SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

貧血少女その後 ( No.60 )

日時: 2016/11/23 01:27
名前: PLUM


るーちゃんが謎の貧血発作で亡くなってから、1か月と少し。

―――今年がもう終わろうとしている。

私はるーちゃんが亡くなってからも、普通に学校生活を送っていた。

「東華ー!一緒におみくじ引かない?」

今、私は友達と一緒に初詣に来ていた。

「ごめん!ちょっとトイレ行きたいから先にくじ引いてて」

嘘を付き、その場を離れる。だってすぐ近くに・・

「よう東華。話すの久しぶりじゃね?“ストーカー退治”以来?」

―――拓がいたからだ。

歯を二ヒッとしている拓を睨みつける。

「・・何の用よ」

「俺と付き合おう。退治したお礼に」

「嫌」

「なんでだよ」

「るーちゃ・・瑠菜を傷つけたやつとは付き合いたくない」

「は!?文句あんのか!」

拓がグーを出す。


          ■□■□

(前回の回想)

「東華、“ストーカー退治”ご苦労さま」

「るーちゃん、簡単に騙さちゃったね・・これで・・いいの?」

落とした傘を持ちあげる。私の目に涙がにじむ。

「じゃあ、私が瑠菜ママに連絡しとく」

「ああ。・・悲しいよなぁ、親友を亡くして。まぁお前も殺した原因の一人だけどな」

「・・あんたは知らないのね。貧血の一因にストレスが混じってること。瑠菜は私達に変な誤解を招いてショックを受けたのよ」

「そんな事・・前から知ってたぜ。事前にググっておいたからな!はははははははっははははっははははははっはははははは!!!・・」

「これ・・以上・・いったら・・」

「「これ以上いったら分かってる?」」

私はこの言葉を残し、急いで家に帰った。

「俺は・・あきらめてないからな」

この拓の言葉が遠くで小さく聞こえた気がした。


「私さぁ・・拓っくんのこと好きになったかも」

その言葉を聞いたのは、中学生だったある日のことだ。

最初聞いた時は、親友の恋は応援してあげようと頑張った。

でもるーちゃんは知らなかった。「稲沢拓の裏の顔」を。

先生から見ると、かなりの優等生に見える。

放課後になると、部活に入らず隣町のゲーセンでたむろ。

実親に暴力を振るう。

夜は家に帰らず、仲間と遊び&喧嘩放題。

そして腹黒で凶暴。

それを知っているのはごく一部の男女生徒。

拓いわく「知っている人、先生にいったら一発振るうぞ」スタンスらしい。

そしていよいよ受験生になると。

「私、拓っくんと同じ学校受ける!」

と自信満々だった。こんなに気合が入ってる姿を見ると、さすがにやめてとは言えない。

私は心配で、るーちゃんと同じ高校を受けた。みごと2人で合格できた。

一方拓は、推薦合格だった。先生の評価が高かったからかもしれない。

高校に入ってからは、るーちゃんは拓と同じクラスになった。私は離れてしまった。

「私これから、拓っくんを観察してくるね!」

るーちゃんは部活に入らなかった。放課後、拓を知るために。

「これじゃあ、ストーカーだよ。。。」

私はるーちゃんに聞こえない声でつぶやいた。

私も中学の時に入っていたテニス部をあきらめた。

るーちゃんのために。

学年は進級し、2年になり、るーちゃんと同じクラスになることができた。

拓も同じだった。

そんなある日、拓から呼び出される。

「東華、お前の親友、高校入ってからウザいんだけど。そのおかげで、俺の活動時間めっちゃ減った。どうしてくれんだよ」

・・だと思った。

「それは親友の私が代わりにお詫びする」

「それじゃすまさない」

私はそれを聞いた瞬間ゾッとした。

絶対拓は・・るーちゃんを・・

「この俺の作戦、絶対言う事聞けよ」

これはガチだ。聞かないと私の命も危ない。

「実行日は・・まだ未定だ」

未定なら・・いつ実行するか分からない。その間にるーちゃんの命を守らなきゃ!

それから半年後、大きく作戦は進んでしまう。

・・・るーちゃんが入院した日から。

「実行日は、退院日な」

実行日当日。私と拓は学校を欠席した。

そしてるーちゃんの気配を感じ取って。

わざと傘を落として。

拓と唇を合わせた。

卑怯者とのファーストキスは、どんな感触か分からなかった。

るーちゃんが倒れた瞬間に、

「私がるーちゃんを守れるはず」

そう信じていた自分がいたことに改めて気づく。

涙がこみ上げた。

((私って馬鹿だな・・))

家に帰ると、部屋のベットにころがり泣き叫ぶ。

「るーちゃんどうして気付かなかったの!こんな奴に恋に落ちて!どうしてどうしてるーちゃん!!裏で拓っくんがこんな人とは知らず!るーちゃんるーちゃんるーちゃん・・・」

しばらくの間、頭の中には「るーちゃん」しか浮かんでこなかった。


   “うささ、 愛してる”


         ■□■□


べちんっ。

私は拓の頬にビンタした。

「あんたとは一生関わらない!また同じクラスになっても!!大学が一緒でも!!!(大学はいかないか)就職先が一緒になっても!!!!」

「・・大学はいかないぜ」

ですよねー。

「お前の勝ちだ。俺もお前と絶交する。来年から。」

「分かってくれたらいい。じゃあね」

私はそのまま拓方向を振り向かないで去った。

友達がいる方向ではない方向へと。

そのままるーちゃんが倒れた場所へと向かう。

「るーちゃん。来年もよろしく」

とつぶやいた。そして次の瞬間、首元に激しい痛みに襲われる。

力ずくで振り返ると・・拓じゃない。

そうだ。

自分で無意識に傷つけていた。

ごーんごーんごーん。

除夜の鐘といっしょにつぶやく。

―――るーちゃん。また一緒に遊ぼうね。と。


                          【終焉】









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