざった叫びが、青い空に響いた。



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